AFCチャンピオンズリーグ2018
グループステージ MD4

2018.3.14

セレッソ大阪

ヤン ドンヒョン(65') 杉本(88')

2

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FULL TIME

2

0-1

2-1

ブリーラム・ユナイテッド(タイ)

オウンゴール(11') ジオゴ(71')

大阪長居スタジアム

NaN

レポート

強く欲した勝点3は奪えずも、杉本健勇、執念の同点弾でグループステージ突破へ望みをつなぐ

1週間前、敵地で敗れたAFCチャンピオンズリーグMD3の借りを返すべく、そして、グループステージ突破へ望みを広げるべく、ホームで勝点3だけが求められたブリーラムとのMD4。セレッソ大阪は、直近の公式戦であるJ1第3節・柏レイソル戦から、柿谷曜一朗と木本恭生を除く9人を先発で起用。必勝を期してこの一戦に臨んだ。

立ち上がり、良い入りをしたのはセレッソ。2分、山口蛍のクサビを杉本健勇がダイレクトで落として水沼宏太がシュートを放つと、3分には、松田陸のクロスをヤン ドンヒョンが胸で収めてシュートに持ち込む。ところが、11分、パスミスも絡んで与えた相手の最初のCKから失点。ラッタナコーンの蹴った鋭いインスイングのキックが、ニアで守っていたヤン ドンヒョンの頭をかすめてゴールに吸い込まれた。

ここからブリーラムは、守備時は5バックで固めてカウンター狙いに徹する。セレッソは、ボールは持てどもブロックの中に侵入できず、シュートまで持ち込めない。時間ばかりが過ぎる中、高木俊幸のクロスに杉本がヘディングで合わせた42分のチャンスが前半、唯一の決定機だったが、シュートは枠を外れた。

後半も試合の構図は変わらず、ブリーラムの守備に苦しむセレッソだったが、65分、スタジアムの重い空気を一変させるゴールが生まれた。松田のクサビを杉本が落とし、山口が左サイドへ展開すると、丸橋の絶妙なクロスに杉本がニアでDFを引きつけ、空いたスペースへ飛び込んだのは、ヤン ドンヒョン。待望のセレッソ加入後、初ゴールが飛び出し、セレッソが同点に追いついた。

スタジアムのボルテージも上昇し、一気に逆転を狙ったセレッソだが、71分、後半初めて与えた相手のCKから、再び失点。ラッタナコーンの正確なキックがまたもニアへ飛んでくると、今度はエジガルに先に触られ、後ろへ逸らされると、ファーで待ち構えたジオゴにヘディングで決められた。MD3での失点も踏まえ、試合前、ブリーラムの攻撃で最も警戒していたのがセットプレーだったが、前節の教訓を生かし切れず、痛恨の2失点目を喫した。

それでも、このままブリーラムに連敗だけは避けたいセレッソは、力を振り絞って反撃に出る。84分、丸橋のFKにソウザが飛び込みチャンスを迎えると、87分には、高卒ルーキー・安藤瑞季が投入される。すると、その安藤が大きな仕事をしてみせた。88分、山口、ヤン ドンヒョンとつながったボールを安藤が収めてドリブル。DFに強く当たられながらもキープして左へ散らすと、丸橋から杉本へと渡り、杉本がゴール中央へクロス。ここはDFにクリアされるも、こぼれ球にいち早く反応した山口が拾って右サイドを駆け上がり、ふわりとしたクロスをゴール前へ送ると、山口に大きなジェスチャーでボールを要求していた杉本が豪快なヘディングをゴールに突き刺した。

土壇場で生まれたエースストライカーの一撃に再びスタジアムは大歓声に包まれたが、試合はこのまま2-2で終了。劇的な形で追いつき敗戦は免れたセレッソだが、勝点3を強く欲していた試合だっただけに、試合後の尹晶煥監督、選手たちに笑顔はなし。アウェイでの一戦に続き、悔しさが残る結果となった。

それでも、「追いついたのでポジティブに捉えたいとも思う。残り2試合、絶対に2勝するという強い気持ちを持って戦います」と杉本も力強く話したように、グループステージ残り2試合、セレッソにもまだまだ十分、グループステージ突破の可能性は残されている。下を向く必要はない。まずは再びホームで迎えるMD5の済州ユナイテッド戦に、全てを懸ける。

監督コメント

「今日もたくさんの方に来ていただいたのですが…。相手の長所は把握した上で挑んだのですが、同じ状況から失点してしまい、難しい状況になりました。試合の内容自体は悪くなかったと思います。相手の長所を防ぐことができずに、我々が難しい試合をしてしまったと思います。ただ、選手たちは最後まで諦めずにやってくれて、同点に追いついたことは肯定的に考えたいと思います。最近は勝利という結果を持って帰ることができないのですが、焦らず、一つひとつ積み重ねることができればいいのではないかと思います。選手たちは一生懸命やってくれています。結果が付いて来ないということで焦る気持ちも出てしまうかも知れませんが、まだまだ始まったばかりなので。まず一つ、結果を付いてこさせるということが大事になります。ACLはまだまだ(挽回の)機会があります。来月は、よりハードなスケジュールが待っているのですが、次のホームで絶対に勝てるように、しっかり準備をしていきたいと思っています」

Q:得点を決めたヤン ドンヒョン選手について。得点場面は彼の長所が発揮された素晴らしいヘディングシュートだったと思うが、全体的なプレーについて、生かされ方や、周囲との連係を含めて、彼の現状をどう捉えていますか?

「まだ100%ではないと思います。お互いが合わせようと努力をしているのですが、まだ不足している部分はあると思います。今日、ゴールを入れたことで、これから順調に行くのではないかと思います。もちろん、他の選手もドンヒョンとの関係をいい形にしようと努力してくれているので、試合でプレーするごとに、周りとの連係も良くなっていくと思うし、合っていけば、より良い姿を見せることができるのではないかと思います」

Q:4試合を終えて勝点5という現状をどう捉えていますか?

「もちろん、気持ちとしては勝ちたいという気持ちで戦っています。先ほどもお話しましたが、最近は勝利がないので、いい気分ではないですが、選手たちは努力してくれています。そういう姿は見えます。試合の内容が良くないのであれば問題ですが、必ずしもそうではないので。もっと良くなると考えています。まず1試合、いい結果を持ち帰ることができるのであれば、もっといい雰囲気で上昇していくのではないかなと思います」

Q:グループステージの残り2試合、次の済州戦が大きな山場になると思われるが、どういうところに注意して勝点3を獲得したい?

「ACLもあるのですが、リーグ戦も同時に進行しているので、コンディションを維持することは簡単ではありません。ただ、済州戦は我々にとって、ACLのグループステージではホームでの最後の試合です。そこで全てのことが決定付けられると思います。今は済州もそれほどいい状況ではないので、我々がしっかり準備していけば、ホームでより良い結果を得られることはできると思います。試合の内容は、その日のコンディションによって変わってくると思います」

選手コメント

■杉本健勇
「僕たちは勝たなければいけない状況で試合に挑みましたけど、早い時間帯にセットプレーから失点してしまって。その後、追い着いたのですが、結果としては引き分けということで、非常に残念な結果になってしまいました。内容的なことを見ると、あのセットプレー2発だけだったので…。警戒はしていたのですが、そこでやられてしまったのは僕たちの詰めの甘さだと思うし、自分自身、前半にもチャンスはありましたし、自分が2点、3点と取っていれば勝てた試合だったので、非常に悔しいです」

Q:最後の最後にドンピシャで合わせることができたが、それまでは合わずに少しいら立つような場面も見られたが?

「少し中盤での簡単なミスが多かったので、そこでもったいないプレーが多かったのではないかなと思います。前半に1本、自分にもドンピシャのクロスがあって外してしまったので、2本目が来たときは絶対に決めようと思っていました。(山口)蛍くんが非常にいいクロスをくれたので、決めることができて良かったです」

Q:これでグループステージは4試合を終えて1勝2分1敗ですが、今の状況をどう見ていますか?

「広州恒大と済州の結果を知らないので、それによって順位も変わるかも知れませんが、まずは今日、自分たちは勝点3を取りに行きました。結果的に引き分けということで、そこは残念ですけど、追いついたので、ポジティブに捉えたいとも思います。あと2試合、勝つしかないし、勝たないと上がれないと思います。絶対に2勝するという強い気持ちを持って戦います」

■山口蛍
Q:同点に追いついた杉本健勇選手の得点のアシストについて

「最初はニアに速いボールを入れようと思ったけど、ファーで健勇がめっちゃ呼んでいたので、そこに合わせました。いいボールが行って、健勇がうまく決めてくれたので良かったです」

Q:CKからの2失点について

「セットプレーに関しては、ボールも本当に良かったし、防げたのかも知れないけど…。ただ、アウェイでもやられているから、何かしら対策は練った方がよかったのかなと思う。相手のチャンスはその二つだけだったので、そこは非常にもったいないと思います。CKに行く前もミスで与えているので、まずそのミスを無くさないといけない。そういうミスからの失点が自分たちに重くのしかかっている部分もある。ただ、それを引き分けに持って行けているのは、プラスに捉えていいと思うし、全体的に安定感が出てくれば、結果も付いてくると思う。いいところもたくさんあったと思うし、始まったばかりで下を向いていても仕方ないので、みんなで話し合って、やっていきたいです」

Q:ACLの次節以降については?

「首の皮1枚でつながっているような状況で。次、勝たないと突破もなくなると思うので、ホームでしっかり勝てるように、修正するところはしっかり修正して、試合に臨みたいと思います」

■マテイ ヨニッチ
「まず、同じ相手に3回、同じようなパターンで失点したのは、何とも言えない気持ちです。練習で微調整して、改善するしかないですね」

Q:相手のキックの精度も高かったが、自分たちの問題だったのか?

「あれもう、我々の責任です。ああいう形で何度も失点してはいけないです。何も言い訳はできないです」

Q:セットプレー以外は危ない場面はほぼなかったが?

「ブリーラムは、1点を取ってから守り切る戦術で来たので、すごくやりにくかった。何とか追いついたのですが、2失点目が本当によくなかった。その後、何とか最後の最後に同点に追いつくことができたのですが、勝ち越す時間はなかったと思います」

■キム ジンヒョン
Q:精度の高いキッカーに対して、マンツーマンで守ることも必要だった?

「そういうことはないですけど…。マンツーマンだったとしても、あれだけデカくて強い選手がいれば、負けることもある。ただ、もう少し自分たちで改善しないといけない。最近はセットプレーやクロスからのヘディングで失点が多いので。そこは修正しないといけない」

Q:試合前から「ニアは警戒したい」と話していただけに、悔いも残る?

「そうですね。分かっている中でやられたのは本当に悔しい。また次、セットプレーでやられないようにして、そこで守ることができれば、また変わっていくと思う。今日に関しては、少し準備不足だったかも知れません」

Q:ヤン ドンヒョン選手に得点が生まれたことは、チームとしては明るい材料では?

「そうですね。チームとして、というか、ヤンさん自身が少し楽な感じでできると思います。自分の中でプレッシャーもあったかも知れないので、決めて嬉しかったと思うし、そういう試合で勝ってあげたかったですね」

■山村和也
「アウェイ、ホームとセットプレーで失点してしまって、少し苦しい展開というか、追う立場になってしまったので、もう一度セットプレーのところの集中と、後は最後にしっかり追いついたので、そこはポジティブに捉えて、次の試合で結果が伴うように頑張りたいと思います」

Q:次にすぐJリーグですがとにかく勝つしかないですね!

「一番は勝つことが良い流れを持って来る最大のことだと思うので、失点して負けている状態から追いつくことは出来ているので、まず失点をしないことを意識しながら戦えたら良いなと思います」

■丸橋祐介
「やられたのはセットプレーだけだったので、相手の得意なセットプレーというのは解っていましたけど、そこを上手くやられてしまったので悔しいです」

Q:早い時間帯に失点して、ゲームプランが変わった?

「失点は仕方ないので、落ち着いて行こうというのは話していましたし、前半からチャンスはあったし、後半はもっとあったので、そういうところをもっと決め切れたら勝ち切れた試合だったかなと思うので、もっと精度を上げていきたいです。
ディフェンス陣としてはゼロで抑えたいというのはありますけど、なかなか上手く隙を突かれている場面が多いので、全体的にもっと集中して隙を無くして行ければ、もっとゼロで抑えられると思うし、得点はしっかり取ってくれるので後としてはしっかり守り切らないとダメかなと思います」

■ヤン ドンヒョン
「相手の良いプレーで失点したわけじゃなくて、僕らの集中力が欠いていたところでの失点だったので、そこのところが凄く残念だなと思います」

Q:最初のコーナーはニアを警戒していたところで当たってしまった?

「自分が十分弾けると思いましたけど、最後に結構巻いてきたので、そこでミスをしてしまいました」

Q:良い形のゴールも決めましたね

「まず早く点を決めることが出来たので、これで良い方向に向けていけると思います。これをもっと発展させていけるようにしたいです。
前半は少し考え過ぎちゃって出来なかった部分がありますので、そこはしっかり修正して次に繋げたいと思います」

■水沼宏太
「引き分けが続いているし、勝ち切れていないですけど、負けていないので前向きに捉えるのが一番かなと思います。まだACLは上に行ける望みを繋いでいるし、今日はフォワード二人が点を取ったので、そういうプラスのところもたくさんあったと思う。引いた相手に対してどういう風に攻めていくかという所が課題かなと思います。でも要所々々、一人ひとりやるべきことを全う出来たと思う。勝てれば良かったですけど、次に繋げないと行けない試合かなと思います」

Q:早い時間帯に失点して相手をより下げてしまった?

「セットプレー2発で、この前のアウェイでもそれでやられているので、チームとしての共通意識を持たないといけない。何が危なくて、何をしなきゃいけないという所の意思疎通というのを、もっとハッキリしないといけないと思います。今日の試合の中でも前に取りに行くのか、後でブロックを作るのかという所の行き違いが何個か出てきたので、そこはもっと合わせて行かないといけないと思います。この前の柏戦からそうですけど、中の声も出てきたし、何をしなきゃいけないというのを各々感じていると思うので、最低限のプレーというか、仲間を助けるプレーというかがちょっとずつ出てきていると思う。プラスの所をドンドン増やしていけるようにやって行くのが大事かなと思います」

 Q:ドンヒョンと健勇の生かし方は?

「もっと早めにバイタルの所にボールを付けて(=パスを出して)、長いボールでも収める力がある二人なので、そういうボールをもうちょっと入れていけば良かったかなと思います。後半の最初の方くらいから、そういうボールが増えてきてチャンスが作れてきたし、今日は僕とトシ(高木選手)のサイドハーフの所に相手のウイングバックがずっと付いてきていたので、そういう相手に対してどうやって攻めていくか、僕らがボールを受けたくてもマンマークで付いてくる相手に対して、どうやってボールを前に持って行くか。前で収めてくれれば、僕らは前に重心を掛けて前向きにサポート出来るシーンが増えてくるし、後半は実際に増えてきたので、そういう話をみんなで出来ましたし、そこは1試合1試合積み重ねながら成長できる部分かなと思います。
みんな結果を出したいという気持ちはあるので、そういう意味では結果を出すために誰かが犠牲にならないといけないというのもあるし、誰かにゴールを決めさせるためにスペースに走ることや、潰れるとか、そういう所をもっともっと、一人ひとりが色んな形で増やしていくことが出来れば、もっと簡単に点が取れる力はあるチームだと思う。去年はそういうのを別に意識しなくて出来ていたところもあったので…。でもそういう欲は絶対に持っていないとダメだし、みんなで合わせていければ、また1つ成長出来るのかなと思う。別に負けている訳じゃないので、勝ててはいないですけど、ここを乗り越えれば必ず個人としてもチームとしても成長出来るのかなと思います」

■安藤瑞季
「全然時間がなかったので、取りあえず走ろうというのと、時間が無くて負けていたので、どんどんチームに勢いを出すために前から俺が動いてチームに働きかけたいなと、試合に出ていない時に準備していましたし、試合に出て点こそは取れなかったですけど、それに繋がるプレーができたのは良かったです。次の試合に点が取れるくらい、自分の力を上げないと、こういう試合は勝ちきれないなというのを凄く感じました」

Q:もっと時間が欲しかったね

「そうですね。ホタル君(山口選手)とかも『もう少し時間があったら点取れた気がしたよ!』と言われました。それでも、あの時間でも決めないといけないというのは、呼び込む力だったり、ゴール前での怖さだったり、まだ足りないものがすごくあります。自分の近くには良いお手本がすごくいるので、真似はしないですけど、それを上手く自分のプレーに加えて行けたら、プラスアルファでもっと自分の可能性が拡がるかなと思います」

Q:ホームの雰囲気は?
「J3の時とは全然違って、自分の名前を呼んでくれたり、頑張ろうという気持ちになりました。これがホームでの試合なのかというのを凄く感じました」