2023JリーグYBCルヴァンカップグループステージ 第5節

2023JリーグYBCルヴァンカップ

2023.5.24

FC東京

0

AWAY

FULL TIME

0

0-0

0-0

セレッソ大阪

味の素スタジアム

8,376

  • 放送

    スカパー! / SPOOX

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

内容の良さを勝利につなげられず痛恨ドローも、リーグ戦につながる底上げには成功

 

明治安田生命J1リーグ第14節・湘南ベルマーレ戦から中3日、舞台をJリーグYBCルヴァンカップに移し、セレッソ大阪は敵地でのFC東京とのグループステージ第5節に挑んだ。先発は湘南戦から9人変更。試合前日、「エネルギッシュな選手で勝ちにいきます」と話した小菊昭雄監督の言葉通り、試合に飢えたフレッシュな陣容が並んだ。GKヤン ハンビンにとっては、この試合がJデビュー戦となった。

 

前半はセレッソが試合を掌握。ラインが低いFC東京に対し、軽快にボールを動かし、敵陣に入っていく。8分、鈴木徳真のサイドチェンジから左サイドで起点を作ったカピシャーバを舩木翔が追い越しチャンスを作ると、9分、ここで得たCKから進藤亮佑が競り勝ちゴールに迫る。24分、今度は松田陸が大きく左サイドへ展開、カピシャーバが頭で落としたところを舩木がインナーラップ。そのまま舩木が縦に進入してシュートまで持ち込んだ。この試合、抜群のキレで相手に脅威を与えたカピシャーバは、31分にも決定機を演出。相手CKを跳ね返したところからカウンターを発動させると、ドリブルで長い距離を運び、最後はサイドを駆け上がってきた松田へラストパス。決まれば鮮やかな速攻だったが、松田のシュートは惜しくも枠を外れてしまった。続く32分にも好機。細かくパスをつないで右サイドを崩し、最後は松田のクロスに加藤陸次樹が合わせたが、DFに寄せられ、シュートはミートせず。GKヤン ハンビンも安定した配球を見せるなど、前半は意図した崩しから再三ゴールに迫ったセレッソ。守備でもFC東京の攻撃を単発に抑え、受けた枠内シュートはゼロ。優勢の展開で折り返した。

 

後半開始から、小菊監督は加藤と松田に代えてレオ セアラと奥田勇斗を投入。来季からの加入が内定している奥田にとっては、この試合がセレッソの選手としてのJデビューとなった。後半は攻撃の圧力を強めてきたFC東京に対し、セレッソが守勢に回る展開になるが、GKヤン ハンビン、CB進藤、西尾隆矢を中心に粘り強い守備を披露。67分には、相手の速攻から背後を取られたが、ヤン ハンビンが絶妙なタイミングで飛び出し、失点は阻止した。すると、終盤にかけてセレッソが再び攻撃で押し返す。その先頭に立ったのが、75分からピッチに入ったジョルディ クルークス。80分、得意のカットインからゴールに迫ると、83分には縦に進入してシュート。停滞していた攻撃に勢いをつけると、86分に決定機。こちらも後半途中から入っていた阪田澪哉が鈴木とのワンツーで左サイドを突破し、クロス。絶妙な軌道で中央のレオ セアラへ届けたが、背番号9のヘディングはGKの好守に防がれゴールならず。守備でしのいで得た勝機を、惜しくもつかむことはできなかった。

 

試合はこのまま0-0で終了。勝利のみが求められた試合で引き分けに終わったことで、試合後の選手たちは落胆の色も濃く、グループステージ突破は厳しさを増した。「内容が良かっただけに、勝ち切りたかった。悔しい思いでいっぱい」と指揮官も結果については悔恨の念を隠さなかった。一方で、「勝ちたい気持ちを強く出して戦ったゲーム。たくさんの収穫、発見もありました」と成果も強調。実際、この試合でピッチに立った選手たちは、チームとしての規律を守りつつ、個としてのアピールにも成功。いつでもリーグ戦に出られるだけの力を示してみせた。総括が難しいゲームではあるが、今節の悔しさと成果を今後のシーズンにつなげ、ルヴァンカップとしてもグループステージ突破の望みが残る最終節の大阪ダービーへ向かっていきたい。


監督コメント

■小菊昭雄 監督

「スコアは0-0だったのですが、両チーム、勝点3を目指してアグレッシブに戦い、ゴールを奪いにいく、球際のバトルも含めて両チームが勝ちたい気持ちを強く出して戦ったゲームだったと思っています。今日の東京のメンバーを相手にたくさんの収穫、発見もありました。特に前半は素晴らしいパフォーマンスだったと思います。後半、少しボールを持たれる時間、チャンスを作られる時間もあったのですが、ラスト15分、全員の『決勝トーナメントに行くんだ』という強い気持ちで盛り返せたこと、最後まで勝利を目指して戦えたこと。非常に大きな収穫がありました。選手たちにも伝えたのですが、最近のリーグ戦では新たな力、加藤 陸次樹であり、進藤であり、ジョルディ クルークスであり、そういった選手たちに、新たに加わっていく選手たちがたくさん見られたことを非常に嬉しく思います。まだ可能性がゼロではないので、最後まで決勝トーナメントを目指して頑張っていきたいと思います」

 

Q:今後のリーグ戦にもつながる多くの収穫があった一方で、勝ち切れなかった結果について

「前半、あれだけのチャンスがあった中で、やはり、決め切りたかったです。内容が良かっただけに、勝ち切りたかった。そういう悔しい思いでいっぱいです。最後を決め切る、シュート、クロス、ボール1個分のクオリティーは、今日出た選手が一番感じていると思います。引き続き、ファイナルゾーンに進入していく回数を増やしていくと同時に、最後のクオリティーのところは引き続き練習を重ねていきたいと思います」

 

Q:Jデビュー戦となったヤン ハンビン選手、奥田勇斗選手について

「ハンビンに関しては、素晴らしいGK陣と日々競争する中で、キャンプから成長した選手の一人です。そうした日々の努力がこうした形で発揮されました。デビュー戦ということで難しさもあったと思いますが、安定した守備で、リーダーシップも発揮して、失点ゼロで抑えたことは彼にとっても自信になったと思います。これからキム ジンヒョンという高い壁がありますが、清水や真木も含めて高いレベルで切磋琢磨していって欲しいと思います。奥田に関しては、練習参加を数回重ねて、練習試合でもプレーした中で、私自身、評価している選手です。今日も、ぶっつけ本番のような形だったのですが、彼のいいところはたくさん出たと思います。守備でも、東京のアタッカーに対して粘り強く対応していました。攻撃でも、作りのところ、ファイナルゾーンに進出していく回数、クロス、たくさんいいところが見られました。これから練習する時間、試合をする時間を共有していければ、さらにパフォーマンスは上がっていくと思います」

 

Q:グループステージ突破の可能性を残した状態で迎える最終節の大阪ダービーに向けて

「私たちにとってルヴァンカップは、思い入れの強い、深い大会です。最後はダービーですが、我々は勝つしかない状況です。ガンバにはいつも勝たないといけないですが、突破へ向けて、さらに勝たなければならない。ハッキリした試合になりますので、そこへ向けてまた全員でいい競争をしていきたいです。まずは次のリーグ戦、横浜FC戦へ向けて、いい競争をしながらやっていきたいです」

選手コメント

■鈴木徳真 選手

Q:今日の内容と結果をどう振り返りますか?

「チャンスがあった中で決め切れず引き分けた、守り切れた、その両面があると思います」

 

Q:前半は入りも良く、チャンスも多かった。リーグ戦からメンバーは変わりましたが、チーム全体で意思統一して試合に入れた?

「そうですね。やることは練習試合の神戸戦から変わっていません。相手がどういうプレスの仕方でくるか。(違いは)そこだけだったので、みんなでイメージを共有しながら試合に入れました」

 

Q:それだけに、前半で得点が欲しかった?

「そうですね。チャンスはあったので。決め切れなかったことはもどかしいですね」

 

Q:後半、相手の時間帯でも崩れず耐え切れたことは、良かった部分ですか?

「僕としては、あの時間帯でもボールをもちたかったし、相手を回して押し込んで、残り15分で仕留めたかった。見方として、今日はサブ組で試合をした、という中での判断なら、そういう評価をされても仕方ないと思いますが、僕らは本気で勝ちにきたので、もったいない試合になったかなと思います」

 

Q:トータルで、今日の0-0は悔しい思いしかない?

「そうですね。2-0、3-0でもおかしくない内容だったと思うので、悔しいですね」

 

Q:自身としては、久々の公式戦の先発で、どういう思いで臨みましたか?

「勝って、次の自分のチャンスを勝ち取りたい、という思いでプレーしました」

 

■ヤン ハンビン 選手

Q:Jデビュー戦となったが、試合前の気持ちについて

「思っていたより緊張はなかったです。セレッソに来てからずっと試合に向けて準備をしていたので、それが今日の結果になったと思います。無失点で抑えることができたことは、良かったです」

 

Q:プレー全般を振り返ると?

「チームとして無失点で抑えたことは良かったです。個人としては、もうちょっとできたかな、と感じるところもあります」

 

Q:特にキックの精度が上がっているように思ったが、練習の積み重ねでしょうか?

「セレッソに加入する前から、映像を見ながらセレッソのスタイルは研究してきました。実際に加入して、間近でジンヒョン選手のプレーを見て、参考にして、ちょっとずつ調整してきた結果が、今日のプレーにつながったと思います」

 

■奥田勇斗 選手

Q:Jデビュー戦となったが、試合を終えた感想は?

「思っていたより早めに入ることになったのですが、いい準備をして、気持ちは入り込めましたし、落ち着いて自分のプレーはできたと思います」

 

Q:思っていたより早め、というのは、時間帯ですか?

「そうですね。いつでも出られるように心と体の準備はしていましたが、思っていたより早かったので、気持ちの切り替えと、試合に出たときにいい形で入れるように準備しました。いい形で入れたと思います」

 

Q:後半から、相手が攻撃的なウィングを起用してきた中で、守備の時間帯もありましたが、自身のパフォーマンスをどう振り返りますか?

「最初の方は(中原)輝くんと初めて組んで、自分が張る形でポジションに入りました。自分の特長を出せた部分と、出せなかった部分がありました。途中からクルークス選手が入ってからは、少しずつリズムやテンポが作れて、いい形で攻撃できました。相手のサイドの選手が速いと聞いていたので、守備の強度は落とさず、チャンスがあれば攻撃に出ようと思っていました。思っていたより速かったので、苦しめられた部分もありました」

 

Q:無失点で終えたことについては?

「途中出場は入り方が難しいし、いきなり強度が上がるので、最初は息が上がってきつい部分もあったのですが、しっかり失点ゼロで抑えたことはポジティブに考えています。戻ってしっかり守備をした後、カウンターで得点に絡めればベストでしたが、そこはまだまだ自分が未熟だったので、大学で鍛え直していきたいです」

 

Q:Jリーグの舞台でプレーした感想は?

「大学でも、選抜とかの試合では多くの学生が見に来た中での試合をしていたので、緊張はなかったのですが、プロの試合ということもあり、セレッソサポーターの応援を生で聞いて、その中で戦ってみて、思った以上に気持ちは昂りました。戦う気持ちが凄く湧きました。次、いつ呼ばれてもいいように、大学でしっかりいい準備をしていきたいと思います」

 

■阪田澪哉 選手

Q:1点が欲しい状況で、後半早々に投入されたが、試合に入る前の気持ちについて

「グループステージ突破のためには、今日、ここで勝って次につなげることが大事だったので、チームが勝つために結果を残したい、という思いで試合に入りました」

 

Q:守勢に回る時間帯も長かった中、どう打開しようと考えていましたか?

「自分の特長であるドリブルを出すために、サイドに張ったり、中盤の選手からパスをもらったりしてチャンスメイクしようと考えていたのですが、思うようにプレーできず。途中で出るときの入り方や、チームに影響を与える選手になる、というところでは、まだまだだったと思います」

 

Q:1本、レオ セアラ選手の決定機につながったクロスもあったが?

「クロスを上げる場面に入っていくことも自分の持ち味ではあるので、あのような場面をもっと増やしていきたいです」

 

Q:試合を重ねることで、分かってくることもありますか?

「やっぱり、そう甘くないということは感じますし、もっとレベルアップして、勝利に貢献できる選手になりたいです。前の2試合、ベンチで試合に出られなかった悔しさもあったので、今日出て結果を残したい気持ちもあったのですが、結果につながらなかったので、気持ちを切り替えて、しっかりアピールし続けていきたいです」