2023明治安田生命J1リーグ第27節

2023明治安田生命J1リーグ

2023.9.16

鹿島アントラーズ

鈴木 優磨 (13')

1

AWAY

FULL TIME

0

1-0

0-0

セレッソ大阪

県立カシマサッカースタジアム

18,380

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

序盤に失点すると、退場者を出した相手に数的優位を生かせず無得点。無念さ募る上位対決に

前節の川崎フロンターレ戦から代表ウィークを挟み、再開されたリーグ初戦。セレッソ大阪は、敵地に乗り込み、鹿島アントラーズとの明治安田生命J1リーグ第27節に挑んだ。先発は前節と同じ11人。日本代表の活動から戻ってきた毎熊晟矢も名を連ねた。

序盤、セレッソの入りは悪くなかった。ボールを保持しつつ、右サイドでは毎熊が中に絞ってチャンスを作ると、左サイドでは進藤のサイドチェンジを受けたカピシャーバ、舩木翔とつないでクロス。うまく両サイドを使いつつ、ゴールの糸口を探る。そうした中で、13分、思わぬ形から失点。自陣でのビルドアップで進藤から喜田陽に付けたパスを鈴木優磨に奪われると、そのままGKとの1対1からネットを揺らされた。粘り強く試合を進めていきたかったセレッソとしては痛い失点となったが、気持ちを切り替えて1点を追いかけると、25分、鹿島のディエゴ ピトゥカが著しく不正なプレーで1発退場に。主審のジャッジに猛抗議する鹿島ベンチに対し、岩政大樹監督に警告、スタッフ1人に退場処分が命じられるなど、ホームのサポーターも含めてスタジアム全体が騒然となる中、セレッソの選手たちも冷静さを欠いてしまう。前半は相手が作るブロックに対し、思うようにパススピードが上がらず数的優位を生かせないまま時間が経過。決定機を作ることなく、1点ビハインドで前半は終了した。

何としてもまず同点に追いつきたい後半は、開始から両サイドが高い位置を取って敵陣に入っていく。46分、カピシャーバのクロスに逆サイドでジョルディ クルークスがヘディング。この試合、最初の決定機を作ると、直後の47分にも今度は中央を崩してチャンス。喜田の縦パスをレオ セアラが落とし、毎熊のパスに抜け出した上門知樹がDFの背後を取ってシュート。中と外を使い分け、パスのテンポも上がり、後半は鹿島を自陣に押し込み続ける。時折受ける鹿島のカウンターに対しても、GKヤン ハンビンの好セーブやDF陣の落ち着いた対応で2失点目は許さない。69分には、香川のパスから右サイドの背後を取った毎熊がクロス。中で途中出場の渡邉りょうが合わせたが、シュートはクロスバーを越えた。続く74分にも決定機。再び香川が起点となり、左サイドの裏へ絶妙な浮き球のパスを送ると、走り込んだ舩木のクロスにファーでレオ セアラが合わせたが、得意のヘディングはわずかに枠を外れた。81分には新井晴樹が入り、左サイドから果敢な突破で好機を作る。終盤はセットプレーの機会も増えていったが、どうしても1点が遠い。ラストプレーでは香川のFKからカピシャーバが折り返し、鳥海晃司がヘディングで押し込んだが、DFに防がれて万事休す。前半の失点を取り返すことができないまま、0-1で試合終了の笛を聞いた。

さらなる上位を目指す上で、何が何でも勝点3が欲しかった上位対決だが、天敵・鹿島にまたも競り負け、勝点を伸ばすことはできず、順位も6位に後退。ただし、今節は首位のヴィッセル神戸が敗戦、2位の横浜F・マリノスは引き分けとなり、幸いにもトップ2との勝点差は大きく広がらず。

次節は、その神戸と敵地で直接対決を迎える。試合後、「ここで諦める選手は一人もいない。ラスト7試合、全勝で終わって、優勝に向かっていきたい」と話した小菊昭雄監督。神戸との前回対戦時はホームで劇的な決勝点を挙げた北野颯太も「試されていると思う。いい意味で、この状況を楽しみたい」と前を向いた。試合で受けた悔しさは試合で取り返すしかない。今シーズンの行方を占う大一番となる次節。敵地をピンクで染め上げ、再び上昇気流に乗っていく1勝を目指す。

監督コメント

■小菊昭雄 監督

「色々なことがあったな、というゲームでした。いい入りをしたと思います。その中で、今シーズン私たちが取り組んでいる、ボールを保持しながら、しっかりとゲームをコントロールする。その取り組みの中で、あのようなミスで失点してしまったのですが、そこに対しては、クオリティーを上げていく作業は必要ですが、トライした選手たちをネガティブに思うことはありません。これからもしっかりと、その局面に対して質を上げていく作業をしていくことが大事です。少し残念だったのは、前半、セルフコントロールを乱してしまった選手たちがいたこと。ゲームコントロールをしっかりできなかったこと。そのあたりは前半、悔やまれる時間帯が多かった。ただ、後半は、全員が『点を取る』『勝つんだ』という気持ちを全面に出してファイトしてくれたこと、最後まで諦めずに戦ってくれたことに感謝したいと思います。先ほど選手たちにも伝えたのですが、まだまだこれから、次は神戸との直接対決もありますし、ここで諦める選手は一人もいないと思います。セレッソファミリーの皆様と、ラスト7試合、全勝で終わって、全員で優勝に向かっていきたいと思います」

 

Q:失点場面でボールを奪われた喜田選手について。攻守に進境著しい選手ですが、このような強度の高い相手に対して、今節のカギを握る一人でもあったと思います。後半も起用され続けたあたり、信頼も感じますが、今日のプレーと今後について

「ここ最近、チームの調子がいいのは、攻守に彼の存在は非常に大きなモノがありました。私の中で、今日のミスがあったからと言って、信頼がなくなるわけでもありません。逆に今日のミスから、彼もまだまだ若いので、たくさんの学びがあると思います。選手たちにいつも言っているのは、トライとエラー、それを積み重ねる。そうしないと、選手としての成長も止まる、チームとしての成長も止まると思っています。あそこの局面に対して、ボランチを基準にどんどん前進していく。それは今シーズン、キャンプからずっとやっていることです。彼があそこではがせば、チームは安定して前進できますし、チャンスになる。そこは際の勝負だと思いますし、引き続きそういうサッカーにトライしていきたいです。彼にも引き続き、今のプレーを続けてクオリティーを上げていく作業をして欲しいと思います」

 

Q:日本代表の活動から戻り、フル出場した毎熊選手のプレーについて

「中と外を使いながら、キーパスで、自らの突破で、何度も右サイドからチャンスを演出してくれました。そこから守備でもよく頑張って、彼の持ち味が十分出た試合だと思います。(初の代表での活動で)精神的にも疲れたと思いますし、もちろん肉体的にも、移動もあり、時差もあり、色んなことがあったと思いますが、90分、代表選手としての誇りを胸に頑張ってくれたと思います」

選手コメント

■喜田陽 選手

Q:結果的に、失点シーンが決勝点になってしまったが、今節の結果をどう受け止めますか?

「この大事な試合で、あの1点が大きな1点になってしまった。これからも上位対決がある中で、もっと自分がレベルアップしていかないといけないと思いました」

 

Q:CBの間でボールを受けてビルドアップに加わっていくことは今後も続けていくと思うが、教訓にしたいことはありますか?

「これからも怖がらずに、次の試合もその先も、どんどん受けていきたいですし、『チームを自分が動かす』という気持ちでやらないといけない。今日の試合は負けてしまったのですが、これから残りの試合、全部、勝てるように頑張りたいです」

 

Q:タックルを受けた足の箇所については?

「大丈夫です」

 

■舩木翔 選手

Q:今日の結果をどう受け止めていますか?

「大事な試合で負けたことは、凄く悔しい気持ちと、10人になった相手を崩すことができなかったので、これを受け入れないといけない気持ちがあります。チャンスは2、3本あった中で、そこを決め切る力はまだまだ足りていないと思いました。2、3本という数も増やしていかないといけません。前の3人、ジョルディ、レオ、カピは武器ですが、チャンスを作る部分で自分ももっと貢献していかないといけないと思いました」

 

Q:1本、香川選手のパスから左サイドを取って、決定的なクロスを上げました。あのようなシーンをもっと増やしたい?

「カピが外を取っているので、まずカピを1対1にさせてあげること。その中で、自分があのような内側に入っていくことや、もっと(攻撃を)作ることはやっていかないといけない。練習はしている形なので、試合で出せたことは良かったですが、その数を増やしていきたいです」

 

Q:今回の日本代表の欧州遠征では、毎熊選手がデビューして、素晴らしいプレーを見せました。現在の代表は、両サイドバックに色々な選手が招集されている現状もありますが、自身の中でどのくらいイメージはありますか?

「代表という場所は、サッカーをやっている選手、全員が目指している場所。その中で、自分の力はまだまだそこには達していないと思います。今季、たくさんチャンスをもらって、連続で試合にも出させてもらっている中で、ここでの活動、ここでのプレー、1日1日の練習、1試合1試合がそういう場所につながっていく。今のところ、そこに自分が近づいているとは思っていないので、コツコツと毎日、練習や試合で高めていければと思います」

 

■北野颯太 選手

Q:1点ビハインドの状態で試合に入りましたが、この結果をどう受け止めますか?

「相手が一人少ないこともあって、どんどんゴールに迫っていくイメージで入りましたが、相手もしっかり守ってきました。それを上回る攻撃やクオリティーを出していく必要があったと思います。ただ、ここで落ち込むこともないですし、逆にこういう相手とできて良かったと思うところもあります。まだまだ自分の実力が足らなかったなと感じさせられた試合でした」

 

Q:ここ2試合、複数得点。攻撃の形やクオリティーは向上していると思います。その上で、さらに上にいくためには、こういう相手からもゴールを奪う必要がある?

「そうですね。固められた相手を崩して点を取る練習も続けているので。ただ、今日は点を取れなかった。もっともっとやらないといけないと思いました」

 

Q:このスタジアムは、昨年プロ初ゴールを奪ったスタジアムです。思い入れも深いスタジアムで、結果を出したかった?

「あのゴール以来だったので、懐かしい気持ちもありました。今日も決めたかったですが、次、取るしかない。次は首位の神戸との試合です。ここで、昨年のように落ち気味で終わるのか、もう一つ踏ん張って、上位、優勝争いに食い込んでいけるのか。試されていると思う。いい意味で、この状況を楽しみたいと思います」

 

■新井晴樹 選手

Q:果敢な突破で風穴を開けるべく奮闘していましたが、1点が遠かった試合を振り返ると?

「まず悔しいのが1番です。絶対に勝ちたい試合で、最初に失点してしまった。そこから相手が10人になってからは、向こうも引いてブロックを固めてきた。あのような守備を崩すことは練習からやっていますが、0-1で終わってしまったことは本当に悔しいです」

 

Q:トライし続けたこと、相手もしっかり守ってきたこと。今日の内容から、さらに突き詰めたいことはありますか?

「チームとしても個人としても、最後の決定力はもっと高めないといけないです。ただ、次は(首位の)ヴィッセルなので、反省するところは反省して、切り替えて、1試合1試合、次の試合に向けて勝点3を取ることだけを目指していきたいです。7試合全部に勝って、最後にカップを掲げたいと思います」