2024明治安田J1リーグ第19節

2024明治安田J1リーグ

2024.6.22

ジュビロ磐田

松原 后 (53')

1

AWAY

FULL TIME

1

0-0

1-1

セレッソ大阪

レオ セアラ (76')

ヤマハスタジアム(磐田)

13,287

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

終盤の猛攻も勝ち越しには至らず、痛い引き分け。7位でリーグ前半戦を終える

 

浦和レッズに勝利した前節から中6日。セレッソ大阪は、アウェイに乗り込み、連勝を目指してジュビロ磐田との明治安田J1リーグ第19節に臨んだ。先発は前節から1人変更。ヴィトール ブエノに代わって上門知樹がトップ下に入った。

 

開始直後、セレッソは立て続けにCKを獲得するなど、相手を押し込む入りを見せる。その後もボールを握って試合を掌握、セカンドボールも拾って磐田を押し下げることに成功すると、12分には、ルーカス フェルナンデスとカピシャーバが続けてクロスを上げるなど、両サイドを起点にゴールへ迫った。ただし、中央が固い磐田の守備をこじ開けるには至らず。決定機と呼べる場面はなく、前半放ったシュート4本の内3本はペナルティーエリアの外からだった。守備では、しっかりラインを上げて、コンパクトな陣形で対応。マテウス ペイショット、ジャーメイン良といったJ1でも屈指の強力2トップに対しても、西尾隆矢と鳥海晃司のCBコンビを中心に仕事はさせず。サイドからのクロスもしっかり跳ね返した。特にこの試合で素晴らしいプレーを見せたのが西尾。34分、36分と連続して奥田勇斗の背後を狙われたが、いずれも西尾が好カバーを見せ、失点を防いだ。前半は両チーム、集中力の高い守備により、スコアは動かず0-0で終了した。

 

後半は、立ち上がりからセレッソが磐田の攻撃を受ける展開に。ややアバウトなボールでも、そこから競り勝ってシュートまで持っていく磐田に対し、49分、CKからの被決定機はGKキム ジンヒョンが好セーブ防ぐと、52分のピンチもキム ジンヒョンとDF陣が体を張って対応。何とか失点は免れたが、ここで与えたCKから失点。ファーで西尾がクリアしたボールを拾われると、松原后に強烈なシュートを決められた。GKも防ぐことが難しいコースへ飛んだ分、相手を褒めるしかないが、試合後の選手たちは、そこに至る過程を課題に挙げた。直後の59分にもカウンターからピンチを招いたが、最後はシュートが外れて2失点目はしのいだ。すると、ここからセレッソが反撃に出る。62分に柴山昌也、67分に渡邉りょうが入って攻撃を活性化させると、68分に決定機。柴山が起点となって左サイドを攻略。最後は舩木翔のクロスに渡邉が相手DFを外してニアで合わせたが、シュートはクロスバーを越えた。71分には、柴山のスルーパスから背後を取ったレオ セアラがペナルティーエリア内で相手に倒されたかに見えたが、笛は鳴らず。それでも76分、セレッソが同点に追い付く。フェルナンデスのCKを、セアラが頭で合わせてゴール。DFに囲まれた状態ではあったが、体の強さを発揮した。

 

桜のエースの今季14点目で勢い付いたセレッソは、ここから終盤にかけて怒とうの攻撃を展開。80分、フェルナンデスのFKを渡邉がファーで折り返し、セアラと西尾が飛び込み、ゴールに近づくと、86分にはショートコーナーから、フェルナンデスのクロスをニアで西尾がフリック。ファーの渡邉が詰めたが、ヘディングは惜しくも枠を外れた。88分には、田中駿汰のパスを受けた柴山がカットインからシュート。決定機に近い形だったが、GKの正面に飛んだ。最後は平野佑一とジョルディ クルークスを投入して攻め込むも、決勝点にはあと一歩及ばず。連勝でリーグ前半戦の締めくくりとはならなかった。試合後は、同点ゴールを決めたセアラも、「上位に加わっていくためには、今日の引き分けは痛い。チャンスもたくさん作ったので、(逆転となる)得点に結び付けないといけなかった」と悔しさを露わにした。後半だけで11本放ったシュートを何とか逆転に結び付けたかった。リーグ後半戦へ向け、「負けないチームから勝ち切るチームに成長していかないといけない」と小菊昭雄監督。サガン鳥栖、名古屋グランパスとのホーム連戦となる次週、連勝を果たし、上位を追撃していきたい。


監督コメント

■小菊 昭雄監督

「リーグ前半戦の最後ということで、勝って折り返したかったですが、引き分けに終わったことは残念です。ただ、先制されても全員でゲームをコントロールして、主導権を握り返して同点に追い付いて、たくさんのチャンスを作れたことは、成長を感じました。前半戦を振り返って、4敗ということで、昨季は負け数が多かった中で、今季は負けないチーム、安定したチームに成長している実感はあります。ただし、ここから勝ち切るチーム、強いチームに成長していかないといけないということも、重ねて強く感じています。最後まで選手たちは勝点3を目指してアグレッシブに、勇敢に戦ってくれたことを誇らしく思います」

Q:相手の素晴らしいシュートによる失点こそありましたが、磐田の強力な2トップに対し、CBを中心にしっかり守れていたと思うが、守備陣に対する評価は?
「選手たちとも今日のミーティングで共有したのですが、磐田の2トップはJ1リーグでも屈指の2トップだと。エースのジャーメイン良選手も戻ってきて、改めて強烈な2トップだと実感しました。その中で、最終ラインもそうですが、前線からコンパクトに出どころを抑えて、連動性と同時性を持ちながら、(磐田の)2トップにも勇敢に戦いました。組織的に戦えたことはプラスだと思います」

Q:後半、柴山選手の投入などもあり、主導権を握り返して最後まで押し込みました。あと1点というもどかしい展開でもあったが、こじ開けるためには、渡邉選手が迎えたような決定機を決め切る個の課題か、チームとしても押し込んだ状況で何かもう一つ工夫が必要であったか?
「両方だと思います。一人一人のクオリティーを上げていくことはもちろん大事ですし、チームとしても、あのように押し込んだ展開の中で、立ち位置もそうですし、クロスの質、中央でのコンビネーション、そのあたりの徹底を、個の質と両輪でやっていかないといけないと感じました」

選手コメント

■レオ セアラ選手

Q:肉弾戦も多いタフな試合でした。試合展開を振り返ると?
「激しい試合でした。先制された後、セットプレーから得点はできたのですが、上位に加わっていくためには、今日の引き分けは痛いです」

Q:同点に追い付いて押し込んだ終盤、もう1点を取りたかったですね。
「チャンスもたくさん作ったので、得点に結び付けないといけなかったです。PKにならなかったシーンも、(相手が)自分と引っかかった感覚があり、試合後ロッカーでスパイクを脱いだら傷跡があったので、PKだったと思います。そこは不運でもありました。試合後にあの場面で追い付いていれば、さらに流れを掴み、逆転することもできたと思います。ただし、次の試合もすぐにあるので、顔を上げていきたいです」

Q:それでも同点ゴールを決めました。DFに囲まれて難しいヘディングだったと思うが?
「練習でもセットプレーはずっとやっています。ルーカス(フェルナンデス)はいつも良いボールを蹴ってくれます。前節はCKから外していたので、今節は決めることができて良かったです」

Q:今節でシーズン前半戦が終わります。得点ランキングのトップとなる14点を積み上げたことについては?
「得点は嬉しいですが、何度も言っているように、やはり自分の得点で勝利することが何より大事なこと。チャンスを作っている中で取れないという、自分たちに足りないモノを見つめ直して、後半戦はもっと順位を上げていきたいです」

■田中 駿汰選手

Q:随所に肉弾戦もありましたが、相手の2トップにもうまく対応しながら守れたのでは?
「収める力が強い2トップでしたが、比較的うまく前半から対応できていたとは思います。何度かカウンターを受ける場面もあったので、もう少しリスク管理ができたら良かったとは思いますが、うまく守ることはできたと思います」

Q:後半途中までは、ボールは握っても攻撃でスピードアップする機会は少なかったが、「焦れずにやっていこう」という感じでしたか?
「そうですね。前半は0-0でしたけど、自分たちとしては、うまくいっていない、という感覚はなかったです。ポジティブに後半に入っていこう、という話で後半にも臨みました。失点場面は、シュートがいいところに飛んで、スーパーゴールと言えばスーパーゴールですが、もう少し寄せたり、反応を1秒でも速くしていれば、防げたかも知れません。後半の立ち上がり、押し込まれてCKを取られて失点につながったので、そこに至る前にもう少し押し返すことができれば良かったと思います」

■西尾 隆矢選手

Q:個人としては素晴らしいパフォーマンスだったと思うが?
「そうですね。自分としても、入りも相手に強く入れましたし、ビルドアップもチームがやりたいことを表現できたとは思います。ただ、一歩、二歩、自分のポジショニングをさらに良くすることで、もっといいボールを前に提供できた場面もありました。全体的にはあまりミスはなかったと思いますが、だからこそ、よりリスクを背負ったパスにチャレンジできれば良かったと思います」

Q:前半はこちらがボールを持ちつつも、相手のチャンスが多かった印象だが、ピッチ内では嫌な雰囲気ではなかった?
「90分を通して、しんどい時間帯はあります。それは前半であろうと、後半であろうと。そういう時は耐えることが大事。ピッチの中でもみんなで『今は我慢だぞ』と声を掛けていました。客観的に見ればピンチがあったとしても、耐えれば前の選手が点を取ってくれると思っていたので、前半もストレスを抱えてプレーしていたわけではなかったです」

Q:失点場面は、相手のシュートを褒めるしかない?
「強いて言うなら、CKになる前のシーンで簡単に打たせてしまった。CKを与えないことにフォーカスして反省したいです。シュートは相手のスーパーゴールで、褒めるしかないですが、改善できることはあります。ああいう失点をすると、状況が変わってしまう。そこはもったいなかったですが、リバウンドメンタリティーを発揮して、チームとして取り返したことはポジティブに捉えたいです」

Q:試合前、「対戦が楽しみ」と話していた磐田の2トップと対峙して抑えた感想は?
「パワーもスピードもありましたし、やっていて嫌な選手だと思いましたが、試合を終えて感じることは、こういう選手たちと対戦できて、自身の良い経験になりました。この2人を抑えることができれば自分の評価も上がると思ったので。今日は相手にめちゃくちゃ良い仕事をさせたわけではなかったと思うので、自分としては良かったのかなと。トリくん(鳥海)、(奥田)勇斗、(舩木)翔くんを含め、ディフェンスラインを統率できたとは思うので、そこは次につなげていきたいです」

■鳥海 晃司選手

Q:相手の2トップも強くてタフな試合でしたが、しっかり守れていたのでは?
「強力な2トップでしたが、そこに仕事をさせないように、(西尾)隆矢と話しながらやりました。守れた部分もありますが、失点しているので、もう一回、映像を見直して、反省しないといけません。(特に)CKにする前のところを見つめ直さないといけないと思います」

Q:西尾選手とのCBコンビも良くなっているように見えます。彼の成長ぶりを感じる部分もありますか?
「元々良い選手ですし、能力も高い選手。僕もやりやすいです。今までヨニッチ選手や進藤選手と組むことが多く、セレッソに来てからなかなか隆矢と組む機会はなかったですが、僕はやりやすいですね」

■舩木 翔選手

Q:J1の舞台で、古巣であるこのスタジアムでプレーできた思いは?
「このチーム(ジュビロ磐田)では何も貢献できなかったですし、何もできなかったスタジアムという思い出なので、覚えてくれていたか分からないですが、まずはプレーする姿を見せられたことは良かったです。その反面、チームとしては、勝利につながらなかったことはこれからの課題。逆転する力が足りないというか、みんな逆転を目指してプレーしていますが、もう1点につながらないのは、どこかに問題があると思っています」

Q:そうした中で、1本、渡邉選手の決定機につながったクロスはありましたが、押し込んだ状況の中で、舩木選手個人として、打開するために必要だったと思うプレーは?
「カピ(カピシャーバ)は自分たちにとって武器です。1対1で仕掛けさせてあげれば能力を発揮できるので、追い越さない、という考えもありましたが、昨季の良かった頃を考えると、カピが仕掛けるために自分がスペースを作る動きも多かったのかなと。1対1で仕掛けさせるために後ろからサポートすることも大事ですが、スペースをもう少し空けてあげる動きも必要かなと思いました。ニアゾーンに走ったり、カピがレオに差し込んだパスに自分が高い位置で反応して打開していくプレーもしていかないといけないと思いました」

■柴山 昌也選手

Q:後半途中から入って攻撃の流れを変えたが、何を意識して試合に入った?
「ピッチに出る前に、レオの手前のスペースで自由に出入りして、ボールにたくさん関わることを言われていました。セレッソに来てからトップ下に入るのは初めてでしたが、自分のやりたい場所はそこでもあるので。自分のプレーをしっかり出して、ポジションを勝ち取りたい、という想いで入りました」

Q:前半は、ボールは動いても相手のペナルティーエリア内に入っていけないという難しい時間を過ごしていた中で、柴山選手の一人はがすプレーや、引き付けるプレーは重要だと感じました。そうしたアクセントは、今後も必要になっていきそうだが?
「自分にしかできないプレーはあると思いますし、狭いところで前を向いて違いを作るプレーは自分の武器なので、これからもしっかり表現していきたいです」

Q:欲を言えば、カットインからのシュートを決めたかったですね。
「はい、時間があり過ぎて、変に迷いました。ピッチも濡れていたので、上ではなく下を狙いましたが、ちょっと力んでしまった。ああいうところで決められるようになったら、自分の価値ももっと上げられるのかなと思うので、たくさん練習して次は決め切りたいです」

■渡邉 りょう選手

Q:2度の決定機が訪れました。一番悔しいのはご自身だと思いますが、振り返ると?
「舩木選手から良いクロスが来て、自分の中でも相手を見てタイミングも外せたのですが、最後のところで力が入ってしまった。そこをしっかり改善すれば、得点も見えてきます。ただ、今日はそれができずにドローで終わってしまった結果は、自分の中で受け止めないといけない。最後、優勝するためには、追い付いた後にもう1点を取れるチームになっていかないといけない。そこは自分自身も真摯に受け止めて、中3日ですぐに鳥栖戦があるので、そこへ向けて良い準備をしていきたいと思います」

Q:ショートコーナーから、西尾選手のフリックでヘディングを打った場面については?
「信じて走り込んだ部分もあったのですが、少し被って見えなかったところもありました。来ると思って、もっと信じて走り込まないと、得点につながらないと思いました。練習からチームメートとの信頼関係をさらに築いて、得点に結び付けていけるようにやっていきたいです」

Q:柴山選手とともに、途中出場で流れを変えて決定機を呼び込んだことは、今後のリーグ戦にもつなげていきたい?
「そうですね。ただ、僕もシバ(柴山)も決定機があったので、そこを決め切る選手にならないと、スタメンから、というテーブルには乗らないことも事実。自分自身の結果がチームの結果にも直結するので、そこは真摯に向き合いつつ、自分の良さも出していけるようにやっていきたいです」

Q:静岡でのプレーという意味では、いかがでしたか?
「内心変な感じでしたね(苦笑)。(磐田は)古巣とかではないですが、(沼津や藤枝での)知り合いの方から連絡を頂いたりもしていたので。その中で、結果で応えるのがプロだと思いますが、今日はそこには至らなかったので、次に向けて今日の反省を踏まえて克服して続けていくしかない。一喜一憂せず、次に向けてしっかり準備していきたいです」