2024明治安田J1リーグ第17節

2024明治安田J1リーグ

2024.6.1

京都サンガF.C.

松田 天馬 (55')

1

AWAY

FULL TIME

1

0-1

1-0

セレッソ大阪

レオ セアラ (33')

サンガスタジアム by KYOCERA

14,160

  • 放送

    DAZN / NHK BS1

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

鮮やかな連係から先制も、後半に追い付かれてドロー。上位追撃へ欲しかった勝点3を逃す


激闘の末、1-1の引き分けに終わった前節のサンフレッチェ広島戦から中5日。セレッソ大阪は、敵地に乗り込み、京都サンガF.C.との明治安田J1リーグ第17節に臨んだ。先発は前節から1人変更。第10節以来、7試合ぶりに復帰したカピシャーバがジョルディ クルークスに代わり、スタメンに名を連ねた。

「強い矢印を我々に向けてくることが予想された」(小菊昭雄監督)一戦は、指揮官の読み通り、京都が前へ前へとボールを入れてくる立ち上がりに。京都のフィニッシュを託されていたのは豊川雄太。1分、左サイドからのクロスにボレーシュート、6分にも、セットプレーの流れからバイシクルシュートで狙ってきた。いずれも失点には至らなかったが、かつてセレッソでもプレーしたストライカーが試合序盤から牙を剝いてきた。それでも、セレッソも徐々に落ち着きを取り戻すと、相手のプレスを見ながら、つなぐところと背後に蹴るところを使い分け、京都に的を絞らせない。「相手のコンパクトな陣形を縦、横に広げるゲームプラン」(小菊監督)を遂行していく中で、GKキム ジンヒョンのキックも素晴らしく、高精度のフィードを左右へ蹴り分け両ウィングにボールを届けた。14分には、1発のパスからレオ セアラが裏に抜けて決定機になりかける場面もあった。20分過ぎ、京都のセットプレーからゴールも脅かされたが、舩木翔が2度に渡って好ブロックを見せ、相手に得点は許さない。すると33分、セレッソが先制に成功。カピシャーバがドリブルで3人に囲まれながらも突破を図ってファウルを得ると、このリスタートを素早く始めた中から中央を崩し、ゴールに結び付けた。西尾隆矢が縦に入れ、ルーカス フェルナンデスがキープして相手を引き付け、奥埜博亮へヒールパス。相手を置き去りにした中で生まれたスペースに奥埜が進入してスルーパス。ヴィトール ブエノの折り返しをセアラが合わせ、ネットを揺らした。複数の選手の意図が合った素晴らしい得点だった。前半終了間際には、自陣左サイドを突破されて豊川にシュートを許したが、ここはキム ジンヒョンが好セーブで阻止。セレッソが1点リードで折り返した。

「理想通り」(キム ジンヒョン)の展開で進めていたゲームだったが、後半立ち上がりに落とし穴。55分、自陣左サイドでの守備の意識が合わず、京都に前進を許すと、右サイドバックの選手から背後へスルーパスを許す。抜け出したFW原大智のシュートはキム ジンヒョンがセーブしたが、跳ね返りをつながれ、決められた。「前は行くけど後ろは行けていない状態があり、後ろと前の間にスペースが空いてしまった」と西尾も悔やんだように、この場面では守備の連動性を欠き、全体が間延びしてしまった。ここからは、両チームとも選手交代を駆使しながら2点目を狙う。セレッソは、75分に清武弘嗣と為田大貴を投入。清武にボールを集めつつ、打開を図る。86分、京都にネットを揺らされてヒヤリとする場面もあったが、ここはGKへのファウルでゴールは認められず、スコアは動かない。89分、上門知樹と山田寛人が入り、前線4枚を総入れ替えする形でゴールに迫ると、90+6分、清武のパスを受けた上門がボレーで狙ったが、クロスバーを越えた。終盤は相手の陣形も間延びした中で、「ボランチ、トップ下の選手を使いながら、うまくショートパスを使いながら攻めていく」(小菊監督)形でゴールに迫ったが、2点目はならず。勝ち切ることはできなかった。

6月最初の一戦、上位追撃へ欲しかった勝点3は奪えず、「先制した中で追い付かれたことは、自分たちにとっては残念な結果だったと思います」と奥埜。今季13点目とゴール数を伸ばしたセアラも、「がっかりしているのは僕だけではありません。チーム全員がもどかしさを感じています」と落胆の色を隠さない。それでも、「すぐにルヴァンカップもあるので、下を向かず、準備していきたいと思います」と、中3日で迫るJリーグYBCルヴァンカップ プレーオフラウンド第1戦に目を向けた。カップ戦のタイトルへ向け、そして、リーグ戦へつながる戦力の底上げも含め、FC町田ゼルビアとの大事な2連戦に挑む。

監督コメント

■小菊 昭雄監督

「今日の試合に向けてスカウティングをしていく中、京都の前節の名古屋との試合を見て、京都のスタイルである攻守に前に強い、重心を前に置いて戦うスタイルが復活したと感じていました。その中で、今日は京都のホーム戦ということで、ホームでの連敗をストップするという強い気持ち、名古屋戦からさらにレベルアップして戦うという強い矢印を我々に向けてくることが予想された中での試合でした。選手たちは、その強い矢印を逆手に取って、うまく相手の背後やポケットを使いながら、ボランチ、サイドバックを基準に前進していく。そうしたゲームプランを全うしてくれたと思います。素晴らしい先制点も見事でした。その中で2点目が取れていれば違う結果になったと思います。2点目を取れるチームに成長していきたいと思います」

Q:前半からキム ジンヒョン選手のキックも使いながら、復帰したカピシャーバ選手、ルーカス フェルナンデス選手と両サイドをうまく取れていたと思います。京都対策も伺える内容でしたが、追い付かれた後、ベンチメンバーも含め、もう一つ相手の守備を打開するために必要だったと思うことは?
「60分ぐらいまでは、あのようなやり方で、相手のコンパクトな陣形を縦、横に広げる。そうしたゲームプランでした。その時間帯以降は、京都のプレスも伸びてくる、疲弊も見られると思いましたので、そこからはボランチ、トップ下の選手を使いながら、うまくショートパスを使いながら攻めていこうと。ショートとロングのバランスがもう少し上手く取れていれば、2点目も取れていたと思います。そうしたベンチからの共有と、プレーしている選手たちの共有をしっかりと合わせていくことができれば、さらにバランスの取れたチームに成長していけると思います。その辺りの使い分けをチーム全員で詰めていきたいと感じたゲームでした」

Q:交代以降は、選手のキャラクターも変わりながら、清武選手が効果的に受けながらチャンスも作っていました。前線と上手く合わせることができれば、というシーンも見られました。
「そうですね。交代で入った選手のキャラクターを生かすことも大事ですし、投入までの時間帯を見ても、だいぶ相手も縦、横に広がってきていたと思うので、もう少しボランチを基準に前進することができれば、もっともっと相手を揺さぶってボールを運べるシーンは作れたと思います」

Q:上門選手、山田選手の投入後、形は崩さず、前に上門選手を入れて、右サイドに山田選手を入れたが、狙いについて
「まず上門に関しては、たくさんのストロングポイントがある中でも、DFラインの背後への動き出しはJリーグでもトップクラスの選手です。相手のCBも疲れている状況でしたし、何より清武というスルーパスの名手も入ったので、清武と上門のホットラインで破壊することを狙いました。山田に関しては、高さがあり、そして押し込める。為田からのクロスに対して山田が入っていく。また、疲弊している相手の左サイドバックに対して積極的に仕掛けていくこと。それはオン・ザ・ボールもオフ・ザ・ボールも両方です。そこに期待して、右サイドに投入しました」

選手コメント

■レオ セアラ選手

Q:1-1という結果で終わったが、試合を振り返ると?
「相手がプレスの激しいチームということは分かっていたので、自分たちも準備してきました。先制点も含め、準備してきたことが出せたことは良かったです。後半に点を取られてしまったことは残念ですが、すぐにルヴァンカップもあるので、下を向かず、準備していきたいと思います」

Q:相手のプレス対策もあり、今日は背後やサイドをシンプルに狙う形でした。ビルドアップから狙う形に比べて、FWとして何か変化はありましたか?
「今日の形としては、相手の強いプレスに対して、裏を狙いました。相手が嵌めてくるところを打開するために準備してきました。ジンヒョン選手やCBの選手が良いボールをサイドの選手に配球してくれました。そこでチャンスも生まれていたので、良かったと思います」

Q:ゴールはコンスタントに取れている一方、5月以降はなかなか勝利が積み重なりません。もどかしさもありますか?
「がっかりしているのは僕だけではありません。チーム全員がもどかしさを感じています。サポーターがブーイングしているのも仕方がないと思います。自分たちが勝利できていない中で、ずっと応援してくれています。何よりサポーターに勝利を届けないといけない。優勝を目標に掲げている中で、今のこの位置にいるのはもどかしさがあるので、また勝利して、優勝争いに向かっていきたいです」

■ヴィトール ブエノ選手

Q:得点シーンは、みんなで崩して綺麗なゴールだったが?
「素晴らしいゴールでしたね。練習している形でした。良かったところは次に生かして、今日、足りなかったところは見直して、次の試合に向かっていきたいです」

Q:レオ セアラ選手と近くでプレーする良さが出ましたね。
「そうですね。コンビネーションは発揮できていると思いますが、1点ではまだまだ足りないので、もっと点を取れるようにコンビネーションを高めていきたいです」

■カピシャーバ選手

Q:リーグ戦7試合ぶりの出場でした。自身のパフォーマンスについて
「こうやって復帰できたことは嬉しいです。ケガをすると、もどかしい時間が続くので、ピッチでプレーできて嬉しかったです」

Q:立ち上がりから、随所にさすがの突破力を見せていました。コンディションは戻っていますか?
「まだ自分のベストではないですが、ベストに持っていくためにハードな練習をしています。早く100%に戻して、チームの力になりたいです」

Q:相手は2人で挟む形も取ってきたが、そうした相手の守備について
「京都が守備で激しく来ることは分かっていました。球際やフィジカルで負けないことは自分も準備していました。相手に2枚で付かれても突破できたことは良かったですが、それが勝利に結び付かなかったことは悔しいです」

■奥埜 博亮選手

Q:キム ジンヒョン選手のキックも生かしつつ、相手の良さを出させない試合運びができていたと思いますが、同点という結果について
「先制点も取れましたし、勝点3を取らないといけない試合だったと思います」

Q:先制点の場面は、ルーカス フェルナンデス選手のパスを受けた奥埜選手が起点となり、ヴィトール ブエノ選手、レオ セアラ選手で崩した形でした。それぞれの選手の特長が出たシーンだったが?
「前の選手の個性を生かしたサッカーをすることはチームの狙いですし、そこへうまくボールを預けてあげることができれば、ストレスなくプレーできると思うので、そこは意識しています」

Q:中盤の形を変えてからの3試合、奥埜選手がセカンドボールを拾う回数が増えています。ポジションなのか、奥埜選手自身のコンディションも上がってきたのか。
「ポジションの部分が大きいと思います。インサイドハーフの時は、もう一つ高い位置からのスタートだったので、見える景色も違いますし、セカンドボールに行ける範囲も変わってきます。コンディションより、ポジショニングが大きいと感じます」

Q:試合後は、サポーターから一部ブーイングもありました。今季の目標から考えると、勝たないといけない試合だった?
「そうですね。自分たちは勝点3を積み上げていくしか上には追いつけないので。先制した中で追い付かれたことは、自分たちにとっては残念な結果だったと思います」

■西尾 隆矢選手

Q:前半から、京都対策として長いボールを含めてうまく試合を運んでいたと思うが?
「京都が試合の入りから勢いを持って向かってくることは予想したので、足元、足元にならずに割り切って裏返すことは意識していました。上手くいって、前半で先制できたことは良かったです。ただ、今日の課題としては、後半の入りが少しフワっとしてしまった。(プレスに)行くところ、行かないところで、前と後ろの判断の違いで少しスペースを空けてしまった。もう一つは、追加点を取れなかったこと。点を取った後も受け身にならず、2点目、3点目を取りにいく姿勢を見せることは必要だと感じました」

Q:失点シーンの直前だけ、守備の意識が合わず、少し間延びしてしまった?
「失点前の数分間は、前は行くけど後ろは行けていない状態があり、後ろと前の間にスペースが空いてしまった。相手のサイドバックやウイングの選手に時間ができてしまった。そういう隙を与えたことは自分たちのミス。課題として反省しないといけないところです」

Q:明日から行われるU-23日本代表のアメリカ遠征に向けて
「選手みんなが分かっていますが、最後のアピールの場。自分もセレッソで連続して出場させてもらって自信もあります。チームで表現しているプレーを代表でも見せればチャンスはあると思うので、気負わず、自信を持ってプレーしたいと思います」

■キム ジンヒョン選手

Q:今日は特にキックの精度が素晴らしかったが、うまく両サイドに蹴り分けて、理想通りに京都のプレスを外せていたのでは?
「理想通りでしたね。やはり相手は前からプレスをかけてきて、ショートカウンターからゴールを狙ってきました。特に試合の入りは気を付けました。こちらには前に強い選手がいるので、そこへしっかりボールを届けることは、狙い通りでした」

Q:それだけに、引き分けで終わった結果は悔しいですね。
「そうですね。失点したことは守備陣として反省ですし、追加点を取れなかったことも課題でした。後半の入りで、また相手も勢いを持って出てきたので、もう少しゲームをコントロールできれば良かったと思います」

Q:リーグ戦3連敗から内容を立て直した中で、引き分けが2試合続きましたが、次週以降のルヴァンカップ、天皇杯へ向けて
「うまくサッカーはできていると思います。前も言ったのですが、結果が付いてきていないだけ。自らズルズルと雰囲気を下げる必要はないので、前を向いて今まで通り戦っていけば、また結果も付いてきます。継続してやっていくことが大事だと思います」