第16節
2023明治安田生命J1リーグ
2023.6.3土
名古屋グランパス
和泉 竜司 (21')
丸山 祐市 (31')
マテウス カストロ (43')
3
AWAY
FULL TIME
1
豊田スタジアム
3-1
0-0
セレッソ大阪
カピシャーバ (4')
豊田スタジアム
22,912人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊昭雄 監督
「上位対決ということで、選手たちは素晴らしい準備をして今日の試合に臨みました。立ち上がり、いい入りができて、得点も取れて、理想的な入りができました。そこから名古屋の強い矢印が我々に襲い掛かってきました。そこで、今日改めて思ったことは、強い矢印を向けてくる相手に対して、そこをかいくぐっていく力、チームとしてのボールポゼッション、個々の技術、判断。そういったところを改めて高めていかないといけないなと。しっかりかいくぐれば、逆に2点目、3点目と取れたゲームだと思います。上手くて強くて逞しいチームにしていきたいと改めて思いました」
Q:複数失点は第7節の札幌戦以来だが、3失点の受け止めについて
「いい入りができた中で、1失点目は圧力を受けて、相手の素晴らしい崩しで同点にされました。ゲームは常に生き物ですから、立ち上がりのようないい時間帯もあれば、苦しい困難な時間帯もあります。その中で、ずっと失点ゼロできていただけに、1失点してメンタル的にガタっときた。技術的な判断もそうですが、精神的なところ、セルフコントロールのところで、珍しくみんながバラバラになった。そこを修正できなかった私の責任でもあります。先ほど選手たちにも伝えたのですが、そういった時間帯で、全員でしっかりと自分たちに矢印を向けて、ジャッジも含めてコントロールできるチームにしていきたい。心技体で、まだまだ成長していかないといけないと痛感したゲームでした」
Q:ハーフタイムでの3枚替えの理由について
「パフォーマンスのところと、少しけが人が出たということで、3人を変えました」
Q:キム ジンヒョン選手については、少し冷静さを欠いたところも感じられたが?
「ずっとクリーンシートで来ていたので、懸念はしていました。サッカーですから、当然、どこかのタイミングでは決められる。そのときに、チームが不安定にならないか。いいことが続いていただけに、チームとしてもメンタル的なコントロールができなかった。日常、オフザピッチも含めて取り組んでいかないといけない。特に経験がある選手たちは、そういった困難な局面をたくさん乗り越えてきたわけですから、そういった振る舞いを期待したいと思います」
Q:上に行くためには、ポゼッションの質を高めていくことは、やはり必要不可欠だと改めて感じられた?
「そうですね。今日は途中から、攻撃は4-3-3に変えて、少し立ち位置を変えながら、タスクも変えながら。苦しい時間帯もあったのですが、もう一度持ち直したところは成長したところだと思います。30分以降、ボールを握れたところも良かったと思います。ただ、先ほど申し上げた通り、我々が1点を取ってから、名古屋が人に、人に、かなり強く、後ろのバランスも少し崩しながらきたときに、一人一人のスクリーンの技術、ワンタッチでかいくぐるとか、3人目でかいくぐるとか。一人一人の技術や判断、グループではがしていく(ことが必要)。相手がリスクをかけてきたとしても、打開していけるように、個人としてもチームとしても成長していきたいと感じました」
Q:今季、横浜FMを除き上位のチームに勝利がないが、どう受け止めている?
「現時点での我々の力だと、しっかり受け止めないといけません。次節は首位の神戸と対戦しますし、また2巡目も回ってきます。成長した姿をサポーターの皆さんにもお見せしたいですし、上位に勝ってこそ、初めて私たちの目標が達成できると思っています。先ほど申し上げた色んな課題に対してしっかりと自分たちで矢印を向けて、個人としてもチームとしても、しっかり成長していけるようにやっていきたいと思います」
選手コメント
■カピシャーバ 選手
Q:先発で起用されて先制点も決めたが?
「監督に先発で起用してもらったことは嬉しかったです。そのために準備してきたので。初ゴールを決めたことも嬉しいです。ただ、勝利できなかったことが残念です。次は自分が決めて、チームの勝利にも貢献したいです」
Q:どんどんコンディションも上がっているのでは?
「そうですね。モチベーションもフィジカルもかなり高まっています。セレッソのユニフォームを着て、グラウンドで100%のプレーを見せられるように準備しています。次は首位の神戸戦です。クラシコだと思っているので、いい準備をしたいです」
■香川真司 選手
Q:強度の高い相手に対し、思うように試合を運べなかった?
「自滅したかな、というところはあります。先制してから相手のプレスがマンツーマンで来ていた中で、ポジショニングでうまくハマっていなかったり、自分たちのミスで苦しんだり、審判にストレスを感じてしまったり。ただ、そういったことは当たり前のように試合の中で出てくるわけで、そうなったときに、個人的にも乱してしまったなと。そこは反省ですし、悔しい気持ちです。自滅した感じです」
Q:同点に追いつかれた状況で、少し崩れてしまった?
「守備のところでハマっていなかったり、ボールを取った後にミスが続いたり。試合の中で起こり得る中で、切り替えないといけなかったのですが、気持ちのコントロールができなかった。耐えるところは耐えないといけない。アウェイなら尚更。うまくいかない前提で戦わないといけないところもある。ストレスを受けてしまった試合になりました」
Q:試合の中で、どう立て直す必要があったと考えますか?
「このチームのストロングは守備なので。特にアウェイでタフな試合は、自分たちのやりたいこと以上に、相手にやらせないことが重要でした。そこでうまく戦うことができなかった。それプラス、ミスが続いて悪循環に陥ってしまった。もったいない試合になったかなと」
Q:次節の神戸も、同じように前からの圧力はかけてくると想定されるが、どう切り替えていきたい?
「しっかり分析して、個人的にも反省して、同じことを繰り返さないことが何より重要。次に向けて改善してやっていくしかないので、練習からしっかりやっていきたい」
■進藤亮佑 選手
Q:試合前、「無失点が続いている中で、失点したときに崩れないようにしたい」と話していたが、その懸念が出てしまったように思うが、3失点の受け止めについて
「2点目、3点目を取られたときに、チームとしてのテンションが落ちてしまった面も多少はありましたが、失点することも想定はしていたので。集中力が切れた、全体的にメンタルが落ちた、という分析より、一つ一つの失点の理由を分析した方がいいと思います。自分がその場面でどう関われたか。例えば3失点目は、トリ(鳥海)とも『もっとこうした方が良かった』という話もしましたが、自分ができたことは少なかったと思う。ただ、その前のところ、カウンターになってしまう前の構造も見直さないといけない。僕もマテウス選手が左足で切り返したときに、寄せることができた可能性もある。一人一人がそういう目線で一つ一つ潰していくことが大事かなと思います」
Q:大きく崩れたわけではないが、上位にいる相手の選手は一つの隙を見逃してくれない。隙をきっちり得点につなげてくる。改めて、上位との対戦で見せつけられた面もありますか?
「個のところで、これまでの3試合とは勝手が違ったというか、レベルが違いました。もちろん、それは分かっていたことですが。名古屋のボールに対する『先に触る』という(執念もあった)。1失点目も、山中選手が先に体を入れられると思って、あのプレー選択になったと思いますが、名古屋はしっかり突いてくる。スピード感は違いました。この試合から学べることはあります」
Q:次の神戸戦も3トップは個の能力が高い。改めて、チームとして、個人としての力が問われる試合になりそうだが?
「楽しみですね。僕はこういう試合を経験していけば、もっともっと良くなっていくと思います」
■ヤンハンビン 選手
Q:急遽、後半から試合に入る形になったと思うが、Jリーグデビュー戦を振り返ると?
「デビューできた嬉しさもありますが、試合に負けた悔しさの方が大きいですね」
Q:劣勢の前半を受けての後半でしたが、どういうことを意識して試合に入りましたか?
「後ろとしては、まず失点しないこと。1点1点、返していくことを心掛けました。後半は失点しなかったのですが、勝てなかったことは残念です」
Q:後半の立ち上がり、決定的なピンチは、うまくしのいだが?
「入ってすぐの場面で、少し緊張していた状況でのシュートストップだったのですが、あのプレーのおかげで緊張は少しほぐれました」
■喜田陽 選手
Q:後半開始早々にピッチに入ったが、どういうことを意識してプレーした?
「2点差があったので、追いつくためにボールを動かすことを意識して入りました」
Q:ボールも握りながら形も作ったが、得点までには至らなかった内容をどう振り返る?
「相手は2点差があるので、守備を重視して交代枠も使ってきましたが、その中でもチャンスは作れていたと思います。ただ、決め切るところまでいかなかった。上位を倒すには、そういうところを詰めていかないといけないと感じました」
Q:個人として、この試合をどうつなげていきたい?
「(ボランチに)いい選手がたくさんいる中で、ここでポジションを勝ち取れば、もう一つ上のステージにいける。ここからポジションを勝ち取りたいと思います」
カピシャーバのリーグ初ゴールで幸先良く先制も、相手の圧力に屈して3失点。課題の残る上位対決に
敵地に乗り込み、名古屋グランパスとの明治安田生命J1リーグ第16節に臨んだセレッソ大阪。上位を追いかける5位のセレッソにとって、勝点3差で迎えた3位・名古屋との直接対決は、今後を占う上でも非常に大きな一戦となった。先発は前節から1人変更。ジョルディ クルークスに代わり、カピシャーバが右サイドハーフに入った。
立ち上がり、ボールを動かしリズムをつかんだのはセレッソ。すると4分、いきなり先制に成功する。香川真司の縦パスを奥埜博亮が収め、右サイドへ展開。カピシャーバのカットインからのシュートはDFにブロックされたが、こぼれ球を山中亮輔がシュート。ここもDFに当たったが、クリアが不完全になったところを拾ったカピシャーバが、ワントラップから左足で豪快に蹴り込んだ。小菊昭雄監督の先発起用に応える背番号27のリーグ戦初ゴールにより勢いが生まれると、続く7分にも決定機。レオ セアラが起点となり、山中のクロスに為田大貴がヘディングで合わせたが、ここはクロスバーを越えた。17分にも、香川、奥埜とつなぎ、最後はレオ セアラが角度のないところからシュートを放つなど、良いリズムで攻めていったが、徐々に名古屋のプレスも強くなり、ボールを握られ押し込まれる時間帯も増えていく。
すると21分、名古屋にダイレクトでつながれ、左サイドの背後を取られて失点。直近3試合はいずれもクリーンシートで勝利を収めていたセレッソにとって、第12節・鹿島アントラーズ戦以来の失点となった。一気に流れをもっていかれたセレッソは、続く31分にもCKからニアを割られて失点。直前に、主審の判定にナーバスになっていたチーム全体の隙を突かれた格好となった。短時間で逆転を許すと、43分には、中盤でのボールロストからマテウス カストロにドリブルで運ばれミドルシュートを決められ3失点目。
「1失点してメンタル的にガタっときた。技術的な判断もそうだが、精神的なところ、セルフコントロールのところで、珍しくみんながバラバラになった。そこを修正できなかった私の責任」と指揮官も悔やんだが、一度傾いた名古屋の流れを止めることができず、一気に飲み込まれてしまった。
後半、小菊監督はGKを含めて3枚替え。ヤン ハンビン、舩木翔、中原輝を投入し、チームを落ち着かせるとともに、反撃に出る。53分には、早くも4枚目の交代カード。鈴木徳真に代えて喜田陽をボランチに送った。2点のリードで相手が引いたこともあるが、後半はセレッソが圧倒的にボールを握って攻め込む。58分、FKからレオ セアラが直接狙ってゴールを脅かすと、68分には、奥埜からレオ セアラに渡って決定機になりかけるも、戻ってきたDFに防がれた。80分、81分には、連続して奥埜が相手DFの背後を取るも、シュートは打ち切れない。82分、CKから放った進藤亮佑のヘディングもGKの正面を突いた。カウンターからいくつか与えた相手のチャンスでは、リーグ初出場となったGKヤン ハンビンが好セーブを見せて追加点は許さず。ただし、反撃の1点を奪うことができず、最後は途中出場、上門知樹のシュートがクロスバーを越えたところでタイムアップ。「ここで勝たないと上にはいけない」(香川)と強い決意で臨んだ上位対決だったが、第10節のサンフレッチェ広島戦、第12節の鹿島戦に続き、またもその壁に跳ね返される格好となった。
「心技体で、まだまだ成長していかないといけないと痛感したゲーム。現時点での我々の力だと、しっかり受け止めないといけない」と指揮官も潔く完敗を認め、「色んな課題に対してしっかりと自分たちで矢印を向けて、個人としてもチームとしても、成長していけるようにやっていきたい」と前を向いた。「同じことを繰り返さないことが何より重要」とは香川。天皇杯を挟んで迎える次節は、首位・ヴィッセル神戸とのホームゲーム。下を向いている時間はない。浮き彫りになった今節の課題をしっかり分析し、次節の勝利へつなげていきたい。