2023-24 WEリーグ第4節

2023.11.26

ちふれASエルフェン埼玉

0

AWAY

FULL TIME

1

0-0

0-1

セレッソ大阪ヤンマーレディース

小山 史乃観 (75')

熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

710

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

小山史乃観のミドルシュートが決勝点。連敗中の逆境を、チーム一丸で乗り越える

 

前節から中2日、敵地に乗り込み、ちふれASエルフェン埼玉との2023-24 WEリーグ第4節に挑んだセレッソ大阪ヤンマーレディース。9日間で3試合目というハードな日程の中、先発は前節から4人変更。システムも戦い慣れた4-4-2に戻し、今節に臨んだ。

 

6分、C大阪がいきなり決定機を作る。右CBで先発した米田博美が持ち運び、パスを受けた百濃実結香がさらに深い位置まで右サイドをえぐってクロスを上げると、小山史乃観がダイレクトでシュート。GKも外して枠を捉えたが、相手DFのクリアに遭い、惜しくもゴールとはならず。前半はスタートから4-4-2でハイプレスをかけてきたEL埼玉に対し、C大阪は筒井梨香のフィードから左サイドで小山が起点を作り、打開を図る。17分には脇阪麗奈の素早いリスタートから田中智子がシュート性のクロスを上げ、ゴールに迫る。この場面で頭でクリアした相手DFが交代を余儀なくされると、EL埼玉は前節も採用していた5-3-2に布陣を変更。C大阪はボールを持つ時間は増えたが、なかなかシュートまでは至らない。「連戦の3戦目ということで疲労もあり、できるだけ(ボール)ロストしないということもテーマに挙げていた。そのせいか、前半はアタッキングゾーンでの思い切りがなくなっていた部分もあった。前に向かうより、ボールを失わない、という部分が出た」と鳥居塚伸人監督。ゲームをコントロールする意味では悪くない前半だったが、攻撃に関わる際の枚数や迫力には、やや欠けた。一方で、守備では危なげなく対応。29分、EL埼玉の10番吉田莉胡にワンツーから打たれたシュートが唯一ヒヤリとした場面だったが、わずかに枠を外れて事なきを得た。

 

「まずはフィニッシュ。勝点3を取る。シュートを思い切って打ちにいく」(鳥居塚監督)ことを全員で意思統一してピッチに入った後半は、より背後の意識や3人目の動きも生まれ、ゴールの匂いが漂い始める。59分、1人目の交代として栗本悠加が入ると、さらに勢いは加速。「勝つこと以外、考えていなかった」(栗本)という気持ちが伝わるプレーで攻撃を活性化させると、71分には北原朱夏と白垣うのが入り、さらに縦への推進力がアップ。72分、北原と栗本がボールを運び、最後は北原が思い切ってミドルシュート。枠内の際どいコースへ飛んだが、相手GKの好セーブに遭い、ゴールとはならず。それでも75分、ついに待望の瞬間が訪れた。田中から背後へ走る北原へ出したパスはGKにカットされたが、その後のクリアボールが小山の元へ届くと、背番号10がスピードに乗ったドリブルからカットインし、右足を一閃。ゴールまで距離はあったが、見事にニアのコースを射抜き、ゴールネットを揺らした。前節は最後の失点場面に絡み、試合後は悔し涙を流していた小山だが、「失点よりも得点にフォーカスして取り組みたい」と臨んだ今節で早速、結果を残し、今度は満面の笑みを浮かべた。

 

重荷が取れたかのように、ここからC大阪の攻撃が躍動する。幅と奥行きをうまく使い、ダイナミックな展開も増えると、90分に矢形、後半アディショナルタイムには脇阪が2点目のチャンスを得たが、ここは惜しくもネットを揺らすことはできず。それでも守備陣は最後まで集中を切らすことなく対応。CKのハイボールもGK山下莉奈がしっかり処理し、後半はEL埼玉に決定機を与えなかった。WEリーグ参入後初の連敗で迎えた今節は、C大阪にとって今季のターニングポイントにもなる最初の試練だったが、先発11人に途中出場の選手も含め、チーム全員で逆境を跳ね返して掴んだ今季2勝目となった。

監督コメント

■鳥居塚伸人監督
 
「3連戦の最後ということで、選手の疲労度は高かったと思います。その中で、一生懸命走ってくれて、勝点3を取れたことは良かったと思います。途中から入ってきた選手もパワー、さらなる勢いを付けてくれました。チーム全員で勝ち取った勝点3かなと思います」
 
Q:直近2試合は最後に失点する悔しい試合が続いた中で、今節の前は、選手たちにどのような声掛けをされましたか?
「2試合連続、後半アディショナルタイムでの失点で負けるという、なかなかできない貴重な体験をさせてもらったなと。『この経験をしっかり生かそう』ということと、『体はキツイと思うけど、勝ちたい気持ちをどっちが出すかがポイントになる』と。『みんなで頑張ろう』ということで、技術というより精神的な部分を鼓舞して戦った試合でした」
 
Q:後半、特に自分たちのペースで試合を進める時間も長かったと思います。交代選手も勢いを付けてくれました。90分の内容は、どう見られますか?
「グラウンドも少し柔らかく、連戦の3戦目ということで疲労もあり、できるだけ(ボール)ロストしないということもテーマとして挙げていました。そのせいか、(前半は)アタッキングゾーンでの思い切りがなくなっていた部分もありました。前に向かうより、ボールを失わない、という部分が出たのが前半なのかなと思います。後半は、まずはフィニッシュ。『勝点3を取りにいく』ことをテーマにして、シュートを思い切って打ちにいこうと。そこから前にボールが入るようになりましたし、フィニッシュの本数も増えていきました。その中で交代選手が躍動してくれたのが、今日の勝因なのかなと思います」
 
Q:「フィニッシュ」という部分では、見事に小山選手がミドルシュートを決めました。前節は悔しそうな姿が印象的でしたが、次の試合で結果を残した評価については?
「小山に関しても、疲労度は高かったと思います。さらに前節は悔しい思いをしていた中で、日々トレーニングしているフィニッシュがここで決まったということで、次からさらに、彼女が躍動する姿が見られるのではないかと期待しています」
 
Q:前節から布陣を戻したことについては、選手たちの疲労やコンディションも考慮された?
「そうですね。疲労もあり、システムが変わると頭も動かさないといけない。そういうことを考えると、今までやってきたシステムで臨んだ方が、今節に関しては戦いやすいと思ったので、今節は戻して戦いました」

選手コメント

■小山史乃観選手
 
Q:ミドルシュートで決めた、決勝点を振り返ると?
「前節、悔しい思いをした中で、今日は監督にも『自分で点を取ってこい』と言ってもらって、思い切り足を振ったので、それが決まって良かったです」
 
Q:少し距離もありましたが、ボールが来た瞬間、迷わず打つ判断をした?
「最初はパスやクロスをするか迷ったのですが、感覚的に、『カットインしたら入るかな』、という思いがあったので、仕掛けて、打ちました」
 
Q:試合前は「得点にフォーカスしたい」という言葉もありました。「今日は無得点で終わりたくない」という気持ちの部分も大きかったですか?
「そうですね。監督からも『今日は勝ちに行く』と。『ここが一つターニングポイントの試合になる』という中で、勝てたことは大きかったと思います」
 
Q:セレッソ大阪ヤンマーレディースの選手として、WEリーグ初ゴールですが、そのあたりの気持ちはいかがですか?
「みんなが凄く喜んでくれました(笑)。ホント良かった、という気持ちです(笑)」
 
 
■脇阪麗奈選手
 
Q:辛い展開で連敗した中で、中2日でのアウェイで大変だったと思いますが、試合に臨む前の思いやチーム全体としての挑み方は?
「みんなで『絶対に勝とう』という思いで試合に入った中で、相手も5バックで守ってきて堅かったのですが、後半はみんなで『シュートを打とう』と試合に入って、打った結果が1点につながったので良かったです」
 
Q:前半は「どこから崩していこう」という思いもあったかも知れませんが、前半は最悪0-0で行って、後半にギアを上げることは想定していた?
「はい。前半、相手がもっと来ると思って自分たちも準備していたのですが、意外に来なくて。ハーフタイムに『もっとチャレンジしよう』とトリさんが言ってくれて、それでみんなが前を向き始めたら、リズムが良くなってきました」
 
Q:一気に湧き出るような攻撃も生まれました。交代選手が勢いを付けてくれた部分も大きいですし、それまで出ていた選手も含め、チーム全体で掴んだ勝利ですね。
「そうですね。交代で入った選手がギアを上げてくれて、あの得点につながったと思います。チーム全員で戦った結果だなと思います。でも、もう少し早い段階で、自分たちで変えていけたら良かったと思います」
 
Q:苦しい試合が続いた中でそれを断ち切れたことは、シーズン全体を考えてもターニングポイントになる試合ですね。
「そうですね。ここで負けたら下位に沈んでいたと思いますが、また盛り返していけると思います。(次節まで)1週(多く)空くのですが、いい準備をして、次も必ず勝ちたいです」
 
 
■筒井梨香選手

Q:勝利おめでとうございます。
「ありがとうございます。やっとです(笑)」
 
Q:辛い展開で連敗した中で迎えた今節でしたが、試合に臨む前の思いは?
「無失点で抑えるということ。最後の最後まで集中し続けるということ。自分たちのミスをなくすこと。もっと丁寧にボールをつなぐということは、さらに意識しました」
 
Q:前半は、攻め切るよりもリスクを負わず、という展開だったかなとも思いますが、どういう思いでプレーされていましたか?
「思ったより相手が引いてきたので、自分たちでボールは持てるけどゴールまでは行けないもどかしさはありました。やりにくかったですが、守備をする場面は少なかったので、しんどくはなかったです」
 
Q:後半は一気にスイッチが入ったというか、交代選手も含めて縦への推進力が出ましたが、「後半勝負」という思いもチーム全体にありましたか?
「流れを変えられる選手がベンチにいたので。その子たちが、その期待に凄く応えてくれたと思います」
 
Q:ここ2試合、最後に失点が続いていましたが、今日はそのようなシーンもなく、最後の時間の使い方も含め、一歩一歩、成長している?
「まだまだではありますが、徐々に、という感じですかね(笑)」
 
Q:欲を言えば2点目が欲しかったですか?
「そうですね。2点目を取れたらもっと楽になったと思います。そこはまだまだ練習が足りない、ということで。やっとのオフです。13連勤しているので(笑)」
 
 
■栗本悠加選手

Q:後半の早い時間帯に投入されました。そこからグッとチーム全体のギアも上がった印象ですが、心掛けていたプレーは?
「流れを変えたくて、自分の速さを生かして少しでも前に行って、得点につながるプレーを意識しました」
 
Q:前半は試合を作りながら、という様子も見られた中で、後半に試合を動かすことは、チームとしても考えていた?
「そうですね。勝つ以外、考えていなかったので、どうしても1点が欲しかった。ゴールだけを見てプレーしていました」
 
Q:ドリブルで仕掛けて、取られてもさらに奪い返しにいくなど、強い気持ちも見えました。
「はい(笑)。強い気持ちでガンガン行くしかなかったので、そこは気持ちでプレーしました」
 
 
■北原朱夏選手

Q:WEリーグのデビューを飾った思いは?
「一言で言って、嬉しいです(笑)。ここ2試合、ベンチには入っていましたが、出場機会がなく。『点を取ってやろう』という気持ちでベンチにいたのですが、悔しい思いをしていた中、今日は監督に呼ばれて、『どこで出るのかな』と思っていたら、『サイドハーフ』と聞いて。ゴールだけを見て、ボールを持ったら仕掛けてシュートを打とうと思って入りました」
 
Q:その思いが勝利を呼び込んだのではないかと思うくらい、得点への意欲が出ていましたね。惜しくもGKに止められましたが、自身のシュートを振り返ると?
「距離はあったのですが、左足でボールを持てたので、とりあえずシュートを打とうと思ったら、いい感じのところに飛んだので、良かったです(笑)」
 
Q:思い出に残るWEリーグデビューになりましたね。
「そうですね。個人的にもまだまだ課題はありますが、とにかくチームのために走って、チームに勝利を、という気持ちでプレーしていたので、勝てて良かったです」