グループステージ 第1節
2023JリーグYBCルヴァンカップ
2023.3.8水
セレッソ大阪
カピシャーバ (86')
1
HOME
FULL TIME
0
ヨドコウ桜スタジアム
0-0
1-0
FC東京
ヨドコウ桜スタジアム
10,615人
放送
フジテレビNEXT / FOD / SPOOX
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊昭雄 監督
「再びファイナルの舞台に戻る、リベンジする、強い思いで全員で臨んだルヴァンカップ初戦でした。その中で、まず勝利で素晴らしいスタートが切れたことを嬉しく思います。また、リーグ戦では3試合勝てずに悔しい思いをしたのですが、今日、勝って、選手、スタッフ、セレッソファミリーの皆さまの笑顔が見られて幸せに感じています。このリーグ戦3試合と同様、どちらに転んでもおかしくない試合でした。その中で勝ちにつながったのは、まさしくゴールシーンが物語るように、全員の勝ちたい気持ちです。前半20分までは少し苦しい時間も続いたのですが、昨年の我々が強かった時と同様、全員で粘り強く、チームのために自己犠牲して、ハードワークする。苦しい時間帯を乗り切って自分たちのペースにしていく。最後まで全員が勝利に向かって走る。そういった、昨年、自分たちが作り上げたベースがたくさん出た試合だと思います。かつクリーンシートで勝てたことは非常に嬉しく思います。チームの成長、絆を深める大きな一勝になったと思います」
Q:ディフェンス陣には、リーグ戦では悔しい思いをしている選手が多かったと思います。その中で、無失点で終えたこと、そして、今季初出場となった松田陸選手について
「クリーンシートで勝てたことは、全員のハードワークの結晶です。もちろん、ジンヒョンのファインセーブもありましたが、前線の選手も含めて全員が走り切ったことが大きいです。先発で出た選手、途中から入った選手、ベンチで戦った選手、全員がハードワークした結晶です。その中で、今日の試合は、リーグ戦で悔しい思い、パフォーマンスを発揮できなかった選手もいたのですが、そういう選手たちが失点ゼロで抑えて勝てたことは大きなことです。試合前にも選手と共有したのですが、二冠を獲った2017年、そして昨年もそうですが、ルヴァンカップで勝つことでチームの競争、雰囲気が一気に上がる。これまで私もそういう経験をしてきました。また明日から、チームの成長が一気にスピードアップする。そういう大きな一勝になったと思います。松田陸に関しては、キャンプからチームを引っ張ってくれました。持ち前のリーダーシップで引っ張ってくれていました。その中で、毎熊との競争、進藤との競争で、私も(先発の)ジャッジをしていたのですが、陸は苦しい中でもプロの男として、日々、いい準備をしてくれていました。その努力の成果が今日のパフォーマンスだと思います。陸も含めて、また全員でいい競争をしながら、競争で勝ち取った選手がピッチに立つということは大事にやっていきたいです」
Q:攻撃面では、香川選手が初先発したり、上門選手が左サイドでプレーしたり、カピシャーバ選手も初出場しました。色々な成果もありましたか?
「少し立ち位置や役割を変えながら、短い期間だったのですが、練習やミーティングでトライする準備をしてきました。その中で、自分の役割を全うしてくれました。途中から出た奥埜も少し違うポジションをやりながら、奥埜、レオ、カピと、途中から出た選手が決勝点に絡んで勝利できたことは嬉しく思います。真司も、先発はかなり久しぶりだったと思うのですが、ここ数日の真司はゾーンに入っていました。何とか自分が勝利をもたらす、流れを変えると、強い気持ちでトレーニングからチームを引っ張ってくれました。今日も、パフォーマンスだけではなく、リーダーシップの面でも素晴らしい力を発揮してくれました。感謝の気持ちでいっぱいです。みんなとも共有したのですが、大きな一勝ですが、これからが勝負と。次のリーグ戦に向けて、またしっかり準備したいと思います」
Q:香川選手について、「ゾーンに入っている」という状態をもう少し詳しく聞かせてもらえますか?
「私も真司とは長年の付き合いですが、彼が研ぎ澄まされた状態の表情は何度も見てきました。この1ヶ月、ケガのリバウンドにも苦しみながら、チーム戦術の理解、選手のキャラクターの理解を含めて、よく準備してくれました。この3試合、どちらに転んでもおかしくない中で、なかなか結果が出なかった。本人も苦しかったと思います。その中で先発で出て、チームを引っ張る、勝利をもたらす、そういうオーラがトレーニングの時だけではなく、話をしている時、ミーティングからでもそういう状態でした。今日はやってくれる、という頼もしい存在でした。その準備の甲斐もあって、時間限定ではありましたが、60分しっかりパフォーマンスを発揮してくれました。彼がボールを持った時のクオリティー、そして、チームの推進力、チャンスの回数などたくさん引き出してくれました。彼もスタートだったと思うので、ここからリーグ戦に向けて準備していきたいと思います」
Q:交代で奥埜選手、レオ セアラ選手、毎熊選手と、リーグ戦でもプレーしている選手を起用したことは、どうしても勝つという気持ちがありましたか?
「そうですね。まず一番は、勝ちたかった。それが大きな理由です。もう一つは、先ほども少し触れましたが、色んなトライをしたかった。毎熊も昨年のポジションであったり、奥埜も一つ前のインサイドハーフをしたり、レオを途中から投入したらどうなのか、カピもケガから復帰して、時間限定の中で、どのようなパフォーマンスを示すのか。そういった、たくさんのトライをしたかったというのが二つ目の理由です。もちろん、若い選手も普段から成長著しい選手はたくさんいます。今日の試合で使ってあげたい気持ちもありましたが、若い選手にはチャンスは自分で掴み取るモノだと言っています。自らの力で掴んで欲しい。私が与える場ではないと思います。彼らのさらなる成長にも期待して、いい競争をしていきたいと思います」
Q:デビューとなったカピシャーバ選手について
「テクニックもあって、スピードもあって、右、左と両方できる選手です。そして攻撃面だけではなく、今日も皆さんが見ていただいた通り、守備でも献身的にハードワークしてくれます。そこも素晴らしいポイントです。コンディション不良があって様子をみていたのですが、頼もしい選手が戻ってきてくれたことを非常に嬉しく思います」
選手コメント
■カピシャーバ 選手
Q:デビュー戦で決勝点を決めた思いは?
「初出場でゴールを決めることができて嬉しく思います。レオ(セアラ)が最後まで戦ってくれたおかげで、僕のところにこぼれてきました。僕はボールに突っ込むだけでした。感謝しています」
Q:ゴール裏のサポーターの目の前で決めたが?
「そうですね(笑)。サポーターの前で決められて嬉しく思います。これからもどんどん決めて、サポーターの皆さんと喜びを分かち合いたいです」
Q:守備でもサポーターを沸かせていたが?
「セレッソのユニフォームを着ているからには、全員がベストを尽くさないといけません。そのために準備しています。グラウンドに立った時は、セレッソの勝利に向かって走り続けるだけ。僕だけではなく、全員がそれをやっていると思います」
Q:現在の自身のコンディションは?
「様子をみていましたが、スタッフの皆さんが支えてくれたおかげでピッチに立てました。これからもみんなの手助けが必要ですが、みんなで頑張って勝利を掴みたいです」
Q:周囲との連係について。プレー時間を重ねることで、もっと良くなる?
「そうですね。まだ来日して1ヶ月ちょっとしか経っていないので、この先、みんなと練習を重ねれば、コンビネーションも深まると思います。監督の言っていることは正しいですし、自分たちが間違っていないことを示してくれています。監督を信じて、突き進んでいきたいと思います」
■キム ジンヒョン 選手
Q:セーブにフィードと、かなり貢献度が高かったが?
「いやー(笑)。もう少しつなぎたいところはありました。もっと練習から合わせていかないといけないと思います。自分の感覚も、もっと上げていきたいですし、練習と試合を繰り返して、高めていきたいです」
Q:続いていた試合終盤での失点も止まりました。
「ちょっと続いていましたね。ホームですし、何よりサポーターの皆さんに勝利で貢献したかったので、カップ戦ですが、勝てて一安心です。ただ、次のリーグ戦が重要です。リーグ戦でも勝つことが大事です」
■松田陸 選手
Q:今季初勝利という結果について
「結果が求められる状況で、普段出ていない選手もチャンスをもらったので、勝ちたい気持ちは強かったです。勝てて良かったです」
Q:そういう気持ちは、松田選手自身も強かったのでは?
「そうですね。チームのためにどうプレーすればいいか。それを考えて試合に入りました。結果としても勝てましたし、チームとしても、いい時間帯が多かったので、それも良かったと思います」
Q:プレーを振り返ると、中に入るシーンも多かったように思ったが?
「ヒカル(中原)も張っていたので、うまくボールが回ることを考えていました。高い位置に行った時は、カウンターを受けないことも心掛けていました」
Q:出番がない中で、リーグ戦の3試合をどう見ていた?
「自分が出たらこうやろう、この時間帯ならこうしようとか、考えながらサッカーを見ていました。今までピッチに立ち続けていた中で出られない、自分に対する不甲斐なさが一番強かったですね」
Q:そういう思いが、今日の無失点での勝利にもつながった?
「それは関係ないです(笑)。無失点で勝つことはディフェンスにとっては一番なので。最高の勝利だと思います」
■西尾隆矢 選手
「結果としては、無失点で勝てたことはポジティブですが、内容としては、満足してはいけないのかなと。余韻に浸ることはないし、自分自身は危機感というか、喜んでいる時間はない。もっとピリッとやらないといけないですし、週末にはリーグ戦もあります。勝たないといけない試合ですし、切り替えてリーグ戦に準備していきたいです」
Q:内容を見ると、個人もチームも、やらないといけないことはある?
「そうですね。個人としても、もっともっとできることはあります。チームとしてもそうです。ただ、チームとしては、今年初スタメンの選手もいた中で、結果的に失点ゼロで抑えたことは良かったです。今日、出た選手の価値も上がったと思います。リーグ戦に出ていない選手が結果を出すことは重要です。監督も常々言っていますが、それで日頃からの競争も高まります。チームの底上げにもなります。ただ、今日出た選手も、出ていない選手も、チームとして、もっともっと危機感をもってやらないといけないと思います」
Q:0-0で終わらず、勝ち切ったことについて
「悪い流れを断ち切る意味では良かったですが、選手たちも、各々思っていることは僕と同じだと思います。満足かと聞かれれば、イエスとは言えない内容でした。僕自身もそうですし、一人一人がもっと危機感をもってやらないといけません。リーグ戦では、また強度も上がります。難しい戦いも続く中で勝点を取っていかないといけません。次だな、という思いです」
Q:終盤の時間帯について
「失点が多い時間帯という課題はあるので、僕自身、『常に集中しろ、切らすな』という声はかけていました。一人一人の勝ちたいという気持ちも出ていました。ピンチもあったのですが、そういう気持ちもあって、失点ゼロで終れたと思います」
Q:週末のリーグ戦に向けて
「もちろん、どの試合も勝ちを目指す。それは絶対条件です。今日、出ていなかった選手も危機感をもって戦って欲しい。今日は僕らが勝つことで、スタメンでも出られる自信も付きました。そこは監督も評価してくれると思います。チーム全員の総力が試されるところでもありますし、明日からまた競争が始まります。どんどん底上げして、内容も少しずつでも積み上げていきたい。なおかつ勝点も取っていくことを意識していきたいです」
■上門知樹 選手
Q:この試合は左サイドでの先発だったが、プレーした感触は?
「真司さんが、いつも僕が受けている場所でボールを受けていたので、自分がどこにいたらやり易いか、試合前や試合中も話していました。(舩木)翔とも話しながらやっていました。前半は探り探りというか、慣れるのに時間はかかったのですが、後半はだいぶやり易さを感じながらプレーできました。うまく背後を取る動きもできたので、悪くはなかったですが、もっともっとボールに絡みたいですし、まだまだ満足はできません。守備の面でやることは変わらないですし、そこは問題なくできるので、あとは攻撃でいかに関われるか、得点のところだと思います」
Q:引いた位置で受けられる分、カットインなど前向きで持った時の可能性も広がる。左も磨けば良くなっていきそうだが?
「そうですね。やり込めば、良くなっていきそうな感じはします。(FWと)両方できればもっと怖い選手になれるし、使いやすい選手にもなると思います。また左でやることがあれば、左でもゴールを目指してプレーしたいです」
■香川真司 選手
「何より勝つことが一番重要だったので、それを果たせたことは良かったです。同時に、課題を含めて、まだまだ向上していかないといけない。今日は終わったので、次に切り替えたいです。今日の勝利をプラスに捉えながら、明日からまた週末に向けて、いい準備をしていきたいです」
Q:勝利が持つ意味について
「非常に大きかったですね。今日は内容もそうですが、勝つことが何より大事でした。ここ3試合勝てなかった中で、明日からの練習でみんなに与える自信や空気感も変わります。やっぱり勝てないと苦しいですし、少し疑いを持つ状況も十分にありますから、一つ勝つことでポジティブに次に向けてやれる。同時に、試合後に選手とも話しましたが、これがパーフェクトではない。内容を含めたら、もっと改善しないといけない。前向きに次に挑めると思います」
Q:リーグの浦和戦後に、「試したいこともある」と話していたが、具体的には?
「攻守両面において、色々やることはありました。もちろん、シーズンが始まってすぐの段階でいきなりパーフェクトにやれるチームはないですが、プレスのかけ方、ボールの回し方、いい点もあれば課題もあることは現実としてあります。ただ、それは僕ら次第。足元を見つめながら向上していくしかないですし、それに尽きます」
Q:約4ヶ月ぶりの先発でプレーされて、得た手応えや感触は?
「もちろん、最初から出るのと途中出場では違いもあるので、今日、先発でできたことは良かったです。ただ、個人としても、チームとしても向上していかないといけないですし、連係面も含めて、もっともっと厚いモノにしていきたいです」
Q:攻守にトライした中で、今日、先発で出て、最も意識していたことは何でしょうか?
「このチームの一つの生命線はプレス。どうプレスをかけるか。そこから流れを掴んだり、いい攻撃につながることは、昨年のベースとしてありました。まずはそこのかけ方をコンパクトにして、意思統一しようと。全部が良かったわけではないですが、いいシーンもありました。肌感覚で感じることが大事。そして、みんなも言っているように、このままではいけないわけで、もっともっと厚みをもって、良くしていかないといけない。タフな戦いは続きます。それはみんなも自覚しています。次のリーグ戦も勝たないと、今日の勝利の意味も薄くなる。次のリーグ戦に向けて、しっかり準備していきたいです」
カピシャーバが決勝点。無失点で今季初勝利を飾り、ルヴァンカップの好スタートを切る
「2年連続準優勝ということで、私だけではなく、セレッソファミリーの皆さんにとっても、ルヴァンカップに懸ける思いは深いモノがあります。もう一度あの舞台に戻りたい、リベンジしたい、そういう思いが深く、私の中にもあります。まず明日、いいスタートを切れるようにしたい」。試合前日、小菊昭雄監督がそう話して迎えた今季のJリーグYBCルヴァンカップ、グループステージ第1節。ホームにFC東京を迎えたセレッソ大阪は、直近のリーグ戦から先発を9人変更。松田陸、喜田陽が今季初出場、香川真司、中原輝、進藤亮佑が今季初先発を果たした。
試合は序盤から一進一退の展開に。互いに良い守備からの素早い攻撃でチャンスにつなげる。15分、セレッソは自陣でのミスが続きピンチも招いたが、西尾隆矢の落ち着いた対応などもあり無失点でしのぐと、17分に決定機。松田のインターセプトから分厚い攻撃を仕掛けると、上門知樹のクロスに加藤陸次樹がヘディングで合わせたが、わずかにクロスバーを越えた。21分には右サイドを崩され決定的なピンチも、ここは相手のシュートが枠を外れて事なきを得た。前半、セレッソはややつなぎの場面でミスもあったが、加藤と香川の2トップから始まる守備は整理され、ビルドアップの際は香川が中盤に落ちて構成力を高め、ボールを前進させていく。42分には、キム ジンヒョンからスタートした攻撃で、原川力、香川、中原、松田と経由して最後は加藤が際どいシュートを放った。
後半も、両チームが交互に主導権を握る時間帯が訪れながら、徐々にセレッソがボールを支配すると、57分、58分と連続して舩木翔を起点に左サイドを崩しかける。60分、FC東京は3枚代えで前からの圧力を強めてきたが、セレッソも相手のプレスの矢印を見ながら冷静に対応。慌てることなく試合を運ぶ。小菊監督も奥埜博亮、レオ セアラ、毎熊晟矢と立て続けに交代カードを切り、試合を動かしにかかる。80分には、セレッソでのデビュー戦となるカピシャーバも投入。すると、86分、待望の先制点を奪う。西尾のフィードをカピシャーバが収め、レオ セアラがドリブルで前進。ここから毎熊、奥埜、レオ セアラとつないで崩すと、最後はレオ セアラのクロスに逆サイドからカピシャーバが体ごとボールを押し込み、ネットを揺らした。
終盤、FC東京に攻め込まれる場面もあったが、「僕自身、『常に集中しろ、切らすな』という声はかけていた。一人一人の勝ちたい気持ちも出ていた。ピンチもあったが、そういう気持ちもあって、失点ゼロで終われたと思う」と西尾が振り返ったように、GKキム ジンヒョンを中心に最後まで集中力を高く保ち、無失点で試合を終えることに成功。「クリーンシートで勝てたことは、全員のハードワークの結晶」と小菊監督も称えた。総力戦の中で今季初勝利を手にしたことで、「チームの成長、絆を深める大きな一勝になった」(小菊監督)ことは間違いない。ただし、指揮官自身、「これからが勝負。次のリーグ戦に向けて、またしっかり準備したい」と気持ちは週末のリーグ戦へ切り替えていた。次なる戦いは、3日後に行われる明治安田生命J1リーグ第4節・サガン鳥栖戦。リーグ戦における今季初勝利を目指す。