第32節
2023明治安田生命J1リーグ
2023.11.12日
横浜F・マリノス
ヤン マテウス (41')
エウベル (45+1')
2
AWAY
FULL TIME
0
日産スタジアム
2-0
0-0
セレッソ大阪
日産スタジアム
37,204人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊昭雄 監督
「横浜FMを相手にまずはしっかりとゲームをコントロールする。そこが重要なポイントになると思っていました。攻守に距離感を大事にしながら、オープンな展開にならないように。前半の30分まではしっかりとボールを動かしながら、中盤の3枚、サイドバックを基準に距離感を縮める。前進してカウンタープレス。そこからもう一度、ゾーン3のアタッキングサードで押し込む。そういった時間帯も出来ていたと思いますが、前半25分、30分あたりから強度の高い相手のディフェンスに対して、少しメンタル的にも受けてしまい、クオリティーも落ちてしまい、ロングボールも増えてきました。距離感が悪く、オープンな展開になったところで、1点目、2点目と失点をした。あの時間帯が悔やまれます。後半ももう一度、自分たちの距離感で、怯まずどんどんボールを付けていく、3人目を使いながら長短を織り交ぜて前進していく。そういった時間帯も作れたことはポジティブなことだと思っています。ただ、今後はいい時間帯を増やしていく、そして、そういう時間帯の時にしっかりとゴールを決める。そういったところはまだまだ成長しないといけない。そこは強く感じるゲームでした」
Q:前半のスタッツを見ると、ボール保持率、パス本数、パス成功率は互角でした。横浜FMを相手にスペースを消してカウンターを狙うのではなく、直近2試合の形を踏襲し、真っ向から勝負を挑んだと思うが、だからこそ見えた相手との差や足りないところは、どこに感じられたでしょうか?
「強力なアタッカーを擁する横浜FMに対して、やり方はいくつかあると思います。その中で、しっかりブロックを落として意図的にスペースを消してカウンター。そのやり方もプランの一つにはありましたが、我々は今年、積極的にボールを奪いにいく、高い位置から奪ってゴールを目指す。そのサッカーの一つの集大成として、マリノスさんにどこまでやれるのか。そこにトライしたかった。それが、今回このゲームプランで挑んだ理由です。その中で、先ほど申し上げた通り、いい時間帯を作れたことはポジティブなことです。ただ、試合の流れがある中で、それを貫き通せなかった。サポートの質もそうですし、個人のはがしていくクオリティーもそうです。強度を高くボールに来る相手に対して、やり続けるメンタルもそうです。一つ一つ、一人一人、トライし続けられなかった。結局、30分くらいからミスの回数が増えて、ロングボールに頼って間延びしました。そのあたりは徹底して選手たちとブレずにトライしていく、クオリティーを上げていく、サポートの質を上げていく、それはこれからのセレッソの成長につながっていくと思うので、ラスト2試合、やり続けていきたいと思います」
Q:近年は相性の良かった横浜FM戦だが、今節は優勝へ向けて負けられない横浜FMの圧力がかなり強かったが?
「優勝が懸かったアウェイ、大一番ということで、スタジアムの強い圧も感じました。私もコーチ時代から横浜FMと何度も対戦していますが、確かに勝率は高い相手でしたが、どの試合も厳しい、どちらに転んでもおかしくないゲームでした。その中で、高い勝率が続いたことは、少し幸運があったのかも知れません。過去の対戦は関係なく、まっさらな気持ちで準備して臨みました。その結果、力負けしたところもあります。そこは謙虚に受け止めて、また横浜FMの背中をしっかりと追いかけていきたいですし、近い将来、横浜FMに内容、結果ともに上回れるように、全員でやっていきたいと思います」
選手コメント
■香川真司 選手
Q:上位の横浜FMを相手に、システムを変えて臨んだ直近2試合のやり方をぶつけたと思うが、戦って感じた差は?
「前半、攻守において相手の勢いは感じました。ラスト3試合、彼らもさらにギアを一つ上げてきた印象です。できれば前半を0-1で耐えたかった。2失点ともミスが絡んだり、そういう部分もありましたが、実力的にも今日は相手にやられたかなと思います」
Q:立ち上がりは右サイドからいい形も作った一方、途中からマンマーク気味に付かれて難しい部分もあったと思うが、今日の攻撃に関しては?
「僕たちもチャンスはありました。前半いいカウンターもあった中で、クロスの精度や質は上げていかないといけない。彼らはそれで取ったわけで。そこのクオリティーや判断はもっと成長しないといけない。相手が上だったなと思います。こういう(上位との)試合で今シーズンは負けてきた。だからこそ、今日は勝ちたい気持ちも強かったですが、こういうチームに勝ち切れなかったのは、僕たちの大きな課題。それを受け入れてやるしかない。次の試合、もっと言えば来シーズンもあるわけで。ラスト2試合、しっかり集中してやっていきたいです」
Q:アンカーのポジションについて
「アンカーは初めてですが、そこでの楽しさも感じると同時に、前に入る回数は減っています。でもそれは当然のことで。個人的には、トップ下、インテリオール、ピボーテ、状況に合わせてどこでもやれる準備はしていたい。チームとしてさらに上積みするためには、もっと形を作っていかないといけない。今日の横浜FMには、それがあった。想像以上にビルドアップや切り替えも徹底していた。この大一番で、当たり前のことを当たり前にやってきた。そういうところで実力の差が出てしまったことは率直に感じます」
■柴山昌也 選手
Q:試合を終えての率直な感想は?
「前半、良くない失い方をして、そこからカウンター2本で失点してしまった。率直に言えば、もったいない試合だったなと感じています」
Q:こちらがボールを握った中での攻撃では、右サイドでチャンスも何度も作ったが、個人的な手応えや課題は?
「もう少し高い位置でパスを受けてターンしたりするプレーは増やさないといけないと思っています。毎くん(毎熊)や真司さんといい距離感で崩しに関われていたシーンもあったので、そのチャンスをモノにできていれば、ゲームは変わっていたかなと思います」
Q:前節は相手のプレスもそこまで厳しくなく、特に前半は自由にボールを運べていたと思うが、今日に関しては、システムが噛み合う分、かなりタイトにマークされていたが、こういう相手をはがしていくために必要なプレーは?
「マンツーマンで来ているのは試合をやりながら分かっていたので、受けて、はたいて、出て行ったり。マンツーマンな分、個ではがせればチャンスになる。自分で行くところと周りを使う判断は、もう少しうまくできたかなと思います」
Q:優勝を争う横浜FMを相手にしても、柴山選手のはがすプレーはかなりレベルが高かったと思うが?
「つなげている時はみんなの距離感がいいので、自分だけではないと思いますが、攻撃の選手なので、そういうところで違いは作らないといけないと思います」
Q:前半の途中から香川選手がマンマークで付かれてから、前に運ぶことが苦しくなった印象だが、後半にかけて修正された?
「後半は真司さんと距離を縮めて常に逃げ道を作ることは意識しました。それがうまくいった場面もあったし、エウベルの横は常に狙っていたので、そこでターンして自分で運んだり、ジョルディを使ったり、そこは整理してプレーできました」
■毎熊晟矢 選手
Q:勢い良く相手は試合に入ってきたが、試合を終えての率直な感想は?
「マリノスさんの強度の高さは分かっていましたが、そこでやられてしまった部分が前半はありました。2シャドー(上門、柴山)に対して、マンツーマンで相手は来ていたので、途中から自分が中に入ったらエウベル選手が付いてこなかったので、内のポジションを取り始めたのですが、失ってしまうとサイドバックのポジションが空くので、少し崩し過ぎたかなという思いもあります」
Q:堅守速攻ではなく、こちらもボール保持を目指して戦った部分もあったと思うが、そのあたりの手応えは?
「失ってピンチになる回数も多かったですが、うまく3人目を使ったり、相手がマンツーマンで来てもターンして前に運ぶシーンもありました。ただ、仕留めるところのクオリティーや失った後の強度では、相手が上だったと思います」
Q:前半10分過ぎあたりから、相手の西村選手が香川選手を消すようなポジションを取ってきて、ビルドアップで香川選手を経由できないシーンも増えてきたが、その影響に関しては?
「真司さんが組み立てることが多いですが、4-3-3でアンカーを消されてしまうと、誰がやっても組み立ては難しくなる。個人的にそれも感じたので、少し中に入ってみました。何回かいいシーンも作れましたが、うまくバランスを見ながらいかに中に入るかは、もう少しうまくやれればなと思いました」
Q:明日から日本代表の活動が始まるが?
「大阪に帰るまで時間があるので、まず今日の分析をしてから、明日に臨みたいと思います」
Q:日本代表選手の宿命というか、普段、休みの時も試合が入ることに関しては、乗り越えていくというか、それを当たり前の環境にしていくことが必要?
「そんなに休みが欲しい、というタイプでもないですし、ずっとサッカーができるのは幸せなことなので、キツいよりは幸せの方が勝っています。責任を持ってプレーしたいです」
■山中亮輔 選手
Q:J1復帰戦となったこの試合を振り返ると?
「非常に残念な結果になりました。やっと戻って来られた、という喜びもありますが、公式戦のピッチはトレーニングとは全然違ったな、という印象が強いです。試合のスピードや強度のところで、やっぱり優勝を争うチームは凄いなと。復帰戦としては厳しい相手でしたが、もっと良くなることしかない。残り2試合ですが、チームの力になれるように。また競争がありますし、次はスタートから使ってもらえるように、トレーニングからしっかりやっていきたいです」
Q:残り2試合で確認しておきたいことは?
「次はホーム最終戦なので、応援してくれたファン、サポーターに勝点3を届けたいです。タイトルはなくなってしまいましたが、感謝の思いを込めて、ホーム最終戦はしっかり戦わないといけないと思います」
■阪田澪哉 選手
Q:第7節・札幌戦以来のJ1のピッチとなったが?
「初出場に比べたら緊張はなかったです。0-2で入ったので、自分がどう流れを変えるか。その思いで入ったのですが、結果的に何もできずに終わってしまった。途中出場の難しさも感じました」
Q:左ウィングに入ったが、あのポジションで心掛けたプレーは?
「左ならカットインもできますし、(山中)亮輔君との関わりも意識しました。自分で打開できるところは自分で仕掛けようと思ったのですが、回数自体も多く作れなかった。何度か行けるシーンもあったのですが、ミスもしたり。もう少しゴールを目指したプレーを増やせたら良かったと思います」
横浜FMの攻撃力に屈して2失点。ボール保持を得点につなげられず、0-2の敗戦を喫する
レオ セアラの決勝点で勝利した大阪ダービーに続く連勝を目指し、2位の横浜F・マリノスのホームに乗り込んだ今節。セレッソ大阪は、先発ベンチともに前節と変更なし。システムも直近2試合と同じ4-3-3で挑んだ。
最初に好機を得たのはセレッソ。5分、柴山昌也が高い位置でカットすると、パスを受けたジョルディ クルークスがカットインから左足でシュート。8分にも、上門知樹が競り、香川真司がボールを奪い、柴山のパスを受けたクルークスがフリーでシュートを放つ。ただし、いずれも枠を捉えることができず、先制のチャンスを生かせない。全体的な戦い方としては、「攻守に距離感を大事にしながら、ゲームをコントロールする。中盤の3枚、サイドバックを基準に距離感を縮めて前進し、カウンタープレス。そこからもう一度、ゾーン3のアタッキングサードで押し込む」(小菊昭雄監督)といった直近2試合と同様、引くことなく真っ向から横浜FMと渡り合う戦いを試みるが、横の揺さぶり、縦の鋭さと、ダイナミックかつスピーディーな相手の攻撃に対し、セレッソ守備陣が後手を踏む場面も。11分、33分と2度クロスバーに救われたが、41分に失点。後ろから素早く運ばれると、左から右へ展開され、最後はエウベルの折り返しをヤン マテウスに頭で押し込まれた。さらに45+1分、CBからの縦パスを奪われカウンターを受けると、アンデルソン ロペスの落としをエウベルに決められ、2失点目。前半終了間際に立て続けに失点を喫し、苦しい試合展開となった。
後半は2点リードの横浜FMの圧力が弱まったこともあり、セレッソがボールを握って敵陣に入る時間が続く。特に活性化したのが右サイド。前節に続き右インサイドハーフで先発を勝ち取った柴山がアクセントとなり、毎熊も果敢に攻撃参加。サイド深くまで進入し、クロスからゴールに迫る。54分には、舩木翔のフィードから斜めの動きで毎熊がペナルティーエリア内に進入してゴールを目指す。56分にも、柴山のパスを受けたクルークスがカットインからシュート、DFに当たったこぼれ球を舩木がシュートと波状攻撃を仕掛けるが、決定的と呼べる形は作り出せない。74分には毎熊のパスからレオ セアラが、80分には、カピシャーバのパスから毎熊が背後を取るが、ここも決定機には至らない。守備では、後半開始から投入された進藤亮佑を中心にリスク管理を徹底。59分の被決定機ではGKキム ジンヒョンがビッグセーブで3失点目は阻止。後半は保持率を高めて押し込んだが、最後まで反撃の1点が遠く、タイムアップ。「実力的にも今日は相手にやられた」と香川も完敗を認めざるを得ない敗戦となった。
今節は浦和レッズも敗れたため、3位との勝点差は5のまま変わらず。残り2試合、わずかに残る可能性に懸け、勝利を目指す。そのためにも必要なのは得点だ。「クオリティーを上げていく、サポートの質を上げていく、それはこれからのセレッソの成長につながっていくと思うので、ラスト2試合、やり続けていきたい」と小菊監督。ホーム最終戦となる次節こそ、ゴールネットを揺らし、ヨドコウ桜スタジアムに集まるサポーターと勝利の喜びを分かち合いたい。