AFCチャンピオンズリーグ2018
グループステージ MD6

2018.4.17

広州恒大(中国)

HUANG BOWEN(06')ALAN DOUGLAS DE CARVALHO(57')(86')

3

AWAY

FULL TIME

1

1-1

2-0

セレッソ大阪

福満 隆貴(10')

広州天河体育中心

NaN

レポート

広州恒大の圧力に屈して3失点。無念のグループステージ敗退が決定

 公式戦5連勝を達成したJ1第8節・FC東京戦 から中2日、セレッソ大阪がAFCチャンピオンズリーグのグループステージ最終節、MD6の広州恒大戦に挑んだ。ラウンド16進出を懸けた大一番だったが、過密日程でのアウェイ戦ということもあり、コンディションを考慮した結果、尹晶煥監督は先発をFC東京戦から大幅に入れ替えて試合に臨んだ。

 グループステージ突破を決めていないホームの広州恒大が、試合開始から猛攻を仕掛けてくることは想定した上で、「忍耐力を持って我慢強く戦うこと」(尹晶煥監督)を試合のテーマとして挑んだセレッソ。試合前日の練習後も、多くの選手が「スタジアムの雰囲気に飲まれないことが大事」と話していたが、広州恒大の序盤の圧力は、想定を超えた。

 6分、中盤に降りてボールを受けるリカルド グラルに大きく左サイドへ展開されると、サイドから鋭いボールをゴール前へ供給され、最後はフアン ボーウェンにシュートを決められ、広州恒大に先制を許した。
 それでも10分、セレッソもすぐさま同点に追いつく。山田寛人のスルーパスに抜け出した福満隆貴がGKと1対1になると、冷静にGKをかわしてシュートを決めた。

 もっとも、試合の大勢はその後も変わらない。広州恒大の攻撃を受けるセレッソは再三、サイドを崩されピンチを招く。それを、中で舩木翔や片山瑛一が身を挺してブロック。なんとかゴールは割らせない。懸命に耐えていると、前半の終盤、セレッソに立て続けに決定機が訪れる。40分、ヤン ドンヒョンのパスに抜け出した山田がGKとの1対1を迎えたが、シュートはGKに防がれてしまった。44分には、片山のロングスローからヤン ドンヒョンがヘッドで合わせるも、クロスバーに当たってゴールならず。セレッソとしては、次第に持ち直した展開で、前半は1-1で終了した。

 後半もボールを支配するのは広州恒大。1プレーごとにスタジアムを埋めた真っ赤な広州恒大サポーターが沸く完全アウェイの中、なんとか耐えていたセレッソだったが、57分、CKの流れから失点。最後はアランにニアサイドを撃ち抜かれ、広州恒大に勝ち越しを許した。
 自力でのグループステージ突破には2点が必要になったセレッソ。65分には、ペナルティーエリア内で田中亜土夢がGKに倒されたが、笛は鳴らず。75分には、山田に代わって米澤令衣が投入され、トップチームデビューを果たす。その後も舩木のCKやFKからゴールを脅かすシーンを作り、86分には田中亜土夢が右足でカーブを掛けたシュートを放つも、わずかにゴール右に外れた。

するとその直後、アランにこの試合2点目を決められて、勝負は決した。今節のもう1つのカード、済州vsブリーラムでブリーラムが済州を下したため、セレッソはグループGの3位に転落。最終節で、無念のグループステージ敗退が決定した。
 今季は開幕からリーグ戦とACLを並行して戦う中で、負傷者も続出する苦しい戦いを続けてきたセレッソだが、4月に入り歯車がかみ合ってきただけに、ACLにおいても決勝トーナメントでのその先の戦いを見届けたかった。だが、その思いは広州の地で儚く散った。試合後、尹晶煥監督は「最後まで戦い抜いてくれた選手の姿に感謝したい。この経験を糧に、また成長する姿を見せる必要があると思います」と気丈に話し、今後のリーグ戦における飛躍を誓った。

監督コメント

「まずは、今日、グループステージ最後の試合で、遠くまでお越しいただいたサポーターの皆様に感謝申し上げたいと思います。このような結果になったことは大変、申し訳なく思います。我々の選手は最後まで最善を尽くしましたが、残念な結果だと思います。どのような形であれ、結果を持ち帰るために最善を尽くしましたが、力不足だったと思います。我々のチームは久しぶりにACLに出場したのですが、またたくさんの経験をすることになりました。この経験を糧に、また成長する姿を見せる必要があると思います。今日は色々な面で広州恒大に押される形になったのですが、我々の選手の最後まで戦い抜いてくれた姿に感謝したいと思います」

Q:JリーグをACLより優先されていますか?
「正直にお話しますと、4年前にACLに出場した時、J2に降格した記憶があったので、今年、ACLよりJリーグに重点を置いているのは事実です。ただ、ACLに関しても、全ての選手を動員して、何とかグループステージを突破したかったのですが、そうできなかったことに関しては残念です」

Q:グループステージを突破できなかったことについて、何が足りなかったと現時点で総括されますか?
「ACLの経験が多くないというところなので、今日は『忍耐力を持ってしっかりと耐えよう』という話をしたのですが、その忍耐力が足りなかったと思います。相手の強い攻撃陣に対して、我々が耐え切れなかったことが今日の敗因だと思います。グループステージ全体を通しても、(グループステージを突破するために)一番足りなかったものは経験ではないかと思います」

選手コメント

■福満 隆貴選手
「難しい試合になるということは分かっていましたけど、勝たないといけない試合だということも分かっていましたし、自分たちも勝つために中国まで来たので、何としても勝ちたかったですけど、悔しいです。雰囲気も含めて、開始早々に失点してしまったことは、やってはいけないことでした」Q:チャンスはあっただけに、なおさら悔しいですか?「そうですね。少ないチャンスでもモノにしていけば結果は変わったと思うし、タラレバになりますけど、そういう決定力をチーム全体で高めていかなといけないと感じた試合でした。そこはもう一回見つめ直して、決め切れるところは決め切る力を身に付けないといけません」
Q:自身の得点場面を振り返ると?「オフサイドもなく、GKと完全に1対1だったので、そこは余裕を持ってGKをかわしてシュートを打つことができました。ただ、それ以外の部分はまだまだサッカーをさせてもらえなかったので、日本に帰って、今日のような試合を繰り返さないようにやっていきたいです」Q:ACLの戦いを通じて得たものとは何でしょうか?「自身としては、初めてのACLでしたし、日本と違う環境や、独特のスタジアムの雰囲気を味わえたのは、サッカー選手として経験になったし、チームとしても、日本では経験できないようなフィジカルや球際の強さを肌で感じられたので、もっともっとJリーグで負けないようにしたい。ACLでも、もっと上に行きたかったけど、行けなかったのは今の力だと思うので、そこはしっかり受け止めて。まだまだリーグもカップ戦もあるので、タイトルを獲れるようにやっていきたいです」

■片山 瑛一選手
「試合の入りはもったいなかったですし、その時点で、まだまだ普段からの準備を見直していかないといけません。全体を通しても、まだまだ自分たちの実力が足りていなかったと痛感する試合でした。組織として守れていた部分もありましたけど、決めるところで決められてしまった。普段、対峙することのないようなレベルだったので、そのレベルにしっかりと、組織としてもそうですし、個でも追いついていくためにやっていく必要があると思います」Q:そういった個のレベルの高い外国籍選手と対峙した感想は?「『取れるかな?』と思ったところで取れなかったり、駆け引きで上回ることができなかったので、そういったところでさらに高いレベルでやっていかないといけないと思いました」Q:ロングスローからヘディングがクロスバーに当たる惜しい場面もあったが?「相手の警戒が少し薄かったので。でも、惜しいで終わってはダメなので、しっかりと次は結果につなげていきたいと思います」

■山田 寛人選手
「最初に失点して、また(第3節の)ブリーラム戦のような立ち上がりになって、相手の雰囲気に飲みこまれそうになったところで、自分がうまくパスを(福満)隆貴くんに通せて同点に追いつくことができたので、また雰囲気も良くなったのですが、そこで自分にチャンスが来て、結果として決めることができなかった。チャンスは来ると分かっていたので、悔しいです」
Q:やはり、前半終了間際に外してしまったシュートは悔しさが残る?「難しい戦いの中でも絶対にチャンスは来ると思っていたので…。自分もパスを出した後にもう一回、関わることを意識して、パスを出した瞬間にスピードを上げることができて、相手も付いて来ていなかったので。(ヤン)ドンヒョンさんも出してくれて、ファーの下に打ったつもりだったんですけど、腰が回り切らなかったというか、精度が悪かったです」Q:今日の試合を経験したことを今後につなげていきたい?「これだけの大観衆の中でプレーさせてもらって、自分としては楽しかったですし、いい経験をさせてもらったと思います。これからJリーグ、ルヴァンカップ、天皇杯とあります。また激しい競争になると思いますけど、そういった舞台に関わっていけるように、この経験を無駄にしないようにしていきたいです」

■舩木翔選手
Q:大一番で先発起用された気持ちについて「去年、ルヴァンカップで使ってもらって、最初はうまく入ることができたんですけど、だんだんネガティブなプレーが増えてしまって。今日は『やってやろう』という強い気持ちで入ったんですけど、僕個人どうこうより、チームが勝てなかったことが悔しいです。結果、質ともに相手の方が上でした。自分がこのチームに入っても、率先して声を出してやれるぐらいにならないと、Jリーグにも出ることができないので、もっと練習からやっていきたいです」Q:良いところもあったが、課題も残りましたか?「まず、クロスを上げるシーンがなかったし、チームとしてもそういうシーンを作ることができなかった。サイドバックとして、そういったクロスを上げて得点につなげるのは自分の仕事なので、そこができなかったのは課題です。守備にしても、1対1の対応で、スピードでやられるところもあった。サイドバックとして、対人プレーでの個人の能力を上げないといけないと思います」

■米澤 令衣選手
Q:自身としてはトップチームデビューとなりましたが、試合を振り返ると?「負けている状況だったので、自分が点を取って勝ちたかったですけど。何本かチャンスもありましたし、そこで決め切れなかったのは悔しいです。チームとしても、チャンスは作れていましたが、相手の決定力が上でした。自分自身、こういう数少ないチャンスをモノにしないといけないですし、こういう舞台にまた立つためにも、しっかりと自分の立場を理解して、やるべきことをしっかりやって、続けていきたいです」