2024明治安田J1リーグ第16節

2024明治安田J1リーグ

2024.5.26

セレッソ大阪

西尾 隆矢 (66')

1

HOME

FULL TIME

1

0-0

1-1

サンフレッチェ広島

荒木 隼人 (53')

ヨドコウ桜スタジアム

19,670

ナカバヤシサポーティングマッチ

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

先制されるも、西尾隆矢の今季初ゴールで勝点1を獲得。高強度の広島にも競り負けず、次につながる戦いを披露

JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド3回戦・FC琉球戦から中3日。再びリーグ戦に戦いの場を戻し、セレッソ大阪は連勝を目指してホームにサンフレッチェ広島を迎え、明治安田J1リーグ第16節に挑んだ。先発は前節のアビスパ福岡戦から1人変更。負傷明けの毎熊晟矢が右サイドバックに戻った。

ホームでは2017年以来勝利がなく、6連敗中の広島戦。立ち上がりは、そんな相性の悪い相手に攻め込まれる展開に。前からのプレスを外されると素早く縦に付けられ、サイドに展開され、クロスからピンチを招く。CKも前半だけで8本与えたが、守備陣も中でしっかり跳ね返して失点は許さない。前半の途中から、「ブロックを下げて、背後のスペースは消しながら、ファーストライン、セカンドラインを基準に(プレスに行く)という守備の仕方に変えた」(小菊昭雄監督)ことで広島のスピードに乗った攻めを抑えると、攻撃では相手のプレスの網にかからぬよう、ロングボールを多用。特に右サイドのジョルディ クルークスのところで起点を作り、前半終盤は相手を押し込むことに成功した。45分には、クルークスのクロスがファーに流れたところを拾ったルーカス フェルナンデスがカットインからイン巻きのシュート。わずかに枠を外れたが、前半で最も得点に近付いた場面だった。

ただし、後半も入りは広島。前への圧力を受けると、53分、CKから荒木隼人に決められ失点。さらに直後の57分にも、松本泰志に裏に抜け出されて決定的な形を作られたが、ここはGKキム ジンヒョンが左足に当ててビッグセーブ。跳ね返りも西尾隆矢が素早く反応してクリア。何とか2失点目は防いだ。この日が27歳の誕生日でJ1通算150試合と出場となった田中駿汰も、「あのシュートが入っていれば厳しい試合になった。スーパーセーブをしてくれたジンさん(ジンヒョン)に感謝しかない」と振り返ったビッグプレーだった。広島のプレスの前に、思うようにボールを運べなかったセレッソだが、60分を過ぎたあたりから中盤にスペースが空き始め、下からつないで前進。両サイドに活きたボールを届け始める。65分、田中、ヴィトール ブエノ、レオ セアラ、クルークスとテンポ良くつなぐと、クルークスのクロスが相手ゴールを襲う。広島GK大迫敬介に弾かれたものの、ここで得たCKからセレッソが同点に追い付く。フェルナンデスのファーサイドへの正確なキックに合わせたのは西尾。「それまでにはニアに入っていたけど、あの瞬間はGKの後ろに立って、ファーに流れた」と前半からの相手との駆け引きにも勝って、今季初ゴールを決めた。

この得点で息を吹き返したセレッソは、ここから終盤にかけて攻勢を強める。68分には再びフェルナンデスのCKから、今度はニアで西尾が合わせて決定的な形も作ったが、ここは枠の外に飛んだ。77分には、キム ジンヒョンのフィードに途中出場の為田大貴が抜け出し、決定機になりかけたが、相手DFに止められシュートには持ち込めず。ここで得たFKはブエノが蹴り、こぼれたところを奥埜博亮が詰めたがわずかに届かなかった。その後も何度もセットプレーを獲得し、終了間際には清武弘嗣がピッチに入り、後半アディショナルタイムには舩木、為田、清武とつないで左サイドを崩し、清武のクロスにセアラが飛び込む大きなチャンスも作った。しかし、最後まで勝ち越しゴールは奪えず、1-1で試合終了。連勝とはならなかった。

それでも、球際の強い広島にデュエルで負けず、互角に渡り合ったことは収穫。「広島という素晴らしいチームと強度の高いゲームができたことは次につながると思います」と小菊監督も試合を総括。殊勲の西尾も、「全員の『勝ちたい』気持ちが非常に強かった。だからこそ追い付くことができたと思うので、そこはポジティブに捉えてもいい。次は勝点3を取りたい」と前を向いた。次節はアウェイでの京都サンガF.C.戦。苦しかった5月の戦いを経て、6月を勝利でスタートさせたい。

監督コメント

■小菊 昭雄監督

「ホームに戻ってきて、ここ最近勝てていない広島に対して、勝点3を目指して選手たちは精一杯戦ってくれたと思います。前半、私たちのハイプレスに対して、相手はシンプルにポケットを突いてくる、ニアゾーンを取ってくる。その中でCKを取られて押し込まれる。そういった前半の入りが続きましたので、ブロックを下げて、背後のスペースは消しながら、ファーストライン、セカンドラインを基準に(プレスに行く)という守備の仕方に変えました。その中で、少しゲームが安定したと思います。前半、苦しい時間帯を耐えて、自分たちのペースに引き込んで、後半勝負という中で、リスタートでやられてしまったのですが、あれだけCKの本数を与えてしまうと、やられてしまう。CK、FKを与えないことも含め、リスタートも守備も継続してやっていかないといけないと痛感しています。ただ、厳しい状況の中、選手たちはよく追い付いてくれました。その後も魂のこもったゲームを表現してくれたと思います。勝ち切れなかったことは残念ですが、広島という素晴らしいチームと強度の高いゲームができたことは次につながると思います。この勝点1を、次の京都戦で、より重い勝点1に変えていけるように、次の試合に向けて準備したいと思います」

Q:前後半とも、入りは広島の圧力が強くて劣勢でしたが、いずれもセレッソが途中から押し返しました。戦術面もそうですが、劣勢を跳ね返して自分たちに流れを持ってこられたことは、メンタル面の成長を感じたが?
「そうですね。今日のテーマは『前に、前に』でした。強度の高い広島に対して、メンタル的に受けてしまうと、厳しいゲームになるということで、今日のミーティングでも、攻守、メンタリティ、ともに『前に強く』ということは強調して共有しました。選手たちは最後まで勝ちたいという気持ちを表現して、自分たちでアグレッシブに諦めずに進めることができました。選手たちの成長を感じた試合でした。ただ、こういったゲームで勝ち切れるかどうか。そこは私たちの課題ですので、今日得た自信を確信に変えていけるようにやっていきたいです」

Q:メンタル的な成長と言えば、U-23日本代表で悔しい思いをして戻ってきた西尾隆矢選手からも強く感じるが、今日のパフォーマンスについて
「U-23代表では苦しい時間を過ごしたと思いますが、元々メンタル的にも安定していますし、向上心の強い選手です。あの苦しい時期で、よりサッカーに対して真摯に向き合って、自分の成長のため、そしてチームの勝利のために、また、副キャプテンとしても、毎日のトレーニングから強いこだわりを持って成長してくれています。これからのさらなる成長が楽しみですし、これからパリ五輪、将来の日本代表を目指して、歩みを進めて欲しいと思います」

選手コメント

■西尾 隆矢選手

Q:1-1の引き分けという試合結果について
「得点できたことは嬉しいですが、勝点3を目指していたので、悔しい気持ちの方が大きいです」

Q:前半から相手のクロスを何度も跳ね返していたが、意思統一もしっかり取れていた?
「相手のクロスが多くなることは予想していたので、そこに関しては、相手より先にボールに触ることはディフェンスライン全員が意識していました。一人一人が意識を高くできたと思います。前半、苦しい時間は続いたのですが、我慢できたことが勝点1につながったと思います」

Q:後半の決定機をキム ジンヒョン選手が防いだ後、クリアするシーンもあったが?
「ジンさん(ジンヒョン)にはいつも助けられていますし、そのサポートと言いますか、今日は全員がハードワークしていましたし、勝つためにみんなが走っていました。連戦で疲労もあった中、それぞれの『勝ちたい』という気持ちが非常に強かった。だからこそ追い付くことができたと思うので、そこはポジティブに捉えてもいいのかなと思います」

Q:CKからの得点シーンについて
「本来はニアに入る予定だったのですが、あの場面はGKの後ろに立った時、僕をマークしていた相手選手が付いて来なかったので、ファーに入ればフリーになれると思いました。そうしたら、ルーカス選手がそこに蹴ってくれたので、決めることができました。今日は僕が点を取れましたが、みんなが役割を全うした結果なので、チームのみんなに感謝したいです」

Q:最後の交代は、腰を痛めた?
「相手選手との接触で腰を捻って、その衝撃で足も攣ってしまった。人生で初めて攣って交代しました。情けないですね」

Q:U-23日本代表の活動から帰ってきて、「後ろからの指示の声が増えた」と田中駿汰選手が話していたが、リーダーシップを取る気持ちはさらに大きくなっていますか?
「チームに帰ってきて、神戸戦はスタメンではなかったのですが、負けてしまい、少しムードが悪いなと感じたので、盛り上げることは意識しました。副キャプテンという役割も与えてもらっていますし、自分ができることといえば、チームを盛り上げること。声を出すことは誰でもできる。自分が先頭に立って、リーダーシップを取ってやっていこうと思いました。ここ数試合スタメンで使って頂いているのは、監督を始めチームの皆さんに感謝しないといけない。だからこそ必ず勝利しないといけない、という強い気持ちで戦っています。今日は勝点1という結果になってしまったので、次は勝点3を取りたいです」

■ルーカス フェルナンデス選手

Q:フィジカル的にもタフな試合だったが、振り返ると?
「前半は難しい展開になりました。空中戦の競り合いが多かったですし、その後のセカンドボールも拾われていました。ただ、監督からも、『前半は耐える時間帯がある』という事前の分析はありましたし、前半は耐えることをみんなで意識して、後半、相手が疲れたところを突いていこうという狙いでした」

Q:同点に追い付いたCKについて
「今週はセットプレーもデザインした形をやってきて、得点につながったことは良かったです。勝点3は取れなかったですが、勝点1も悪くないですし、この勝点1が最後につながるようにやっていきたいです」

Q:これで6アシストとなり、リーグトップの数字だが?
「アシストでチームの力になれているのは嬉しいですが、点を取りたい気持ちもあるので、点を取るポジショニングももっと意識していきたいです。ただ、アシストがチームの勝点につながっていることは素直に嬉しいです」

■田中 駿汰選手

Q:フィジカル的にも激しい試合になったが、結果をどう振り返りますか?
「試合の前からこういったタフな戦いになるとは思っていました。押し込まれる時間もありましたが、よく耐えたと思います。先制されましたけど、すぐに追い付けたことはチームとしての成長も感じました。ただ、こういう試合で勝ち越しゴールを取れるぐらいの力を、もっと付けないといけないとも思います」

Q:失点後、崩れなかったことが大きかったように思います。
「そうですね。あの時間帯は相手からの圧力もかかっていた中で、失点後の(決定的な)シュートが入っていれば厳しい試合になったと思うので、スーパーセーブをしてくれたジンさん(ジンヒョン)に感謝しかないですね。ああいうピンチを作られないようにしないといけません」

Q:得点場面は田中選手もファーで待っていたが?
「ルヴァンカップでも佑一くん(平野)が取りましたし、狙いではあります。サコ(大迫敬介選手)も積極的に飛び出してくる選手なので。ルーカス(フェルナンデス)が速いスピードのボールをファーに上手く蹴ってくれました。隆矢(西尾)が競れなくても自分もいたので。そこはうまくブロックを作りながら競ることができたと思います」

Q:田中選手から見て、U-23日本代表から戻ってからの西尾選手の変化は感じますか?
「声の量が増えたと思います。統率する部分は、行く前より成長したと感じます。自分にも指示をくれますし、そこは指示があった方がありがたい。トリくん(鳥海)、(毎熊)晟矢からも声が出ていますし、連敗中の試合より、ピッチでの声の量は明らかに増えています。声掛けひとつで防げる失点もあるので、そこは心掛けていきたいです」

Q:終盤はどんどん縦にパスを入れていました。勝ち越しゴールを狙っていた?
「はい。ゴールへの意識は全員で持って攻めていました。勝ち越しゴールは取れなかったですが、方向性はまとまっていたと思います」

Q:誕生日でしたが、お祝いの声もありましたか?
「チームにはミーティングで、サポーターにもウォーミングアップの時に『おめでとう』と言ってもらいました。嬉しかったです」

Q:J1通算150試合は通過点ですか?
「そうですね。正直、自分も忘れていたので(笑)。200になれば一つの節目かなと思います。札幌でたくさん出してもらって、セレッソでも試合を重ねて成長していきたいと思います」

■毎熊 晟矢選手

Q:結果をどう受け止めていますか?
「広島も前から来ていましたし、強度も高かったので、さすがのチームだなと思いました。それに対して、自分たちも前へのロングボールで3トップが脅威を与えていたと思います。セットプレーからの失点は残念でしたが、チーム全体で追い付けたことは良かったです。失点後は取りにいくしかないという中で、全員で同じ方向を向けたと思います」

Q:この試合から得た次につながる部分は?
「今日は相手もウィングバックが前に出ていたので、ロングボールを多用しましたが、フォーメーションも少し変えた中で、次はもう少しボール保持もできると思います。相手をスカウティングした中で、戦い方をうまく変えていけていると思います」

Q:自身のコンディションについては?
「出場時間も少しずつ伸びていますが、今日は90分を通してミスも多かったので、もっとコンディションを上げていきたいです」

■清武 弘嗣選手

Q:フィジカル的にも激しい試合で、貴重な勝点1にもなったと思うが?
「そうですね。率直に、外から見ていて広島も強かったと感じます。その相手に引き分けに持っていけたのは、チームとして良かったとは思います」

Q:球際の競り合いでも負けていなかった。前後半ともにしっかり盛り返せたのでは?
「こういう試合のために、日々、強度の高いトレーニングやハードワークをやっていると思うので、選手全員、凄く戦ったと思います。こういうゲームをした次の試合が大事なので、また良い準備をして臨みたいです」

Q:入ってから短い時間でもチャンスを作っていたが?
「今日は全然何もしていません。スペースはあったので、勝ち越して勝点3を取れたら良かったですが、ナイスゲームだったと思います」

Q:攻守に奮闘していた西尾選手について
「(西尾)隆矢は、ルヴァンカップの試合から間隔も短くて、めちゃめちゃ大変だったと思いますが、しっかりチームを引っ張ってくれました。さっきも『初めて足が攣った』と言っていましたが、それぐらいやっている選手がいるからこそ、こういうゲームができたと思います。その後に入ったヤマ(山下)も最初の競り合いでしっかり勝って、チャンスにつながっていました。みんな良い刺激を受けていると思います」