第23節
2023明治安田生命J1リーグ
2023.8.12土
柏レイソル
戸嶋 祥郎 (4')
1
AWAY
FULL TIME
1
三協フロンテア柏スタジアム
1-0
0-1
セレッソ大阪
進藤 亮佑 (90+6')
三協フロンテア柏スタジアム
11,892人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊昭雄 監督
「勝点1に終わったのですが、非常に意味のある貴重な勝点1だと思います。いま、少しケガ人がいる中で、今節は、体調不良でバタバタと試合に来ていた選手が会場に来られなくなるアクシデントもあったのですが、17人全員が最後まで諦めず戦った結果、この貴重な勝点1につながったと思います。ただ、立ち上がりは前節と同様、課題が残りました。もったいない失点だったと思います。それでも、前半の15分以降、後半の45分、たくさんのチャンスを作り、ゲームをコントロールする時間ももてました。課題は見直して、同点、そして逆転できるような強いチームにしていきたいと思います」
Q:ベンチ入りが1人少なかった。冒頭にも話があったが、遠征に来てから離脱者が出た?
「はい。昨夜、1人体調不良者が出ました。その中で、大阪から急遽、柏に呼びました。18人全員揃って準備していたのですが、当日の昼の段階で、コンディション不良でまた1人離脱しました。(その時間では)大阪から間に合わないということで、17名で戦いました」
Q:いまの話とも関連していますが、夏の暑い試合で、ビハインドを負った状況で、交代は1名に留まりました。総合的に見て、出ている選手で最後まで戦った方が追いつく可能性が高い、という判断だったと思いますが、交代策について
「アクシデントがあった選手も、今日ベンチに入った選手も、色々な特長があります。今日、ベンチにいた選手は、しっかり守備をして、カウンターで仕留める。そういう特長が強い選手が何人かいました。今日は時間の経過とともに柏も5バックにしてきて、ゴールを守る守備を徹底してきました。スペースを消された状況の中で強みを出せる選手という意味では、先発で出た選手を長くプレーさせた方が、同点、逆転につながるという判断でした」
Q:同点の場面はまさに、カピシャーバ選手が対面の相手を抜いて、ファーサイドで進藤選手がヘディングで決めるという、こじ開けたゴールでした。同点の場面を振り返ると?
「前半の失点から、チームはバラバラにならず、自分たちでしっかりとプレーしました。ああいう入りをした後は、ゲームをコントロールすること、セルフコントロールをすることは難しくなります。チーム状態が悪いときは、みんながバラバラになります。前節と同様、今節も立ち上がりに失点して、そういう恐れもあったのですが、自分たちでやっていることを信じて、ポジティブに、強い絆をもって、前半の15分以降、後半の45分をしっかり戦えたことは評価に値します。それがあったからこそ、最後の劇的な同点弾につながったと思います。改善するところは改善して、継続するところは継続して、日々積み重ねていけるようにやっていきたいと思います」
Q:同点ゴールを決めた進藤選手について。これでリーグ戦は11試合連続フル出場です。加入後、ケガなどでしんどい時期もあったと思うが、今では欠かせない戦力になっている。成長をどう感じていますか?
「セレッソに来たときから、もっと言えば札幌にいたときから、将来の日本を代表する選手になると思って見ていました。残念ながら、(加入後は)ケガで離脱する期間も長く、試合に出続ける期間はなかったのですが、やはりコンディションが整い、メンタルも整い、試合に出続ければ、自ずと高いパフォーマンスを発揮するということは分かっていたことでした。成長したというよりも、ようやく彼本来の力を発揮できている、心身ともに整っている、そういう状況だと思います。鳥海も含めて、彼らがこのクラブを引っ張っていく。そして、彼らにもいつも言っているのですが、日本代表を真剣に、本気で目指して欲しいと私は思っています。それだけの選手だと思っています」
選手コメント
■進藤亮佑 選手
Q:劇的な同点ゴールを振り返ると?
「カピシャーバ選手が必ずクロスまでもち込んでくれると信頼していました。ああいう時間帯で、クロスに対して入り過ぎてしまうことはよくあるのですが、しっかりファーで待てたことが得点につながったと思います」
Q:あの時間帯は、パワープレー気味に前に上がっていた?
「アディショナルタイムの最後の方だったので、そうですね。ただ、パワープレーで上がって結果が出たことがなかったので、ようやく実を結んだと思います(笑)。鳥海選手も最後のCKから決定機がありましたし、他にもチャンスはありました。同点に追いついたことはポジティブですが、内容的には勝たないといけない試合だったと思います」
Q:改めて、得点場面は相手も人数がいた中で、よく合わせることができたなと思います。クロスの軌道が見えていた?
「まず、ボールをしっかり待つこと。あごを引いて、下に叩き付けること。さっき鳥海選手にもヘディングの仕方を教えました(周囲・笑)。基本的には下に。強いシュートを打とうとすると、上に上がってしまう。僕もああいう外し方を何回もしてきたので、鳥海選手の気持ちも痛いほど分かります。やっぱり、基本に忠実に、下に叩けたことがゴールにつながったと思います。コースに関しては、狙っていないです」
Q:0-1で終わるのと、最後に追いついて大阪に帰るのとでは、体も気持ちも全く違うと思うが、この勝点1について
「ビハインドから追いついたという意味では、勝点1は前節からの成長は示せましたが、全体的に見たら、もっと点を取って、決めないといけなかった。立ち上がりの集中力も含め、学ぶことも多い試合になりました。結果だけを見たら1-1ですが、スコア以上に学ぶことが多い、ディフェンスとして今後の成長につながる試合でした」
Q:立ち上がりの失点が多い試合が続いていることは、自身としては、どう考えますか?
「集中していない選手はいないと思いますが…。う~ん。何で、ですかね?何でだと思います?」
Q:試合中での対応で、ワンプレー目というか、相手(の特長)をしっかりつかむ前に、やられているシーンもあるのかと。前節も、失点以降は(ディエゴ)オリヴェイラ選手を押さえていたように思います。最初は簡単にボールを入れさせないことも大事かも知れません。
「そうですね。ボールの取られ方が悪かったり、セカンドボールが相手にこぼれた瞬間に止まってしまうことも、もしかしたらあるかも知れません。中に(守備の)人が揃っているのにやられるシーンが続いています。集中力の欠如だけで済ませたくない。それも大事なポイントですが、それ以外にも理由はあると思うので、しっかり映像を見て分析したいです」
Q:試合後、小菊監督は「本気で代表を目指して欲しい」と仰っていました。前回は確か、「僕も直接言われたけど、試合後の興奮状態だったと思うから、まだ信用していません」という反応だったと思うが、今回はどう受け止めますか?
「まだ信じていないですね(笑)。でも、そうしないといけないと思っています。J1の上位でレギュラーを取っている選手は目指さないといけない場所。ただ、そこを目指すのであれば、もっとやらないといけない。今日で言えば、相手には日本トップクラスの細谷選手がいました。いつでも欧州に行けるであろう、能力が高い選手ですが、そういう選手に対しても、もっと強くヘディングで跳ね返すとか、クサビで潰すとか、もっと圧倒しないと代表では戦えない。まだまだクオリティーは足りていないと思います。でも、もちろん、目指さないといけない場所です。選ばれるためには安定と継続が大事なポイントだと思います。いまは海外組が多いですが、Jリーグから代表に入っている選手もいるので、(代表を)他人事だと思わず、チームでしっかりやっていきたいです」
■カピシャーバ 選手
Q:自身のクロスから劇的な同点ゴールが生まれたが、振り返ると?
「立ち上がりはあまり良くなかったですが、その後は自分たちのペースで運べた試合だと思います。同点ゴールに関しては、自分の特長であるドリブルで相手をはがすことができました。最後まで諦めない気持ちを出して、チームの手助けをできたことは良かったです。勝利につながればもっと良かったですが、勝点1でも積めたことは良かったです。自分のコンディションは上がっているので、次の試合でも活躍して、次は勝点3を取りたいです」
Q:中で合わせた進藤選手について、何か一言ありますか?
「(日本語で)スゴイネ!(笑)。自分が1人かわして顔を上げたとき、彼が見えました。ヘディングが強い選手なので、そこに上げたら、決めてくれました。ゴールを決めてくれたのは嬉しいです。次の試合もアシストやゴールをして、チームの助けになりたいです」
Q:普段の彼は、どんな選手ですか?
「普段からクラブハウスでもよく話しかけてくれます。力強い選手で、チームに合流したときから声をかけてくれました。それは嬉しいことですし、感謝しています」
Q:終了間際の時間帯にも関わらず、精度の高いクロスでしたね。
「疲れた時間帯で違いを見せることができました。自分の力を発揮できて良かったです。最後に精度の高いクロスを上げることができたことは、コンディションやモチベーションの高さを示すことになったと思います」
■香川真司 選手
Q:暑さも厳しい夏場のアウェイの中、先制されるタフな試合で最後に追いつき、勝点1を取れたことについて
「最後によく追いついたし、そういう最後まで諦めないチームの姿勢が何より大事だと思います。先制されて、そのまま負ける試合が多かった中で、最後まで食らい付いて同点ゴールを取ったことは、素晴らしい勝点1になったと思います」
Q:前節同様、早々の失点がチームを苦しめたが、展開としてはどう振り返りますか?
「そうですね。やはり最初に失点したことで、相手に勢いやエネルギーを与えてしまった。ましてや、アウェイゲームでは、一番避けたかったこと。ただ、それでも焦れずにコントロールしながらチャンスは作れました。次節もアウェイなので、厳しい展開にしないためにも、先に失点しないことは意識したいです」
Q:直近2試合、試合後はサポーターの応援に感謝しながら、勝利できなかったことへの申し訳なさを話していたが、その意味では、今日は最後に追いついて、せめて勝点1を届けられたことはプラスに捉えたい?
「もちろん勝ちたかったですが、今シーズンを見た中で、負けが多く引き分けが少なかった。こういうアウェイでの難しい展開で勝点1を取る重要性は、チーム全員、身に染みて感じています。そういう意味では、ポジティブな勝点1でもあります。ただ次、また同じことを繰り返さないように、チームとしても個人としても、いい準備をしたいです」
Q:前節の試合後、「次はチームの真価が問われる」という言葉もあった中で、土壇場で追いついての勝点1は、大きな一歩として今後につなげていきたい?
「そうですね。最後にああいった形で取れるのは、チームとして力があることの証明にもなります。先ほども言ったように、この勝点1をポジティブに考えて、次、同じことを繰り返さないように。課題を修正して、次は必ず勝てるように、いい準備をしたいです」
■毎熊晟矢 選手
Q:開始早々の失点で難しい展開にはなりましたが、特に後半は毎熊選手の躍動も見られました。どう打開しようとプレーしていましたか?
「相手が4バックだった前半から後半の途中まで、最初はジョルディが中に入って、自分は外から突破する形を作れていました。相手が5バックにしてきて、三丸選手が自分にジャンプしてくるシーンが多くなったので、ジョルディに張ってもらって、あとは(相手の)シャドーの選手の動きを見て、自分が中に入るか外に出るか、判断しながらプレーしていました」
Q:終盤はペナルティーエリア内に進入して、決定的な形も作ったが?
「あそこに入っていくことは自分の良さでもあるし、そこで違いを見せないといけない。ただ、結果が全てなので。アシストや得点を取らないと、チームとしても個人としても上にはいけないことは、自分が一番分かっています。自分を信じてやっていくしかないですね」
Q:右サイドバックながら、毎試合のように決定機に絡んでいることは凄いと思います。次節以降、得点にも期待したいです。
「そうですね。頑張ります(笑)」
Q:最後に追いついて取った勝点1をどう捉えますか?
「(第20節)鳥栖戦の後に、『引き分けは要らない』と言いましたが、あの試合、あの展開では優勝を目指すためには点を取りにいかないといけなかった。ただ、今日の展開、負けている試合で引き分けにもっていくことは大事なこと。今年は特に負けが多い。負けている状況から引き分けで終わることの大切さは痛感しているので、前節と同じ状況から最後に追いつけたことは大きいと思います」
■ヤン ハンビン 選手
Q:早々の失点はあったが、そこから何度もあった2失点目のピンチをしのいだからこそ生まれた同点ゴールでした。失点後の自身のパフォーマンスについて
「前節もそうですが、前半の早い段階で失点することが続いています。そうなると、相手は守りを固めて、自分たちの攻撃はなかなかうまくいかず、1点が奪えない状況が続いていました。ただ、自分は自分の役割があるので、それ以上の失点はしないことだけを意識してプレーしていました」
Q:天皇杯も含め、公式戦3試合連続で早い時間帯での失点が続いています。改善したいポイントですね。
「早い時間帯での失点はチーム全体の課題として捉えて、失点をしないようにしていきたいです。そこが改善できれば、チームはもっと強くなると思います」
カピシャーバのクロスから進藤亮佑がヘディングで劇的同点ゴール。執念でつかんだ勝点1を今後につなげていきたい
前節のFC東京戦から中5日。敵地に乗り込み、柏レイソルとの明治安田生命J1リーグ第23節に臨んだセレッソ大阪は、前節から先発を1人変更。出場停止明けのレオ セアラが戻り、上門知樹と2トップを組んだ。また、試合前日と当日に体調不良者が出た影響で、ベンチは1人少ない6人となった。
試合開始から勢いよくボールを入れてきた柏。セレッソは受けに回ると、4分に失点。中盤でボールを失い、柏の十八番であるショートカウンターを受けると、最後は〇〇に決められた。前節と同様、早い時間帯で先制を許したセレッソだが、10分過ぎからはボールをもち、流れを戻しにかかる。ただし、前半は後ろや外で回す時間が長く、柏の守備ブロックを動かすには至らない。それでもサイドを取って、前半だけでCKを6本獲得したが、生かすことはできなかった。守備では、相手のカウンターや1発のボールからピンチも招いたが、19分、27分の場面は鳥海がシュートブロック。前半アディショナルタイムに迎えた被決定機もGKヤン ハンビンがシュートストップで2失点目は防いだ。すると、直後にセレッソにも決定機。45分+2分、進藤亮佑が運んで毎熊晟矢とのワンツーで駆け上がり、右サイドのジョルディ クルークスへパス。クルークスが縦に運んで中へ折り返すと、スペースに走り込んだ上門が決定機を迎えたが、シュートはクロスバーを越えた。
攻めあぐねた前半から一転、後半は両サイドバックもより高い位置を取り、ボール回しのテンポも上げて、柏の守備ブロックを崩しにかかる。前半よりスムーズにサイドまでボールを運ぶと、カピシャーバとクルークスの両翼からチャンスを生み出す。セカンドボールも拾い、厚みのある攻撃を繰り出すセレッソに対し、柏も58分、1人目の選手交代でシステムを5バックに変更。守備を固め、攻撃ではよりカウンターの色を鮮明にしてきた。70分、73分とカウンターから柏の細谷真大に決定的なシュートも放たれたが、前者はポストに救われ、後者はヤン ハンビンが好守でしのぐ。何とか2失点目を防ぐと、ここからセレッソが怒涛の攻撃を展開。香川真司と喜田陽のボランチを起点に左右に振り分け、よりゴールに迫る。90分には右サイドバックの毎熊が果敢な攻め上がりから決定機を迎えたが、シュートはわずかに外れ、同点とはならない。90+3分にも、喜田のシュートのこぼれ球を拾った鳥海が進藤とのワンツーでシュートを放つなど、両CBもゴール前まで上がり、1点を目指す。
この諦めない姿勢が最後に実ったのが、90+6分だった。ヤン ハンビンのキックのクリアボールを拾った香川がカピシャーバへボールを預けると、対面の相手をドリブルではがした背番号27が、ファーサイドへ狙い澄ましたクロス。ここに飛び込んだのが進藤。「(中に)入り過ぎず、しっかりファーで待てたこと、基本に忠実に、下に叩けたことがゴールにつながった」と自身も振り返った起死回生の一撃により、セレッソが土壇場で試合を振り出しに戻した。すると、直後のCKから決定機。カピシャーバのキックに今度は鳥海が合わせたが、ヘディングはクロスバーを越え、勝ち越しとはならず。試合はここでタイムアップ。両チーム、勝点1を分け合う結果となった。セレッソとしては、前節に続き前半の早い時間帯に失点する難しい状況をはね返し、敵地で貴重な勝点1をもぎ取ったと言える。「もちろん勝ちたかったが、今シーズンは負けが多く、引き分けが少なかった。アウェイでの難しい展開で勝点1を取る重要性は、チーム全員、身に染みて感じている。そういう意味では、ポジティブな勝点1」と香川は試合を総括。一方で、公式戦3試合連続で前半での失点、さらにはボールをもちながら得点が遠い攻撃と、今節も課題は残った。「改善するところは改善して、継続するところは継続して、日々積み重ねていけるようにやっていきたい」と小菊監督。横浜FCとのアウェイゲームとなる次節こそ、勝点3を目指す。