天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会
2回戦
2018.6.6水
セレッソ大阪
高木 俊幸(31')
1
HOME
FULL TIME
0
キンチョウスタジアム
1-0
0-0
テゲバジャーロ宮崎
キンチョウスタジアム
レポート
監督コメント
■尹晶煥監督
「ずっと連戦が続いた中で、(この試合まで)3週間近く試合がない期間がありました。モチベーションを保つのが難しい時間であり、今日も厳しい試合になると思っていました。まずは試合結果を持ち帰ることができて、満足したいと思います。この悪天候の中、たくさんの方にお越しいただいたのですが、また次の挑戦ができる舞台を作れました。今日の試合を終えて、少し長いオフに入るので、選手たちはしっかりと休んで、来たる後半戦に向けて、しっかり準備したいと思います」
Q:公式戦としては、初めてオスマル選手とソウザ選手がボランチでコンビを組みましたが、彼らのプレーぶりをどうご覧になられましたか?
「今日は相手のカテゴリーが下だということで、評価をするにはどうかなと思います。ただ、悪くはなかったと思います」
■石崎信弘監督(テゲバジャーロ宮崎)
「リーグ戦でなかなか結果が出ない中で、中3日という形で今日のセレッソ戦を迎えたんですけど、元気な選手で戦っていこうというところで、初めて試合に出る選手も何名かいたんですけど、代わって出た選手が、すごくいい気持ちで戦ってくれたんじゃないかなと思います。結果的には0-1で負けたんですけど、やはり、セレッソと比べると、大きな違いがあるんじゃないかなと。ただ、技術、あるいは戦術で足りないところを気持ちで頑張った結果が、0-1で終わったんじゃないかなと思います。負けたんですけど、これから点を取って勝つためには、攻撃のところの質を上げていかないといけないのかなと思います。3日後にリーグ戦があります。天皇杯はこれで終わったので、次のリーグ戦に向けて気持ちを切り替えて頑張っていきたいと思います」
Q:改めて、天皇杯の2試合を戦い終えて、チームにとってどんな意味を持ちましたか?
「今シーズン、テゲバジャーロ宮崎として(天皇杯は)初出場でした。これまで、なかなか県予選を勝てなかったところを勝って、本大会に出られたことは良かったなと。1回戦は九州リーグの相手でしたが、Jリーグの相手とできるのは天皇杯しかないので、今日、経験したことをチームに戻ってしっかり噛みしめて、次のステップに進めればいいんじゃないかなと思います」
選手コメント
■マテイ ヨニッチ選手
追加点が取れなかったのが痛かったです。2点目が取れなかったことで相手もドンドン前からプレッシャーを掛けてきてスルーパスだったり、ディフェンスの裏のスペースを狙ってきたので、チョット危なかったところもありましたが、無事に1−0で終えられて良かったです。
(スリッピーなグラウンドで気を使った?)
雨がずっと降っていたので、スリッピーでしたから、チョットしたミスが失点に繋がったかもしれません。すごく集中しなくちゃいけなかったので、勝ててなによりです。
■杉本 健勇選手
しんどかった!俺、自分自身、体がね。
まぁ、一試合目やし、(天皇杯は)毎年難しい試合になってるし。
けど、勝つことが大事なので、内容どうこうって色々言われると思いますけど、個人的な話も含めて。でも勝ったから取りあえず良かったです。
(得点シーンはしっかり崩せましたね)
もっともっとああいうシーンを出さないといけないですし、こういう相手に対してはもっと崩さないといけない部分もあったと思います。
(なぜしんどかった?)
なんでやろうね。単純にかな…。まぁ、そういう時もあるし、そういう時にも何が出来るかというのをずっと言ってますけど。そういう意味では今日は全然良くなかったです。
明日から休みに入るので、しっかり見つめ直して切り替えます!
■福満 隆貴選手
チームとしては久しぶりの試合ということで負けなくてホッとしている部分はあります。
2〜3点取らないといけない試合だったのかなと思います。
試合の入りには集中して入ろうという事だったのですけど、なかなか難しいゲームになる大会だと思うの。そういう意味ではちょっと受け身になってしまった部分があったと思います。なんとか耐えてゼロで抑えて、ワンチャンスを決められて前半を折り返せたのが大きかったのかなと思います。
(後半もドキドキのシーンがあったが…)
危ないシーンは何本かありましたが、自分たちもチャンスはありましたので、そこでもっと決めきらないといけないのかなと思いました。
まぁ、ゼロで抑えられたのはプラスに捉えて、しばらく試合がないですけど、次に切り換えられたら良いかなと思います。
(天皇杯はこういう展開になる大会ですよね)
そうですね。僕も逆の立場を経験していますが、接戦になったりする大会で、何が起こるかわからないのが天皇杯だと思います。
下のカテゴリーと対戦するのは天皇杯だけなので、特別な試合で、勝たないといけないという条件の中で勝ったというのは良かったと思います。
勝てば次に進めますし、コツコツ1試合ずつ勝っていけば、また去年と同じ景色が見えてくると思う。まずは連覇というよりは一試合一試合勝っていけば、また連覇に繋がっていくと思うので、気を引き締めてやって行きたいと思います。
■木本 恭生選手
まず公式戦に出られたというのは良かったのですけど、難しい状況で入ったので、もう少し落ち着いてやれたら良かったですけど、まずは勝利できて良かったと思います。
(やはり難しい試合になりましたね)
点差もそうですし、攻めているけど守らないといけないというのが難しかった。
(入った時に追加点を取るか、守り切るか、どちらの気持ちが大きかった?)
どっちもです。追加点も取らないといけないし、無失点もだったので、どっちも出来れば良かったですけど。まずはチャンスは作られましたけど、無失点で終えられたのが良かったと思います。
天皇杯はトーナメントなので、結果が全てだと思う。まずは突破できて良かったと思います。
■高木 俊幸選手
(試合を振り返ると?)
やられる気はあまりしなかったですが、得点は1点だけだったので、あのまま終わってしまうと、見に来てくれている人に申し訳ないなと思ってプレーしていました。追加点がもう少し入れば、もう少しいい試合になったんじゃないかなと思います。
(得点場面を含めて、ゴール前に入っていく回数が多かったですが?)
ペナルティーエリアに入っていかないと、ゴールの確率は上がっていきません。チャンスの時にしっかりゴール前に走っていけるかというところは大事なことなので、それで結果も出たので良かったです。
(サイドを鮮やかに崩してのゴールでしたが?)
自分たちの得意な形だと思うし、ああいうところに質の高さはあると思うので、それがゴールという形でしっかり完結できて良かったです。
(直近のリーグ戦に続き、2試合連続でのゴールとなりましたが?)
結果が出始めると、チャンスの時に余裕が生まれてきて、冷静さも出てきます。あとは、ゴールというのは不思議なモノで、取り出すと、そういうところに自然と自分が入れたり、ボールが自分のところに来たりします。そういうことが起きてくるので、今は結構いい循環に入っています。自分個人としては、中断して欲しくない感覚ですね(笑)
■丹野 研太選手
(試合前の「思ったような展開にならなくても、我慢することが大事」という丹野選手の言葉通りの展開になりましたが、守備陣の踏ん張りも光りましたね)
そうですね(苦笑)難しい相手と、難しいピッチコンディションでしたが、とりあえず勝てて、次に進めたという結果が大事だったので、そこは最低限、よかったと思います。
(ピッチもスリッピーで、裏に出るボールへの判断で神経も使ったと思いますが?)
スリッピーなところと、止まるところがあって…。まぁ何とか(守れました)(苦笑)第一歩なので、次の3回戦も結果を出せるように、しっかり準備したいと思います。
高木俊幸が決勝点。守備陣も集中力を切らさず無失点を達成し、連覇に向けて好スタート
第98回天皇杯2回戦。宮崎県代表のテゲバジャーロ宮崎をホームのキンチョウスタジアムに迎えたセレッソ大阪は、直近の公式戦、J1第15節・サンフレッチェ広島戦から先発5人を変更。中でも注目されたのが、ロシアワールドカップを戦う日本代表・山口蛍が抜けたボランチ。天皇杯2回戦に向けた紅白戦や練習試合では、オスマルを軸にソウザと木本恭生がプレーした中、ピッチに立ったのはソウザだった。
一方の宮崎も、直近の公式戦、2日に行われたJFL1st 第11節のFCマルヤス岡崎戦から先発7人を変更。「元気な選手で戦っていこう」(石崎信弘監督)と、コンディションを重視した布陣となった。
序盤、積極的な入りを見せたのは宮崎。[3-5-2]を基本システムに、守備では前線からしっかりとプレスをかけ、奪ったボールは素早く前に運ぶ。サイドで高い位置を取ったウィングバックのクロスからは得点の匂いも感じさせた。それでも、セレッソも慌てずボールを握り返すと、16分、オスマルのふわりとしたパスに、前線へ飛び出した福満隆貴がヘディングで合わせ、ポストに当たった跳ね返りを柿谷曜一朗が押し込んでネットを揺らすも、福満がオフサイドの判定でノーゴール。その後、宮崎のサイド攻撃や裏を狙ったシンプルな攻撃にヒヤリとする場面もあったセレッソだが、25分過ぎからは怒とうの攻撃を展開する。
25分、丸橋祐介のクロスをGKが弾いたボールにオスマルが強烈なシュートを放つと、その後も高木俊幸が起点となり、逆サイドから福満が飛び込む形でチャンスを作る。すると、この押せ押せムードの時間帯に、セレッソが先制に成功した。
31分、スローインの流れから、杉本健勇の落としを受けた柿谷が右サイドのスペースをドリブルで持ち運んで前へ進むと、カバーに来たDFに囲まれながらも余裕を持ってGKも届かない逆サイドの高木へ浮き球のパス。柔らかな、メッセージがこもったパスを受けた高木が冷静にゴールへ押し込み、先制点を奪った。40分にもソウザが柿谷とのワンツーでゴール前へ進入し、思い切りよくシュートを放つなど、セレッソ優勢のまま前半は終了した。
後半も、立ち上がりこそ宮崎が連続してCKを得るも、主導権はセレッソが握ったまま。64分、ソウザのミドルシュートがポストを叩くと、65分には杉本の際どいコースに飛んだシュートをGKが好セーブ。66分にも、CKの2次攻撃から決定機。丸橋が右足で上げたクロスにゴール前で残っていたマテイ ヨニッチがシュートを合わせたが、GKが弾いたボールがクロスバーに当たり、惜しくもゴールならず。
2点目のチャンスを逃したセレッソと、GK村尾龍矢を中心に体を張り、セレッソに追加点を許さなかった宮崎。すると、ここから流れは宮崎に傾き始める。68分に途中出場したフィリピーニョに起点を作られ、DFラインの裏を狙ったパスやサイドからのクロスでゴールに迫られたセレッソだが、マテイ ヨニッチが懸命に跳ね返せば、丹野研太も冷静に対処する。77分には、左サイドからのクロスをDFがクリアしたこぼれ球を拾われ、ピンチを迎えるも、相手のシュートはDFが体を張ってブロックした。84分、フィリピーニョにワンツーから左サイド深くまで進入され、この試合、最も決定的な形に持ち込まれたが、角度のないところから放たれたフィリピーニョのシュートは丹野が防いだ。
後半の押し込んだ時間帯に2点目を取れなかったことで、最後は宮崎の反撃に冷や汗をかくことになったセレッソ。それでも、「思ったような展開にならなくても、我慢することが大事」と試合前に話していたのは丹野だったが、雨でスリッピーなピッチコンディションで事故的な失点も起こり得た中、守備陣は最後まで集中力を保ち、無失点を達成した。
試合後、「(試合間隔が空いたことで)モチベーションを保つのが難しく、厳しい試合になると思っていた」と吐露したのは尹晶煥監督だが、「試合結果を持ち帰ることができて、満足したい。また次の挑戦ができる舞台を作れた」と安堵の表情も浮かべた。選手たちも試合内容に納得とはいかないものの、「次に進めたという結果が大事」(丹野)と、3回戦進出という結果に胸を撫で下ろした。
最後に、敗れた宮崎だが、守備時は5枚で守り、攻撃に出た際は両サイドのウィングバックが高い位置を取る、いわゆる可変システムを操り、運動量も最後まで落ちずにセレッソを苦しめた。「技術、戦術で足りないところを気持ちで頑張った結果が、1-0で終われたんじゃないかと思います」と敗戦の弁を述べた石崎監督だが、攻守に統率の取れたその内容に、表情には一定の満足感も見られた。試合後は両チームのサポーターが互いにエールを送り合う、天皇杯らしい光景も見られたが、今後の宮崎のJFLでの健闘を祈りたい。