第4節
2024明治安田J1リーグ
2024.3.16土
サガン鳥栖
0
AWAY
FULL TIME
2
駅前不動産スタジアム
0-0
0-2
セレッソ大阪
ヴィトール ブエノ (48')
柴山 昌也 (64')
駅前不動産スタジアム
9,345人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊 昭雄監督
「非常に厳しい試合でした。その中で、今シーズン初のクリーンシートで終われたこと、連勝ができたこと。何よりも、苦しんでいた選手たちが途中から出て結果を出してくれたこと。最後に10人になりながらも全員でハードワークして、絆の深さを感じられたこと。たくさんの嬉しいことがあったゲームでした。前半の入りのところから、鳥栖の圧力が強くて、苦しい立ち上がりだったのですが、私たちがやるべきことを選手たちが徹底してくれて、徐々に自分たちのゲームプランになったことも成長を感じました。たくさんの嬉しかったことを、2週間後、次のホームでの湘南戦につなげていきたいと思います」
Q:今季の中でも、最も苦しい試合だったと思います。特に前半はなかなか守備がハマらず、相手にボールを持たれる時間も長かったが?
「鳥栖を分析した時、特にアウェイでは、いつも立ち上がりは苦労します。こういう入りになることも選手たちとは共有していました。ある程度、我慢が必要だということも理解していました。なかなか前からのプレスがハマらなかったのですが、ハイプレスとコンパクト、4-3-3と4-5-1を使い分ける守備、本来なら4-3-3でいきたいところだったのですが、相手の圧を感じながらも、しっかりと4-5-1でコンパクトにしのげたことが大きかったと思います。選手全員が我慢強くやってくれたと思います」
Q:試合を分けたポイントとして、ハーフタイムでの選手交代が挙げられます。香川選手からブエノ選手に交代した理由と、1得点1アシストと結果を残したブエノ選手のパフォーマンスについて
「(香川)真司をブエノに代えた理由は、2つあります。1つは、(香川に)コンディション不良が見られたこと。もう1つは、パフォーマンスです。その中で、ブエノはすぐに結果を出してくれました。得点やアシストのところは、練習から常々パフォーマンスを発揮してくれていたので、100%の信頼で送り出しました。すぐに結果につなげるあたり、彼の能力の高さを示してくれたと思います。ブラジルと日本のサッカー、文化、食生活も含め、色々と違います。これまでにもたくさんのブラジル人選手を見てきましたが、すぐに日本のサッカーに馴染むことは難しい中で、彼は日に日に日本のサッカー、そして私たちが目指すスタイルを理解してくれています。非常に速いスピードでチームにフィットしてくれています。今後さらにパフォーマンスを上げて、チームに貢献してくれることを期待しています」
Q:柴山選手もJ1初ゴールとなったが?
「先発で出られない日々が続いていたのですが、キャンプから彼のパフォーマンスは素晴らしかったです。毎日を精一杯、取り組んだ結果が今日の結果につながったと思います。彼も、攻守にタフで上手い選手にどんどん成長しています。まだまだ彼の成長を楽しみにしたいと思います」
Q:ブエノ選手について。練習や練習試合では1トップで起用することもあったが、今後は中盤との両にらみで行くのか、中盤で起用するのか?
「基本的には、彼の良さは4-3-3のインテリオール、4-2-3-1のトップ下がベストだと思っています。今、急速に私たちのサッカーを理解してくれている中で、たくさんのポジションをやらせることが彼の混乱も生むと思うので、今後はインテリオールのポジションで、真司やオク(奥埜)、シバ(柴山)、ジョー(上門)、(北野)颯太と山田も帰ってきました。そういった中でいい競争をしながら、全員で成長していきたいと思います」
Q:香川選手の交代理由の1つに挙げられた「コンディション不良」は、負傷ということではない?
「試合前から腰の状態があまり良くなかった中で、立ち上がりのプレーで強い接触があり、腰を強打して打撲がひどかったこともあります。その中でのパフォーマンス。その両輪が理由です」
Q:試合後、柴山選手に何か言葉は掛けられましたか?
「彼の『やってやろう』という気持ち、『攻守に自分の力を最大限に発揮するんだ』という強い気持ちがあのプレーにつながったと思います。決して悪質な、わざと相手を傷つけようというプレーではなかったとは思います。ただ、結果的に退場になってしまったプレーですので、しっかりと映像を見ながら、彼のセルフコントロールも含めて、チーム全体で見直していきたいです」
選手コメント
■ヴィトール ブエノ選手
Q:J1初ゴールとなった先制点を振り返ると?難易度の高いシュートだったと思うが?
「セレッソのユニフォームを着て初ゴールを決められたことは非常に嬉しいです。とても幸せです。何より勝利できたことが非常に嬉しいです」
Q:ブラジル時代の映像を見ても、ミドルシュートが非常に上手い印象でしたが、今日のシュートも狙って決めた?
「そうですね(笑)。自分の武器は、ペナルティーエリアの外から決めるシュートです。今日は初めて45分間プレーしましたが、その中で、みんなともコミュニケーションを取って、馴染んでいけています。さらに(出場)時間が増えていけば、もっと自分のパフォーマンスを見せられると思います。チームにはたくさんの素晴らしい選手がいます。その中で、起用は監督が決めること。機会をもらえれば、自分の武器を見せるだけです。その回数が増えていけば、出るチャンスも増えていくと思います。チームのために頑張りたいです」
Q:2点目につながったスルーパスについては?
「ボールを持ったら常に前にパスを出すことも自分の武器であり、特長です。シバ(柴山)がいい動きをしてくれたので、タイミングがハマって、いいパスを出せました。決めてくれて良かったです」
Q:ピッチに入る前、何か監督から指示はありましたか?
「試合を決めてこい、と言われて入りました」
Q:試合後はサポーターと一緒に踊っていたが?
「サポーターの前で踊れるのは嬉しいですね(笑)。でもまだ硬いので、もうちょっと練習して、皆さんともっと上手く踊れるように頑張ります(笑)」
■毎熊 晟矢選手
Q:なかなか守備がハマらない難しい展開だったと思うが、特に前半はピッチでどう考えながらプレーしていましたか?
「基本、ウイングがCBにジャンプ(プレス)する形でやってきたので、相手も対策してきたのかなと思います。サイドで起点を作られたので、おっくん(奥埜)とかとも話して、途中からはウィングが(CBに)そこまで行かず、インサイドハーフが出て行く形に変えました。そこからは少しハマるようになったかなと思います。もう少し早く変えられれば良かったと感じました」
Q:毎熊選手もなかなか前に上がるタイミングがなかったですが、前半は失点ゼロでいけばいい、くらいの割り切りもあった?
「そうですね。みんな耐えるしかないと分かっていましたし、こっちが(後ろに)3枚で落ちても相手はマンツーマンで来ていたので、ロングボールも増えました。僕もあまり上がれないだろうなと、プレーしながら思っていました」
Q:ただ、先制点の場面は毎熊選手も前で絡んで、ブエノ選手のスーパーゴールが生まれました。
「絡んだ印象はあまりないですが(笑)。彼の個人技で仕留めてくれたゴールかなと思います」
Q:こういう内容の試合で、あのようなゴールで勝点3につなげることは、強いチームの条件のようにも思います。今日の勝利の意味について。
「前半でズルズルいって、失点して負けてしまう試合も昨年まではありました。言われたように、こういう試合を勝っていくチームが上に行ける。ハーフタイムにも、『こういう試合を勝たないといけない』という声も出ていました。チームとしても、また一つ上にいくための成長となる勝利でした」
Q:代表合流前にクリーンシートで勝って行けることは、気持ちは違いますか?
「いつも行くときは勝って行きたい気持ちはありますし、守備の選手としても、失点ゼロで終われたのは良かったです」
Q:今シーズンが始まる前、「背中だけではなく、言葉でもチームを引っ張りたい」と話していたが、実際に4試合を終えて、どう実践できている?
「喋る量は去年より格段に増えました。今日も後半の最後の方は喉が痛くなりました(苦笑)。そのくらい、ピッチでも喋れているので、続けていきたいです」
Q:今日は家族もスタジアムに来られていた?
「はい。両親と姉2人、みんな来ていました。昨年、一昨年とここで勝てていなかったので、勝つ試合を見せることができて良かったです」
■西尾 隆矢選手
Q:U-23日本代表への合流前に、連勝を達成できたが?
「やっぱり勝ちと負けでは気分も違いますし、自分としても、いい状態で代表に臨めます」
Q:今季初のクリーンシートで終われたことも、チームにとっては大きいですね。
「そうですね。開幕から3試合、ずっと失点していたので。(舩木)翔くんとも『ゼロで抑えることが大事』だと話していました。それが僕らの力を証明することにもつながると思ったので、今日こうして結果が出たことは良かったです」
Q:前半は攻守で鳥栖のペースの時間も長かったが、どういうことを考えながらプレーしていた?
「今節に向けた練習では、ビルドアップのところで色々と準備してきたのですが、ピッチの状態も含めて、なかなかうまくいかなかった。前半はしんどい時間がずっと続きましたが、良かったところは、その時間帯で失点しなかったこと。昨年だと、そういう時間帯で失点してしまったり、耐えていても後半すぐに失点したり。そこは昨年と比べて変わったところかなと思います。その意味でも、今年は強いチームになっていっているのかなと思います」
Q:おっしゃるように、内容も良くて勝つ試合ばかりではありません。前半のような内容でも失点ゼロで抑えて、苦しい試合をモノにできたことは、強いチームの条件だと感じます。
「そうですね。全員が前半は耐える時間と共通認識して戦えたことが良かったと思います」
■キム ジンヒョン選手
Q:今季初の無失点です。毎試合、目指していると思いますが、今日は達成感がありますか?
「そうですね。4試合目でやっと無失点で終わったことは、チームとしても自信にもつながります。みんなが頑張った結果だと思います」
Q:CBにケガ人も出ていますが。出た選手でしっかりやれている?
「みんないい準備をしていますし、誰が出てもいいサッカーができるのが、今年のセレッソの強み。ケガをしたことは残念ですが、誰が試合に出ても大丈夫だと思います。(舩木)翔はCBではないのにCBをやっていることも凄い。ポテンシャルも高い。隆矢もまだ若いので、今後もっと成長していく楽しみな選手です。2人とも、いい経験につながっていくと思います」
Q:相手のセットプレーも多かったが、今節はしっかり守れた?
「セットプレーでやられるのが、一番もったいない失点なので。そこに関しては、みんなが責任を持ってやらないといけないですが、GKを中心に守ることなので。セットプレーからの失点はなるべく防いでいきたいです」
Q:これまでの3試合に比べると、前半はなかなか繋げなかったが、相手のプレスも強かった?どう考えながらプレーしていましたか?
「繋げないのは、相手のプレスより、芝生の状態もありました。全くボールが滑らなかったので、そこで繋ぐのも怖かった。リズムが崩れるのも良くないと思ったので、みんなで喋りながら、はっきりとしたプレーをした方がいいと。今日はそういう選択肢を選びました」
Q:優勝を目指してスタートした今シーズン。ここまで負けなしで来ていますが、ジンヒョン選手の立場から、現在のチームをどう見ていますか?
「僕は前に出るより、後ろで見守ることを考えています。今年は若い選手を中心に声を出して、みんなでコミュニケーションを取れるチームになっています。僕は後方で、ちょっとしたことがあれば、気付いてやっていきたい。これからセレッソが強くなるためには、若手がどんどん意見を出して、チームのためにやっていくことが大事。それを僕は後ろで支えていこうと思っています」
Q:セレッソで同期入団の丸橋選手と初めて対戦しましたが、どのような気持ちになりましたか?
「まだまだ、できていることも多いと、今日の試合で改めて思いました。まだまだマル(丸橋選手)もプレーして欲しいです。これからは自分との戦いだと思うので、まだまだ諦めずに上を見て、やってくれたらなと思います」
ヴィトール ブエノ・柴山昌也のJ1初ゴール、今季初のクリーンシートで連勝を達成
今季初の連勝を目指して臨んだサガン鳥栖とのアウェイゲーム。セレッソ大阪のスタメンは、前節から1人変更。レオ セアラが2試合ぶりに先発復帰し、ベンチにはカピシャーバも戻った。
開幕からの3試合は、前半からセレッソがボールを保持して試合を優位に進める展開が続いていたが、今節は鳥栖の巧みなポゼッションに対し、セレッソは前からの守備がハマらず後手を踏む。すると19分、左から右へ一気にボールを運ばれ、スペースを突かれると、一度はゴールネットを揺らされたが、ここはオフサイドで無効に。セレッソとしては救われたシーンとなった。鳥栖の圧力を受けた立ち上がりだったが、20分ごろからセレッソもボールを握る時間を増やし始める。28分には、キム ジンヒョンのフィードを受けたジョルディ クルークスが縦に突破しクロス。ニアで奥埜博亮が合わせてゴールを脅かす。守備も「4-3-3のハイプレスから、しっかりと4-5-1でコンパクトにしのぐ」(小菊昭雄監督)形に変えたことで安定。その後も主導権を引き寄せるまでは至らなかったが、鳥栖に大きなチャンスを与えることなく、前半は終了した。「前半はしんどい時間がずっと続いたが、良かったところは、その時間帯で失点しなかったこと」と試合後に西尾隆矢も振り返ったが、前半を失点ゼロでしのいだことが、この試合を分ける大きなポイントとなった。
後半開始から、小菊監督は香川真司に代わってヴィトール ブエノを投入。すると早速、試合は動く。舩木翔の対角のフィードが起点となり右サイドを攻め込むと、クルークス、毎熊晟矢が連続してクロス。相手のクリアを拾い続けて押し込むと、最後は毎熊のクロスのこぼれ球を拾ったブエノが右足でのトラップから左足を振り抜き、見事ゴールイン。ドライブ回転がかかったボールがクロスバーを叩いてネットに吸い込まれた瞬間、ベンチは大盛り上がり。苦しかった前半の展開を一気に変えるスーパーゴールに、選手たちも歓喜を爆発させた。
先制して落ち着きを取り戻したセレッソ。これまで3試合の展開を考えると、早めに追加点が欲しい中、64分、挨拶代わりのゴラッソが加入後初ゴールとなった背番号55が再び魅せた。セアラの落としから中央でボールを受けると、前方のスペースへ走り出した柴山昌也に絶妙なスルーパス。直前に試合に入り、これがファーストタッチとなった背番号48が右足で止めて左足アウトで流し込むと、GKの手を弾きながらゴールにねじ込んだ。昨年夏の加入から数ヶ月、シーズンをまたいで生まれた柴山の嬉しいJ1初ゴールに、選手からは手荒い祝福が送られ、再び歓喜の輪が広がった。直後の69分にも決定機。敵陣で相手のパスをカットした柴山が持ち込み中央へ折り返すと、ブエノがスルーし、セアラが合わせたが、枠を捉えることができず、3点目とはならなかった。
86分には、VARの介入による1発レッドで柴山が退場になるアクシデントもあったが、セアラに代えて鳥海晃司が入り、5-3-1で後ろを固めて逃げ切ったセレッソ。「今シーズン初のクリーンシート、連勝、苦しんでいた選手たちが途中から出て結果を出してくれたこと。最後に10人になりながらも全員でハードワークして、絆の深さを感じられたこと。たくさんの嬉しいことがあったゲーム」と試合を総括した小菊監督。この試合後に日本代表へ合流する毎熊も、「こういう試合を勝っていくチームが上に行ける。ハーフタイムでも、『こういう試合を勝たないといけない』という声も出ていた。チームとしても、また一つ上にいくための成長になる勝利だった」と今節の1勝の大きさをかみしめた。新たな選手たちが結果を出したことで競争力が増したチームは、約2週間後、代表ウィーク明けに行われる次節・湘南ベルマーレ戦へ向け、攻守に上積みを図っていく。