2024明治安田J1リーグ第22節

2024明治安田J1リーグ

2024.7.6

東京ヴェルディ

山見 大登 (49')

1

AWAY

FULL TIME

1

0-0

1-1

セレッソ大阪

レオ セアラ (76')

味の素スタジアム

16,265

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

先制されるもエースのゴールで同点に。しかし、10人の相手を崩し切れずにドロー決着


後半戦、最初のアウェイゲームとなった明治安田J1リーグ第22節・東京ヴェルディ戦。今季2度目の3連勝を目指して臨んだセレッソ大阪は、先発を前節から1人変更。「体調不良」(小菊昭雄監督)で欠場した奥田勇斗に代わり、阪田澪哉が右サイドバックに入った。阪田にとってはこの試合が今季のリーグ戦初出場・初先発となった。

試合前、ポイントに「入り」を挙げていた指揮官だったが、東京Vの矢印をいなすべく、「相手を縦、横に広げて、広げた後はボランチ、サイドバックを基準に前進」(小菊監督)。足元と背後を使い分け、ボールを握って試合を進めた。もっとも、東京Vのアグレッシブで固い守備に対し、敵陣深くまでは進入できず、シュートの場面を作ることができない。23分、上門知樹が遠めの位置からミドルシュートを放ったが、GKの正面に飛んだ。ポゼッションでは上回りながらも決定的なチャンスを作れずにいると、東京Vのシンプルに背後を狙った攻撃やカウンターでゴールを脅かされる。それでも、17分のピンチはGKキム ジンヒョンが好守で防ぎ、31分の山見大登のシュートはポストに救われた。ボールを握りながらも主導権は握り切れない前半だったが、42分、カピシャーバに対し足裏を見せたタックルにより、東京Vの山田楓喜が一発退場。これで試合の潮目は大きく変わった。数的優位に立ったセレッソは、44分、レオ セアラが巻いたミドルシュートを放つと、前半アディショナルタイムにも阪田がカットインからシュート。盛り返した中で前半を折り返した。

勝負の後半へ向け、ハーフタイムには、東京Vの5-3-1の守備ブロックを崩すため、「シュートの数を増やすこと、ミドルシュートをもっと狙っていくこと、クロスを大胆に入れていくこと、中央を狙っていくこと」(小菊監督)を共有したセレッソ。ただし、後半開始早々、自陣での相手スローインから、クロスを跳ね返した後のセカンドボールに対し、奥埜博亮がクリアしようと足を振ったところに相手選手が足を出し、結果的に奥埜が蹴った形となり、PKを献上。1人少ない相手に先制を許してしまった。反撃に出たいセレッソは59分、上門と奥埜に代わり、渡邉りょうと柴山昌也がピッチに入る。すると柴山がボールを受けてアクセントとなり、攻撃を活性化。61分にはFKのサインプレーからシュートを放ち、ゴールに迫った。それでも東京Vの守備が崩れないとみるや、72分、小菊監督は為田大貴と平野佑一を投入。システムも3バックに変えた。すると直後の76分、同点に追い付く。平野のパスから背後を取ったレオ セアラが起点となり、為田を経由し、ボールを受けた田中駿汰がレオ セアラの斜めの動き出しに合わせてスルーパス。DFに体を寄せられつつも、うまくボールを止めた背番号9が冷静に流し込んだ。エースの今季16点目でセレッソサポーターが一気に沸くと、78分にも決定機。ルーカス フェルナンデスのパスからニアゾーンを取ったレオ セアラがループ気味に狙ったが、ここは枠を捉えることができなかった。83分にも田中のパスから今度は平野が背後を取ってチャンスを迎えたが、惜しくもシュートを放つことはできず。90分にも決定機。ルーカス フェルナンデスのパスを渡邉がワンタッチで前線へ送ると、レオ セアラが抜け出したが、ループシュートはわずかにクロスバーを越えた。

終盤は西尾隆矢も前に上がるなど、「勝ちたい気持ち」(西尾)を全員がピッチで表現。後半アディショナルタイムの最後には、90+3分に交代で入ったジャスティン ハブナーがCKから好機を迎えたが、ヘディングは枠を越えた。最後は舩木翔のフィードに裏を取った西尾が懸命に足を伸ばしたが、ミートさせることはできず、試合終了。後半のシュート数は12対1と圧倒したが、勝ち越すには至らなかった。「もったいない試合。相手に退場者が出て、こういう試合は限りなく100%近く、勝ちに持っていかないといけない。何とか追い付きましたが、勝たないといけない試合でした」と試合後の田中に笑顔はなかった。首位・FC町田ゼルビアとの勝点差が『10』、2位との勝点差も『5』に広がる痛恨の引き分けとなったが、中断期間までの残り2試合を連勝で終え、何とか上位に食らい付いていきたい。また、10日の水曜日には天皇杯3回戦・ヴァンフォーレ甲府戦も控えている。タイトルへつながる重要な一戦。暑さも増してきた中での連戦を、チーム一丸で乗り越えたい。

監督コメント

■小菊 昭雄監督

「今日の試合展開では勝点3を取りたかったゲームでした。ただ、前半から、相手の強い矢印をどう折っていくのか、ゲームプランを選手たちがしっかりと全うして、相手を縦、横に広げて、広げた後はボランチ、サイドバックを基準に前進していく。そうしたゲームプランを全うしてくれたからこそ、ヴェルディの選手の退場を誘発したと思います。試合の入りは良かったと思います。後半もしっかりとゲームプランをハーフタイムで確認して、全員で向かっていこうとした中で、早々に1点を取られて、よりヴェルディ側のやることも強固になって、難しいゲームになりました。その中でも、よく追いついてくれたこと、たくさんのチャンスを作り続けたことは評価したいと思います。先ほど選手たちとも共有したのですが、こういう時こそ普段のトレーニングの基準をもう一つ、二つ上げていくと。もちろん、シュートもそうですし、クロス、ファーストタッチ、色々な基準を上げていくことによって、ああいった展開でも勝ち越せるチームになると思うので、継続して全員でやっていきたいと思います」
 
Q:ボールを握って動かした前半でしたが、決定機に結びつくシーンは少なかった印象も受けたが?
「そうですね。元々ヴェルディは重心を後ろに固めて守ってきたところに、退場者も出たので、余計に強固になったと思います。まさしくハーフタイムに、『シュート数が少ないこと、ミドルシュートをもっと狙っていく、クロスを大胆に入れていく、中央を狙っていく、その後もカウンタープレスで襲い掛かる』。そういったところを共有して後半に臨みました」
 
Q:第19節・ジュビロ磐田戦後にも伺ったが、こうした展開で勝ち越すために、1人1人がゴールへの意欲を出して、トライしている姿勢は見えるが、勝ち越しには至っていません。やり続けて精度を高めるしかない?
「そうですね。決定機で決め切れず1-1で終わってしまうということは、私も残念な試合内容だったとは思うのですが、何度もゴールに迫ったという点は評価したいですし、リスタートも含めて惜しいチャンスはありました。あとは決め切り、勝ち切ることでチームはさらに成長できると思いますので、継続してやっていきたいと思います」
 
Q:ここ最近先発を続けていた奥田選手の欠場理由と、阪田選手がリーグ戦では今季初出場・初先発となったが、彼のパフォーマンスについて
「奥田は2日前に高熱が出て体調不良になり、昨日の段階でもまだ高熱は続いていたので、大阪で静養を続けています。阪田は急な出番でしたが、まだ若くて経験こそ浅い選手ですが、今日はたくさんのトライをしてくれました。もちろん、課題も見受けられましたが、若い選手はトライとエラーを重ねながら成長していきます。今日、公式戦でこのようなパフォーマンスを発揮したことは次につながると思います」
 
Q:後半途中から選手を替えながら、形も変えたが、狙いと評価について
「立ち位置やタスクは相手を見ながら、状況を見ながら、私たちの意図と、選手たちが中で感じている意図をすり合わせながら行いました。今日のような展開をこじ開けることは難しく、コーチ時代には逆にカウンターから負けることもありました。その中で、しっかりとゲームをコントロールしてゴールに迫れたことは良かったと思います。選手たちでしっかりジャッジしてトライしたことも多々ありました。私自身も嬉しく思い、成長を感じました」
 
Q:パリ五輪のメンバーに選出されてから最初の試合となった西尾選手について
「今日は試合の流れの中で、色んなタスクを与えました。守備はいつも通りのパフォーマンスをしっかり発揮してくれました。後半のラスト15分は攻撃のタスクも多く与えたのですが、元々、U-15、U-18の時は右サイドバックもやっていた選手です。タイミング良く攻撃参加して、たくさんのチャンスに関わりました。毎熊が抜けた右サイドバックは、奥田、そして今日は阪田がやっていますが、(西尾)隆矢も十分にできるという発見もありました」

選手コメント

■レオ セアラ選手

Q:自身の得点で勝点1を奪ったが、ゴールを振り返ると?
「相手が、後半先に得点してからさらに引いてしまい、難しくなりました。追いつくことができたことは良かったですが、チャンスはたくさんあった中で逆転できずに悔しいです。それでも、追いついて勝点1を取ったことを先につなげていきたいです」

Q:中央を固められていた中で、こじ開けました。田中選手のスルーパスを受けて決めた形でしたが、アイコンタクトができていた?
「相手はディフェンスを強く固めていたので、あの場面では、一度ペナルティーエリアの中から外に出て、はたいて、また受けたことで、マークを外せたと思います。その中で素晴らしいパスが来て、自分もうまくトラップできて、ゴールできました」

Q:前半にも、オフサイドにはなったが田中選手のパスを受ける場面があったが、コンビネーションは深まっている?
「セレッソに加入した時から、(田中が)前を向いてプレーしてくれる選手だということは分かっていました。いつも自分を探してくれているので、(田中)駿汰がボールを持った瞬間は、背後に走ることを心掛けています。連係は深まっていると思います」

Q:ここからさらに、ご自身が得意としている季節が始まるが?
「そうですね。ただ、今年に関してはチームメイトのおかげでシーズン最初から点が取れています。このまま最後まで取り続けていけばさらにチームを助けることもできますし、順位も上に行けると思うので、この先も取り続けていきたいです」

■田中 駿汰選手

Q:先制され、追い付いての勝点1でしたが、試合を振り返ると?
「めちゃくちゃもったいない試合でした。相手に退場者が出て、こういう試合は限りなく100%に近く、勝ちに持っていかないといけない。退場者が出てからの組み立てとしては、もちろん引かれて難しくはなりましたが、我慢してやっていれば1点、2点は取れると思っていました。その中で先に失点してしまい、何とか追いつきましたけど、勝たないといけない試合でした」

Q:得点につながったスルーパスについて
「中央を締めてきている相手に対して、揺さぶった中で、レオ(セアラ)がうまく動き出してくれました。相手も疲れてきて、スライドが間に合わなかったと思います。チームとしてもうまくボールを動かしながら、自分もしっかり相手も見てパスを差せました。隙を逃さず、うまく出せたと思います。(舩木)翔もうまくスルーしてくれました」

Q:田中選手からの縦パスはポイントになりそうだが、今日はかなり狙っていた?
「そうですね。(平野)佑一くんに出したパスも、レオのゴールシーンと形としては同じです。ただ、自分としては、もう少し丁寧に出せていたら得点につながったと思う。監督も試合後のミーティングでおっしゃっていましたが、練習からもっと質を上げていきたいです」

Q:リーグ後半戦を前に、「得点につながるパスをどんどん出していきたい」と話していたが、今後もフィニッシュにつながるパスを出していくことはテーマになる?
「そうですね。ああいうパスをボランチから出していけば、チャンスは増える。今日は受け手が引き出してくれた部分もあります。前の選手は動く、後ろの選手は動いた選手を見逃さずに出していく。シンプルですが、それが相手にとっては嫌だと思うので、(中に差して取られることを)怖がらずに出していきたいです」

Q:平野選手とのボランチコンビについて
「佑一くんも、周りを見て、合わせながらやってくれます。ノボリくん(登里)みたいなタイプでやりやすいですし、お互いがお互いを見ながらバランスよくやれたと思います」

■西尾 隆矢選手

Q:最後は攻撃参加も行い、得点に迫ったが?
「みんな勝ちたかったですし、自分も勝ちたかったので。相手は一人少なかったですし、どんどん前に行こうと思いました。相手は(自陣)右サイドに人がいなくて、後ろはトリくん(鳥海)一人で守れていたので、ボール保持の際は高いラインで受けようと思いました。自分の前にはスペースもあったし、前に出て行ったら相手も嫌そうな感じだったので、どんどん積極的に上がっていこうと思いました」

Q:最後のロングボールから抜け出したシーンは、あと一歩、届かなかった?
「思ったより(ボールが)失速して、あとから考えると、トラップできたと思います。動き出しで相手も付いてこれず、ギリギリかなと思ったので…。たらればですが、トラップしてからシュートを打てれば良かったと思います」

Q:そうした中で、チームとしても、あと1点が欲しかったが?
「こういう展開の試合をしっかり勝ち切らないと上にはいけません。負けなかったからいい、というのは甘いと思うし、チームとしてしっかりこの結果を受け止めないといけないです。追いついた後に何度もチャンスがあった中で勝ち切れなかったことは、今の自分たちの実力。そこは受け止めないといけないと思います」

Q:パリ五輪のメンバーに選ばれて最初の試合だったが、気持ちに変化はありましたか?
「特にそれはないですね。代表は代表ですし、セレッソはセレッソ。今日はセレッソで100%以上の力を出して、チームの勝利に貢献することだけを考えていました。浮かれないように、ということも常に気を付けていますし、メンバーに選ばれただけで浮かれていたら、この先やっていけません。発表当日だけは喜ばせてもらいましたけど、メリハリを持ってやっています」

Q:恥ずかしいプレーはできない、といった思いが改めて芽生えたりもしますか?
「そういう思いは常にあります。もちろん、五輪のメンバーに選ばれたことで、より注目されることは分かっていますが、サッカー選手である以上、たくさんの人に勇気を与えたいですし、自分のプレーを見ている子どもたちの、目標となるような選手にならないといけないと思っています。見られることは常に意識していますし、それは五輪メンバーに選ばれたから、ということは関係なく、日頃からずっと思っています」

Q:リーグ戦の1試合1試合で何を残せるかが大事?
「それに尽きます。日々、チームでも競争ですし、五輪メンバーに選ばれたからセレッソでも試合に出られる、とは思っていません。自分もコンディションが整っていなかったり、プレーが不安定だったりしたら、ベンチにもなりますし、そこは常に危機感を持っています。こういう試合で勝点3を取らないと、自分の価値も証明できません。今日は反省して、連戦なので、次につなげていきたいです」

■阪田 澪哉選手

Q:リーグ戦では今季初出場となったが、試合を振り返ると?
「リーグ戦に絡めていなかった中でチャンスが来て、チームの勝利に貢献する、しっかりアピールして結果を残すことを目標に試合に挑みましたが、結果的に勝ち切れなかったことは課題が残りました」

Q:自身のプレーについては?
「自分の入りが良くなくて、先輩方から『もっと中に入っていいよ』『もっと前に行っていいよ』と声を掛けて下さって、前半終了間際にカットインからシュートを打った場面があったんですけど、そこで少しリズムを作れました。1人多い状況だったので、後半はもっと攻撃参加しようと思いました」

Q:もちろん相手のカテゴリーは違うが、天皇杯2回戦では積極的に良さを出していた。J1という舞台で力を発揮するためには課題も残った?
「そうですね。もっと最初から攻撃的にプレーできたら良かったと思いますし、強度が高いJ1チーム相手にどれだけできるかは、これからもっと成長していかないといけない部分です」

Q:中3日で迎える、ヴァンフォーレ甲府との天皇杯3回戦へ向けて
「試合を終えて、自分の中で『もっともっとできる』と思ったので、頭の中を整理して、しっかり自分のプレーを出して、勝利に貢献したいです」

■柴山 昌也選手

Q:相手をこじ開ける、という使命を持って試合に入ったと思いますが、プレーを振り返ると?
「自分が入った時は負けていたので、同点、逆転ともっていけるエネルギーを自分のプレーで与えようと思って試合に入りました。後ろからボールを受けてリズムを作ったり、相手にとって怖いところに入ってシュートやラストパスを狙うなど、チームに良い影響を与えたいと思ってプレーしました。焦ることなくプレーできたとは思います」

Q:チームとしても個人としても仕掛ける回数は多かったが、あと1点が欲しかった。何が足りなかったと思いますか?
「負けなかったことはポジティブですが、勝ち越せるチャンスもたくさんあったので、ああいった場面でいかに一人一人が冷静にプレーできるかだと思います。自分自身、パスとドリブルをどう使い分けるか。攻撃全般は自身の武器なので、良い判断をして、それがチームとかみ合っていけば、得点もアシストも増えていくと思います」

■平野 佑一選手

Q;相手も後ろを固めてきた中で、パスを差し込むシーンも多々ありました。ゴールへの意欲も見られたが、どういう意識で試合に入りましたか?
「後半の入りで嫌な形で失点した中で、まずは追い付くことを考えて。1点を取りにいく姿勢を持って試合に入りました。相手も1人少なくて、簡単に最終ラインでボールを持つことはできたので、自分と(田中)駿汰と(舩木)翔で受けて、どんどん差し込んでいこうと。リスク管理だけはしっかりして、あとは流動的に動いていました。やっぱり点が取れるのはレオ(セアラ)なので、僕自身はレオの動きをずっと見て。ただ、ラストパスの成功率は低かったので、そこは後悔ですし、僕自身、駿汰から最高のパスが来たのですが、シュートの選択ができないところはまだまだでした。めっちゃ悔しいです」

Q:田中選手からのパスを背後で受けた場面ですね。良いパスでしたか?
「最高のパスでした。目が合って。僕もああいうパスを出すのが好きなので分かりますが、完璧でした」

Q:田中選手と平野選手がボランチで組んで配球していく形は、得点が欲しい時も含めて今後のオプションになりそうですね。
「そうですね、はい」

Q:ジュニアユース時代を過ごした東京ヴェルディ戦はいかがでしたか?
「やっぱり、音は(体から)抜けないんだなと、応援歌を聞いて思いました。懐かしい気持ちになりました。全員でトップチームの試合を見に行くこともありましたし、改めて良い応援歌だなと思いました。当時の知っている選手やスタッフの方々はいなくて少し寂しさはありましたが、プレーしていて、色々と思い出すことはありました」