2023-24 WEリーグカップ
グループステージ 第5節
2023.10.1日
セレッソ大阪ヤンマーレディース
0
HOME
FULL TIME
0
ヨドコウ桜スタジアム
0-0
0-0
三菱重工浦和レッズレディース
ヨドコウ桜スタジアム
2,240人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■鳥居塚伸人監督
「結果的には0-0の引き分けに終わったのですが、内容を含めて、浦和さんの個人のレベルの高さやチームの完成度は非常に高いと感じました。選手たちも、引き分けたことで自信にもつながったと同時に、このゲームを通して足らない部分も多く感じたと思うので、これを糧にリーグに向けて準備していきたいと思います」
Q:試合前、「色んなモノが見える試合になる」と話されていました。現状、差はありつつも、粘り強く戦って、終盤は勝つ可能性も作りました。今日の攻守の評価は?
「運動量に関しては、選手たちはハードワークしてくれたと思います。その頑張りが、この結果につながったと思います。ただ、守備のマーク、攻撃の準備や確認、クオリティーがもうワンランク上がっていけば、今日のゲームも勝ち切ることができたと思うので、その意味でも、課題が見えて、いいゲームになったと思います」
Q:今節はGKとDFラインで大幅にメンバーが代わりました。大会を通して多くの選手がWEリーグの舞台を経験した中で、3勝1分1敗、Aグループ2位という成績を残されました。リーグ戦へ向けて期待の持てるカップ戦になったと思うが、今大会の総評について
「ここまでの結果になるとは、正直、思っていなかったですが、選手たちが公式戦までの長い間、準備してきた結果でもあると思います。ただ、この結果がリーグにつながるとは思っていないので、このカップ戦を通して選手たちが感じたことを改善していくことが大事です。通用したことは自信を持って継続していくこと。このカップ戦で見えたことを継続して、リーグ戦に向けて準備していきたいです」
Q:今節はメンバーも大きく変わった中で、前川選手や浅山選手もしっかり持ち味を出していたと思うが、両選手については?
「今週に関しては、代表組が抜けたこともあり、色んな事情で今日のメンバーになりました。その中で、前川も浅山も、練習からいいパフォーマンスを発揮していたので、使わせてもらいました。ただ、本人たちは、自分が思っている以上にできなかったという印象を持っていると思います。トレーニングでできていることと、実際の公式戦でやらないといけないことを感じたと思うので、それがまた成長につながると思います。そのあたりはゲームから逆算して、トレーニングで伝えていければと思います」
Q:ここからリーグ戦の開幕までしばらく空くが、今回のカップ戦から見えた課題や修正をどう生かしていきたい?
「まずは個人戦術の徹底です。サッカーの理解度は、まだまだ低い。運動量でカバーしている部分が多くありました。まずは個人戦術として、攻守で何が必要かを理解させることが重要だと思います。セレッソのストロングである、前線からのプレッシャーにしても、今日もあと一歩が寄せ切れていない。そこを変えていかないと、リーグ戦では通用しない部分も出てくる。いつ行くのか、といったタイミングも含め、個人戦術を徹底して臨みたいと思います」
Q:WEリーグ参入が決まったことで、セレッソを離れた選手たちも戻ってきたが、その選手たちがチームにもたらしていることについて
「レンタルで出た選手も含め、WEリーグを経験して帰ってきてくれた選手たちが、チームのレベルアップには確実につながっています。厳しいことをグラウンドの中で言える選手たちが帰ってきてくれたことで、メンタル的に落ち込む選手もいるのですが、プロの中でミスをして言われるのは当たり前のこと。そういうことも含め、チームがワンランク上がったと感じています。選手同士が求め合うようになっていきました。プロが初めて、という選手も多い中で、プロの一つの基準を付けてくれたと思います。そこからもうワンランク上げて、選手たちとリーグ戦に臨みたいと思います」
選手コメント
■矢形海優選手
Q:最終的に3勝1分1敗のAグループ2位でカップ戦を終えました。今後へ向けての手応えなど、このカップ戦で得たことはどう考えますか?
「最終的にグループ2位で終えたことは、自分たちの今の立ち位置や、できること、課題など、色々と分かったカップ戦になりました。その中で、今日、レッズと戦って分かったことは、上位のチームとの差は大きいということ。まだまだ足りない部分も多いですが、今日の試合をしたことで、これから自分たちが求めていかないといけないことが明確になりました。そこはリーグ戦に向けて、成長につながる一戦になったと思います」
■百濃実結香選手
Q:「(21-22シーズンの)皇后杯準決勝からの成長を確かめたい」という言葉もあった中で、実際に浦和と対戦して感じたことは?
「あの時よりは、自分たちが成長できていたなと思いますが、内容を見れば、クオリティーのところで浦和さんは一人一人がうまい。自分たちは足りない。ただ、思っていたよりも自分たちの時間を作れたので、リーグ戦に向けて、良かったところは磨いていきたいです。球際の部分やクオリティーの部分は突き詰めないといけないなと感じました。決め切ること、攻撃のチャンスを増やすことも目標にやっていきたいです」
Q:試合前、「誰が出ても勝てるチームになりたい」という話もありました。色んな選手が出た中で、浦和相手に0-0で終わったことはポジティブですか?
「自信が付いた選手もいると思います。何人か、ケガやアクシデントもあったのですが、『その人たちのためにも頑張ろう』という話をみんなでしていました。『誰かがいないことはリーグ戦でも絶対にある。こういう経験を大事にしよう』という話をトリさん(鳥居塚監督)もしてくれました。全員で円陣を組んだ時も、『自信をもって頑張ろう、大丈夫やから』という話をみんなでしていたので、受け身になり過ぎていなかったと思います。みんな自信を持ってチャレンジできていたと思います」
■前川美紀選手
Q:今大会初先発でしたが、試合を振り返ると?
「自分たちが今までやってきたことを発揮することだけを意識して臨んだので、緊張はせず試合に入れました。でも、守備の部分や体負けした部分では、まだまだ努力して成長していかないといけないと感じました。攻撃面でも相手に圧倒された部分は多かったので、もっと練習しないといけないと感じさせられた試合になりました」
Q:個人として、やれていた部分も多かったと思いますが、そういう思いはありませんか?
「ボールを持てた部分はあったと思いますが、決定的な仕事はできなかったので。自分が求められているのはそこだと思うので、もう少しそういうシーンを出せれば良かったな、というのが今日の反省点です」
Q:田中選手との関係で、前に出したり、スルーパスを通す機会もあったように感じたが?
「そうですね。前にパスを付けたり、出して、受けて、常に関わるのは自分の特長なので、そこを発揮できた面もあったと思います。ただ、もっとうまく連係できた部分もあったとも思います」
Q:浦和と実際に対戦して感じたことは?
「相手は自分たちが思っている以上に余裕を持ってプレーしていたと思います。トリさんにもハーフタイムに言われたのですが、間合いの部分で相手に余裕を与えてしまっている、と。もっと相手に余裕を与えないくらい、守備で強度を出してプレーしないといけないと感じました。今日の経験は大きいので、またリーグ戦に向けて切磋琢磨しながら、レベルアップしていきたいと思います」
Q:カップ戦を5試合戦って、WEリーグの舞台はどう感じましたか?
「WEリーグはずっと目指していた場所。そこで、どれだけできるかチャレンジしたい思いが強いです。セレッソはリーグのタイトルを獲ったことがないので、数年後はWEリーグ優勝を目標にやっていきたいと思います」
■浅山茉緩選手
Q:今節はCBでプレーして無失点に抑えたが、手応えは?
「マッチアップするのが菅澤選手と猶本選手だったので、チャレンジ精神を持って、絶対に負けない、という思いで臨みました。菅澤選手に入った時に、ボールに強くいくことを意識していました。ヘディングで決めるのも菅澤選手の特長なので、クロスが入ってくる空中の間にどれだけ体をぶつけて対応できるかも心掛けていました」
Q:攻撃のポジションでプレーすることも多いですが、実にユーティリティーですね。
「準備は大変ですが、監督から『前も後ろもできる選手になって欲しい』と言われています。練習でも前と後ろをやっています。守備で出たらインターセプトやビルドアップを丁寧にやること。攻撃なら前線からのプレスやシュートを決めることを意識しています。(いつ頃から両方やっている?)中学生くらいから、両方やっています(笑)」
Q:カップ戦を5試合戦って、WEリーグの舞台はどう感じましたか?
「レベルが高い舞台の中で、自分ができることを少しずつ増やしていくイメージでプレーしています。少しずつは成長できていると思います」
■北原朱夏選手
Q:浦和と対戦して0-0という結果に終わりました。率直な感想は?
「試合に向けた練習の中で出場の機会を与えられ、『チャンスだ、やってやろう』という思いで臨みました。課題もいっぱいありましたが、出来たこともあったので、両方を次に生かしていきたいです」
Q:課題と出来たことは、どう感じていますか?
「元々、FWだったので、攻撃は得意です。攻撃で絡んで左足でクロスを上げたり、そこは左利きの良さを生かせたと思います。課題は、1対1の対応です。あまり得意ではなくて、今日も何度も抜かれてしまった。もっと対応できるようになって、小さい体でも守れることを見せたいです」
Q:今日がWEリーグカップデビュー戦になりました。特別な思いもありましたか?
「率直に嬉しかったです。正直、交代すると思っていたのですが、最後まで出られたことも嬉しかったです。ただ、体力面には自信もあったのですが、最後の方はしんどくて、上がれなかった。走り込みが必要かなと思います」
Q:体力に自信があるんですね。
「はい。昔から走ることは自信があったのですが、技術が足りていないと思っていました。なので、今日は落ち着いてやろうと思い、落ち着いてパスをつなぐことを意識しました」
Q:今日、試合に出たことで、今後もより出場に対する意欲が沸いたのでは?
「はい。浦和相手に出来たこと、自信を持てる部分もあったので、これからもっと頑張っていきたいですし、試合にも絡んでいきたいです」
■福永絵梨香選手
Q:素晴らしい活躍で、浦和を無得点に抑えて引き分けました。率直な感想は?
「GKというポジションは一つしかないので、試合に出られない期間もあるのですが、いつ出番が来てもいいように3人とも準備しています。その中で今日は自分が代表して出ました。みんなの思いも背負ってプレーしたので、失点ゼロで抑えることができて良かったです」
Q:後半、クロスからの猶本選手のシュートを止めた場面はビッグセーブでしたね。
「今週の練習の中で、カキさん(垣井大治GKコーチ)を含め、クロスからのシュートを止めるシチュエーションを取り入れていました。今日もそのシーンが出たので、練習のおかげです」
Q:今日がWEリーグカップデビュー戦になりました。特別な思いもありましたか?
「小さい頃からプロサッカー選手になりたい、という夢がありました。今日、たくさんのお客さんの前でサッカーができて、凄く幸せな空間に立てて、凄く嬉しかったです」
Q:チームの歴史を長く知る福永選手にとって、WEリーグ参入は思いもひとしおだと思いますが、そのあたりも含め、今大会を振り返ると?
「チャレンジャーという立ち位置で、自分たちが持っているパワーを出し切ることを意識して大会に臨みました。その中で、課題はもっと突き詰めて、リーグ戦でも上位に入っていけるように、ここからもっと練習を積み重ねていきたいと思いました」
■玉櫻ことの選手
Q:今日がWEリーグカップデビュー戦になりました。ピッチに入る瞬間、特別な思いもありましたか?
「はい。それまで、チームとしてはヨドコウ桜スタジアムでの試合は何度もあったのですが、私自身、ここで試合に出たことがなかったので、入る前はちょっと緊張感もありました(笑)」
Q:入る瞬間、大きな歓声が沸きましたが、聞こえていましたか?
「そうですね(笑)。たくさんの方に来ていただいて、いい環境の中でプレーできたことを嬉しく思います」
Q:1期生ですし、チームの歴史を長く知る玉櫻選手にとって、WEリーグ参入は思いもひとしおだと思いますが、そのあたりも含め、今大会を振り返ると?
「WEリーグ参入に向けて、チームと一緒に営業活動に同行させていただくことが数多くあったので、参入が決まった時は本当に嬉しかったですし、ホッとしました。WEリーグ参入が決まり、まずはカップ戦からでした。自分たちがどこまでやれるか分からないところもあったのですが、みんな頑張っていましたし、私もチャンスをもらえた時は頑張りたいと思っていました。得点にはつながらなかったですし、少しの時間でしたが、出られたことは良かったです」
昨季のチャンピオン浦和とスコアレスドロー。WEリーグカップは3勝1分1敗のグループA2位で終了
2023-24シーズンのWEリーグカップ最終節。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、ホームに三菱重工浦和レッズレディースを迎えた。両チームとも、前節終了時点でファイナル進出の可能性は絶たれているが、特にセレッソにとって、この試合は単なる消化試合ではない。この先に始まるリーグ戦でどこまで上位に食い込めるか。昨シーズンのリーグ、カップチャンピオン相手に、その試金石とも言える一戦となった。先発は前節から5人変更。アジア競技大会に参加中の脇阪麗奈と小山史乃観に加え、今節はGK山下莉奈、CB筒井梨香、荻久保優里もメンバー外に。GKは福永絵梨香が入り、DFラインは左から北原朱夏、米田博美、浅山茉緩、藤原のどかの並びになり、福永と北原はWEリーグカップデビューとなった。
序盤から浦和にボールを握られ、守勢に回るセレッソ。セカンドボールも拾われ、自陣に閉じ込められる時間も続いたが、織り込み済みの展開でもある。守備陣が体を張ってシュートをブロックし、GK福永も安定したプレーでゴールを守った。その上で、自陣で構えるだけではなく、自分たちでボールを保持する時間も作り、フィニッシュまでつなげる場面も。9分、14分と、この試合は右サイドハーフで先発した前川美紀が起点となり、前者は北原が、後者は宮本光梨がシュートを狙った。その後もボール保持の時間こそ浦和に圧倒されたセレッソだが、素早い寄せと粘り強い対応で失点は防ぎ、前半はスコアレスで折り返した。
後半、立ち上がりはセレッソが攻勢に出る形でスタートしたが、54分にアクシデント。相手CKの流れから、クロスに対して田中智子と米田が頭同士で激突。田中は立ち上がるも、米田は脳震盪の疑いによる交代を余儀なくされた。このタイミングで、鳥居塚伸人監督は3人同時交代。白垣うのをCBに、中谷莉奈を右SBに、松本奈己をボランチにそれぞれ配置した。直後に浦和も2人同時交代。安藤梢と清家貴子が登場すると、64分、65分と両者が立て続けに決定機を演出。この時間帯は浦和の猛攻を受ける形となったセレッソだが、相手のシュートを北原がゴール手前でクリアするなど、先制点は許さない。すると、ここまで守勢に回る時間が長かったセレッソが徐々に押し込み始め、敵陣に進入する回数を増やす。80分、矢形海優のパスから田中が枠内にコントロールショットを放つと、81分、セレッソにとってこの試合、最大のチャンスが訪れる。左サイドを崩し、最後は北原のクロスにファーで中谷がヘディングで合わせたが、相手GKのビッグセーブに遭い、ゴールならず。浦和も86分、サイドからのクロスに猶本がシュートも、今度はセレッソGK福永がビッグセーブ。両守護神の活躍もあり、試合は引き締まった状態のまま終盤に突入。84分、セレッソは1期生・玉櫻ことのが交代で入ると、ヨドコウ桜スタジアムに大きな歓声が沸き起こった。その後も浦和の牙城を崩すべくトライしたセレッソだが、得点は奪えず。それでも、最後まで集中力を切らさず無失点で終えることに成功。浦和との前回対戦時(21-22シーズンの皇后杯準決勝)はスコアこそ1点差だったが、内容的には完敗の色も濃かったが、今回は「思っていたより自分たちの時間を作れた。あの時よりは成長できていると思う」と百濃も振り返ったように、成長の跡は示した。
これで3勝1分1敗、グループAの2位で大会を終えたセレッソ。「このカップ戦を通して選手たちが感じたことを改善していくことが大事。通用したことは自信を持って継続し、リーグ戦に向けて準備していきたい」と鳥居塚監督は話す。大会を通して多くの選手がWEリーグの舞台を経験し、リーグ戦へ向けての期待も高まる中、WEリーグ開幕は11月12日、ホームにジェフユナイテッド市原・千葉レディースを迎えての一戦になる。「個人戦術の徹底」をテーマに中断期間を過ごし、WEリーグ参入1年目のリーグ戦から旋風を巻き起こすべく、準備を続けていく。