2024-25 WEリーグ クラシエカップ第2節

2024.9.8

ジェフユナイテッド市原・千葉レディース

小川 由姫 (90+3')

1

AWAY

FULL TIME

1

0-0

1-1

セレッソ大阪ヤンマーレディース

矢形 海優 (88')

フクダ電子アリーナ

670

ギャラリー

MATCH REVIEW

GK山下莉奈の奮闘にエース矢形海優が応えて先制も、土壇場で失点。今シーズン初勝利を惜しくも逃す
 
今シーズンの初戦となったWEリーグ クラシエカップ グループステージ第1節・INAC神戸レオネッサ戦から中6日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、アウェイに乗り込み、ジェフ千葉レディースとのWEリーグ クラシエカップ グループステージ第2節に臨んだ。スタメンは前節から2人変更。GKには、昨シーズンのレギュラー守護神・山下莉奈が戻り、左サイドバックは牧口優花に代わり、前節は途中から同ポジションでプレーした中谷莉奈が入った。
 
開始からセレッソは守勢に回る展開に。3分、5分、6分と連続してCKも受けたが、GK山下も含めて懸命にクリア。前節の課題となった「試合の入りとセットプレー」(鳥居塚伸人監督)は何とかしのいだ。20分には、自陣右サイドを崩されかけたが、CB筒井梨香がしっかりと体を寄せつつ、最後のシュートはGK山下が防ぎ、ゴールは割らせない。それでも、パスとドリブルを巧みに織り交ぜて攻めてくる千葉Lに対し、セレッソはプレスがハマらず、ボールを奪い切れない。30分には荻久保優里がペナルティーエリア内で相手選手を倒してPKを与えてしまう。ただし、このピンチでもGK山下がシュートコースを読んで、ボールをこぼさずしっかりキャッチ。ビッグセーブで先制は許さなかった。守護神の奮闘で流れを引き寄せたいセレッソだったが、前半はボールを前に運ぶことができず、放ったシュートは田中智子のロングシュートのみ。前半は千葉Lのペースで進む中、アディショナルタイムにも決定機を作られたが、ここでもGK山下が懸命に手を伸ばしてシュートストップ。苦しい展開ながらも前半を0-0で終えることに成功した。
 
後半も試合の流れは変わらず、相手陣に入っていけないセレッソに対し、千葉Lが攻勢を強める。ただし、セレッソは後半も山下が大活躍。GKとの1対1を作られた53分の千葉Lの決定機もビッグセーブで失点は阻止した。すると、60分を過ぎたあたりからセレッソも相手の背後を取り始める。62分には、矢形海優が右サイドの裏に抜けてクロスを上げ、ファーに田中が走り込む。直後には逆のパターンでもゴールに迫るなど、前半に比べてチャンスになりそうな場面が増え、徐々に得点の匂いが漂い始めた76分、高和芹夏に代わって浅山茉緩が入り、田中と2トップを組む。この交代で右サイドハーフにポジションを下げた矢形が88分に大仕事。押し込んだ状態から脇阪麗奈が前で起点を作り、相手の守備を中央に寄せたセレッソは、セカンドボールを拾った松本奈己がペナルティーエリアの角でフリーになった矢形へラストパス。すると、このチャンスで右足を振り抜いた背番号11のシュートが相手DFの足に当たってコースが変わり、ゴールイン。「マイボールの時間が少なかったので、起点をつくることを意識して、相手の背後を狙ってプレーした」と後半のプレーを振り返った矢形が千葉Lの左サイドの背後にうまく潜り込み、この試合、ようやく掴んだ決定機を見事に仕留めてみせた。千葉Lの攻撃をしのぎ続け、ワンチャンスをモノにしたセレッソは、後半アディショナルタイムにも田中がネットを揺らしたが、ここはオフサイドの判定でゴールは認められず。それでも勝利まであと数分のところまで来ていたが、90+3分、サイドからのクロスを跳ね返したセカンドボールを千葉Lに拾われ、小川由姫に豪快なミドルシュートを決められ同点に追い付かれた。「練習からいい状態だったので、練習通りやることを意識した。今日の試合はいいパフォーマンスができたと思う」と試合後に話すなど、この試合、幾度となくピンチを防いできた山下でも、防ぎようがない一撃だった。
 
試合はこのまま1-1で終了。WEリーグ クラシエカップ グループステージにおける勝点1を獲得することには成功したが、今シーズン初勝利はお預けとなった。「自分が何をしないといけないのか、攻守において、もっと準備を徹底することが必要」と今後の改善点を述べた鳥居塚監督。ここまでカップ戦の2試合を終えて見えてきた課題と向き合い、1週間後、ホームで迎えるリーグ開幕戦へ向け、しっかりと準備を重ねていきたい。

監督コメント

■鳥居塚伸人監督
「苦しいゲーム展開の中、選手たちは一生懸命頑張って、何とか先制できたのですが、最後のところで追いつかれてしまい、非常に残念なゲームだなと思います。次はリーグも始まるので、もっと技術のクオリティーを上げること、判断を改善して、次に臨みたいと思います」
 
Q:ゴールこそ決まったのですが、なかなか攻め込む時間を作れなかった攻撃の課題について
「どこにポジションを取ったらいいのか、味方同士のつながりという部分で、相手のプレッシャーに判断を奪われてしまったことが、一つの原因だと思います。そこも技術のところ。後半は、システムというか、人を変えながら対応はできたので、そこの時間を変えていくことはまだまだ必要だなと感じました」
 
Q:浅山選手を入れた後、前を4枚にして、かなり攻め込むことはできたと思うが、逆にそれまでの時間は攻め込めなかった。浅山選手を入れるまでの時間帯の課題について
「ワイドのスペースは、前半も空いてはいましたが、ウチが使い切れていなかった。そこの選手のジャッジも、もっと早く伝えていけば良かったと思います。途中から、そこが起点になれるということで、やかち(矢形選手)を右に出して、しっかり起点にすることはできました。それを前半からしっかり見てジャッジできれば、このゲームの流れも変わったと思うので、そのあたりの課題を克服して、次に臨みたいと思います」
 
Q:今シーズンは、WEリーグもインテンシティーの高さがトレンドになっているように感じます。そうした強度の高いゲームの中で、今日できたこと、できなかったことは?
「一生懸命やってくれているのですが、準備段階でしっかり準備できないと、本当に強度が必要なところでパワーが出ない場面が結構ありました。自分が何をしないといけないのか、攻守において、もっと準備を徹底することで、強度も上げられると思います。そのあたりで、準備を徹底させて、臨みたいと思います」
 
Q:前半からピンチの数も多かった中、GK山下選手の再三の好セーブが光りました。守備全体の今日の内容について
「先ほども話したように、準備のところですね。相手の前の3選手が多く入れ替わってくる中で、自分がどの選手をマークしないといけないのか、その準備が遅れたことで、一歩、遅れて、こういう展開になったと思います。守備のところの準備をもう一度、徹底させること。チームとしてどこで奪うか、その共通認識を持たせて守備に入ることも、もう一度やらないといけません。そこをしっかり改善することで、プレーの強度も上がるでしょうし、攻撃にもつながると思います。そういう形で次に臨みたいと思います」

選手コメント

■矢形海優選手
Q:試合を振り返って
A:GKとディフェンス陣が守ってくれてたので、FWの仕事がゴールとるだけでしたが、先制したところで勝ちたかった。最後の最後で、失点したところは課題です。

Q:前半から前にボールが来る回数が少なかったが、試合中に周りの選手とどんな話をしましたか?
A:最初の入りで失点することがセレッソの悪いところだったので、最初は前に蹴ることを全員で意識して戦いました。途中からは慌ててしまう部分もあり、つなぎきれずボールロスからのカウンターがあったので、もっと選手間で話し合って、遊びのパスを行うなど、マイボール時間を長く持てたらいいと思います。

Q:遊びのパスを公式戦で行うことは難しいと思うが、重要なことはなに?
A:準備をはやくする。パスを出して次のパスコースをつくる。何回も動きなおすことが大事なのかと思います。

Q:ゴールシーンを振り返って
A:(脇阪)麗奈が中で粘って、最後は(松本)奈己からいいボールが来てあとは振るだけでした。前半からシュート数が少なく、自分自身のシュートを打てなかったので、ああいう場面でFWとしてどんどん打っていきたいという気持ちがあったので、ゴールにつながってよかったです。

Q:後半途中まで、なかなか攻撃の形を作れなかったが、ピッチで感じた課題について
A:1人1人が慌てる部分もあり、マイボールにする時間が今日はなかったので、落ち着いて遊びのパスを有効に使って崩せるようにしていきたいです。

Q:後半はサイドのスペースで受ける機会も増えてきたが、チームとしての狙いについて
A:マイボールの時間が少なかったので、起点をつくることを意識しました。あとは相手の背後を狙ってプレーをしてました。


■松本奈己選手
Q:0-0の試合終盤、ボランチに投入された。自身の役割について
A:ボールを受けたらFWを観ること。FWを見たらくさびのパスを上げてもう1度かかわり攻撃参加すること、自分がフリーの場合はシュートを打つことを意識しました。

Q:セカンドボールを拾って矢形へラストパスを送った得点場面を振り返って
A:混戦気味でボールがこぼれてくると思ったので、はじめは自分で打とうと思いましたが、やかちさんがいい体制でフリーだったので、
決めてくれると思いパスを出しました。

Q:試合の締め方で、反省点があれば
A:自分たちが得点したことで相手が割り切って前からきたので、守備の部分で全員で声掛けしていかないといけないと思います。
1人1人の気の緩さが最後失点に繋がったと思うので、二度としないように全員で引き締めていきます。


■山下莉奈選手
Q:再三の好セーブが光っていました。今日のパフォーマンスについて
A:練習からいい状態だったので、練習通りやることを意識しました。今日の試合はいいパフォーマンスができたのではないかと思います。

Q:PKストップの場面を振り返ると?しっかりコースを読んでいたが。
しっかりコースを読んでました。思い通りにストップできて良かったです。

Q:ラストの失点について。GKとしては厳しいコースだったと思います。打たせないことが大事だった?
A:シュートの瞬間が見えず、見えてないということはもう1個寄せて、シュートを打たせないようにすることができたと思うので、まずは打たせないようにコースに入るようポジショニングしていきたいと思います。


■筒井梨香選手
Q:苦しい試合でしたが勝つチャンスもありました。試合を振り返って
A:やっぱり最後勝ち切れないところが自分たちの課題だと感じました。ですがこれまでは前半や後半の入り15分に失点することが多かったですが、そこを修正することができたのは良かったです。
 
Q:千葉Lはインテンシティの高いプレーが多かったですが、強度の部分でやれたところ、やれなかったところの実感は?
A:千葉はFWの選手はドリブルが上手い選手が多く、すごくやりづらかったです。自分ももっと成長できると実感しました。