天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会
準々決勝

2017.10.25

セレッソ大阪

福満 隆貴 (23'),澤上 竜二(54')

2

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FULL TIME

0

1-0

1-0

大宮アルディージャ

キンチョウスタジアム

NaN

レポート

献身性と一体感が生んだ、総力で得た勝利。2011年度以来となる天皇杯ベスト4進出達成!

10月最後のミッドウィーク、25日(水)に行われたのは、第97回天皇杯。3シーズンぶりにベスト8に進出したセレッソ大阪は、準々決勝にて、同じJ1の大宮アルディージャと顔を合わせた。J1第30節から中3日での試合では、リーグ戦から両チームともにスターティングメンバーを大幅に変更。セレッソは山口蛍を除いて10人が入れ替わり、「今まで天皇杯とルヴァンカップで準備してきた選手たちが本当に大きな努力をしてきた。リーグ戦には出ていなかったが、徹底して準備してきていたし、ベストコンディションを維持しようとすごく努力する姿が見えていた」と、尹晶煥監督が称えた選手たちが先発。GKには丹野研太、DFは右から酒本憲幸、藤本康太、茂庭照幸、田中裕介、ボランチは山口と秋山大地が組み、2列目には右から関口訓充、福満隆貴、澤上竜二。最前線にはリカルド サントスが入った。

29日(日)にもJ1リーグ戦第31節でも大宮と激突するということもあり、ベスト4に勝ち残るためだけではなく、リーグ戦にも弾みをつけるべく、必勝を期したセレッソ。ただ、前半は、不用意なミスからピンチを招くことも見られたが、秋山をはじめとするカバーリングの意識の高さが際立ち、相手の決定的な場面でも、身体を張ってディフェンス。「相手にボールを持たれるシーンとかありましたが、中では『あそこは持たせてもいい』ということで、自分たちはちゃんとリトリートしながら、スペースを埋めて、しっかり守ることができていていた」と関口も言うように、これまでの戦いと同じく、粘り強く対応していく。

すると、23分、今季のセレッソが得意とするセットプレーから、均衡を破る。左サイド、田中のロングスローから、リカルド サントスがヘッドでゴール前に落としたボールは、一度はクリアされるも、これを再び田中が拾い、右足でクロス。そこで相手DFの前に入ってきたのが、福満。巧みに身体を捻りながらヘッドであわせると、きれいな弧を描いてゴールに吸い込まれた。「自分でもびっくりしているゴール。なんとかゴールの方向に飛ばそうと思ってクロスに飛び込んだ」という、執念が実った一撃は、彼自身の天皇杯2試合連続ゴール。この先制弾により、セレッソがリードを奪った。

ここから、さらに球際の強さ、ボールを持つ相手への寄せの速さといった、「ユン・セレッソ」の真骨頂を発揮していく、桜色の戦士たち。1-0で折り返した後半も、序盤は自陣に押し込まれながら、我慢強く守り抜くと、54分、セレッソに2点目が生まれる。右サイドに抜け出た関口が、右足ではなく、切り返して相手を揺さぶり、左足でクロス。このボールにファーサイドから飛び込んできた澤上が、打点の高いヘディングであわせ、相手ゴールに押し込んだ。期待の若きストライカーの、みんなが待っていた今季初得点に、チームも、サポーターも歓喜。この試合のなかでも、大きな価値のある追加点となった。

その後、反撃に出る大宮の攻勢が強まるが、セレッソの守備は、集中力が途切れず、果敢なクリアや、優れた読みでのボールカットで、相手の決定機を寸断。「チームが1つになっていたからこそ防げる」と藤本もいうような、一体感あるディフェンスで相手に隙を与えない。終盤にはケガから復帰した山村和也や、丸橋祐介、清武弘嗣が途中出場。そのなかで終了間際にはセットプレーやカウンターからピンチもあったが、そこではGK丹野がビッグセーブを連発し、最後まで相手に得点を許さない。このまま2-0と完封勝利したセレッソは、2011年以来となるベスト4に進出。12月23日の準決勝に駒を進めた。

試合後、「相変わらず勝とうとする意欲が前面に出ていた試合。選手たちはチームのために献身的に、自己犠牲してやる、そういう姿がすごく出ていた」とイレブンを絶賛した尹晶煥監督。「本当に勝ちたかったですし、アピールする場だと思っていた。何が何でも勝つ気持ちを前面に出したら、自然に身体が動いた」という福満をはじめ、普段、なかなかリーグ戦では出番に恵まれない選手たちの、強い意気込みが、プレーに、ハードワークに表れ、一丸となって勝利を得ることができ、まさに、桜の総力を示せた試合となった。この1勝を大きな弾みに、リーグ戦での上位進出、カップ戦でのタイトル獲得へとつなげていきたいものだ。

監督コメント

今日は平日にもかかわらず、大勢の方々にスタジアムまで足を運んでいただき、すごく感謝しています。(JリーグYBC)ルヴァンカップで(主に)出ていたメンバーが、もう1回、今日、試合に出場することになりました。毎回話していることですが、相変わらず勝とうとする意欲が前面に出ていた試合だったと思います。選手たちはチームのために献身的に、自己犠牲してやる、そういう姿がすごく出てきていました。それがあって、今のいい雰囲気を持ち続けていくことができていると思います。多くの試合をこなしながら、個人的な成長をすごくしている選手も多く見られていますし、これからのメンバー構成について、すごく悩むことにもなると思います。僕らの選手たちは、今日もすごく幸せな時間をプレゼントしてくれたと思います。これからの戦いでは、ルヴァンカップ決勝も待っていますし、リーグ戦も上位に加わるチャンスも残っています。そして、天皇杯も準決勝まで進出できた、そういう状況ですが、それを逃さないため、今、作ってきたものを逃さずに、すべて手にできるように努力していきたいと思います。もちろん、休みの時間は少なくなりますが、でも、この時期に多くの試合ができるということは、選手たちにとってすごく幸せなことだと思います。今日出場した選手たちに、すごく、『ご苦労さん』、『おつかれさま』というメッセージを贈りたいのと、『もう少し頑張ろう』、『最善を尽くしていこう』という話しをしたいと思います。

Q; 『ルヴァン組』といわれるこのメンバーで戦った試合は今季、一度も負けていません。先ほど言われたメンタル面以外で、勝ちに結び付いている要因をどう考えられていますか。
「もちろん、意欲だけではできないことだと思います。試合をこなしながら、選手たちは『どうすれば勝てるんだ』ということを気づいていると思います。そして、すごく努力して、忍耐心を持ってやってきたので、こういう結果につながっていると思います。試合に出ている先発メンバーだけでなく、控えのメンバーも同じ気持ちで戦っているので、こういう結果につながったと思います」

Q; 終盤、勝っている試合では5バックで守ることが多かったと思いますが、今日はそうではなく、そのままの形(4バック)を続けた意図について。また、ケガから復帰した山村和也選手を起用された狙いについて。
「まず、4バックはすごく安定した姿を見せてくれました。そして、前線で出ていた選手たちも守備の意識がすごく高かったので、今日はそのままでやっていったほうがいいと判断しました。(山村)和也を起用した理由としては、これからの試合に向けてのこともありますし、3週間休んで今日試合に出たということもあり、試合感覚を取り戻すために起用しました。皆さんご覧になった通り、まだそういう感覚は鈍感なところがあると思うので、そういうの(試合経験)が必要だと思い、短い時間でしたが起用することになりました」

選手コメント

■福満隆貴選手
「最初押されていましたが、後ろの選手を含めて、全員で耐えたと思いますし、チャンスは本当に少なかったですが、チャンスをしっかりモノにできたのは、チームとして大きかったと思います」
Q; 先制点を決めたところの得点嗅覚について。
「自分でもびっくりしているゴールでしたが、なんとかゴールの方向に飛ばそうと思って、クロスに飛び込んで、それがうまく入ったので、よかったのかなと思います」
Q; 後半、相手に立て続けにセットプレーを食らいつつ、耐えて、そのあとの追加点をチームで決めたところも、このチームの強さでは。
「守備が本当に堅いですし、誰ひとりさぼらずハードワークして、少ないチャンスをものにできたので。本当にいい時間帯で取れたので、相手にもダメージを与えることができたと思います」
Q; 今日もかなり走りきり、素晴らしいハードワークを見せていました。
「本当に勝ちたかったですし、アピールする場だと思っていました。何が何でも勝つ気持ちを前面に出したら、自然に身体が動きました。(終わってからは)疲れましたが(笑)」
Q; ただ、これで満足せず、J1リーグ戦で活躍したいという思いも強いのでは。
「現状、満足するということは絶対にないですし、リーグ戦でもっと試合に出られるようにやっていきたいです」
Q; これで、リーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯すべてでタイトルを取れる可能性のあるのは、セレッソだけになりましたが。
「そういう試合が多くできるのはうれしいですし、狙えるタイトルがあるならば、一戦一戦しっかり戦って、ひとつでも上に行けるようにしていきたい。リーグではもっと上の順位に食い込んでいけるようにしたいし、ルヴァンカップは次、決勝ですし、なんとしても優勝したい。天皇杯に関して、次はベスト4ですが、またチーム一丸となって決勝に行けるように頑張るだけだと思いますし、自分はもっとそこに絡んでいけるように頑張りたい」

■藤本康太選手
Q; 今日の試合は、いつもの自分たちらしい、球際の強さや、ボールカット、プレスの鋭さ、そういったことが全体的にできていたことで、この勝利につながったのでは。
「そうです。本当に、言われるとおり、僕たちらしい感じで進んでいったと、そう思います」

Q; 前半、ミスも見られたが、チームでのカバーリングの意識も高かったのでは。
「ピンチは何回かありましたが、ああいうピンチでも、チームが1つになっていたからこそ防げることであったりすると思うので。ああいう(ピンチの)1対1の場面でも、誰ひとりあきらめず最後までああやって走っていたから止めることができたと思いますし、その辺があって、僕たちの得点にもつながったと思います。これを残りのリーグ戦だったり、カップ戦だったりあるので、続けていきたいです」

Q; ルヴァンカップ準決勝から続くいい雰囲気を切らさないことも、今日のテーマの1つだったのでは。
「特に意識はしていないですが、何も言わなくても、僕たちは僕たちのやり方、やるべきことというのがはっきりしているし、わかっていると思うので。その辺の意思疎通というのは、何も言わずともできる部分があると思うし、それがこの勝利につながったと思います」

Q; 相手にボールを持たれる時間があっても、後ろから『大丈夫だ』という話しをしていたそうですが、持たれる時間帯というのも読みながら試合を進めることができたのでは。
「いつもそんな感じですし、僕たちは相手にボールを『持たれ慣れている』し、そのなかで、どこで奪って、どこで相手を引き込んで、一発のカウンターを狙うというのが、僕らのスタイルだと思うし。今日はそれがうまくはまったというかのもあるし。(ボールを)『回される』のと、『回させている』のとでは、全然気持ちも違うので。少しでもそういった(精神面など)楽にできたらいいなと思いながら声をかけてきました」

■関口訓充選手
Q; いわゆる『ルヴァン組』というチームは、今日も自分たちのやるべきサッカーをして勝ったという感じでしたが。
「ずっと今年負けなしで来て、ここで、無敗で終わろうという話もしていましたし、たぶん、次は僕たちにチャンスがあるかどうかは微妙なところかもしれないので、この一戦にみんな懸ける想いがすごかったと思います。しっかり2-0という形で勝つことができたのは、自分たちが今年1年やってきたことを最後みんなが表現してやれたのかなと思います」

Q; プレスバックの意識、ボールへの寄せ、球際の強さなど、チームの持ち味を随所に発揮していたが。
「前半、相手にボールを持たれるシーンとかありましたが、中では『あそこは持たせてもいい』ということで、自分たちはちゃんとリトリートしながら、スペースを埋めて、しっかり守ることができていて、ピンチらしいピンチは、俺がフリーキックで(パスミスから)カウンターを食らったシーンだけだと思うので。非常に、チームとしてすごく戦えていたのかなと思います」

Q; 関口選手のクロスから澤上選手が決めた2点目が、試合を決定づけた形でした。
「前半、そういう(ピンチの)シーンを作ってしまい、チームに迷惑をかけたので、後半、挽回してやろうと思って、ピッチにまた気持ちを新たに入ることができ、そこで挽回できたので、自分としてはよかったです。切り返しのセンタリングを上げる前のシーンとかも、自分のやってきたことが出せたので、よかったなと思います」

Q; ルヴァンカップ、リーグ戦、天皇杯と、上を目指せるところまで来ています。行けるところまでやっていきたい思いを強く持っているのでは。
「そうです、行けるところまで行きたいと思います。自分たちが、たとえ試合に出られなくても、チームとしてしっかりバックアップできるようにしたいです」

■秋山大地選手
Q; このチームの持ち味が今日も随所に出ていました。
「そうです。この(ルヴァン組といわれる)チームでできるのも、そんなに多くないし、みんなやっぱり気持ちが入っていたし、今まで負けていないので、そういうのもあったし、勝って(試合を)終わろうではないですが、勝ちにはこだわりました」
Q; 相手にボールを持たれても、慌てないというところが、今日も見られたが。
「基本的に相手に持たれる時間帯は毎回多いので。そのなかでも、モニさん(茂庭照幸)や(藤本)康太くんを中心に、『持たれても大丈夫だから!』とやっていたので。持たれてもそんなに怖くないという思いでやっていました」

■山村和也選手
Q; ケガから復帰したなかでの、久々の試合となりました。プレー感覚はどうでしたか。
「ミスでボールを収めることはあまりできなかったなというのはありますが、2-0としっかり勝っているなかで出場させてもらったので、そこは本当にやりやすいなかで、復帰することができたかなと思います」

Q; プレスバックの意識など、チームとともに、できていた部分もあったのでは。
「守備のところは、ある程度少ない時間でしたが、手応えはありました。あとは攻撃のなかでのボールコントロールだったり、そういうところのコンディションをしっかり上げていかなければいけないなと思います」

Q; ルヴァンカップも決勝に進み、天皇杯もベスト4に勝ち上がりました。このチームの状態のよさをピッチでも感じているのでは。
「そうです。こうやって結果につながっているというのは、チームとしてもすごくいいことだと思いますし、いい雰囲気のなかでシーズンを送れているのかなと思います」

Q; 残りの試合も大事な試合が続くなか、今日試合に出られた意義について。
「またピッチに戻ることができて、あとはしっかりチームに貢献できるように頑張りたいと思います」

■茂庭照幸選手
「いつも通りの戦い方で、みんな本当にチームのために走っていたし、体を張っていたし、球際に鬼気迫るモノがあったと思う。良いものが出せたと思います。本当に我慢強さが持ち味だと思っているし、どんな相手にも我慢強く戦って、絶対にチャンスが来ると信じて、前の選手も必死にディフェンスしてくれたので、少ないチャンスでしたけど決めることが出来て、本当にいつも通りだなと思います。後はリーグ組に託して、ぜひ初タイトルを取って欲しい。最高のお膳立てをしたと思っているし、自信を持ってAチームに頼むぞというところですね!」
Q.強さはどこにある?
「監督が犠牲心を持ってチームのために走る、戦う、足りないところはみんなで補っていくということを言っていて、実際にクオリティという部分に関してはリーグ組には全然劣りますけど、その分、チームのためにやる、戦うというところは負けてないと思うし、それを技術とかテクニックを凌駕している部分なのかなと思います」
Q.秋山選手も試合毎に成長していますよね!
「どうなったら危ないか、危ないところはどこかも分かっているし。今年の初めの頃は、割と口でいう事も多かったですけど。『もっとこういうポジション取れ!』とか。
最近は勝手に動いている。俺がそこにいて欲しいと思うところにいてくれる。ホタル(山口選手)の存在も大きかったですけど、大地の成長も、今日の試合に関してそう思いましたね」
Q.茂庭選手としてもルヴァン、天皇杯で健在さを示せた?
「そうですね。まだやれるぞというところを見せたいし、みんな多分悔しい思いをして毎日トレーニングに励んでいて、こういうチャンスを監督もしっかり用意してくれているし、『じゃあやるしかないだろ!』というところですかね」

■澤上竜二選手
Q.シュートシーンを振り返って
「前半からあそこが結構空いていたので、何本かあそこに入っていたのですけど、ボールが出てこなくて、後半やっとあそこに来たので、決められて良かったと思います」
Q.左サイドハーフでの先輩でしたが、意識した点は?
「余りやったことがないので、まず守備からやれば、相手のラインの裏が空いていたので、まず守備をしっかりやっていたらチャンスは来ると思っていました。そこでしっかり決められて良かったと思います」
Q.ヘディングシュートは高かったですね!
「ボールが当たったのは分かったのですけど、点が入るまで分からなかったです(笑)ゴールキックはリカルド サントスが競ってくれていたので、跳ぶ力が残っていたかなと思います。今年はまだ1点しか取っていないので、残りの試合で1点でも多く取れるようにやって行きたいと思います」
Q.ベンチがすごく喜んでいましたね!
「良かったです!」