第16節
2025.3.29土
日テレ・東京ヴェルディベレーザ
樋渡 百花 (29')
眞城 美春 (61')
2
AWAY
FULL TIME
1
味の素フィールド西が丘
1-0
1-1
セレッソ大阪ヤンマーレディース
脇阪 麗奈 (85')
味の素フィールド西が丘
594人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■鳥居塚伸人監督
「この天候にもかかわらず、多くのサポーターに足を運んでいただいて、感謝しかありません。何とか勝利をプレゼントしたかったのですが、力及ばず負けてしまいました。立ち上がりから、ベレーザさん相手に前から奪いにいこうと臨んだのですが、思い切りが前半はなかったと思っています。勇気を持ってチャレンジしてもらいたかったし、奪ったボールをどう攻撃につなげるのか、そこのトランジションで何が見えていたのか。もう一回、課題を修正して、次節に臨みたいです。終わり際、やらないといけないところでは、選手がパワーを持って戦ったことが得点につながったと思うので、ああいうシーンを多く出せるように、課題と向き合って取り組んでいきたいと思います」
Q:「前半は前から奪いにいく勇気が足りなかった」ということですが、原因に関して、心当たりはありますか?
「自分がどの選手をマークしないといけないのか。どのポジションに立たないといけないのか。誰がファーストディフェンダーになるのか。そこが明確になっていなかった。もちろんそれはチームとしても課題ですが、個人戦術として、最初の失点もファーストが決まった後、間に付けられたのですが、あそこでチャレンジできていれば失点もなかったと思います。個人戦術も含めて、チームとしての課題を修正しないといけない。あとはベレーザさんがしっかりボールを握れる、状況を見られているという怖さで、思い切りがなかったのかなと思います。このリーグで戦うのであれば、あと一歩、二歩、寄せる勇気が必要ですし、そういう対応ができなければ、このリーグで戦っていけないので、課題として取り組んでいきたいです」
Q:セレッソの選手は上手くて素晴らしい選手も多いですが、終盤のようにパッション溢れるプレーを出せていないように映ります。今シーズンの選手個々の成長において、もう少しこうあってくれたら、と思うことはありますか?
「今までは、『前から行く』となれば、ただ前から行こうとプレッシャーをかけていましたが、現在はファーストディフェンダーが行ったら、セカンドがどうしないといけないという部分で、個人のところでは理解してきた部分もありますが、行くことでメリットがあるのか、行ったことでデメリットなのか、整理が付いていないことで、行っていいのか、行ったらダメなのか、というシーンが前半のような内容になったと思います。行かないといけない部分、行ってはいけない部分はチームとしても整理しないといけない。ベレーザさんは上手いので、時間をできるだけ与えないようにプレッシャーをかけることができれば、もう少し自分たちの時間も増えたと思います。奪うシーンもありましたが、奪ったボールをどれだけ丁寧にマイボールにできたのか、そこは完全に課題なので、修正していきたいと思います」
Q:前半は特に丸井選手を前に上げて、3トップのような形にも見えたが、狙いは?
「丸井に関しては、システムが4-4-2のところから少し人にハメながら、前からプレッシャーをかけて、高い位置でボールを奪いにいこうという形で、2トッププラス丸井で3トップ気味になって、人に対してプレスをかけたい意図で、前に人をかけました。ただ、そこをうまくかいくぐられて、プレッシャーがかからないことで中盤のところがルーズになってしまった。後ろもポジショニングが取れなかった。それが前半だったと思います。思い切りを持ってファーストを決定する、それに対してセカンド、サードはどこにポジションを取らないといけないのか。そのためにチームはもっとコンパクトにしないといけない。次節まで2週間あるので課題を修正したいです」
Q:今節で栗本選手が一区切りだが、彼女に対するエールを
「今日に関しては、途中から入ってストロングを出しながら、ゴール前でシュートを1本打てたのですが、あの場面でシュートを打った方が良かったのか、もっと仕掛けて、よりいい状況を作れたのか。彼女の武器はスピード、仕掛け。これからまた、そういう部分をしっかり磨いて、またウチに戻ってきてくれたらありがたいと思います」
Q:ベレーザもセレッソと同様、若い選手が多いので、プレッシャーをかければバタバタする部分はあるが、今日はどのようなゲームプランを持って臨みましたか?
「ウチが前から行く部分と、ベレーザさんも前から来ることは予想していたので、前から来た時にどこが空くかと考えれば、相手の背後を徹底的に突こうというプランで臨みました。ルーズなボールになっても、ウチの前の選手はスピードがあるので、前からプレッシャーをかけて、奪ってカウンターはあり得ました。相手を見て、まずは背中を突くことが最初のゲームプランでしたが、相手を見ることができていなかった。ただ蹴っているだけ、というシーンもありました。蹴った方がいいのか、足元の方がいいのか。そこは選手が見て判断する部分。見てジャッジできるように修正したいです」
選手コメント
■脇阪麗奈選手
Q:今日の試合を振り返って、全体としては力の差を感じたのか、結構やれたという印象か?
「力の差は十分感じたし自分たちの試合はほとんど出来なかったですが、最後の10分は開き直って攻めに行ったのであの1点が取れた。もっと自分たちが自信をつけて最初からああいう戦いができればいいなと思います」
Q:チームとしては勝利が欲しいところかと思うが、変えていくとしたらどのようなところから変えていきたいと思うか?
「守備のところで、失点してしまったら勝てないので、ゴール前の守備を突き詰めていきたいのはずっと課題です」
Q:個人として改善していきたい点は
「個人としては戦えた部分もあったので、そこは継続していきたい。ベレーザの中盤の選手は個々が上手くて、自分も見習わないといけないところがたくさんありました」
Q:守備でなかなかボールを取り切れなかったですが、ピッチでプレーしていて難しさを感じたことは?
「ボールを奪えないことは感じていたので、割り切って守備できていたところはありましたが、守備に追われる時間はかなりキツかったです」
Q:ゴールシーンについて、普段は脇阪選手のアシストから矢形選手のゴールでしたが、今回は逆でした
「矢形選手からボールが来ると思い走っていたら(ボールが)来たので、思い切って打ちました」
Q:最後に1点を取ったことを、今後どう繋げていきたいか
「今シーズン初ゴールが遅くなってしまったので、ここからもっと自分と向き合いゴールを決めていきたい」
■栗本悠加選手
Q:今日の試合を振り返って
「ラスト20分くらいで出ましたが、流れを変えるために出たので、1点を取れたことは良かったですが追いついて逆転したかったので、勝ち切れなかったことは悔しいです」
Q:ご自身でもシュートを打たれましたが、あのシーンはいかがでしたか?
「ボールを持ったらゴールを決めるためにシュートを打つことは意識していたので、シュートを打てたことは良かったですが、もう一個持ち出して確実に決めきりたかったです」
Q:今日の試合でセレッソとしては一区切りとなりましたが、ピッチに入るまでの心境は?
「今までの集大成というか、全ての方への恩返しをしたいと思い指示に臨みました」
Q:今後どのように成長していきたいか?
「大学でも今までどおり自分と向き合って上を目指していきたいです」
■丸井優奈選手
Q:今日の試合を振り返って
「長い時間、相手にボールをもたれて苦しい試合で、もっと守備から整理すると自分たちの攻撃の時間を増やせたと思いますし、攻撃の時に自分たちのボールを大切にできるようにならないといけないと思いました」
Q:ベレーザの1対1の強度はいかがでしたか?
「ずっとボールを持たれていましたが、自分たちが自陣で持っている時もプレスが強かったですし、すごく強度が高い中で90分間戦ってきたなと感じました」
Q:セレッソは育成で育ってきたメンバーが多いと思うのですが、長く一緒にやる良さと、改善点はありますか?
「メニーナとベレーザのサッカーは統一されていて、ボール持つのもどうボールを回すかも分かっている選手なので、その点はセレッソも見習う必要があると思います。今日出てたメンバーも若い選手が中心で上手かったので、凄いと思いました」
■吉田琉衣選手
Q:今日の試合を振り返って
「ずっとボールを持たれていたので、後ろは粘り強く耐える時間が長かったです」
Q:ベレーザは即時奪還や強い強度でボールを奪いにくるように見えたが、プレーしてみてどうでしたか?
「前からきて激しかったですが、ボールを逃がせたら意外と回せるとも感じました」
Q:試合は負けてしまいましたが、チームとして出来たという点は?
「最後の方はセレッソらしく、前からプレッシャーをかけて、奪うことができたかと思います。前からいくと勢いもつくし、前に走れる選手がいるのでそこが強みだと思います」
Q:次節浦和戦に向けて
「ポジション争いに負けないように、練習から今日の課題を意識してやっていきます」
攻守に日テレ・東京ベレーザに完敗も、脇阪麗奈の今季初ゴールで一矢報いる
リーグ後半戦、初勝利を目指して挑んだ敵地での日テレ・東京ベレーザ戦。セレッソ大阪ヤンマーレディースの先発は前節から2人変更。田中智子が4試合ぶりにスタートから出場し、前節は和田麻希が先発した左サイドハーフには百濃実結香が2試合ぶりに戻った。
立ち上がり5分、C大阪が高い位置でボールを奪い、脇阪麗奈がシュート。惜しくも枠の外に飛んだが、いきなり相手ゴールを脅かした。ただし、ここからは東京NBにボールを持たれる時間が長く、C大阪は耐える展開が続く。東京NBのビルドアップに対し、奪いどころを定めることができず、自由に運ばれると、7分にはサイドからのクロスで決定機も与えたが、ここは吉田琉衣のクリアや相手のシュートが枠を外れて事なきを得た。ただし、東京NBの波状攻撃は止まらない。C大阪は自陣に釘付けにされる時間が続き、奪ったゴールもつなげず奪い返され、試合はハーフコートゲームの様相を呈した。それでも何とか耐えていたが、29分に失点。左のウィングバックでスタートし、高い位置を取って攻めてきた北村菜々美がペナルティーエリアの角付近から中に付けると、パスを受けた樋渡百花に決められた。この場面、人数は揃っていたが、人に寄せ切ることができず、落ち着いてシュートを打たれてしまった。その後も敵陣に入っていけないC大阪は攻撃の糸口を掴むことができず、前半のシュートは立ち上がりに脇阪が放った2本に終わった。
後半も試合展開は変わらない。開始から東京NBがボールを持ち続けると、両サイドを深く取って、そこからのカットインやクロスでゴールに迫ってきた。後半もC大阪はボールの取りどころを定めることができず、自陣に押し下げられると、61分、眞城美春にミドルシュートを決められ、点差は2点に広がった。65分、鳥居塚伸人監督は最初の選手交代として田中と百濃に代えて、田子夏海と和田を投入。縦への推進力を出すべくカードを切ったが、69分、70分と立て続けに決定的なピンチを招く。ここは両方ともシュートが枠外に飛んで3失点目とはならなかったが、終始、劣勢のまま時間は推移。「ボールを奪えないことは感じていたので、割り切って守れていたところはありましたが、守備に追われる時間はかなりキツかったです」と試合後に脇阪も振り返ったように、前半から終始、苦しい時間が続いた中、73分、交代で入った栗本悠加が6分後に高い位置で奪ってシュート。GKに止められたが、ここからラスト10分+後半アディショナルタイムはC大阪も反撃すると、85分、C大阪が1点を返す。田子が前線からの守備でボールを奪い、吉田のパスを受けた矢形が丁寧に胸で止めて脇阪へパス。左サイドの背後を取った背番号10が左足で見事、逆サイドネットを射抜いた。キャプテンに飛び出した待望の今シーズン初ゴール。「最後の10分は開き直って攻めに行ったので、あの1点が取れた」(脇阪)とラストの時間帯でようやくC大阪らしいアグレッシブな姿勢がピッチで表現された。後半アディショナルタイムにも敵陣の深い位置でFKを獲得。これをモノにすれば同点、というシーンまで持ち込んだ。ただし、点差としては1点だったが、「力の差は感じた。自分たちの試合はほとんど出来なかった」(脇阪)と前回対戦からの成長を示すことはできなかった。
東京NBは巧みなボール回しだけではなく、攻から守の切り替えも徹底。C大阪はマイボールの時間も短く、後手に回り続けた。ボールの動かし方、プレスのかけ方の両方で大きな差があった今節。肌で感じたトップレベルの基準を糧に、今シーズンのラスト6試合に挑みたい。また、4月から大学進学が決定している栗本にとっては、この試合がセレッソ大阪ヤンマーレディースの選手としてはひとまずの区切り。「今までの集大成というか、全ての方へ恩返しをしたいと思い、臨みました」と試合前の心境を明かし、試合後は、「流れを変えるために出た中で、(チームとして)1点を取れたことは良かったですが、追いついて逆転したかったので、勝ち切れなかったことは悔しいです」と率直な思いを明かした。今後のサッカー人生の成功を祈りつつ、再び桜のユニフォームに袖を通す日がやって来ることにも期待したい。