第8節
2023明治安田生命J1リーグ
2023.4.15土
FC東京
渡邊 凌磨 (68')
1
AWAY
FULL TIME
2
味の素スタジアム
0-0
1-2
セレッソ大阪
奥埜 博亮 (59')
奥埜 博亮 (84')
味の素スタジアム
16,939人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊昭雄 監督
「我々が今、新たにチャレンジしている4-3-3での攻撃と守備(を表現するために)、そして、今置かれている順位を考えたとき、ここからトップ5、トップ3、優勝争いに絡んでいくために、その両面で、今季を占うターニングポイントになる試合だと選手たちと共有して試合に入りました。一進一退のゲームだったと思いますが、なかなか勝てなかった味スタでチーム一丸となって勝ち取れた、大きな勝利になりました。一つ一つ積み重ねている新たなチャレンジを一気にスピードアップさせるゲームになったと思います」
Q:選手起用について。アンカーに原川選手を起用した理由、そして、カピシャーバ選手の負傷交代後、クルークス選手を入れた理由について
「2つとも同じ答えになってしまうのですが、今までも私は常にトレーニングでのパフォーマンス、日々の競争を大事にしてきました。その中で、原川力も、昨年の大きなケガから復帰して、今年もコンディション不良で少しチームを離れる期間もあったのですが、非常にパフォーマンスは良かったです。カピシャーバ、その後に交代で入ったジョルディ、彼らも先発で出たりメンバー外になったりしながら今があるのですが、毎日、素晴らしいトレーニングを積んで、高いパフォーマンスを発揮してくれています。そこに尽きます」
Q:冒頭で「新たなチャレンジ」という言葉もあったが、キム ジンヒョン選手からつないで中央、そしてサイドを崩して取った2点目は、取り組みの成果が出た?
「そうですね。今日のハーフタイムでも、映像を用いながら、選手ともいいシーンを共有しました。昨年の良さである堅守速攻プラス、今年は自分たちでしっかりゲームをコントロールする時間を増やすことに取り組んでいます。ただし、それはあくまでも手段であって、常にゴールを脅かす、ゴールを狙うことが大事です。その中で、しっかりとボールを握る、主導権を握る取り組みをしていますが、今日の得点シーンも含めて、自分たちでゲームをコントロールする時間帯と、保持しながら速い攻撃に移る。その使い分け、両面のいいところがたくさん出たことは嬉しく思います。4-3-3の守備も、4-4-2とは違いますが、選手を生かす、チームが躍動するために、4-4-2の守備も大事にしながら、4-3-3-の守備にもトライしています。また、今日のポイントであった、相手のCBにいかにプレスをかけるか、そこはレオだけではなく、インサイドハーフの真司とオク、ウィングの2人も含めていい守備ができて、高い位置でボールを奪って攻撃につなげられたことも、今日の大きな収穫です」
Q:2得点を決めた奥埜選手について。奥埜選手の2得点は昨年の大阪ダービー以来ですが、昨季はそこから快進撃が始まりました。
「今はインサイドハーフで真司とプレーしていますが、もともと、彼が一番輝くポジションだと思います。今日はゴールシーンだけではなく、攻守両面において、どこへでも常にボールあるところで存在感を発揮してくれていました。ゲームを組み立てるところ、ゴール前に出ていくところ、彼の良さが十二分に出たゲームだと思います。私自身も思い出したのですが、彼の2ゴールでダービーに勝ってから、昨年はチームが一気に成長して、勝利を重ねていきました。冒頭で申し上げたように、今日は本当に大事な試合だと思っていた中で、オクの2ゴールで勝てました。昨年の流れになるように今後も取り組んでいきたいと思います」
Q:インサイドハーフの香川選手と奥埜選手の役割について。香川選手がバランスを取って、奥埜選手がより高い位置を取る?
「基本的にはアンカーの原川がバランスを取って、奥埜と真司がローテーションをしながらスペースを見つけていく。3人の距離感を大事にして、彼らの良さである技術、パスを発揮して前進していく。その中で、彼らのポジションチェンジやスペースを見つけるお互いの目、能力は、彼らしか奏でられない感覚だと思います。時間が経つごとに、いい連係シーンが生まれる回数も増えていくと思います」
選手コメント
■奥埜博亮 選手
「ルヴァンカップ、リーグと悔しい負け方をしたので、チームとしても勝利だけが欲しかった試合でした。その試合で勝てたことは重要なこと。『今日勝って、また上を目指していこう』という話もあったので、大事な1勝になりました」
Q:得点に絡むことは、インサイドハーフのポジションとしては求められる役割の一つ?
「レオの近くにいたり、ゴール前に入っていくことで相手の脅威になります。2列目から入っていくことで、相手もマークにつき辛い。スペースへ入ることは意識していました。今日は得点という結果で勝利に貢献できて良かったです。(2点目のシュートは)いい感じで力が抜けていました(笑)。ジョー(上門)のパスもスピードがあって良かったので、ミートすることだけを心掛けていました。当てることに集中しました」
Q:山中選手のFKに合わせた1点目を振り返ると?
「亮輔は他のキッカーと(比べて)助走のタイミングやボールを蹴るまでのスピードが独特ですし、ボールのスピードもある。練習からいいボールが来ていました。あそこにギリギリのタイミングで走り込めば相手もついて来られない。それは意識していました。いいタイミングで入れたし、いいボールが来ました」
Q:1試合2得点は昨年の大阪ダービー以来だが?
「そうですね。たまにあるので(笑)。増やしていければいいですが、誰が取っても勝てればいい。その中で自分が取れたらいいですね」
Q:追いつかれた時間帯は、ピッチでどのようなコミュニケーションを取っていた?
「スーパーゴールだったので、逆に切り替えることができました」
Q:今日の中盤3枚で意識していたことは?
「距離感と、自分たちのところで相手をはがすことですね。それができればチャンスにつながる。うまく時間を作るところと相手を外すところは意識していました。なるべく僕と真司が沈み過ぎないように。守備もそうですし、なるべく高い位置を取って相手の嫌がることを意識していました」
Q:奪ってからのカウンターに加え、中央で起点を作ってつないで崩すことも、今季目指す上積みの部分ですね。
「そうですね。相手がマンツーマンで来ようが、個の力や近い選手とのワンツーで外すことができれば相手は後手を踏み、大きなチャンスになる。中盤の距離感やリズムは大事にしたいです」
■香川真司 選手
Q:「今やっていることを継続することが大事」という言葉もあった中で、次の試合で結果を出せたことについて
「結果が全てですし、プラス、内容も今日は良かったので、チームとしての自信も感じる試合になりました」
Q:つないでくる相手に対し、前から奪ってカウンターもあり、2点目のように後ろからつないで崩すシーンもあり、両方できることが、高いレベルのチームになるためには必要?
「そうですね。そのクオリティーはもっと上げていける。まだ自分たちのミスで苦しんでいる場面もあるので。上にいくためにはクオリティーを上げないといけない。ただ、チームとしてのやりたいこと、やろうとしていることの色は出せたのではないかと思います」
Q:2点目は後ろからつないで崩せたが、狙いにありましたか?
「前半から、うまく一つ外せたらスペースがあったので、試合の中で話もしていました。まさに得点シーンはうまく相手のスペースを突けた。試合の中で結果につながったことは大きいですね」
Q:インサイドハーフで組む奥埜選手も含めた中盤について。今日は香川選手がバランスを取りながら、奥埜選手が前に出ていた?
「本当に至るところに顔を出してくれる選手なので、ああいう選手がチームにいてくれることは心強いです。今日は中盤の3人がお互いを見ながら、誰かが出たら誰かが下がる、いい距離感で攻守においてできていた。あの得点シーンはまさにそうで、うまく僕が落ちながらリキ(原川選手)とコントロールして、オク(奥埜選手)がうまく前に出ていった。さらに欲を言えば、僕も前に入っていけるように。ペナルティーエリアにオクと僕が入っていくようなシチュエーションを求めていきたい。それは運動量もタイミングも、チームとしての共通意識も出てこないといけない。自分の役割は、ゲームをコントロールするだけではなく、いかにゴール前に入っていくか。それは個人的な課題。ただ、チームとしての状況もあるので、試合を重ねていきながら、辛抱強く突き詰めていきたいです」
Q:運動量という意味では、今日も走行距離が12キロを超えていたが、コンディションも上がってきた?
「もっと上がっていくだろうし、試合を重ねていくごとにその感覚は得ています。運動量という意味では、走れないと自分の良さは生きない。初心に戻るというか、今のベースになっているところは走るところ。攻守においてクオリティーを上げていけたら、このチームにいいモノをもたらせると思います」
Q:ルヴァンカップ第4節に向けて
「次は勝たないといけない。すぐ試合は来るので切り替えたい。ただ、勝ってリカバリーできるのは精神的にも大きい。こういうときは試合間隔が短い方がいい。今日の課題を修正して、もっと高みを目指していきたいです」
■原川力 選手
「結果が出たことは良かったですが、どう続けるかにフォーカスしてやっていきたいです」
Q:自身としては、リーグ戦での先発は第2節以来だったが、外からどう見て今日に臨んだ?
「自分がどうすべきか、役割的にはセカンド(ボール)を取って、球際で負けずに前につなげること。ただ、失点は僕のところからなので、細かいところにもこだわってやっていきたいです」
Q:中盤の強度が上がったことは、原川選手の良さでもある?
「そうですね。そういう役割なので、それは全うしたいです。ポジションが変わったらまた違う役割になると思います。与えられた役割を全うしながら、プラスαで自分の良さを出していけたらいいと思います」
Q:GKから原川選手も経由してつないで取った2点目は、今の取り組みが形になったシーンでは?
「そうですね。ジンさん(キムジンヒョン選手)は付けてくれるので。中盤の3人はボールを触ってナンボの選手が多い。どんどん付けてもらって、運んで、を繰り返していけば、得点につながると思います」
■山中亮輔 選手
Q:「リバウンドメンタリティーを発揮しないといけない」試合で結果を出しました。
「結果が出て良かったです。苦しい時間帯もありましたが、勝点3をもって帰れたことが全てです」
Q:先制点のアシストと、2点目の起点にもなったが?
「前半ちょっと相手の圧力に苦しんでミスが続いた場面もあったので、後半はチームの結果に結びつくアシストや起点になれたことは良かったです。個人的にも数字を残していきたいので」
Q:今節も中村帆高選手との攻防はポイントでした。試合前、「故意ではないし、何も遺恨はない」という話もありましたが、負傷交代した味スタで昨年の借りを返せましたね。
「そうですね。試合前も(中村帆高選手が)挨拶に来てくれました。人間的にも素晴らしいですし、選手としても上下動できたり素晴らしい。またピッチでバチバチやれたのは嬉しかったです。今日は何とか勝てましたが、連勝していくことで上に行ける。またすぐルヴァンカップがあるので、しっかりリカバリーして、試合に関わっていけるように回復したいです」
■鳥海晃司 選手
「前節、あのような負け方をしたので、今節は大一番だと監督もずっと話していました。上に行くか下で争うか節目だったので、勝点3を取れて良かったです」
Q:試合前、「前から取りにいく守備」という言葉もあったが、実際に高い位置で奪う場面も出せていたのでは?
「全員が前から取る意識はありました。これからもどんどん良くなっていくと思います」
Q:ボール保持の向上に取り組む今季ですが、奪ってショートカウンターという昨季の良さも発揮していくことが大事?
「そうですね。前から自分たちで守備の圧力をかけて、取ってショートカウンターは常に狙っています」
Q:同点に追い付かれた時間帯について
「試合に勝つためにプレーしようと、同点にされても気落ちせず、もう1点取れそうな雰囲気はありました」
■上門知樹 選手
Q:追いつかれてドローで終わるのとは全く違うが、決勝アシストも含めて勝利という結果について
「勝てたこと、アシストできたことは良かったですが、自分的には、まだまだここから。何も満足していないですし、今日のアシストをプラスに捉えて、しっかり絡んでいきたいです」
Q:アシストの場面を振り返ると?
「山中選手に右サイドバックの中村選手が食いついたので、裏にスペースがあり、そこへ走り込みました。あの場面は、ニアよりマイナスの方が可能性があると思いました。僕の感覚ですけど、そこにおっくん(奥埜選手)がいると信じて上げました」
Q:カピシャーバ選手が負傷し、交代は上門選手かなとも思ったが、試合後の会見で監督に伺うと、「日常のパフォーマンス」とも話されていました。上門選手としても、さらにアピールしていきたい?
「そうですね。コンディション的には悪くないので。出た試合、出た時間で結果を残さないと生き残れない世界ですし、監督も日頃から競争を言っています。そこで結果を残せたことは良かったですが、何一つ気が抜けない戦いが日常にあるので。やり続けるだけかなと思います」
Q:左サイドはルヴァンカップでもやっていましたし、十分にできるのでは?
「どこで出ても自分のプレーをするだけです。使われるところで結果を出せるようになれば、もっともっと素晴らしい選手になれる。こだわりはないので、出たポジションで、チームのために、勝つために、という思いで日々やっています」
奥埜博亮が殊勲の2得点。鬼門を打破し、上位に食らいつく大きな勝利をつかむ
北海道コンサドーレ札幌に競り負けた前節から中5日。セレッソ大阪は、敵地に乗り込み、FC東京との明治安田生命J1リーグ第8節に臨んだ。先発は2人変更。毎熊晟矢が2試合ぶりに復帰し、原川力がリーグ戦では第2節・アビスパ福岡戦以来となる先発を果たし、アンカーに入った。前節左肩を痛めた為田大貴は欠場。左ウィングにはカピシャーバが入った。
立ち上がり、セレッソはFC東京の攻勢を受ける。ボールをもたれる時間も長かったが、シュートは許さない。連敗した直近の公式戦2試合は開始早々の失点により試合を難しくしていたが、今節はプレスにいくところとセットするところのメリハリを付けた守備が機能。前がかりになって背後を空けた札幌戦からの修正がなされた。攻撃では、9分にカピシャーバが負傷するアクシデントこそあったが、交代で投入されたジョルディ クルークスも落ち着いて試合に入る。24分、ショートカウンターから決定機。原川が高い位置で奪い、香川真司が前線のレオ セアラへスルーパス。ただし、シュートは戻ってきたDFに防がれた。41分には、19歳の松木玖生に際どいコースへミドルシュートを打たれたが、ここはGKキム ジンヒョンが鋭い反応で好セーブ。43分、今度はキム ジンヒョンが前線へ蹴ったボールを毎熊が競り、こぼれたところを香川、松田陸とつなぎ、最後は再びレオ セアラがシュートも枠を外れた。
守備が機能し、カウンターからチャンスも作った前半は悪くない内容で終えた。後半に入り、試合は激しく動く。最初に決定機を得たのはセレッソ。47分、前線でレオ セアラが競り、松田、香川とつなぎ、香川の絶妙なラストパスを受けたジョルディ クルークスが左足を一閃。ニア上の狭いコースを狙ったが、GKヤクブ スウォビィクの好反応に防がれた。一進一退の攻防が展開された後半、52分にはFC東京の渡邊凌磨、57分には香川がゴールに迫るなど得点の匂いが漂ってきた59分、スコアは動いた。レオ セアラが倒されて得たFKから、キッカーの山中亮輔がニアへ鋭いクロス。飛び込んだのが奥埜博亮。左足でうまく合わせてネットを揺らした。ただし68分、攻め込んだ後の高い位置でボールを奪い切れずにいると、カウンターから失点。最後は渡邊に見事なボレーシュートを決められた。それでも、「気落ちせずに」(鳥海晃司)全員で勝ち越しゴールを目指すと、84分、奥埜がこの日2点目で再びリードを奪うことに成功。キム ジンヒョンから原川、中原輝、香川、山中とつなぎ、最後は相手DFの背後を取った上門知樹のマイナスの折り返しを奥埜がうまくゴールへ流し込んだ。
ここから後半アディショナルタイムを含めて約10分。セレッソは巧みに時間を使って試合を締めにかかると、FC東京に決定機を与えることなく試合終了。新たなスタイルの浸透、さらに上位を目指すことも含め、「今季を占うターニングポイント」(小菊昭雄監督)となる試合で見事、勝利した。殊勲の2点を決めた奥埜は、「ルヴァンカップ、リーグと悔しい負け方をしたので、チームとしても勝利だけが欲しかった試合。その試合で勝てたことは重要」と充実した表情で振り返った。近年、勝てていなかった鬼門・アウェイのFC東京戦で再びリーグ戦の星を五分に戻すことに成功。ここから続くルヴァンカップと4月のリーグ戦残り2試合で、より高みを目指して戦っていきたい。