天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会
2回戦
2017.6.21水
セレッソ大阪
水沼 宏太(10')、田中 裕介(19')
2
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FULL TIME
0
キンチョウスタジアム
2-0
0-0
新潟医療福祉大学
キンチョウスタジアム
レポート
監督コメント
まず今日の試合は、皆さんに1回話したことがあると思いますが、試合の雰囲気(流れ)をまた取り戻すための試合でした。選手たちはすごく(多くの)得点をすることはできませんでしたが、試合の運び方とかに関しては、次の試合につながるところは絶対にあると思います。(多くの)得点をすることはできませんでしたが、まず勝ったことに満足して、次の試合にもっとうまくできるようにしたいと思います。
Q; リーグ戦の前節では試合開始の早々に失点しているため、試合の入り方はテーマの1つだったと思いますが。
「今日の序盤はあまりうまくリズムをとることができませんでした。この前とあまり変わっていないと思います。でも、選手たちは早くリズムを取り戻すことができ、先制点を早く奪うことができました。試合の運び方としてはよくやっていたと思います」
Q; 前節の清水戦に続き、得点をなかなか取れない現状について、改善していきたいところは?
「気持ちだけだと何かをやればすぐ変わりそうな感じもありますが、そんな簡単に変わる問題でもないので。普段の練習からしっかりやって、それが身につくようにするのが大事だと思います。それが試合中に無意識に出てくるようになれば、もっと得点もできると思います。皆さんが仰っていることをすごく理解しています。なので、もっと普段の練習からしっかりやって、もっと決めることのできるように頑張っていきます」
Q; 清水戦に続いて、トップ下に入った清武弘嗣選手が、今日の試合では先発しましたが、今日の彼のプレーに関しては? また、リーグ戦でも先発できるようなコンディションに持っていきたいという監督のコメントも戦前にありましたが、これを踏まえて、次節の仙台戦でどのような起用を考えていますか。
「まず、次の試合では先発で考えています。すごくよくなってきていると思います。今日は自分がやりたいプレーをやっていたんじゃないかなと思いますし、楽しくできたんじゃないかなと思います。次は相手が違って、Jリーグのチームとの対戦になるので、でも、そこはやりやすいところではないと、本人も自覚していると思いますし、しっかりやってくれるんじゃないかと思います」
Q; 改めて、今日、迫力のあるメンバーで戦っていたが、主力を起用した意図は?
「改めてもう1回話します。今まで、すごくいい雰囲気を、スタジアムの雰囲気や、試合に関しての雰囲気とか、すごくよくつかんでいました。ですが、中断期間があって、そこで少し(流れが)切れたところもあったので、それを取り戻そうとすることと、次のリーグ戦に向けての準備のために、今日のメンバーを構成しました」
選手コメント
■清武弘嗣選手
「今日はソウザが入ったので、あまり下がらずにプレーしようかなと思っていて、あまり下がらずに前でやりました」
Q; 1点目のアシストについて
「いい形で崩せたので、あとは宏太がいい動き出しをしてくれて、僕はもう(スルーパスを)出すだけでしたし、よかったと思います」
Q; 早めに先手を取れてチームとして楽になったか?
「こういう試合で、大学生はすごくガムシャラに来ますし、そのなかで自分たちはもっとアグレッシブにいかないといけないと思っていたので。相手にあわせず自分たちのプレーをしようと臨みました。ただ、相手もいいサッカーをしていたと思いますし、ガムシャラに来ていましたし、すごい強い相手だったと思います」
Q;監督は、今日は気持ちよくやっていたと思うと話していたが?
「右とトップ下とでは(動き方が)全然違うのですが、トップ下に入ったら何かしら1つは仕事をしたいと思いますし、ああやってボールを常に引き出して、自分のリズムを作りながら、周りもリズムができるというのが、自分の一番の持ち味だと思います」
■田中裕介選手
Q; 高校時代の恩師、佐熊監督との対戦について。
「後半は特に相手のベンチ前でプレーしていたので、すごく懐かしい声が聞こえていましたし(笑)。佐熊監督のサッカーというのは、僕もやっていましたので、こうやってくるんだろうなというのは感じていましたが、それがすごくよく染みついていて、正直やりづらい展開になっていましたし、見ていた人もそう思ったと思います。そう簡単なゲームにならなかったという印象です」
Q; ゴールについて
「展開も、左からきて、右に出て、宏太がしっかり落としてくれたので、僕はしっかりシュートを打つということを心がけていました。逆サイドにGKが寄っていたので、ニアに、逆に打つというのは決めていました。練習でもかなりシュート練習の時間というのは、1週間のなかではあるので、それが練習通りに出たというだけですね」
Q; 誰かを飛び越していく動きが出たときは、セレッソのいい流れが出ていたと思いますが?
「そうですね。相手もすごく運動量多く、必死に守ってきたので、なかなかこじ開けるというところでは、そのあとは(相手ゴールは)開かなかったが、それでも何回かチャンスはあったので、しっかりまた練習して、この週末も頑張りたいです」
Q; カップ戦の初戦の難しさもあったと思うが、無失点での勝利は、次につながるものでは?
「そうですね。こういう初戦で、相手がちょっと格下といわれる相手のときは、僕も何回もやっていますが、本当に楽な試合というのはあまりなくて、今日の他の会場をみても、格下の相手が上を食ってしまうゲームもあるので。今日はそういった意味では足をすくわれなくてよかったなという印象です」
■舩木翔選手
「できたことがあまりなかったので。本当によくなかったです。簡単なミスも多かったですし、球際の部分で負ける部分もありましたし、まだまだだなと思いました。このチャンスをモノにしたい気持ちはあったのですが……。もっと自分が主体となって、もっと自分がボールを引き出してやっていかないといけない。自分のよさは、ボールを受けて、くさびの(攻撃のスイッチを入れる)ボールを出すこととかだと思うので。今日はボールを触る回数も少なくなってしまい、自分の売りというか、アグレッシブにどんどんやらないといけない。クロスの本数もまったくなかったですし、くさびのボールもまったくなかったですし、1対1の場面で仕掛けることもまったくなかったですし、もっとチャレンジしていかないと、今後には全然つながらないと思いました。今日はまったくやれなかった、そのことが一番悔しいです」
Q; 逆に、この試合を通じて、自分の課題が見えたところ、何をやっていくべきか、必然的にわかってくるところもあったのでは。
「まずはチャレンジすることが絶対に必要です。もっと自分が、ボールを受けてというか、自分のところでうまく起点を作れるような、そういうプレーを増やしていかないといけない。マルくん(丸橋祐介)のよさとは違うところを見せていかないと、自分は生き残っていけない。マルくんのように速いわけでもなければ、ガンガン前にいけるわけでもないので、もう少し自分が起点になる、うまく(ボールを)散らしながらできるようにしていかないといけないなと思います」
■山口蛍選手
「今日は相手もそうは簡単に勝たせて貰える相手ではなかった。向こうも必死に頑張ってきていたし、苦戦してしまった。その中で早めに2点取れて良かったと思う。後の精度のところはこれからの課題です。今日の1回だけで改善されるワケではないと思うので、続けてやっていくしかないと思う。」
■ソウザ選手
「まずは勝利できたこと、自分たちの試合勘を取りもどすことで次に繋げられる試合ができたと思います。自分に取ってもチームにとっても大事な試合だったと思います」
Q; 選手は試合間隔が空くとコンディションが良くないタイプですか?
「自分の場合は間隔が空いた場合は練習の上に自主練習などもやったりします。そうすることによってコンディションを保てるので。良い練習をしているとそこまでコンディションは落ちないと思う」
Q; 得点を考えると決定機もあった中で、もの足りなさはあった?
「チャンスも作れましたし、2回チャンスを決めました。自分も含めてトライはしましたが、それ以上は決められなかった。取りあえず2ゴール決められたので、チームとしては次に勢いを持って行けると思います。
キヨ(清武)は本当に素晴らしい、質の高い選手なので、出来るだけゴールに近い位置で活躍して欲しい選手です。自分たちは後で支えて、ボールを奪って繋げることを意識しています」
Q; ロングボールが正確でしたが、意識していることは?
「ボールを大事にしているので、ボールが足下にある時は出来るだけ正確に蹴ることを意識しています。ロングボールは展開を変えられるので、相手にとって嫌だと思います。毎回成功するわけではないですが、自分の長所でもある。キヨ(清武)やヨウイチロウ(柿谷)、コウタ(水沼)はテクニックがあってスピードもあるので、ボールが通ることによって1対1の局面が作られると思います」
■水沼宏太選手
「お互いが必死に戦っているので妥当な結果だったのかなと思います。要所々々の球際だったり、細かいミスだったりはみんなあったので、もう一度修正しないといけないと思います。
キヨ(清武)が真ん中に入ることによって流動性が出て、この前のリーグ戦もそうでしたが、すごく動きやすくなったし、みんなが流動性を持ってゴールに向かっていけるというのがある。1点目もそうですけど、キヨの特長である、どんなにスペースのないところでもパスを出してくれるというのを、自分も狙っていましたし、キヨとも話しましたけど狙い通りのゴールだったです。あれは自分の中でもすごく良いゴールだったと思います」
Q; トップ下の清武選手はチームとしてのオプションですね?
「みんながゴールに向かえるというのはすごく大きな事で、右からも左からも真ん中からも、前にドンドン出て行けるというのはチームとしてすごく良い事だし、ゴールに向かって走っていればボールが出てくるというのはすごく良い事なので、これからも継続してやって行けたら良いと思います。
もっと合わせられるところはたくさんあると思うし、それは突き詰めていくだけなので、日々の練習から、1からたち返ってリーグ戦も負けないようにやって行きたいです」
■マテイ ヨニッチ選手
Q; もっと点が取れると思いましたが?
「一番大事なのは今日勝てたことだと思います。勝って次に進出できたのはプラスに捕らえることだと思います。前半はリードしてからなかなか落ち着かず、結構慌てたりしていましたが、後半は点は取れませんでしたが全体的なコントロールは出来たと思います。
次の日曜日に大事な試合が待っていますので、とにかく次に向けてまたアウェイで勝てるように頑張ります!」
■茂庭照幸選手
「相手も弱くないし、他の結果を見たらJリーグで負けているチームもあるし、そういう意味では難しい中、しっかり勝った。しっかり相手もリスペクトしていたし、決してなめていたワケじゃないですが、相手が思った以上に頑張ったというところもある。難しいゲームでしたが、内容も結果も、もっと伴ったゲームにしないといけないというのは、観に来てくださった方はみんな思っていると思います。やっている僕たちもそうなるというのは多少なりとも思ってはいましたが、難しい試合だったと考えたいです」
Q; 前半の最初は圧倒していたと思いますが、何が変わったの?
「大学生が最後のところでしっかり体を張っていたと思う。僕らはそれを凌駕しないといけないですけど、初戦というのは非常に難しいというのは分かっていると思うし、その中で相手も頑張った、僕らも必死にやって2−0だったというところですね。
やっぱり難しいものですよ。そういうところをしっかり勝ったというところですね。他のJ1チームで負けたりしている中で、ウチはそういうことがなかったというところですね」
新福大の勢いに苦戦も、前半の水沼、田中のゴールで2-0と勝利し、初戦突破果たす
第97回を迎える天皇杯にて、2回戦から登場することになったJ1、J2勢。そのなかで、セレッソ大阪は、新潟県代表の新潟医療福祉大学と初めて顔を合わせた。この一戦はJ1リーグ戦の合間、ミッドウィークの6月21日に開催されたが、中断期間明けのJ1第15節清水エスパルス戦にて、思うような戦いをできなかったこともあり、「試合の雰囲気(流れ)をまた取り戻すための試合」と尹晶煥監督。これまでは日程も考慮しつつ、J1リーグ戦とJリーグYBCルヴァンカップで大きくメンバーを入れ替えることもあったのだが、今回はアマチュアチーム相手といえども、山口蛍、マテイヨニッチ、水沼宏太といった清水戦でも先発フル出場した選手たちが登場。さらに、負傷明けながら清水戦で後半45分間プレーし、同点弾も決めた清武弘嗣が、トップ下のポジションで先発。清水戦では累積警告による出場停止で欠場を余儀なくされたソウザも、満を持してこの試合に出場した。
「先制点を早く取ることで、試合の運び方もやりやすくなる」、戦前にこの試合のポイントを述べていた尹監督。「今日の序盤はあまりうまくリズムを取ることができませんでした」と決して満足いく立ち上がりではなかったが、「でも、選手たちは早くリズムを取り戻すことができ、先制点を早く奪うことができた」。先制したのは前半10分。その起点となったのは、清武だった。相手守備陣の不意を突くような絶妙のスルーパスを配球。そのボールを、うまく相手の背後に抜け出して受けた水沼が、左足で冷静にゴールを決めた。「いい形で崩せて、あとは(水沼)宏太がいい動き出しをしてくれて、僕はもう(スルーパスを)出すだけでしたし、よかったと思います」。清武の真骨頂ともいえるパスセンスが見事に得点につながった。
その後も、たとえボールを奪われたりしても、「切り替えろ! 今休むな!」という水沼の大きな声が響き渡るなど、気を緩めなかった桜色の戦士たち。すると前半19分、追加点を獲得する。左から清武、山口、水沼とつなぎ、水沼が優しくボールを後方に下げたところに飛び込んできたのは、右サイドバックで先発した田中裕介。「展開も、左から来て、右に出て、(水沼)宏太がしっかり落としてくれたので、僕はしっかりシュートを打つということを心がけていました。逆サイドにGKが寄っていたので、ニアに、逆に打つというのは決めていました」という背番号5が右足一閃。このシュートがきれいにゴールに吸い込まれた。相手の新福大の監督は、かつて田中が桐光学園高校時代に師事していた、佐熊裕和監督。「教え子にやられた」と恩師に言わしめた一撃で、セレッソのリードを2点に広げた。
しかし、ここから、セレッソは流れを加速できなかった。前半には清武やヨニッチ、後半も関口訓充、澤上竜二、ソウザ、そして後半途中から入った福満隆貴や杉本らにも決定機は訪れたものの、決めきれず。逆に細かなミスも散見されたセレッソは、「ハードワークをするチームであり、サイド攻撃はいつもやっている自分たちのプレースタイル」(新福大・熊谷崇大)という相手のサッカーに苦戦。ピンチも招いたが、GK丹野研太やヨニッチ、茂庭照幸といった守備陣を中心に最後まで粘り強く身体を張ってディフェンス。相手にゴールを許さない。結局2-0で勝利を収めたセレッソは、2回戦を突破。3回戦では同じJ1のアルビレックス新潟と対戦することが決まった。
「選手たちはすごく多くの得点をすることはできませんでしたが、試合の運び方とかに関しては、次の試合につながるところは絶対にあると思います。まず勝ったことに満足して、次の試合にもっとうまくできるようにしたい」と尹監督も振り返るように、相手を圧倒できなかったが、とはいえ、一発勝負のカップ戦は結果こそが何よりも重要。そして、次のJ1リーグ戦、ルヴァンカップや天皇杯に、ここで出た課題をいかしていきたいものだ。セレッソのさらなる高みを目指す戦いは、まだまだ続いていく。