2023明治安田生命J1リーグ第4節

2023明治安田生命J1リーグ

2023.3.12

セレッソ大阪

香川 真司 (38')

加藤 陸次樹 (52')

2

HOME

FULL TIME

1

1-0

1-1

サガン鳥栖

本田 風智 (86')

ヨドコウ桜スタジアム

15,714

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

香川真司に待望の復帰後初ゴール。ルヴァンカップに続き、リーグ戦でも今季初勝利を飾る

JリーグYBCルヴァンカップ・グループステージ第1節から中3日。セレッソ大阪は、再びホームにサガン鳥栖を迎え、明治安田生命J1リーグ第4節に臨んだ。スタメンは前節から3人変更。ルヴァンカップでも好プレーを見せた加藤陸次樹、香川真司、松田陸が連続して先発した。

守備時は加藤と香川の2トップ、ボール保持の際は香川が降りて、奥埜博亮、鈴木徳真と中盤を形成する[4-3-3]。可変式で臨んだセレッソは、立ち上がりからホールを握って試合を進める。鳥栖のアグレッシブな守備を前に、なかなかボールを前に運べずにいたが、13分、松田のパスから逆サイドの背後を取った為田大貴がチャンスを迎えると、21分には高い位置で松田が奪い、ショートカウンターから香川がドリブルで進入してシュート。惜しい場面を作る。31分にも松田と香川で右サイドを崩すと、最後は鈴木のクロスに奥埜が頭で合わせて決定機も、シュートはわずかに枠を外れた。この間、自陣でのつなぎのミスからピンチを招く場面こそあったが、最後はマテイ ヨニッチや鳥海晃司が体を寄せて、鳥栖に決定打は許さない。すると38分、セレッソが先制に成功。決めたのは、セレッソ復帰後、リーグ戦では初先発となった香川だ。鳥栖の後方でのパス回しに対し、毎熊晟矢が前から素早く寄せて、パスカット。高い位置でボールを奪うと、加藤がGKをかわして中へクロス。待っていた香川が倒れ込みながらうまく左足で合わせ、ネットを揺らした。ゴールが決まった瞬間、スタジアムは大歓声に包まれ、セレッソのベンチも総出で背番号8を祝福した。

後半、序盤こそ鳥栖に攻め込まれたセレッソだが、すぐに落ち着きを取り戻すと、52分に追加点。山中亮輔のフィードを前線で奥埜が収め、為田がドリブルで運んで左足でクロス。マークを外してフリーになった加藤が完璧なヘディングで合わせ、鳥栖を突き放した。ここから選手やシステムを変えて反撃に出てきた鳥栖に対し、セレッソも後ろでうまく回しつつ、鳥栖にチャンスは作らせない。68分には、前からの連続したプレスでボールを奪ってショートカウンターを発動。加藤にビッグチャンスが訪れたが、シュートはクロスバーを越えた。直後に加藤、香川に代わり、レオ セアラ、上門知樹がピッチに入る。プレスの強度を保ちつつ、試合を決定付ける3点目を狙いにいくセレッソ。75分には、為田のクロスに上門が絶妙なトラップからゴールに迫ったが、惜しくもDFに阻まれた。試合終盤、鳥栖に右サイドを崩され1点こそ返されたが、交代で入ったカピシャーバが絶妙なボールキープで時間を使いつつ、最後は全員が体を張って失点は阻止。このまま2-1で試合を終えて、リーグ戦の今季初勝利を達成した。

試合後、「先制点がもつ意味は大きかったですし、勝利につながったことが何より。(シュートは)抑えるイメージで打ちました」と喜びの声を伝えた香川だが、「もっと質を上げていかないといけない。それは個人的にもそう。もっともっとミスなく、みんなでいいポジション取りを常に心掛けてやれば、もっといいサッカーになる」とさらなる高みへ向かう決意を示した。ルヴァンカップ、リーグ戦と、聖地・ヨドコウ桜スタジアムで公式戦2連勝を達成したセレッソ。次節はリーグ戦での連勝を目指し、敵地での川崎フロンターレ戦に挑む。

監督コメント

■小菊昭雄監督

「課題はあったのですが、たくさんの時間帯で、攻守に自分たちがゲームを支配できたこと、その中で勝てたことを嬉しく思います。公式戦2連勝、ホームでできたことは素晴らしいことだと思います。何よりチームの成長を加速させる勝利になったと思います」

Q:リーグ戦3試合と直近のルヴァンカップの試合を踏まえてだと思うが、前節から前線と右サイドの選手を代えたが、その狙いは?

「攻撃に関しては、意図的に崩すシーンも増えました。実際、リーグ戦3試合も点は取れている状況でした。ただ、自分たちの強みである守備のところに課題がありました。ルヴァンカップでトライをしながら、練習も見ながら、昨年良かった守備の連動性、狙いどころを定めてボールを奪う、その共有をこの試合では大事にして臨みました。それが今日のメンバーで臨んだ理由です」

Q:今節はボールを持てる時間も長かった。ボール保持の際は香川真司選手がインサイドハーフに入る[4-3-3]でした。キャンプでは、今日の香川選手の位置で清武弘嗣選手がプレーしていましたが、改めて開幕と言いますか、キャンプでやってきたことが、この試合で発揮できたのでは?

「そうですね。攻撃に関しても、自分たちの時間が多かったですし、狙いとして準備してきたこともたくさん出せました。キャンプでは[4-3-3]も取り組んできたのですが、キャプテンの清武が長期離脱し、真司もコンディションを上げていかないといけない状況でした。今日、まさしく準備してきたことが出せた初戦、と言えるかも分からないです」

Q:香川選手の復帰後初得点で、リーグ戦の今季初勝利を挙げたことについて

「(得点については)さすがの一言だと思っています。あのゴールシーンは、昨年の強みだった前からのプレスでボールを奪い、全員で取ったゴールですが、その中でも彼のシュートテクニックは、やはり真司だなと改めて感じました。彼のゴールで勝てたことも、チームにとって大きなこと。何よりもルヴァンカップからの連戦で、コンディションも大変だったと思いますが、この2試合、自分が先発して勝ちたい、チームの流れを変えたい、そういう思いで取り組んでくれたことが今日の結果につながったと思います。チームの鑑として、グラウンドレベルだけではなく、ピッチ外でも素晴らしい影響を与えてくれています。彼のリーダーシップに感謝しています」

Q:最後、カピシャーバ選手、クルークス選手の投入意図について

「サイドハーフのポジションは、毎熊、為田が前半からずっとハードワークをしてくれていましたので、疲弊が見られました。もう一度、推進力を出したいと思い、交代させました」

選手コメント

■加藤陸次樹 選手

Q:ルヴァンカップに続き先発出場したが?

「僕自身としては、数字にフォーカスして試合に臨んだので、得点とアシスト、結果が出たことは良かったです」

Q:「昨年の自分たちの強みだった守備も大事にして」という監督の言葉もあったが、まさに1点目は、毎熊選手を含めてうまく取れたことが得点につながったが?

「そうですね。チームの狙い通りというか、ショートカウンターは昨日の練習でもうまくいっていたので、そこは自信をもって臨みました。それが結果につながったことは良かったです」

Q:あの場面は、自身で狙うかな、とも思ったが、クロスにした判断は?

「最初はターンしようとしたのですが、ターンしてGKに取られたら怖いなと思ったので、一回トラップしました。その後、GKをかわしたのですが、角度がなかった。トラップした瞬間、真司くんが中にいることは分かったので、真司くんが中にいることを信じてクロスを上げました」

Q:香川選手の復帰後初ゴールをアシストする形になったが?

「アシストできたことも嬉しかったですが、一番は、自分が得点を取れたことが嬉しいです」

Q:自身の得点シーンについて

「(アシストの)為田選手には『どんどんクロスを上げてくれ』と言っていたので、共通理解の中で取れたゴールでした。欲を言えばもう1点取りたかったですが、そこは次節に取っておこうと思います」

Q:中3日での先発だったが?

「準備はしていました。ルヴァンカップが終わったあとも、次も出たい気持ちがありました」

Q:序列がいい意味でないというか、これからもポジションの競争は続く?

「それが今のセレッソの強みですし、ウカウカしていたら、僕もすぐにポジションを奪われる。日頃から常に競争はしていきたいです」

Q:アシストについて、香川選手から何か声はかけられた?

「ハーフタイムに『よく見ていたな』と言ってもらいました。でも僕はFWなので、『次は自分が取れ』とも言ってもらいました。自分自身も分かっていたので、2点目が取れて良かったです」

 

■香川真司 選手

Q:サポーターみんなが待っていた瞬間だったと思うが、ゴールを振り返ると?

「先制点がもつ意味、僕たちのホームという意味を含めて大きかったですし、勝利につながったことが何よりです。(シュートは)抑えるイメージで打ちました」

Q:いい流れの前半に取れたことが大きかった?

「そうですね。先制点を取りたかったですし、前半のうちに取れたことが、後半にもつながったと思います。うまくゲームをコントロールする意味では、先制点がキーだったと思います。うまくムツキ(加藤陸次樹)が見ていたなと。落ち着いてパスを出してくれたので、いい崩しだったと思います」

Q:今日はビルドアップでも、香川選手が下りて中盤に入ることでスムーズに流れていたが、狙いとしてもっていた?

「そうですね。ゲームをどうコントロールするか、選手の立ち位置も含めてビルドアップはもっともっとクオリティーを上げていかないといけない。今日は相手が3バックだった分、ある程度やれるだろう、ということは想定していましたが、もっと質を上げていかないといけない。それは個人的にもそうです。ただ、今日はいい距離感でやれたシーンはあったので、それをもっともっとミスなく、みんなでいいポジション取りを常に心掛けてやれば、もっといいサッカーになると思います。ただ、パスをつなぐだけがサッカーではないので、そのバランスはうまく取りながらやっていきたいです」

Q:組み立てに関与した上で、フィニッシュにも関わることが自身の仕事でもある?

「そうですね、間違いなくそうですね。いかにゲームを落ち着かせるか、試合を組み立てるか。それは僕がこのチームにもたらせるものだと思うし、連係と意思疎通は、やればやるほど選手も理解して、質は上がっていく。やれる選手はたくさんいます。中盤での優位性を保つことができれば、チームとしてももっとレベルアップすると感じています」

Q:鈴木選手も「香川選手がいいところに受けに来てくれることで、ボールの回りがスムーズになる」と話していたが、香川選手自身、奥埜選手と鈴木選手で組む中盤にやり易さはある?

「そうですね。今日は徳真とオクと、誰かが出たら、誰かが落ちて。それは喋らなくてもお互いを見て、いい距離感でやれました。全てではないですが、そういう距離感でできました。お互いを見る意識は、強いチームになるためには必要。自分だけではなく、いかに味方を生かすか、そういう動きの質、ボールの回し方は求めていかないといけない。それをやれる選手たちなので、もっと連係を取っていけば、いい中盤になると思います」

Q:リーグ戦4試合目で初ゴールが生まれたことについて

「結果が出るに越したことはないですし、ファン、サポーターからの期待も感じています。結果を出すために、自分は地道なハードワークが必要になります。この1点に浮かれることなく、もっともっといいパフォーマンスを示し続けたい。チームメートと一緒になって、やっていきたいです」

Q:誕生日前、33歳としては最後の試合だったが、その試合で結果が出たことは?

「それは何とも思わないですね(笑)。年齢は関係ないですから。自分が成長し続けたい、という意欲がある限り、いいパフォーマンスを見せられると思います」


■鈴木徳真 選手

Q:今日の中盤の組み合わせは、先発では初めてだったが、やってみて、いい形でボールを握れる手応えもあった?

「そうですね。真司さんが気を利かせて間に落ちてくれたり、一つ前のスペースを使ってくれるので、相手も掴まえ辛かったと思います。おっくん(奥埜)も、高さ調整と、逆サイドの絞りと、アクセントになる、受けて出して、をしてくれるので、相手も捕まえ辛かったと思います」

Q:前節、ジンヒョン選手が復帰してパスの回りが良くなり、さらに今節、そのイメージは膨らんだ?

「まだまだ良くなると思います。結果につながったことで、いいイメージになっているのではないかと思います」

Q:実際、今日のピンチは、パスやボールの失い方が悪い場面から生まれた。狙っている裏返しだとは思うが。

「ジャッジが遅いときに、そういうことが起こると思います。周りが助けることが必要になってきます。もう少し阿吽の呼吸になると、人もスッと出てきて、ジャッジもし易くなる。そこは時間の問題、すり合わせの問題だと思うので、詰めていきたいです」

Q:パスを出す瞬間がワンテンポ遅く、相手に捕まる場面もあったが、持っている選手の責任より、受け手の問題でもある?

「そうですね。流れとリズムが出ていないときは、出し手も困っています。そこでいかに、1人、2人、もしくは3人が関われるか。相手が数的不利になるような。相手を困らせるポジショニングは必要になると思います」

Q:そのベースとなる部分は、今日、作れた?

「そうですね。真司さんとおっくんが気を使って真ん中で作りながら、外を使う。外からまた真ん中も使う。それは、少しはできたと思います」

Q:誕生日で、2年連続勝利ですね(笑)。

「今年、初めてゲームキャプテンを任せてもらった試合で初勝利が誕生日。昨年のJ1初ゴールも、記録がかかっていたり(自身のJ通算100試合)、ムツキ(加藤)の誕生日だったり。イベントごとの日に勝てたことは嬉しいです。試合後、ファン、サポーターの皆さんが誕生日の日に歌ってくれる景色はなかなか見られないので、幸せを感じています。さらに頑張らないといけない気持ちになりました」

Q:キャプテンマークを巻くことで、意識も変わる?

「やっぱり、一人、どっしり構えているキャラクターはいないといけないと思うので、責任は感じています」

 

■毎熊晟矢 選手

Q:今節は右サイドハーフでの先発だったが、準備段階でどういう意識で今日を迎えた?

「ルヴァンカップで途中から出て、特に違和感もなかったですし、監督とも『どっちでも準備しています』という話はしていたので、いつも通りの気持ちで臨みました」

Q:先制点は毎熊選手の守備から始まったが、前の4選手の守備は、コミュニケーションを取れる分、うまくハメやすい?

「そうですね。ムツキとタメくんは、昨年から前プレをやっていましたし、開幕から3試合、前からの守備がハマっていないことはチームでも話していました。後ろから見ていても、こうやれば、ということは自分の中でもあったので。1点目も、チームとして狙っていた形でした。うまくハマって良かったです。いい守備からのいい攻撃は監督も常に求めている部分でもあるので、チームとしても続けていきたいです」

Q:ルヴァンカップの試合後、香川選手が「一番、意識していたのは前からの守備」という言葉もあったが、試合中、香川選手からの声がけもある?

「そうですね。昨年と違うのは、試合の中で相手のフォーメーションや狙いを見て、うまくいかない時にピッチの中で話し合えていること。今日はハーフタイムで少し守備のやり方も変えたのですが、試合の中で変えられることは、昨年からの上積みの部分かなと思います」

Q:リーグ戦での今季初勝利について

「チームとしても、満足せず継続していかないといけないですし、個人としても、便利屋とかではなく、どっちで出ても高いパフォーマンスを発揮できると思っているので、もっともっと自分にベクトルを向けてやっていきたいです」

 

■松田陸 選手

Q:ルヴァンカップに続き、リーグ戦でも初先発で勝利を飾ったが?

「勝てたことが素直に嬉しいです。チーム全体で最後もしっかり守り切って勝てたこと、ここで一つ勝てたことは自信になります」

Q:個人としても、リーグ戦での先発は、また違う意気込みもありましたか?

「ルヴァンカップでは、勝って自分の力を証明したかったので、そういう気持ちで試合に入りましたが、今日に関しては、リーグ戦で勝ててない状況を考えて、この試合に絶対に勝つことだけを意識して入りました」

Q:毎熊選手との縦関係は、昨年築いた部分もあり、スムーズに機能する?

「マイクは守備でも頑張って走ってくれるので、自分の仕事としては、ボール回しやチームを安定させることに集中できますね」

Q:今日の[4-3-3]でのビルドアップについて

「みんな落ち着いてボールを回せていたと思います。次節、フロンターレ相手にどれだけできるか、これから自分たちが上にいけるかどうかに関わってくると思うので、次の試合が楽しみです」