第6節
2023.12.23土
INAC神戸レオネッサ
竹重 杏歌理 (61')
北川 ひかる (67')
髙瀬 愛実 (90+1')
3
AWAY
FULL TIME
1
ノエビアスタジアム神戸
0-1
3-0
セレッソ大阪ヤンマーレディース
小山 史乃観 (35')
ノエビアスタジアム神戸
2,110人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■鳥居塚伸人監督
「うまく先制できたのですが、そのゲームを勝ち切ることが出来ずに残念です。(相手の)個人、個人の上手さを体感したゲームだったのかなと思いますが、今日は『チャレンジ精神を持ちながら戦おう』という中で、失点してからメンタル的に落ちたことが課題です。そういうところは変えないといけない。僕自身ももう一度、見直さないといけないですし、選手と一緒にまた次に向けて戦っていきたいです」
Q:選手起用について。矢形選手をサイドに入れて、FWは時間で区切って計画的に起用されたのかなと思うが、その狙いについて
「そうですね。INACさんはワイドに張ってくるので、サイドのケアは重要になってくるという中で、経験値のある矢形をサイドに入れて安定させた中で、玉櫻を先発で相手を広げる、縦の距離感を広げていきたいと。広がったところで、和田の技術は生きてくるのかなと。そこまでは交代の時間も含めてうまくいったところでした。失点してからも、サイドにスピードのある選手を投入して、さらに追い打ちをかけたかったのですが。百濃に関しては、仕掛けは何回か見られましたが、もっと積極的に自分から引き出して、ゴール前に進入していく選手になって欲しいと感じました。そこはまだ成長が足りない部分なので、課題として取り組んでいきたいです」
Q:試合前、「チャレンジして何かを掴むことが成長にもつながる。このゲームで成長できるように戦いたい」と話されていたが、前半に関しては、勇気を持ってつなぐ部分と、前から守備をする部分、セカンドボールを拾って厚みのある攻撃を仕掛ける部分と、いずれも良く、内容面ではINAC相手にも上回る部分も見られたが、今日、出来たことや収穫は?
「プレシーズンマッチで対戦したこともあり、相手がどう来るかは、ある程度、理解していた部分はありました。同じように引くのではなく、自分たちからチャレンジしていくというところでは、前半に関しては、ほぼパーフェクトに近い形で出来たと思います。ただ、ハーフタイムに言ったことは、『45分を持つチームはいくらでもある。残りの45分をどう戦うか』だと。(後半は)全てにおいて、1歩、1メートル届かなかった。それがこの結果につながったと思います」
Q:後半は相手も高瀬選手を入れて、前に起点を増やして圧力をかけてきました。そうした中で、後半も入りは悪くなかったと思うが、結果的にクロスから3失点。1失点目はGKのミスも絡んだが、DFラインとの連係面も含め、3失点をどう見られますか?
「3つとも色んな要因はあると思います。1失点目もGKのミスというよりは、後ろにボールが来てしまったフィールドプレーヤーのポジショニングはどうだったのか、見直さないといけないでしょうし、失点後のリバウンドメンタリティーのところでも、かなり落ちている選手がいました。そこはウチの課題だと思います。リーグ戦ということを考えると、3失点目はしてはいけない失点でした。1つ1つ課題を克服して次節に臨まないと勝点は拾えない。カップ戦で勝点を拾えた部分とは違う厳しさを味わっているので、これをどう選手が積み上げていくのか。そこは意識させながら、トレーニングに臨みたいと思います」
Q:WEリーグ初の関西ダービーだったが、今日の雰囲気も含め、今後もどういうダービーになって欲しい思いがありますか?
「関西の女子サッカーを盛り上げるためには、試合内容も含めてしっかりとしたゲームをやることで、さらにファンは増えるのかなと思う。こういう試合(関西ダービー)を大切に戦いながら、勝点を拾いながら、INACさんを超えられるように頑張ります」
選手コメント
■脇阪麗奈選手
Q:悔しい結果になったが、表現できた部分もあったと思います。率直に、この試合をどう振り返りますか?
「全然、戦えると思いました。いいゲームをしても勝たないと意味がないのですが、普通に戦えたなという気持ちはあります。ただ、そこで勝ってくるのがINACだなという悔しさと、こういう試合をどう勝ちに変えていくか、そこは自分たちが成長しないといけない部分だなと感じました」
Q:前半は内容的にも上回っていた部分もあったと思います。今日の試合の中で得たこともあるのでは?
「(前半は)全員がハードワークして、質も良かったです。1対1でも負けていなかった。それを90分出来ないことが今の私たちの課題。後半にもフォーカスしていきたいと思います」
Q:前節の反省も生かして、後半も入りは悪くなかったです。
「悪くなかったですし、崩されてもいないので。でも、一瞬で甘さが出ている。一歩だったり、一つ寄せていたら状況も変わっていたと思う。そこが私たちの今の弱さかなと思います」
Q:1失点目はGKのファンブルなので、個人のミスという部分もあるが、チームとしてはそこだけにフォーカスするよりチーム全体の課題として受け止めていくことが大事?
「そうですね。でもGKの差は感じました。相手はPKを止めて、こっちは止められなかった部分もありました。ただ、こっちが後半、先に点を取っていたら、全然、状況も変わっていましたし、人のせいや周りのせいにせず、自分と向きあっていきたいです」
Q:古巣のホームで戦った感想は?
「久しぶりにノエスタで試合ができて、たくさんのINACサポーターの前でプレーできたことは良かったです。少しは成長した部分を見せられたのかなと、個人的には思います」
■小山史乃観選手
Q:1-3という結果になったが、試合を振り返ってどういう感想を持ちますか?
「今日の試合をチームとして大事にして戦いました。その中で、勝ち切れなかったことが今の自分たちの実力なのかなと感じています」
Q:試合前、「ボールを持った時に自分で打開できれば、得点のチャンスも増えると思う」と話していたが、自身のそうしたプレーからPKにつながる場面もありました。チームとしても、前半はやるべきプレーを表現できていたと思うが?
「前半は質も高く、自分たちがやりたいサッカーを強度も持って出来たので、そこは自信に変えて次の試合にも生かせればいいのかなと思います」
Q:サイドの攻防という点では、前後半で変わった部分もありましたか?
「(後半も)1対1や要所は抑えた場面はあったのですが、2対1の状況を作られたり、スペースに乗られた時は相手が上でした。そこは代表選手にも負けない実力を付けていかないといけないと思います」
Q:自身としては、リーグ戦3試合連続ゴールとなったが?
「あそこ(高い位置)に入っていけるのが自分の特長の一つでもあるので、そこは続けていきたいのと、アタッキングサードに入った時にもっとシュートという選択肢を持ってやっていきたいです」
■筒井梨香選手
Q:悔しい結果になったが、「周りを見て、全体で落ち着いてボールを回して、テンポよくセレッソらしいサッカーをしたい」という試合前の言葉を表現できた部分もあったと思うが、率直にこの試合をどう振り返りますか?
「内容は今までの試合の中で一番良かったと思います。守備の面でも、やらせてはいなかったので。その中で勝ち切れなかったことは自分たちの弱さだし、INACさんがそれでも勝ち切ってくることも凄いというか、尊重しないといけない。自分たちも結果を出していくことも追求していきたいです」
Q:毎試合のように、「もっと落ち着いてやればできる」という言葉を残していましたが、今日の前半はINAC相手にも表現できたことは、成長も感じたが?
「成長している部分もあると思いますし、今日はとにかく、自分は(田中)美南さんの逆を取ろうと思ってプレーしました。いかに楽しむかを考えていました。だからこそ、落ち着いてサッカーを楽しめたのかなと思います」
Q:試合後、I神戸の監督は、「前半は思い通りにつなげなかったので、後半は高瀬選手を前に入れて、ダイレクトにロングボールも増やして、収めて攻撃するやり方に変えた」と話されていたが、相手がやり方を変えて前に起点が2枚出来たことは、守る方からすれば圧力もありましたか?
「めっちゃ嫌でした(苦笑)。高瀬さんもキープ力が凄い。『ここも収めるのか』みたいなプレーもありました。ただ、そこからどうこう、ということは特になかったし、流れの中から崩されてゴールにはつなげられていません。そこは自分たちも成長したポイントだと思いますし、次につながる試合内容だったと思います」
Q:結果を分けた2失点目は、北川選手としては「クロス」だったと。GKも出るか出ないか、DFも誰に付くかなど、連係面も含めて課題は残った?
「1歩が出ない。そこはもっともっと追求しないとダメ。自分もあそこでスライディングしていれば、また変わったと思います。あと1歩のところにも、もっとこだわっていきたいと思います」
Q:試合後は、GK山下選手と話されましたか?
「はい、話しました。ああいうイージーなミスは誰にでもあるので、仕方ないと言えばそれまでですが。逆に言えば、次につなげられるミス。本人はメンタルをやられていますが、『そういう時もある。次、やらないようにすれば大丈夫』という声を掛けたいです」
■玉櫻ことの選手
Q:WEリーグでは初先発でした。30分という時間限定だったとは思いますが、前半の内容は良かったと思います。自身のプレーも含めて、どう振り返りますか?
「そうですね、元々、『(出場は)30分』と監督から聞いていたので、自分が出来るところまで全力で頑張ろうと思って入りました。ゴール前でプレーすることはできなかったので、相手にとって怖いシーンはなかったと思いますが、裏に抜けるタイミングはいくつかあったので、自分の特長を生かすプレーはできたかなと思います。ただ、やっぱり点を取らないと試合には勝てないですし、FWの役目はそこだと思うので、もう少しゴール前でプレーして、相手に怖いなと思わせる選手にならないといけないと思います」
Q:1期生として、WEリーグで初の関西ダービーという舞台はいかがでしたか?
「そこはそんなに意識していたわけではないので(笑)。思い切ってやろうという気持ちでプレーしました」
WEリーグ初の関西ダービーは小山史乃観の3戦連発で先制も、後半に逆転負け。今後につながる収穫と課題が相半ばする
WEリーグ初の関西ダービーとなった『BATTLE OF KANSAI』。INAC神戸レオネッサとWEリーグでは初の公式戦に臨んだセレッソ大阪ヤンマーレディース。先発は前節から3人変更。白垣うのがCB、荻久保優里が右SBに入り、WEリーグ初先発となった玉櫻ことのが2トップの一角に入った。
試合前、「思い切ってチャレンジして欲しい。チャレンジして何かを掴むことが成長につながる」と話した鳥居塚伸人監督。さらに今節へ向けては、「選手全員でミーティングをして、『もう一回、みんなで厳しくやっていこう。全員でアグレッシブに、自分たちらしいサッカーをしよう』という話をした」(脇阪麗奈)というチームは立ち上がりからアグレッシブなプレーを披露。開始1分、高和芹夏がファーストシュートを放つ。その後はI神戸に押し込まれる時間帯もあったが、しっかりしのぐと、攻守において自らのペースで試合を運ぶ事に成功。テンポ良くパスをつないでボールを運ぶ攻撃、高い位置から連続性を持ったプレスをかけて、I神戸のつなぎを遮断する守備。I神戸のストロングポイントである両サイドにもしっかり対応。逆に相手ウィングバックの背後を突くなど、攻撃の突破口にした。
29分、玉櫻に代わって和田麻希が入る。「玉櫻を先発で相手を広げて、縦の距離感を広げて、広がったところで、和田の技術は生きてくる」(鳥居塚監督)という当初から計画されていた交代の直後、その和田が小山史乃観のスルーパスに抜け出してペナルティーエリア内に進入、粘ってPKを獲得する。自ら蹴ったキックはGKに止められてしまったが、ここで得たCKの流れの中からC大阪が先制に成功。CKのこぼれ球を和田が拾いシュート。DFに当たってこぼれたところを今度は田中智子がミドルシュート。クロスバーに当たると、跳ね返りを荻久保がヘディングで詰める。GKがキャッチし切れず、こぼしたところを小山が押し込んだ。古巣相手のゴール、さらにはリーグ戦3戦連発となる背番号10の先制弾に沸き返るC大阪ベンチ。その後もI神戸の反撃を無失点でしのぎ、前半を1点リードで折り返した。
「引くのではなく、自分たちからチャレンジしていくというところでは、前半に関しては、ほぼパーフェクトに近い形で出来た」と鳥居塚監督も評価した前半を経て、後半に臨んだC大阪。I神戸は後半開始から高瀬愛実を投入。前線に起点を増やし、両サイドも高い位置に押し上げてきた。自陣に閉じ込められる時間が続いたC大阪だが、しっかりと体を寄せつつ決定機は作らせずに防いでいたが、61分、思わぬ形から失点。I神戸のCB竹重杏歌理がフワリと浮かせたクロス気味のシュートをゴール前に入れると、GK山下莉奈がキャッチし切れずファンブル。これがそのままゴールに入り、同点に追いつかれてしまった。すると、6分後にも失点。I神戸の左ウィングバック北川ひかるへの寄せが甘くなると、北川の巻いたクロスがそのまま入り、ゴールイン。一度I神戸に傾いた流れを食い止めることができず、C大阪は逆転を許した。ここから反撃に出たいC大阪だったが、I神戸の巧みなボール回しに対し、奪いどころを定めることができず、後半はシュートまでたどり着くことができない。後半アディショナルタイムにはPKから3失点目を喫して万事休す。「(後半は)1歩、1メートル届かなかった。それがこの結果につながったと思います」と鳥居塚監督も総括。90分を通して選手交代も駆使して畳みかけてきたI神戸の総合力に屈した格好となった。記念すべきWEリーグ初の関西ダービーは1-3の敗戦に終わったが。「内容は今までの試合の中で一番良かった。成長している部分もある」と古巣戦を終えた筒井梨香が振り返ったように、特に前半はチームとして目指す方向性を改めて再確認できたことは収穫だ。選手個々に目を移しても、3戦連発の小山だけではなく、和田や白垣がI神戸相手にしっかりと自らのプレーを発揮できたことも今後につながる。この試合で得た収穫と課題を精査し、年内ラストマッチとなる次節、ホーム・ヨドコウ桜スタジアムで行われるアルビレックス新潟レディース戦に向かいたい。