天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会
決勝
2018.1.1月
セレッソ大阪
山村 和也 (65')
水沼 宏太 (95')
2
OTHER
FULL TIME
1
埼玉スタジアム2002
0-1
1-0
1-0
0-0
横浜F・マリノス
伊藤 翔 (8')
埼玉スタジアム2002
NaN人
レポート
監督コメント
話したいことですが、まずは新年になりましたので、『明けましておめでとうございます!』と(笑)。本当に、今日は、結果だけをみれば、非常にうれしいですし、本当にあり得ないことがあふれる1年を、僕らの選手たちは過ごしてきたと思います。J2での(J1昇格)プレーオフから(J1に)昇格して、ここまでの成績をあげるのは、決して簡単なものではないと思います。カップ戦2大会とも優勝して、リーグ戦でも3位に入るということは、絶対に簡単なものではないと思います。これは絶対に誰かひとりの力で成し遂げたものではなく、大勢の皆さん、全選手、全スタッフ、そして、セレッソに関わるすべての皆さんが力をあわせて達成した結果だと思います。2018年もこの結果を持ってくることができれば、非常にうれしいと思いますが、それは言い切れないところにもなります。そして、今日の試合は、非常に厳しい戦いになると予想はしていましたが、その予想した以上に、厳しい戦いになりました。2017年の1年間、こういう姿で走りきってくれた選手たちが、やってくれた結果だと思います。非常に選手たちに感謝しております。この選手たちに感謝のメッセージを贈りたいと思います。現役時代、優勝できなかった天皇杯を、指導者になって優勝できて、本当に感激していますし、非常にうれしく思っています。でも、これがすべてではないですので。もう、すでに、来シーズンを1カ月前にしていますが、早く休みに入って、身体を十分快復させて、来シーズンに向けて、いい準備をしなければいけないと思います。この1年間、皆さん、本当におつかれさまでした。本当に感謝しております。ありがとうございました。
Q:ルヴァンカップの決勝も非常に厳しい試合で、今日も1点を先行されて厳しい試合でした。セレッソのイメージというと、こういう試合をなかなか勝てないというのが、これまでにはありましたが、何が一番変わったのか、何を一番監督は変えたのでしょうか。
「昨日も同じ質問を受けました。逆に皆さんに質問をしたいです。本当に、我々の選手たちは何が変わってきたのでしょうか。僕は就任して、ちょうど1年になりますが、僕が来る前までは、我々の選手たちはどういう姿だったのでしょうか。そういう(前の)姿があったから、こういう質問を受けるのか。そこがすごく気になります。要因として1つ取り上げられるものとしては、勝とうとする姿勢です。そしてチームとしてやろうとするプレーを、ひとりだけではなく、全選手がやろうとしていたところが、グラウンドでよく表現できていたと思います。そして、自己犠牲して、献身的に走って、最後まであきらめない姿を見せることが、今のセレッソの選手たちが一番変貌したところではないかと思います。それが身体と精神に染みついて、それが勝利を導くひとつの原動力になったのではないかなと思います。
Q:先ほど監督が言われた、ひとりの力ではないと、それは非常に大事なことだと思います。なかには、反発する選手とかもいるのかもしれませんが、そのなかでも、(チームをまとめるのに)尹監督のなかで、何が一番大事だったのでしょうか。
「自分なりに考えていることを言います。これが本当に正解なのかどうかはわかりません。それは『信頼』ではないかと思います。お互いの人格のところを、みんなが尊重してやっていくことで、そういう信頼があったからというのと、チームとして目標としているところと、各自が目標としているところが一括(一致)したので、(チームが)うまく回ることができたのではないかと思います。目標が明確になっていたので、監督として管理する部分に関しては、すごくやりやすかったのではないかなと思います。もちろん、反発する選手もいるでしょうし、陰で文句を言う選手もいるのかもしれません。僕も選手時代、そういう言動をやったことがあるので。でも、時間がたてば、やっぱり俺が足りなかったんだと気づくときが来ると思います。なので、僕の立場からすると、その選手たちが変わってくるまで、待ってあげなきゃいけないですし、そして、我々がいい結果を持って来ていることも、そういう選手たちが変わってきているから、こういう結果もついてきていると思います。そして、選手、フロント、みんなが同じ気持ちで、同じ目標に向かって仕事をしているので、よくなっているのではないかなと思います」
Q:サガン鳥栖時代から一緒にやっている水沼宏太選手が、今日の試合で最後に決勝点をとりました。1年、チームを作るにあたって、彼が監督のサッカーを理解しているからこその役割があったと思います。この1年間、彼はどんな役割を果たしてきて、今日のプレーぶりをどう感じているか、教えてください。
「水沼選手は僕のことを知り尽くしているので、気をつける必要があると思います(笑)。それはともかく、2017年の1年間、本当に順調にいけたということは、水沼選手(の存在)があったからといっても、過言ではないと思います。なぜかというと、僕の考えを選手たちにうまく伝えてくれて、そして、サッカースタイルもそうですが、いろんな面で、僕ではできない仕事を陰でよく頑張ってくれたと思います。キャプテンでも副キャプテンでもないのですが、本当に、このチームで何かを成し遂げないとという気持ちがすごくあったと思います。今日の決勝点について、ヘッドで決めたのは初めて見ましたが、それくらい本人が努力したから、この結果につながったと思います。そういう選手がいれば、誰であっても、僕がサポートしてやっていかなければいけないと思います。それがチームの力になると信じているからです」
Q:先ほど『信頼』という話もありましたが、今日の試合では先制されて、ゲームを支配しながら、なかなか点がとれず、じりじりとした展開が続いていたなか、ルヴァンカップでタイトルを獲ったことで、何かメンタルに影響はありましたか。
「もちろん、ないといえば、それは嘘になります。ミーティングでもその(精神的な)部分をすごく強調していました。我々も人間なので。もちろん、厳しい状況でしたが、こういう試合ではつらくなるときもあったと思いますが、だからといって、全選手が弱くなっているわけではないので、何か足りない部分を周りの選手で埋め合わせてやれば、十分できると思いました。それが信頼というものではないかと思います。もちろん、交代された選手は気分のよくないところもあったと思いますが、チームの勝利のためには選択するしかないので。そういう選択をしないといけない立場にも、僕はなっていますし。もちろん全選手がいいコンディションなら、90分以内で勝負はついたと思いますが、そうではなかったので、いろんなことを考えなければならなかった。その選択をしなければいけなかったのです。これからセレッソ大阪がもっと発展と成長をやっていけるかどうかは、これから見極めていかなければいけないです」
選手コメント
■水沼宏太選手
Q:セレッソ新加入の今季を振り返っての感想は?
「ケガもあったし、昨年のこともあったので、とにかく結果を残さなければいけないというのが、最初からありましたし、必死で臨んで、結局ケガをしてしまったので、ちょっと余裕がなかったのかなと思います。ただ、2回もケガをしたことで(開き直って)余裕も出てきて、その間にチームメイトが勝ってくれたのもありましたが、ちょっとずついい方向に持っていくことができたと思います」
Q:今日の試合もいい意味で、チームメイト同士でフォローしあう戦いができていました。今季のセレッソを象徴するような試合が、この天皇杯決勝でもできたのでは。
「そうです。本当に誰が出てもこうやって勝てるチームというのは、なかなかないと思いますし、勝ち上がるまでにも、ほぼ全員の選手が出たので、そこから優勝できたというのは、クラブとしても、チームとしても、本当に自信になると思います。ただ、まだリーグ戦の優勝をとっていないし、ここからどうしていくのかが問題(課題)でもあると思うので。その課題の克服に向けて、またイチからやっていくことが大事になると思います」
Q:自らのゴールで、この1年を締めくくったことについて。
「ラッキーだったと思います(笑)。運がよかったと思います」
Q:水沼選手の走りきる姿など、尹監督のサッカーを体現し、チームに浸透させることができていたのでは?
「自分ができることをまずはやることが、自分に与えられた使命だと思っているので。声だったり、プレーで表現することだったり。上手い選手はたくさんいるので、華麗なプレーはみんなに任せておけばいいし(笑)。そういう役割というのが、うまく分担できたと思いますし、それは強いチームになれる一歩目となったのかなと思います」
■山村和也選手
Q:2冠獲得達成について
「素直にうれしいです」
Q:2冠を獲れた要因について。
「練習から切磋琢磨して、いい雰囲気のなかでチームが向上していこうということが見られたシーズンだったと思います」
Q:今日の試合について、前半は我慢の時間帯もあったと思いますが。
「前半は(横浜F・)マリノスのほうがすごくリズムがよく試合を運んでいましたが、チャンスはいつか来ると(柿谷)曜一朗とも話をしていたので、それをモノにできてよかったと思います」
Q:大事なときの同点ゴールについて、冷静に決めていたようでしたが。
「トラップした瞬間にフリーだったのはわかっていたので、しっかりゴールの枠(のなか)にとばせば、入るかなと思っていました。決めることができてよかったです」
Q:追い付いたら、『行ける!』という自信が、今のチームにはみなぎっているようですが。
「そうです。本当にチームがいい雰囲気にあると思いますし、そうやって自信を持っていることがすごくいいことだと思うので。これを継続して、自信を持ちつつ、謙虚に戦っていく姿勢が、この結果につながっていると思います。そこは本当に、また来シーズンもみんなで切磋琢磨して頑張りたいです」
Q:決勝点のアシストについて、水沼宏太選手のことが見えていましたか?
「一応、宏太とリカルド(サントス)がファーにいるのは見えていたので、そこにちょっと落とそうかなと思っていました。ちょっとズレはしましたが、宏太が決めてくれてよかったです」
Q:一年のいい締めくくり、そして、新年のいい始まりにもなったのでは?
「そうですね! シーズンの始まりとして、この試合(天皇杯決勝)を優勝で終わったことがすごくよかったです」
■マテイ ヨニッチ選手
Q:2冠獲得おめでとうございます!
「(日本語で)アリガトウゴザイマス!」
Q:率直な感想について。
「1週間くらいで2試合とも120分間を戦ったので、本当に疲れました(笑)。ただ、今日の試合も、失点してからの逆転勝利で、本当に素晴らしかったです」
Q:先に失点しても、チームは『取り返せる』という自信にみなぎっているようですが。
「そうです。あきらめないチームです。あきらめないことがこのチームの強さのキー(鍵)になっていると思います」
Q:今日の試合について、はじめは守備で裏をとられることもあったが、失点後は、チームとして(ディフェンスラインの)背後のスペースをケアできて、流れを取り戻せたのでは?
「あまりいいスタートが切れず、すぐにああいう形で失点して、失点シーンだけではなく、いくつかの危険なシーンがありました。どうやって修正できたのかはわからないですが、集中力のところで、もう1回スイッチを入れ直して、なんとか修正することができました」
Q:初めてJ1リーグに来て、難しい部分もあったと思いますが、2つのタイトルをとり、個人としても素晴らしいシーズンになったのでは?
「シーズンの中盤戦、夏場は、日本の蒸し暑さに苦労しました。ただ、最終的にはこうやってタイトルを2つも獲れたわけですし、セレッソにとって、最高のシーズンになったと思います」
Q:すぐに来季もやってきます。ACLの戦いなど、楽しみも多いと思うが。
「私にとっても初めてACLでやれるわけですが、その舞台でやりたかったので、本当に楽しみにしています」
■キム ジンヒョン選手
Q:チームに自信が備わって、この2冠という結果が生まれたのでは?
「運がよかったと思いますし、また、運も自分たちで作るものだと思います。自分たちで作ってきたものが、今季、17年シーズンの幸せなもの(結果)につながったと思います」
Q:今日の試合について、立ち上がりに先制されましたが、入りの難しさはありましたか?
「決勝はまた、入りのところも(これまでと)違うものになるとは思っていましたが、そこはもっと強くやらなきゃいけなかったところだと思っています。我慢強さを見せられなかったのは、後ろ(守備陣)の責任と思います。前半はあまり自分たちのやりたいサッカーができなかったし、バタバタはしていなかったとはいえ、力強さを見せられなかったので、ハーフタイムに切り替えて、『やろう!』という気持ちを、後半は出せていたと思います。まず失点を先にやってしまったことが、今日の試合で一番苦しかったところであり、悔しかったところ。前(攻撃)の選手に感謝しています」
Q:それでも、終盤のビッグセーブでチームを救いました。
「ビッグセーブかどうかはわかりませんが、PK戦まではいきたくなかったですし、ここで(勝って)終わりきりたい気持ちが強かったので。1点やられても、また2点取ってくれたなか、また1点をやってしまうことは、絶対にやらせないということしか考えていなかったので。それで、ビッグセーブも出たんじゃないかなと思います」
Q:結婚もあって、本当にいいシーズンになったのでは。
「今年は本当に幸せなことばかりなので。全体にみると、幸せな時期だったと思いますが、個人的にはもうちょっといいパフォーマンスを出さないといけなかったので。また、18年シーズンでは、チームを一番大事にしつつ、自分も活躍できるように、いいパフォーマンスを毎試合見せられるようにしていきたいと思います」
■ソウザ選手
Q:今季2冠達成について
「非常にうれしく思います。2回目の優勝ということもありますし、あとは、オフがちょっとだけ伸びたので(笑)。新しい1年をタイトルで始めることができたのは、すごくいいことだと思います」
Q:本当にタフな試合になりましたが、試合を振り返っての感想について。
「確かにタフな試合でした。(横浜F・)マリノスというチームは、監督によってすごくオーガナイズされたチームでしたから。マリノスが結構優位に進める時間もあり、難しい時間も多かったと思いましたが、そこで僕らのほうがイライラしてしまう時間帯もあったように思います。ただ、ウチが得点を入れたことで、逆に相手のほうがイライラしだして、そこからウチのリズムが作れるようになったと思います。ウチが逆転したとき、よりチームに安定感、落ち着きも出て、最後まで試合を優位に運ぶことができたんじゃないかなと思います。あとは、最後のところでは、お互いにすごく疲れ切った状態でしたので、とにかく失点ゼロで抑えることに集中して、(失点をしないよう)締め切って終わることに集中してやりました」
Q:最後、途中交代となりましたが、試合が終わってから整列に並ぶくらい、喜びがあったのでは。
「延長に入ってから、何度かスライディングにいっているとき、ちょっと足にきているところもあり、かなり疲れを感じていました。監督とも試合中、確認しながらやっていて、『自分は大丈夫だ』という話もしていたのですが、最後の最後でモモ裏とふくらはぎに痙攣が走ったので。マークのところでも、最後しっかり(試合を)締め切りたい思いから激しくマークにいっていたこともあったのですが、ただ、その(足の)状況で持ちきれるかというと、そうでもないと思ったので、交代を申し入れました。整列については、喜びが背中をおして、最後立ち上がらせたのかなと」
Q:1シーズンで2つもタイトルを獲れました。ソウザ選手の銅像、作りますか?(笑)
「まあ、銅像は作らないですが(笑)、前回のタイトルを取ったものと、今回のタイトルを取ったものと、写真を肖像画みたいにして、大事にとっておきたいなと思います。あとは、お給料がもうちょっと上がってくれたらいいなぁ(笑)」
Q:来季のACLをはじめとする試合にも期待がかかります。
「来季を迎えるにあたっては全力を尽くしたいと思いますし、どんな試合でも、どんな大会でも、やるからにはタイトルをとっていくことが、今季もずっと思い描いてきたこと。それは来季も変わらず、出る大会、出る大会で、タイトルを目指してやっていきたい」
■秋山大地選手
Q:今季、2冠を獲れた率直な感想について。
「うれしいの一言です!」
Q:最後、厳しい時間帯もありましたが、よくしのいで勝ちきりました。
「今年そういうことがたくさんあったので、みんな身体を張っていましたし、みんな頑張っていたので、(2-1のあとも)失点なしで抑えることができ、よかったです」
Q:チーム全体でタイトルを勝ち取れたという想いもあるのでは。
「ルヴァンカップ、リーグ戦、天皇杯と、みんなが試合に出て、戦ったので、総力戦というところで、今年は本当によかったと思います」
Q:来季にむけてのいいスタートというところでも、素晴らしい1月1日になったのでは。
「そうです。今年のいいスタートを切ることができたので、引き続きやっていきたいし、『昨年は良かった』とは言われたくはないので、今年もしっかり勝っていきたい」
■山口蛍選手
Q:今日のポイントは?
「まず失点しないように入ったのですけど、失点してしまった。でも全員に焦りはあんまりなかったと思うし、試合は90分だから、後半もあったし、同点に出来る自信はみんなの中であったので、そんなに負けているからという焦りはなかった。
ルヴァンの決勝を1回経験することで、今回の決勝もかなり精神的な面も含めて楽にというか、今までよりかはリラックスして出来たと思います」
Q:ビハインドの状態でも跳ね返せるのにどういったことをした?
「お互いに声を掛けるのもあるし、あとは前の選手が点を決めてくれるという後の選手の信頼もあるし、後も体を張って頑張っているし、守っていれば前の選手が決めてくれるという自信もあるので、そういうお互いの信頼が結果になっていると思います」
Q:2冠を取った意味は?
「天皇杯とルヴァンカップは一発勝負で、そこに対する勝負強さというか、ビハインドをはね返せる力というのは付いたと思います。
改めて一年通して安定して、リーグで優勝するというのは本当に難しいことだということを感じたので、それを次は目標にしてトライしていきたいと思います。
ACLがあるから、ACLとリーグをどういうふうに戦っていくのかというのが大きく影響してくると思う」
Q:4年間にACLとリーグを平行する難しいシーズンを送ったが、今年のシーズンは?
「あの時は落ちたし、自分自身も途中でけがをして半分棒に振ったので、その時は何も出来ずに落ちてしまったから、そうならないように、上手くケアをしながら1年間通して戦えるようにしたいと思います。
あの時を経験している選手は何人かいますけど、それから4年経ってみんなベテランとは言わないけど、ある程度の年齢にはなっているので、上手くその経験を生かせると思います。
自分自身も4年前と今とでは余裕が違うと思います。
2018年はけがをしないように行きたいですし、今回もギリギリだったので、決勝に間に合わせてくれたトレーナーやフィジカルコーチを含めて、そういう人には今日の勝利をプレゼントして上げたいなと僕は個人的には思います。
100%ではないですけど、何とか持ちました。
試合はずっと出たいから、休みたくないので、試合に出ながらコンディションを上手く整えるのが一番大事かなと思います」
■丸橋祐介選手
まず2冠取れて嬉しいです。
立ち上がりは入りが少し悪かったですけど、失点して、あっちのペースで結構行ってましたが、後半になって段々リズムが出てきて、同点に出来たのは本当に大きかったと思います。
今年は最後までみんな走り切れているし、全員諦めていないので、そういう部分が得点に繋がっているかなと思います。
Q:延長戦は外から見ていて
「セレッソの方が全然走れていたし、勝ちたいという気持ちもセレッソの方が上回っていたのじゃないかなと思います」
Q:勝負強くなりましたね
「失点しても慌てず、試合を運べているのかなと思います。これまでだったら慌ててズルズル行っていましたが、ここ1年でそういう部分はなくなって、最後の最後まで諦めず戦えているのかなと思います。メンタルはチーム全体で強くなったと思います」
Q:すぐ来シーズンが始まりますが
「とりあえず1回休んで、気持ちを切り替えて、また頑張りたいと思います」
■木本恭生選手
チームとして2冠取れたのはものすごく嬉しいですし、喜ばないといけないところですが、個人的にはこういう大舞台で、楽しみにしていた舞台で自分のプレーや思いっきりの足りないプレーになったので、自分としては今日のプレーだと全く満足出来ていないので、そこは反省したいなと思います。
Q:失点の場面は焦った?
「その前の場面で、同じような形でオフサイドになったので、あそこでマルさん(丸橋)にもう『少し絞って』とか、自分がもう少しパスの間に寄せられるようなポジション取りをしないといけないなと今日思いました。
その後、裏を凄く意識したのですけど、その中でもチームメイトに助けられた試合だったので、個人的にはものすごく反省点が多かった試合でした」
Q:緊張はあった?
「スタジアムに入った時に、自分的には『ちょっと違うな』というのが解ったので、プレーもいつもより動いて、できるだけ緊張をほぐそうと思ったのですが、入場の時も緊張していたので、そういうメンタルの部分がまだまだ自分には足りないと思いますし、そういうメンタルの部分でプレーが左右されるというのが解ったので、経験にして良いのか分かりませんが…」
2017シーズンを象徴する戦いで、総力で激闘を制して、天皇杯初制覇&2冠獲得達成!
2017シーズンのフィナーレを飾る、第97回天皇杯決勝。セレッソ大阪は横浜F・マリノスと、埼玉スタジアム2002で対戦し、延長戦にもつれる激闘の末、水沼宏太の決勝ゴールにより、2-1と勝利。前身のヤンマー時代(第48回、50回、54回)から数えて4回目の優勝、セレッソ大阪になってからは4度目の決勝挑戦にして初の天皇杯獲得。JリーグYBCルヴァンカップとあわせて今季2冠を達成し、クラブ史上に残る輝かしい1年を最高の形で締めくくった。
日本サッカー界としては特別な舞台となる、天皇杯『元日』決勝。天候は快晴、4万2029人の大観衆が詰めかけ、セレッソサポーターが試合前にはゴール裏で2つのピンクの星をかたどった鮮やかなコレオグラフィーで、2冠獲得への強い意欲をかきたてる。そういった格別な雰囲気が作られたなか、桜色の戦士たちが伝統のカップ戦ファイナルに臨んだ。
試合の立ち上がりは、「あまりいいスタートが切れなかった」と、マテイ ヨニッチ。開始早々から快足MFマルティノスと、巧みなポジショニングをとるFW伊藤翔を中心とした横浜FMの速攻に苦しむ。それでも、セレッソも序盤に清武弘嗣が、先発復帰したキャプテン、柿谷曜一朗との連動したプレーから決定機を作ったが、前半の8分、先制点を献上。相手の左クロスへの対応で、DF木本恭生が、伊藤の動き出しに振り切られると、そのまま伊藤に押し込まれた。
前回のJ1での対戦(第32節)と同じく、劣勢からのスタートとなった、セレッソ。その後も前半から後半の始めにかけては、中澤佑二を軸とした組織的な守備とマルティノスのスピードをいかした横浜FMの速攻に手を焼き、我慢の時間も続く。それでも、セレッソも踏ん張り、2失点目は許さない。
ハーフタイムで修正を図ったなか、同点に追い付いたのは、65分だった。その前の時間帯から、前への圧力を強めた桜色の戦士たち。すると、水沼が相手をかわして強烈なミドルシュートを放ち、そのこぼれ球が相手DFを経て、山村和也の足下に流れてくる。そこで、「トラップした瞬間にフリーだったのはわかっていたので、しっかりゴールの枠内に飛ばせば入るかなと思っていた」という24番は冷静に右足を一閃。尹晶煥監督のもとで前線にコンバートされた今季躍進を牽引したマルチローラーが、ゴールネットを揺らし、チームを蘇らせた。
試合を振り出しに戻したあと、尹監督も、冷静に見極めながら、交代カードを切る。77分に田中裕介を投入してサイドの守備を強化し、80分にはリカルド サントスを送り込んで前線を活性化。チームは、今季の戦いで積み上げた『走りきる』姿勢を前面に出し、ケガから復帰して先発した中盤の要、山口蛍や、水沼らを中心に、後半に入っても足を止めず、力が落ちない。
試合は、今大会セレッソとしては3度目となる延長戦にもつれこんだが、チーム全体で円陣を組み、気合いを一層高めて入った延長前半の5分、試合を動かす。左サイドに開いてボールを受けた山村が、右足でクロスをあげると、そこに大外から飛び込んできたのが、『ユン・セレッソ』の象徴となる選手の1人、水沼だった。魂を込めたヘディングシュートは、ゴールに吸い込まれていき、ついに逆転に成功した。
そこから、すぐに山村を最終ラインに下げ、今季何度も見せた5バックの形で守備を固めつつ、カウンターで追加点を狙う戦法を実行。延長戦後半は相手の猛攻にもあったが、これも「今年(2017年)そういうことがたくさんあったので、みんな身体を張っていましたし、みんな頑張っていた」と、途中出場の秋山大地。GKキム ジンヒョンのビッグセーブをはじめ、全体の献身的な粘り強いディフェンスで、最後まで自軍ゴールを割らせない。
そして、試合終了を告げるホイッスルが吹かれ、タフに戦い抜いた桜色の戦士たちは雄叫びをあげながら喜びを表現。ピッチには歓喜の輪ができた。戦前に「(ルヴァンカップで)表彰台に上がったときの景色は本当に最高でしたし、ほんまにまた戻ってきたいなという話をしていたので、それがまた現実になっている。あとは本当に優勝して、もう1回みんなであの上に立って、カップを掲げたい」と述べていたのは松田陸。その言葉をチーム一丸となって再現できた。
「本当にあり得ないことがあふれる1年を、僕らの選手たちは過ごしてきた。J1昇格プレーオフからJ1に昇格して、ここまでの成績をあげるのは決して簡単なものではない。これは絶対に誰か1人の力で成し遂げたものではなく、大勢の皆さん、全選手、全スタッフ、そしてセレッソに関わるすべての皆さんが力を合わせて達成した結果だ」と述べたのは尹監督。J1で18番目のチームとして臨んだ2017年シーズン、J1で3位、カップ戦は2大会とも無敗で制覇と、最高の1年を過ごすことができた。これで来季は、ユニフォームに2つの星をつけて戦う、セレッソ。3度目のACLも本選からの出場が決まった。オフは約2週間で、来季は多くの大会に臨めるなか、厳しい戦いが待っていることだろう。それでも、今季積み上げてきた総力での戦いと、貴重な成功体験を続けてこそ、真の強者となるというもの。あくまでも、これはセレッソ栄光の歴史への序章。ここから桜をますます開花させていく。