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MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊昭雄 監督
「予想通り、強度の高い、切り替えの速い、タフなゲームになりました。前半の20分、25分くらいまで、これも想定内でしたが、川崎のボール保持に苦労しました。そこから自分たちの形も少しずつ出てきて、いい守備からいい攻撃、準備してきたカウンターの形も再三、作れました。もちろん選手たちは勝点3を目指して戦いましたが、この勝点1は非常に大きな勝点1だったと思います。アウェイで素晴らしい相手に今シーズン初の失点ゼロで終われて、攻撃でもあとわずかというシーンも作れました。大事なことは、この勝点1を次のルヴァンカップのダービー、リーグ戦の横浜FM戦につなげていくことです。全員でいい準備をしていきたいと思います」
Q:前半、相手のペースをはね返して、相手も見ながら押し返せたことは評価できる?
「そうですね。昨年、4度川崎と対戦したのですが、スカウティングの中でも最初の20分はかなり前から圧力をかけてくる、攻撃の矢印を強く前に向けてくると、選手たちとも共有していました。最初は我慢だと。そうした精神的なつながりは強く持っていました。ただ、相手の守備の仕方が、私たちが想定してきた守備の仕方と違う部分もありました。少し徳真のところでブロックもされながら。その中で、臨機応変に徳真、オク(奥埜)、(香川)真司がいいポジションを取りながらビルドアップに参加してくれたことが、ゲームを落ち着かせた要因だと思います」
Q:今季初の無失点について
「失点ゼロで終れたことは嬉しく思っています。もちろん、勝って帰りたかったですが、先ほど申し上げた通り、アウェイで川崎という素晴らしい相手に全員でしっかり守れたこと、失点ゼロで終れたことは、ポジティブな点だと思います」
Q:香川選手、奥埜選手、鈴木選手で組む中盤のローテーションについて
「3人のローテーションは、今の我々のサッカーで肝になっているところです。サッカーIQの高い3人なので、相手の変化を見ながら、自分たちのバランスも見ながら、正しいポジションを取り続ける。味方を見ながら、ポジションを変える。その連係は非常によく取れています。もちろん、その3人と連動して、前の選手、サイドバックの選手とも連動しないといけないですが、心臓部のところが安定してきたことが、公式戦3試合負けなしの大きな要因だと思います」
選手コメント
■マテイ ヨニッチ 選手
Q:互いに決定機もあった中でのスコアレスドロー。この結果をどう受け止めますか?
「チャンスが両チームにあったので、今回の引き分け、痛み分けは妥当かなと思います。どっちに転んでもおかしくなかった。自分たちにとって、リーグ戦では今季初の無失点なので、そこを自信にして、次のダービーに向けていい準備をしていきたいです」
Q:今日は中でしっかりはね返す場面も多かったが?
「自分自身の状態も良かったですし、うまくはね返せたと思います。そこは自分も自信になりました。いい形で次に向かっていけると思います」
■鈴木徳真 選手
Q:立ち上がりは相手のペースで、徐々に盛り返せた時間帯もあったが?
「もっと相手が落ちるかなと思ったけど、落ちなかったですね。(ビルドアップでは)引き込む形が続きました。前を向きたかったけど、ボールが入った後の相手のチェイシングも激しかった。はがしても、そこで取られたら自分たちのビルドアップも広がっているので、難しかったですね」
Q:相手の寄せや強度が、想定より高いままゲームが進んだ?
「そうですね。うまくコントロールできなかったと思います。全部、自分の中で一拍遅れてしまった。攻撃に切り替わった時も、一つポジション取りのスピードも遅かった。守備でもどうハメるか、一歩遅れた。どうしたら良かったのか。映像を見て確認したいと思います」
Q:高い位置まで押し上げた中でのフィニッシュは、あまり作れなかった?
「そうですね。カウンターだけでしたね。内容としては課題の方が多かったです。アンカーを消してくるチームはこれからも出てくる。アンカーを消して、サイドでハメにくる。昨年も広島とかはそういうやり方をしてきました。こういう相手をどう打開していくか。崩す形を自分としてもチームとしても見つけていきたいと思います」
Q:攻守にうまくハマらない時間帯が多かった中でも、リーグ戦では今季初の無失点で、アウェイで勝点1を持ち帰れたことについて
「相手に持たれた中でも負けなかったことはプラスですね。カウンターでチャンスを作り続けることもできました。やりたいことがあまりできなかったことを見るのではなく、そういう戦い方も自分たちにはある、ということは強みにしていきたいです。(試合の構図としては)分かり易くて面白いゲームだったと思います。けど、今年はそれだけじゃないよね、という部分では、課題が残るゲームでした」
■毎熊晟矢 選手
Q:苦しい時間帯も多かったですが、決定機も作れていました。0-0というスコアをどう振り返りますか?
「(ボールを)持たれたことに関しては、さすがだな、という印象があります。なかなかハメどころがないというか、人数をかけて回して来るので、相手のうまさがありました。決定機は五分五分だったと思います。自分のところにも結構あったので、決めないといけなかったと思います」
Q:2列目で出るからには、チャンスは仕留めたい?
「仕留めたいですし、仕留めないと勝てない、上にはいけない。自分の課題です」
Q:チームとしても、このような相手に、狙いとしている攻守をもっと発揮することが次の課題になる?
「守備に関しては、今節は自分たちの狙い通りに奪うシーンがあまりなかったです。前から行くときと、ブロックを固めるとき、どちらにせよ、自分たちから取りにいくことが自分たちのスタイルだと思うので、こういう相手でも、自分たちの強みを出せるようにしていかないといけない。ビルドアップの部分も、何度かいい形は出せましたが、その回数をもっと増やさないといけない。相手がうまいからこそ、こっちのボール保持の時間ももっと作らないといけない。細かなミスもありましたし、もっと連係面は深めていかないといけないです」
Q:特に後半は守勢に回る時間帯が長かった?
「イメージとしては、昨年も、最初は川崎さんの圧力に押されて、耐えたところから、後半、相手が落ちたところを攻めることができたのですが、こっちもガンガン、ハイプレスに行くわけではなかったので、後半も相手が思ったより落ちなかった。そこが後半もペースを握られた要因になった印象です」
Q:攻守にうまくハマらない時間帯が多かった中でも、リーグ戦では今季初の無失点で、アウェイで勝点1を持ち帰れたことについて
「無失点に関しては、チームとして自信は持てました。ただ、勝ちに来たので、悔しさの方が大きいですね」
■香川真司 選手
「無失点で抑えたことはチームとして大きいですが、前半を含めてチャンスは何度かあったので、そこで決めていれば、勝てた可能性もあります。ただ、後半の内容を見れば。引き分けも妥当かなと思います」
Q:前節から、奥埜選手、鈴木選手と中盤で組むようになった。うまくチャンスを作れていた場面もあったが?
「相手がボールを握ることは想定していましたが、その中でも自分たちがボール保持する時間を作ることは考えていました。スペースもあると思っていました。それを狙えるように、意識していました。前半、うまくビルドアップしながら、相手のスペースを突きながら、何度かチャンスもありました。後半もカウンターからチャンスは作れました。ただ、後半は押し込まれる時間帯が続いてラインも下がり、そこからの打開策が見つからなかったかなと。試合の中でうまく修正して、相手の嫌なところを突いていかないといけない。選手とも話しましたが、後半は課題が残るゲームでした。ただ、守備陣については、よく失点ゼロで抑えてくれたと思います。そこは良かったと思います」
Q:次の公式戦は、ルヴァンカップでの大阪ダービーになります。
「継続してやり続けるだけですね。アウェイですし、相手も川崎だったので、今日は負けなかったことも大事。ただ、僕自身も含め、まだまだ課題はあります。もう少し攻撃のところで関わりたいと感じたし、チームとしても、もう少しボールを保持したり、勇気を持ってトライしたり。アウェイということもありましたが、後半は守備一辺倒になってしまった。今日、出た課題を修正して、次の試合に向けて、いい準備をしていきたいです」
川崎フロンターレと真っ向勝負の末に勝点1を獲得。リーグ戦では今季初の無失点も達成
リーグ戦での今季初勝利を挙げた明治安田生命J1リーグ第4節・サガン鳥栖戦から中5日。セレッソ大阪は、連勝を目指し、敵地での川崎フロンターレ戦に挑んだ。先発は鳥栖戦と同じ11人。雨が降りしきる中でのキックオフとなった。
開始早々、セレッソは右サイドを破られシュートを受けるもGKキム ジンヒョンが好セーブ。その後も川崎にボールを支配され、守勢に回る展開が続く。ただし、「最初の20分は、(川崎が)かなり前から圧力をかけてくる、攻撃の矢印を強く前に向けてくることは選手たちとも共有していた」(小菊昭雄監督)と、慌てることなくマテイ ヨニッチを中心にしっかりはね返した。この時間帯、セレッソはボール保持もままならなかったが、18分、アンカーの鈴木徳真がCBの間に落ちてボールをさばき、打開。すると、ヨニッチの絶妙なフィードを受けた山中亮輔のクロスから決定機。ファーサイドの加藤陸次樹へ山中がピンポイントクロスを届けたが、加藤のヘディングはクロスバーを越え、惜しくも先制とはならなかった。
21分には、高い位置で奥埜博亮がボールを奪ってチャンス。為田大貴がドリブルで運んで中へパスを送ると、最後は香川真司がシュートを狙った。前半の中盤から終盤は、セレッソの保持率が上回り、香川も巧みな位置取りでボールに関わり、サイドを崩す。38分、香川のパスを受けた山中が再び鋭いクロスを入れると、今度は中で毎熊晟矢が合わせたが、シュートはわずかに枠を外れた。前半、序盤の川崎ペースをはね返し、セレッソが主導権を握って折り返した。
後半も立ち上がりは川崎に押し込まれる時間帯が続いたが、セレッソも機を見て反撃。54分、山中のパスから奥埜が起点を作り、毎熊がシュートを放つと、59分にもビッグチャンス。左サイドで起点を作り、最後は右サイドの松田陸が中へクロス。DFがクリアしたこぼれ球を毎熊が詰めたが、GKに防がれた。69分、小菊監督は最初の選手交代を行う。加藤と香川に代え、レオ セアラと上門知樹を投入した。73分には、キム ジンヒョンからの1発のキックで決定機。川崎のDFがロングボールの処理を誤り、毎熊がGKとの1対1を迎えたが、間合いを詰められ、ネットを揺らすことはできなかった。前半を含めて好機を仕留め切れずにいると、終盤は川崎の猛攻を受ける展開に。特に76分、川崎が小林悠と宮代大聖を投入して以降は自陣に押し込まれ続けた。86分、90分とクロスから両者に決定的に近いヘディングも浴びたが、キム ジンヒョンを中心に失点は阻止。開幕から4試合続いたラスト15分での失点も止まり、リーグ戦では今季初の無失点を達成した。
結局、スコアは動くことなく0-0で試合終了。全体を通しては川崎にボールを握られる時間は長かったが、セレッソも決定機を作っただけに、どこかで1点を取って勝ち切りたいゲームではあった。それでも、今季初めて敵地でつかんだ勝点1の価値も大きい。序盤の劣勢を修正して主導権を握り返したこと、終盤の猛攻をしのいで無失点で抑えたこと。今後につながる好材料も多く手にした。代表ウィークのため、リーグ戦の次節は2週間後。次なる試合はJリーグYBCルヴァンカップ。舞台は大阪ダービーだ。チームとして課題修正に努め、確実に前進した3月の戦いを勝利で締め括りたい。