2024明治安田J1リーグ第15節

2024明治安田J1リーグ

2024.5.18

アビスパ福岡

0

AWAY

FULL TIME

3

0-2

0-1

セレッソ大阪

レオ セアラ (9')

田中 駿汰 (29')

為田 大貴 (90+7')

ベスト電器スタジアム

9,327

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

今季最多の3得点で快勝。アウェイ・福岡の地で7試合ぶりの勝利を飾る

 

雨中の激闘となった前節のFC町田ゼルビア戦から中2日。セレッソ大阪は、連敗を3で止めるべく、アウェイ連戦となるアビスパ福岡との明治安田J1リーグ第15節に挑んだ。先発は前節から3人変更。レオ セアラとルーカス フェルナンデスが2試合ぶりに戻り、ヴィトール ブエノが第6節・柏レイソル戦以来、9試合ぶりのスタメン。ベンチには、第12節のガンバ大阪戦で負傷した毎熊晟矢も3試合ぶりに戻った。


試合は立ち上がり、福岡の圧力を受ける形でスタート。サイドからのクロスを何度か入れられたが、しっかり跳ね返すと、5分、相手のパスを引っかけ、レオ セアラが遠目の位置からロングシュートでゴールを狙う。7分にもセアラがドリブルで相手DFのファウルを誘い、FKを獲得。すると、このリスタートからセレッソが先制に成功する。フェルナンデスがそのまま入れず、ブエノにパスを出して変化を付けると、ブエノのクロスに競った西尾隆矢が粘ってパスを送ると、受けたブエノがシュート。これが前線のセアラへパスのような形になり、セアラが見事なトラップから反転、振り向きざまにシュートを決めた。未勝利が続いた直近6試合はいずれも先制され、試合を難しくしていただけに、何としても欲しかった先制点だったが、桜のエースが今季12点目となるゴールを見事に叩き込んだ。


試合前日、「それぞれの役割、色を輝かせられるように、組み合わせや立ち位置、タスクは整理していきたい」と話していた小菊昭雄監督だったが、今節のセレッソは中盤の配置に変化を加え、ブエノをトップ下に、田中駿汰と奥埜博亮のダブルボランチでスタート。奥埜が守備でスペースを埋めるとともに、セカンドボールを拾って田中の負担を軽減。相手にチャンスを与えず試合を進めると、攻撃では縦への意識が強く、古巣対戦となったジョルディ クルークスやフェルナンデスが積極的にシュートを狙う。すると29分、CKから追加点。フェルナンデスのキックに中央で田中が頭で合わせ、ネットを揺らした。前半終了間際は何度かピンチも招いたが、失点は許さず。2点リードで前半を折り返した。


後半もセレッソがボールを握って試合をコントロール。引き続き福岡のクロスに対してしっかりと競りながら、セカンドボールも拾ってゲームを進めていく。61分、福岡のシャハブ ザヘディがこの試合、2枚目のイエローカードで退場になる。前半から鳥海晃司らがしっかりと体を寄せて対応し、福岡のエースに仕事をさせなかったことも今節の勝因となった。数的優位に立ったセレッソは、ここから時間を使いながら3点目も狙うと78分、途中出場の上門知樹が相手ディフェンスの背後を取って、強烈なシュートを放つ。試合終盤、福岡は5人の交代枠を使い切った状態で選手が負傷でプレー続行不可能に。ここからセレッソは2人多い状態になったが、90+7分、福岡に決定機を作られる。ただし、サイドからのクロスにウェリントンが頭で合わせたシュートはGKキム ジンヒョンがビッグセーブで失点は阻止。すると直後にセレッソがダメ押しの3点目。清武が高い位置でボールを奪うと、上門がドリブルで運んで清武にパス。ペナルティーエリア手前で受けた清武が内に巻いた正確なクロスを逆サイドへ送ると、飛び込んだ為田大貴がボレーで合わせる。一度はGKに止められたが、クロスバーに当たって跳ね返ったところを再び頭で押し込んだ。為田にとっては今節がJ1通算100試合。節目の試合を自ら飾った。途中出場3選手が絡んで崩した3点目とともに試合は終了。第8節・川崎フロンターレ戦以来、実に7試合ぶりの勝利を手にした。


「選手たちは(勝てない時も)常に前向きにトレーニングに励んでくれていました。常に良い雰囲気でトレーニングを変わらずできていたこと。それが今日の勝利につながったと思います」と小菊監督。苦しんだこの1ヶ月も「学び」(小菊監督)に変えて、ここから再び勝利を重ねていきたい。

監督コメント

■小菊 昭雄監督

「今季はいいスタートを切りながら、この1ヶ月はなかなか勝点3を積み上げることができず、チームとしても厳しい状況が続いていました。今日はとにかく勝点3にフォーカスして試合に臨みました。その中で、選手たちは(勝てない時も)常に前向きにトレーニングに励んでくれていました。常に良い雰囲気でトレーニングを変わらずできていたこと。それが今日の勝利につながったと思います。あと、今日は相手の強みやウィークポイントを理解した中で、私たちの最近の課題も踏まえて少し戦い方を変えました。そうした中で、時間は短かったのですが、選手たちがトレーニング、ミーティングでしっかりと自分の役割を理解して、ゲームプランを全うしてくれたことも、今日の勝点3につながったと思います。今季の私たちの目標は優勝です。この苦しい1ヶ月も、大きな学びがありました。そこで得たこともあります。この学びを私たちの目標につなげていきたいと思います」

Q:試合に臨む意識について。前半の2点はどちらもセットプレー絡みでしたが、そこに至る過程も含め、今日はシュートの意識、前の意識が出ていたと思うが、前半の入りについて
「入りのところは、相手のスタイルも含めて、最近の私たちの課題も含めて、まずしっかりと押し込もうと。これまでもボールは握れていたのですが、シュートが少なかった。逆に、やり切れずにカウンターを受ける課題もありましたので、大胆に、思い切ってシュートで終える、攻撃をやり切ることは徹底して入りました。(2点目につながった)CKが取れたのも、思い切ったルーカス(フェルナンデス)のシュート、そこからのカウンタープレスで(ジョルディ クルークスが)ボールを奪ったところからでした。選手たちがゲームプランを全うしてくれたと思います」

Q:戦い方の部分では、今日は奥埜選手が下がり目でスペースを埋めて、セカンドボールをかなり拾っていたと思います。その分、ヴィトール ブエノ選手がトップ下のような位置でした。今日の中盤の構成と狙いについて
「最近の失点の仕方として、自分たちの良い状況から(ボールを)失ってカウンターを受けたり、攻め込まれてセットプレーを与えてリスタートからやられたり。そのあたりのバランスも含めて、奥埜には今日は違うタスクを与えました。今までは(田中駿汰の)アンカー、ワンボランチでやっていたのですが、今日はツーボランチ気味に、守備のタスクを彼(奥埜)に与えました。ブエノはここ最近、メンバー外も経験して、辛い時期もあったと思うのですが、彼が足りないところ、特に守備の部分ですね。毎日のトレーニングでしっかり向き合って、ミーティングも含めて、今の課題を自分自身で乗り越えるという高い意識で毎日、取り組んでくれています。その成果が出て、今日は守備でも非常に貢献してくれました。できたことをフィードバックして、彼にはさらなる攻守の要として、色んなタスクを与えていきたいと思います」

Q:この2試合、香川真司選手がメンバー外だが、その状況について
「コンディション調整をしっかりと舞洲でやっている状況です。コンディションを100%に戻すこと。常々、私は『日常が全て。トレーニングで勝ち取った選手を起用する』と最初のミーティングから言っていますので、彼もまずコンディションを100%にして、これからの連戦に備えて準備をしている状況です。ここ数日は彼のプレーを見れていないですが、コーチングスタッフからは、コンディションの情報、またはデータもしっかり送られてきています。向こうでも、残ったメンバーといい競争をしながら、連戦に備えている、という状況です」

選手コメント

■レオ セアラ選手

Q:欲しかった先制点でした。先に取る意識は強かった?
「そうですね。最近は先に失点して試合が難しくなっていたので、今日は先に取って自分たちの流れにすることを意識しました。実際に取れたので良かったです」

Q:意識について聞いたのは、最初にロングシュートでゴールを狙うシーンがあったからです。得点への意欲が出ていると思ったが?
「あの場面はGKが出ていたので、行けるかな、と思って蹴りました。先制点が欲しいという気持ちもありましたが、あの場面は、状況を見てあのプレーを選択した、ということです」

Q:先制点の場面は、(アシストした)ヴィトール ブエノ選手はシュートだったのかな、と思ったが、うまく止めてシュートを打ちましたね。
「ブエノとロッカールームで話した時は、『パスだよ』と言っていましたが、多分、違うと思います(笑)。上手く止めて打てて良かったです」

Q:12点目で得点ランクの単独トップに立ったが?
「12点目を取れたことは嬉しいです。15試合で昨年と同じ数を取れたことは、自分が昨年より上達している証だと思います。ただ、それは自分の力だけではなく、チームメートのおかげです。自分のためにチーム全員がパスをくれますし、チーム全体の攻撃力のおかげです。さらに点を重ねて、最終的に得点王の位置まで行ければと思います」

Q:この時期までに12点ということは、もはや“夏男”というだけではありませんね。今日は暑かったですが(笑)。
「そうですね(笑)。今年は昨年以上に試合に向けて準備を重ねています。そうした準備が結果につながっているのだと思うので、やっていることは続けていきたいです。(具体的には?)ほぼ毎日、ジムで筋トレをしています。昨年に比べてフィジカルコンディションがいいです。栄養も気にしていますし、回復も早いので、良い調子で来ているのだと思います」

■ヴィトール ブエノ選手

Q:久しぶりの先発でしたが、試合に臨む思いは?
「6試合、勝利がなかった中で先発の機会を与えてくれて嬉しかったです。全員で前からアグレッシブに戦えました。その結果、勝点3を得たことは良かったです」

Q:今日はポジションが高めで、レオ セアラ選手の下のような位置でした。やはり、このポジションが自身にとっては合っていますか?
「そうですね。(前提として)監督に与えられたポジションでプレーすることは変わりませんが、自分のやりやすいポジションではありました。監督にそのポジションで使ってもらったことに感謝しています。この結果が残せたことは嬉しいですし、これからも先発の機会を勝ち取れるように頑張ります」

Q:先制点をアシストした場面は、レオ セアラ選手には「パスだよ」と言ったそうですが、シュートですよね?(笑)。
「レオが見えたので、パスを出しました。いえ、冗談です、シュートです(笑)」

■奥埜 博亮選手

Q:いつも以上に中盤でセカンドボールを拾っていたが、今日の役割としては、スペースを埋める立ち位置でしたか?
「そうですね。今日は前に行くより、バランスを見ながらプレーすることを意識しました」

Q:ロングボールが入った後のセカンドボール対策というか、福岡のやり方を意識した部分もあったでしょうか?
「そうですね。今までは自分たちの形を貫き通すというか、相手がどう来ても自分たちの形で、クオリティで上回ることを意識していましたが、最近は苦しい展開が続いた中で、監督やスタッフも含めて、どうするか、という部分で、相手を見ながらプレーすることも加えました。自分たちが今までやってきたことは間違いではないですし、それに加えて、相手がこう来るならこう、という選択肢が何個かあれば、自分たちの強みになります。今までやってきたことを無駄にせず、継続しながら使い分けていけたら良いと思います」

Q:今日はフル出場でした。この気温で中2日、かなりきつかったと思うが?
「最後の方は、足をつりそうになりましたが(苦笑)、相手にもアクシデントが出たりして、上手くペースを握れたと思います。ただ、もっともっと90分を通して全員がハードワークして、誰かがきつくなれば交代で入る選手もクオリティの高い選手が多いので。行けるところまでしっかりプレーすることが大事かなと思います」

■田中 駿汰選手

Q:今日は中盤のバランスが変わり、アンカーではなくダブルボランチだったと思うが、プレーした手応えは?
「今日はおっくん(奥埜)とのダブルボランチで、ブエノのトップ下という形で入りました。それがうまく機能したというか、いるべき場所に人がいて、うまく自分とおっくんでバランスを見ながらやれたと思います。自分としても手応えを感じています」

Q:セカンドボールをあれだけ奥埜選手が拾ってくれると、助かりますか?
「そうですね。色んなところに顔を出せるのがおっくんの良さ。後ろにも前にも行けますし、チームとしても、(奥埜が)ボランチに入ってくれることは助かるなと、改めて思いました」

Q:今後も、より攻撃的に出たい時はインテリオールを2枚置いて、守備のバランスも見る時はダブルボランチ気味に、使い分けていけそうですか?
「そうですね。こうやってダブルボランチでもしっかり結果を出せたので、今後も使い分けることができると思います。監督が示した方向性を信じてやった結果、今日も良い結果につながったので、監督がやろうとすることをみんなで信じてやるだけです」

Q:CKから今季2点目も決めました。大きな追加点でしたね。
「そうですね。先制点を取れたことも良かったですし、追加点も大事だったので、良い時間帯で取れました。どの試合でもセットプレーはカギになりますし、福岡は高さもありましたが、だからこそ得点チャンスもあると思っていました。(ルーカス フェルナンデスが)ピンポイントでクロスをくれたので、感謝です」

Q:セットプレーは、今日はトリック的にいつくかパターンも見せていたが、福岡対策?
「普段からやっている形ではありますが、福岡は高さもあるので、一つ工夫を入れて、ズラす形もトライしました。これからも色んなパターンができれば良いと思います」

■為田 大貴選手

Q:得点場面は、なかなかスペースはなかったと思ったが、清武選手とのお互いの中では、呼吸が合った?
「クロスが上がってくると思いました。天候も暑くピッチ状況も乾いて、少し止まるような芝生だったので、バウンドせず止まると思ったので、うまく被せて前に入って蹴ることを意識しました」

Q:GKとの間に、そこまでスペースはなかったですよね?
「そうですね。まぁでも、キヨくん(清武)からしたら十分なスペースがあったと思います」

Q:一度はセーブされましたが、最後まで目を切らさずボールを見ていた?
「目の前にボールがあった、という感じですね(笑)」

Q:J1通算100試合目を自ら祝いました。
「らしいですね(笑)。全然、知らなくて。サポーターの方がフラッグを持っていたので、100試合か、と思って。別にそんな大きな記録ではないですが。J2が長かったということもありますが、100試合を迎えることができたことは嬉しいですね。色んな方に感謝の気持ちがあります」

Q:奇しくも古巣のスタジアムで迎えたことは運命的ですね。
「そうですね(笑)。J1初ゴールもこのスタジアムですし、こうやって節目の試合でゴールできたのは良かったです。素晴らしい雰囲気のスタジアムで決めることができたことも良かったです」

Q:チームとしても7試合ぶりの勝利でした。忘れられない試合になったのでは?
「いや(苦笑)、もちろん苦しい時期でしたが、勝てない間も内容としては、良い試合が続いていたので。前節もそうですが、勝てない時期は、良い試合をしても勝てない。その中で、今日は前節と同様、サポーターの方が良い雰囲気を作ってくれましたし、自分たちもそういうところを大事にこの2試合は臨んだので。スタメンの選手だけではなく、スタッフも含めて全員で作り上げた雰囲気や勝利だったと思います」

Q:前節の試合後も、「自分たちから崩れない」「やっていることは間違っていないから継続していこう」という言葉が多く出ていたが、そういう雰囲気作りをこの2日間でも確認できた?
「そうですね。(勝てない間も)みんなからマイナスの意見が出たり、チームとしてのやり方に納得していない、というチーム状況ではなかったので。チームとしてやっていることに満足していますし、小菊監督がやろうとしていることにみんなしっかり付いていこう、という想いは強いです。そこにプラスして、自分たちで作り上げていかないといけないこともあるので、チームでしっかり戦えていると思います」

■毎熊 晟矢選手

Q:復帰が早くてホッとしたが、今日に合わせて復帰した?
「ギリギリ間に合ったので、時間も限られていましたが。ガンバ戦でああいうミスから失点して負けて、やっぱりあの試合は大きかったと思いますし、その後も上手く波に乗れない状況を見るのが悔しかったですが、ここで自分が(流れを)変えたいと思っていました。プレーだけではなく、声掛けも含めてチームに貢献したいと思って、今日に臨みました」

Q:時間は短かったですが、プレーした感覚としては問題なかった?
「そうですね、問題はなかったです」

Q:今はそこまで気にしていないと思うが、6月の代表活動へ向けても、復帰できたことは良かった?
「(日本代表は)ずっと目標にしている場所なので、意識はしていますが、今はダービーでのミスをチームに返したい気持ちしかないです。ダービーの後、色んな厳しい言葉もありましたが、当然ですし、チームメートは『(負けたのは)お前のせいじゃない』とみんな言ってくれて。この仲間に返していかないといけないと凄く感じたので、今はチームのことしか考えていないです」

Q:不在の間、右サイドバックでプレーしていた奥田選手をどう見ていましたか?
「どちらかと言うと、僕というより、ノボリくん(登里)の役割をしていたと思います。ノボリくんと全く同じ役割ではないですが、彼の頭の良さを生かしながら、苦しいチーム状況の中で、前を向かせるプレーをしてくれていたと思います」

Q:競争もある中で、ここから再び自分の良さをアピールしていきたい?
「そうですね。色んなサイドバックがいて、他の選手にはないプレーを自分もできると思いますし、特に今日は少しサイドバックの立ち位置が変わりましたが、自分の強みを出しやすくなると思いますし、どんなフォーメーションでも自分の良さを出せるようにやっていきたいと思います」

Q:久しぶりの勝利でしたが、試合後の雰囲気はいかがでしたか?
「最初は、雰囲気を盛り上げないといけない、という思いでチームに合流しましたが、みんな前を向いてやっていたので、試合前から勝つべくして勝った雰囲気だったと思います」

Q:試合前日の小菊監督の話を聞いても、雰囲気が落ちていたわけではなかったようですね。
「そうですね。町田戦も僕はDAZNで見ていましたが、戦う姿勢は画面越しでも伝わってきましたし、みんな前向きに今日に臨んでいました」