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11/23 EL埼玉戦 Pick Up Player【善積 わらい選手】

  • 11/23 EL埼玉戦
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来月をもって、スパイクを脱ぐ─。21日、善積わらいの現役引退が発表された。ラストマッチは12月11日に行われるWEリーグ第5節三菱重工浦和レッズレディース戦。その一つ前に行われるホームでの一戦、WEリーグ第11節INAC神戸レオネッサ戦後には引退セレモニーも実施される。発表があった当日の夜、自身のSNSには、「シーズン途中、突然の発表となり驚かせてしまい申し訳ありません。セレッソ、そして私に関わって下さった全ての方々には、感謝の気持ちでいっぱいです。残り3戦。みんなとできるサッカーを楽しみます」と胸の内を綴った。チームとしてWE 参入2年目の今シーズン。カップ戦の第4節・ジェフ千葉レディース戦で、自身2年ぶりに公式戦のピッチに立った。今月6日に行われたI神戸とのカップ戦では、復帰後初の公式戦先発も勝ち取った。一歩、一歩、着実に前進していたが、引退の決断に至った一番の理由としては、やはり「膝の怪我の影響」を挙げる。「思い通りにサッカーができない。みんなに付いていくのがやっと。この状態でチームのみんなとやるのも申し訳ない」と率直な思いを明かした。
 
「高校1年の冬に右膝の怪我をした時、ドクターには、『珍しい怪我。完治は難しい。元通りにはできない』と言われました」と悲痛な宣告を受けた。その後、「高校の間はプレーできず、高校から大学に上がる時に一度、サッカーを辞めようかと迷いました」と振り返る。思い止まったのは、「サッカーが好き」という気持ち。「サッカーしている姿を見せることでしか恩返しできないと思って、続けることにしました」と奮い立った。それでも、「一度、大学1年の時に復帰できたのですが、そのあとにまた手術してリハビリが続いた時は、サッカーを続ける選択が本当に合っていたのかな、と思うこともありました」と葛藤を繰り返す時期もあった。
 
「高1で怪我するまでは、年代別代表にも選ばれて、順風満帆にプレーしていた」サッカー人生が一転、先が見えない怪我との戦いに変わってしまった。傍目から見れば、とても辛いキャリアにも思えてしまう。それでも、セレッソで過ごした10年間に、“悔い”はない。「怪我したからこそ出会えた人もいますし、怪我をしてリハビリに費やした経験も将来の糧になりました。色んな人に支えていただいたからこそ、今、サッカーができている有難みも感じることができています。怪我して良かった、とは絶対に言えないですが、怪我したからこそ得たものも大きかった。それに、セレッソだったから、ここまで続けることができました。感謝の気持ちでいっぱいです」と話す心の強さがある。座右の銘は、「明けない夜はない」。「尊敬する母の座右の銘でもあるのですが、『どれだけ辛いことがあっても、明けない夜はない』と言われ続けてきました」とリハビリを続ける支えにもなった。引退発表のリリースのコメントには、「怪我での経験によってできた、新しい夢に向かって自分らしく頑張ります」と記していたが、「手術とリハビリを繰り返す中で、新しい目標ができました」と、大学卒業後はサッカーとは別の道に進む予定だ。
 
現役として残されたラスト3試合。引退発表後、最初の試合となる今節へ向けては、「ピッチに立てば、WEリーグ初出場になるので緊張もありますが、何としても結果を残したい」と意気込む。前述のI神戸戦では右サイドバックに入り、同期の高和芹夏と縦関係を組んだ。「セリとは小さい頃から一緒にやってきたので、やりやすかったですし、助けてもらいました。いい連係で崩せていけたらと思います」とイメージを描く。スピードとテクニック、走力が合わさったスタイルでサイドを切り裂くプレーが持ち味。鳥居塚伸人監督も、「できることを100%やって、自分のストロングを出してくれたら十分チームに貢献できる」と善積の現状について話す。その上で、「形にこだわらず、自分のストロングを見つめ直して、アグレッシブに攻撃参加して欲しいですし、スピードもある選手なので、そこでも相手を上回って欲しい。攻守において、チャンスを知る、ピンチに気付ける選手なので、得点にも絡んでくれたら」と期待を寄せる。想像を絶する怪我との戦いを経て、ここからはサッカー人生のラストスパート。不屈の魂で歩んできた道のりの最後、仲間とボールを蹴る一瞬一瞬を大切に、勝利へ向かって走り抜く。

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