2023明治安田生命J1リーグ第13節

2023明治安田生命J1リーグ

2023.5.14

京都サンガF.C.

0

AWAY

FULL TIME

1

0-1

0-0

セレッソ大阪

オウンゴール (26')

サンガスタジアム by KYOCERA

12,917

  • 放送

    DAZN / NHK京都 / KBS京都(録)

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

京都に今季初勝利。ルヴァンカップで敗れた借りを返し、上位追撃となる勝点3を獲得

 

「Jリーグ30周年記念マッチ」と銘打たれた今節。セレッソ大阪は、京都サンガF.C.のホームに乗り込み、明治安田生命J1リーグ第13節に臨んだ。先発は前節の鹿島アントラーズ戦から3人変更。加藤陸次樹が8試合ぶり、ジョルディ クルークスが10試合ぶり、進藤亮佑がリーグ戦では今季初スタメンを飾った。

序盤、京都に押し込まれる時間帯もあったセレッソだが、キム ジンヒョンの好セーブや鳥海晃司のブロックで失点は防ぐと、攻撃ではクルークスがプレーする右サイドを起点に好機を作る。今節のセレッソは、高い位置でプレスを受けて失点を重ねたルヴァンカップの反省も生かし、足元でつなぐだけではなく、シンプルにスペースへ入れる長いボールも多用。前から来る相手を裏返すことでゴールに迫る。19分、山中亮輔のパスに抜け出しサイドを取った為田大貴からチャンスが生まれると、26分、先制に成功。高い位置でのスローインを為田が素早く始めると、ボールを呼び込んだ加藤が左サイドを突破し、縦に加速。中へ速いクロスを入れると、奥埜博亮、相手DFに当たってコースが変わり、ポストを直撃。さらにその跳ね返りが京都GKの頭部に当たって、ゴールイン。セレッソとしてはやや運も味方につけた先制点となったが、「ゴールに向かう姿勢が得点につながった」(加藤)。

ここからセレッソの攻勢は続く。キム ジンヒョンが蹴ったキックのセカンドボールを香川真司や奥埜が拾って2次攻撃につなげ、サイドに素早く展開。京都のサイドバックの裏を突いてゴールに迫る。前半アディショナルタイムには、再び高い位置でのスローインから好機。この試合では右サイドバックに入った毎熊晟矢がペナルティーエリア内に進入してシュートを放ったが、ここは惜しくもGKに防がれた。

1点リードで迎えた後半。京都は開始から2枚替えを行うなど、選手も変えつつ圧力を強めてくる。かつてセレッソでもプレーした豊川雄太が果敢にシュートを放ってきたが、キム ジンヒョンもゴールは割らせない。追加点が欲しいセレッソは49分、山中のカットからカウンターを発動。レオ セアラ、クルークスとつないでゴールに迫ると、56分に決定機。進藤、香川、毎熊とつなぎ、最後はクルークスのインスイングでのクロスがファーサイドのセアラへ届く。ただし、叩き付けたヘディングはわずかに枠を外れ、2点目とはならなかった。62分、京都は切り札のパトリックを投入。高さのあるFWにクロスを当て、セカンドボールを拾う分厚い攻撃を仕掛けてきた。そうした展開の中、78分、小菊昭雄監督は加藤に代えて西尾隆矢を投入。システムを[5-4-1]に変更し、中の枚数を増やして相手のパワープレーを跳ね返す策に出る。終盤はややラインも下がり押し込まれたセレッソだが、81分に守護神が連続して好セーブを見せると、83分には西尾が失点のピンチを救うカバーでゴールを守った。その後は進藤、西尾、鳥海で組む3バックとキム ジンヒョンを中心とした守備陣が危なげなく京都の攻撃をシャットアウト。前半の1点を守り、今季6勝目を飾った。

試合前日、「一つ一つの球際、バトル、走るところ、そこは京都のストロングな部分だが、そこでも上回っていくことが重要」と話していた小菊監督だが、まさに対人の球際でも競り負けず、無失点を達成。また、2トップへのシステム変更に伴う縦に速い攻撃、さらには前節の翌日に行われたヴィッセル神戸との練習試合で活躍した加藤やクルークスの先発起用など、今節に向けて準備してきたことが発揮されての勝利となった。再びアウェイでの一戦となる次節は湘南ベルマーレ戦。連勝でさらに勝点を伸ばし、上位との差を縮めていきたい。

監督コメント

■小菊昭雄 監督

「京都とは、今季3度目の対戦になります。ルヴァンカップで連敗して悔しい気持ち、京都から学んだことを、選手たちは今日のゲームで生かしてくれたと思います。勝ちたい気持ち、準備してきたことをしっかり出せたことが、今日の勝利につながったと思います。前半は、攻撃も含めてしっかりとゲームをコントロールできました。その時間を60分、70分と増やしていくことは課題ですが、後半の45分も相手にボールを握られる時間は多かったですが、守備でコントロールすることができたゲームだったと思います。今日の勝利でトップ5も見えてきました。次も連勝して、トップ3、さらにその上を目指していきたいと思います」

 

Q:神戸との練習試合で活躍した加藤選手とクルークス選手を先発で起用されました。素晴らしいパフォーマンスを見せた彼らの評価について。また、それに伴い、彼らを生かす理由もあったと思うが、4-4-2で臨んだシステムについて

「ムツキとジョルディは素晴らしいパフォーマンスでした。試合に絡む時間が少ないときも素晴らしい準備をしてくれた成果が、今日のプレーに表れたと思います。攻守にチームの勝利のために戦ってくれました。この勝利は彼らの貢献度も非常に大きいと感じています。

 

4-3-3でチームをビルドアップしていく、4-3-3の成熟を図るために固定メンバーで戦ってきましたが、昨年も含めて私自身が一番大事にしていた日々の競争、パフォーマンスやコンディションも含めてその時、その時のベストの11人を選ぶ。どっちを選択するか、少し悩んでいた部分もあるのですが、神戸との練習試合で躍動した2人を使いたいと。そう思わせてくれた彼らのパフォーマンスが全てです。そうなったときに、4-3-3に彼らをはめるのではなく、彼らが最も生きる、躍動するためには、それを考えたときに、4-4-2をチョイスしました。ミーティングで選手たちにも伝えたのですが、常に競争はあります。そのときのベストの11人が躍動するように、そのためには4-3-3がいいのか、4-4-2がいいのか、4-2-3-1がいいのか。彼らの良さを生かせるように、自分自身がしっかりチョイスしていきたいと思います」

 

Q:今後も相手や選手の状態によって、システムは使い分けていく感じでしょうか?

「昨年から4-4-2は積み上げてきています。もちろん、新加入選手もキャンプから4-4-2のトレーニングは積んできました。4-3-3も、今季ここまで色んなトライをしながら攻守に規律を共有してきました。できることが増えてきた中で、どちらを選んでいくのか。そこは選手がどう輝くか、躍動するか。そこが大事だと思います」

 

Q:今節メンバー外だったマテイ ヨニッチ選手と松田陸選手について

「ヨニッチは、ギリギリまでこの試合に間に合うように努めてくれていましたが、昨日、彼の方から、難しいと。ただ、進藤も素晴らしい選手ですし、ずっと素晴らしい準備をしてくれていましたので、迷うことなく進藤にこの試合を託しました。陸に関しては、連戦が続いていたこともありますし、毎熊も素晴らしいパフォーマンスを発揮していますので。彼らの競争を私自身も楽しみにしています」

 

Q:守備でコントロールしていた後半、自陣で守備の時間も長かった中で、選手たちにはどのような指示をされていた?

「まずは4-4-2で、中を締めながらサイドに誘導する。そして、一つ一つのボールの移動中に正しいポジションを取り続ける。そこは最後の笛が鳴るまで全員がハードワークしてくれました。まずそこがクリーンシートで終えた大きな要因だと思います。そして、5バックでの逃げ切りも準備していました。京都も形を変えてきましたので、各自の役割を明確にするために、時間帯も見て、5バックで跳ね返そうと。そしてチャンスがあればカウンターで仕留める。そうした狙いをもって5バックにしました」

選手コメント

■加藤陸次樹 選手

Q:レオ セアラ選手との2トップで先発されたが、手応えについて

「公式戦では初めてレオと組んで4-4-2で先発しました。いい部分もありましたし、守備で少しうまくいかなかったところもありました。ただ、それは継続していけば、必ずお互いの関係性は深まっていくと思います」

 

Q:守備でうまくいかなかったところは、プレスのタイミングですか?

「そうですね。細かいところになりますが、(相手の)ボランチを消すところや、(プレスに)いきたいタイミング。そこは全員で統一しないとボールは取れない。ちょっとしたズレですが、そのズレは何回か出たと思います」

 

Q:攻撃では、起点が増えました。今日は背後を狙う場面も多かったが、前半は特に推進力を出せたのでは?

「監督も今日はそういったプレーを徹底してやろうと話していました。僕自身、あまり落ちずに背後を狙う意識を共通認識としてもっていました。レオと両サイドハーフも含めて、推進力を出すことは意識していました」

 

Q:得点は半分、加藤選手のゴールのようなものですね。

「ラッキーな形でしたが(笑)。でも、あのときもゴールに迫ろうという意識で仕掛けました。クロスを上げて、それが事故みたいな形で入ったのですが、ゴールに向かう姿勢が得点につながったと思います」

 

Q:クロスは奥埜選手を狙っていた?

「いや、イメージでは、奥にいたジョルディ(クルークス選手)に速いボールを狙ったのですが、その手前のおっくん(奥埜選手)に当たった(苦笑)。それが結果的にオウンゴールにつながったことは、運が良かったと思います」

 

Q:ただ、高い位置まで押し込めたことが、得点にもつながったのでは?

「そうですね。2トップの良さとしては、あの場所に流れることができます。高い位置でボールを受けることができる。その良さは出たと思います」

 

Q:スローインは、受ける準備をしていた?

「はい、アラートな状態にしていた、という感じです。呼び込んでいて、為田選手が見ていてくれたので、すぐに始めて前に向かうことができました」

 

Q:練習試合で活躍して、公式戦で先発をつかんだプロセスについて

「試合に出られない選手の醍醐味というか、試合に出ている選手を超えていかないといけない。そういう世界。僕も今日は出られていますが、次また出られるかは分からない。そこは常に緊張感というか、競争を勝ち抜いて毎週出られるように、そこで結果を出せるように。そこは準備していきたいといつも思っています」

 

■ジョルディ クルークス 選手

Q:何度も起点になるなど素晴らしいパフォーマンスだったが、今日の内容を振り返ると?

「ここまで来るのに課題もあって大変でしたが、今日、こうやってスタメンで戻ってこられて、自分自身も今日はいいパフォーマンスを出せたと思います。これを続けていきたいと思います」

 

Q:前回、ルヴァンカップでこのスタジアムで戦ったときは、良さを出せずに前半45分で交代となった。そこからの期間で、チームとしてもジョルディ選手を生かす、ジョルディ選手も味方を生かす関係性がより深まった?

「そうですね。監督ともたくさんの話をして、何が僕の強みなのか共有しました。結論としては、1対1が強みであり、縦に仕掛けることも増やしていかないといけない、ということになりました。そこは自分自身でも取り組んで工夫しながら練習からやってきました。それを神戸との練習試合で発揮できて、今日に至った感じです」

 

■進藤亮佑 選手

Q:最後までしっかり跳ね返していたが?

「攻め方自体は嫌でした。大きい選手が前に2人いて、その脇を豊川選手が拾って狙って。彼は(足の)振りも速いし両足が蹴れるので。クロスに対して中に人数も多かったですが、クロスを上げる選手にしっかり寄せてくれていたので、危なげなく対応できたと思います」

 

Q:パトリック選手との競り合いについて

「今日は僕の勝ちですね(笑)。まともに競ったら難しい部分もありますが、相手の嫌がる駆け引きができたと思います」

 

Q:相手のラインも高く、攻撃としては、シンプルにサイドや背後のスペースを狙った?

「ルヴァンカップでアウェイで負けた試合では、僕も出ていましたが、どんどん相手が前に来た。京都の得点パターンでもある、前で引っ掛けられての失点を繰り返した。もちろん、僕らはジンさん(ジンヒョン選手)からつないでボールを大事にしていくことも目指していますが、あくまでそれは手段でしかないので。今日の試合で勝点3を狙うために、今日はサイドでの高さやスペースで勝負する。そこは今日の試合に勝つために決断したやり方だと思います。毎試合、これだと厳しいですし、トレーニングの中では、ボールを大事につないでいくこともやっていかないといけません」

 

Q:リーグ戦に先発で出て無失点で勝てたことは、気持ちも良かったのでは?

「気持ちいいですけど、これが普通の日常になりたいです。数年前はこれが普通だったので。今年初めてリーグ戦のスタメンで出たのですが、昨日の紅白戦では、チームとしてあまりうまくいかなくて。鳥海選手や奥埜選手が『もっとリラックスしてやっていいよ』と声をかけてくれて。まるで新人のような感じで。僕も決して経験豊富というわけではないですが、それなりに(J1で)100試合ちょっと出ているのですが(笑)。ただ、やっぱり今日の試合前は久しぶりの先発ということで、いい緊張感もありました。そういう意味では初心に帰るというか、自分のできることをやろうと割り切ってプレーしました」

 

Q:神戸との練習試合で活躍した選手たちが複数出て勝利したことは、競争原理が働いているという意味で、チームにとっても大きいのでは?

「それはもう、めちゃくちゃいいですよ。CBでは、パリ五輪で主軸を張ろうとしている西尾隆矢がベンチにも入れないぐらいですから。今週の練習では、山下選手も、僕が札幌時代に憧れていた力強さ、圧巻のパフォーマンスを見せていました。他の選手も、なかなか試合に出られていない選手も全員のプレーを見せてあげたいくらい、素晴らしい選手ばかり。今日、僕のプレーが良かったかどうかは分からないですが、そういう選手たちが出た試合で結果を出せたことは良かったです」

 

■キム ジンヒョン 選手

Q:終盤、相手にボールをもたれる時間も長く、クロスに対してDFラインも下がり気味になったが、どうコミュニケーションを取りながら守っていた?

「京都が大きい選手を前に入れてきたので、そのロングボール対応で少しラインが下がってしまうのは仕方ない。相手の強みもそこなので。クロスを上げる選手に少し遅れると、どうしてもラインは下がってしまう。ただ、ピンチは少なかったですし、うまく対応できたと思います。アウェイですし、慌てず落ち着いて、自分たちがやるべきことを最後までやれました」

 

Q:好調な豊川雄太選手のシュートもしっかり抑えましたね。

「そうですね。セレッソで一緒にプレーしていた時も、(居残りで)シュート練習をやっていたので、お互いの特長は分かっていたと思います。お互い、やり辛さもあったと思いますが、今日はトヨにもやられず、勝てたことは良かったです」

 

Q:CKのあとのダイレクトボレーもしっかり止めましたね。

「自分のパンチの後でしたが、まさかあの態勢で打ってくるとは思わなかったです。あの難しい態勢でも打てるのは、京都にいってさらに成長しているなと感じました」

 

Q:ビルドアップに関しては、細かなつなぎより、シンプルなパスが多かったが、チームとして共通意識をもっていた?

「ロングボールが多いと感じたと思いますが、ロングボールでも、ちょっとでも自分たちに優位になるようなボールを蹴りました。下でつなぐより、ハッキリしたプレーを心掛けましたが、その中でも、自分たちに優位性をもてるようなキックを蹴りました」

 

Q:そこは、ルヴァンカップで京都に敗れた試合をうまく生かせた感じですか?

「そうですね。0-4で負けたアウェイの試合、僕は出ていませんが、あの試合の京都の勢いは凄かった。相手の強みはそこだと分かっていたので、そこを裏返すことは意識していました。相手の左サイドバックのところでジョルディもうまく立ち位置を取って動き出してくれました。相手の嫌がることをやり続けることができたと思います」

 

Q:後半に倒れた場面については?

「みぞおちに入りました(苦笑)。立とうとしたら息ができなかったです」

 

■西尾隆矢 選手

Q:5バックでの締めについて

「試合の展開を見ていると、ボールはもたれていましたが、あまり怖さは感じていなかったので、自分が入るときも硬くなり過ぎずに入れました。進藤くんや鳥くん(鳥海選手)ともコミュニケーションを取れていたので、自信をもって最後までプレーできました」

 

Q:リーグ戦での出場は第2節の福岡戦以来でした。なかなか出番がなかった時期にどう取り組んできたことが、今日の出場につながったと感じていますか?

「僕自身は、試合に出る、出ないに関わらず、自分にベクトルを向けながら1日1日を大切にすることは決めているので。試合に出られないから不貞腐れるとかやらないとかは、考えられない。そういう選手を誰が使いたいのか、という話なので。自分の成長、選手としての価値を上げていくために毎回のトレーニングに100%で取り組んでいます。それが今日、試合に出て、試合を締めるという結果につながったと思います」

 

Q:チーム全体としても、そういうメンタルが発揮された試合になったのでは?

「そうですね。(練習試合の)神戸との試合前、監督も言っていたのですが、『全員でいい競争をした中で、競争に勝った選手を使う』と。練習試合はもちろん、日々の練習でしっかりアピールすればチャンスはあるとみんなが感じています。コンディションを落とさないことを日々意識してトレーニングしています」