第23節
2024明治安田J1リーグ
2024.7.14日
川崎フロンターレ
マルシーニョ (36')
1
AWAY
FULL TIME
1
Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
1-0
0-1
セレッソ大阪
ヴィトール ブエノ (77')
Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
20,725人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊 昭雄監督
「もちろん、勝点3を全員で取りに行く強い気持ちで臨みました。その中で、先制されてよく追いついてくれたと思います。真夏のアウェイ3連戦で、選手たちは非常に疲弊していました。その状況で、最後までボールを奪う、ゴールを狙う、勝点3を目指す。そういう姿勢を最後まで出してくれたことを誇りに思います。これで9試合負けなしにはなったのですが、安定したチームから強いチームになるために、今日もラスト数回、ビッグチャンスがありましたが、そこで決め切ることが大事。そこは高い要求を全員でしながら、やっていきたいです。もう少しで強いチームに成長できると思いますので、全員で受け止めて、強いチームにしていきたいと思います」
Q:前半は攻守につながりを欠いていたように思います。プレスもはがされてスペースを使われたり、攻撃でもトップ下にボールが入らず、苦しい展開が続きました。前半の流れはどう見ていましたか?
「おっしゃられた通り、前半を分析した時に、攻守ともに距離感の問題がありました。特に攻撃のところで、良い攻撃ができない、そして奪われ方が悪くて川崎の武器であるカウンターを受けてしまった。そういった問題がありました。その中で、距離感を縮める必要がありました。また、前半は少しロングボールの比率が高くなったので、足元で、ボックスで受けられる選手を入れて、立ち位置も変えてやりました。後半は久しぶりのシステムとタスクだったのですが、キャンプでやっていた立ち位置を全員が全うしてくれました。それが後半の素晴らしいパフォーマンスにつながったと思います。追い付いて、もう1点、というところまで行けたことは、選手たちの戦術理解度と、『絶対に勝つ』というメンタリティーを感じました。相手と自分たちの選手のキャラクターを見ながら試合中に変えていける幅を持てたことはプラスです。前半の戦いと、両方を使い分けながら、引き出しを増やしながら、ラスト15試合を戦っていきたいと思います」
Q:そうした厳しい前半にビッグセーブを連発したGKキム ジンヒョン選手の存在も大きかったと思います。次節の出場でJ1リーグ通算400試合となる、彼の貢献について
「もし2点目を奪われていたら、非常に厳しい試合、もしかしたら試合は決まっていたかも知れません。その中で、彼の経験、クオリティー、メンタリティーが出た局面だと思います。最近は非公開(練習)も多く、日頃のジンヒョンを見ていただく機会があまりないと思いますが、彼は毎日朝早くから、最後は真っ暗になるまでジムでトレーニングをしたり、体のメンテナンスをしたり、自分自身の体と向き合って、プロの鑑としてやってくれています。そうした日常の積み重ねが、試合でのこのようなビッグプレーにつながると、改めて感じました」
Q:ここ数試合、トップ下は上門選手が先発して攻守にハードワークしつつ、途中から柴山選手が出て時間を作ったり、変化を加えています。今節は復帰したヴィトール ブエノ選手も途中出場からゴールを奪いました。このポジションについては、今後もこうしたやり方がベースになるか、それとも再考の余地もあるか
「まずジョー(上門)に関しては、ここ最近の献身性ですね。もちろん、彼自身が結果を求めていますし、サポーターの皆さん、もちろん私自身も結果も求めている中で、彼のスコアには現れないチームへの献身性を私は評価しています。今日も前半、あれだけ苦しい中でも攻守に走り回ってくれたおかげで2点目を取られなかった。そして相手はダメージを受けて、後半にクオリティーが下がった。ジョーの連続したプレス、背後への動き出し、そういったところが確実に響いていると思います。そういったところは評価しながらも、あとはスコアも取って欲しいと思います。今日、得点を決めたブエノ、流れを引き寄せた柴山に関しては、もちろん先発も考えています。渡邉りょうもいますし、山田もいます。新加入の山﨑もいます。日々、競争しながら、対戦相手も見て、正当な競争を促しながら、ジャッジしていきたいと思います」
選手コメント
■ヴィトール ブエノ選手
Q:同点ゴールの瞬間について
「決めた瞬間は本当に嬉しかったです。今日は復帰戦だったのですが、チームを手助けできて良かったです。ただ、逆転するチャンスもあったので、そこは悔しいです。勝たないと、目標である優勝には届かない。アウェイでも勝たないといけないと思います」
Q:難しいシュートだったと思うが、自身で振り返ると?
「そうですね。決して簡単なシュートではなかったですが、努力の賜物です。練習の成果が出たと思います。やはり結果で貢献することが自分の仕事。残り15試合も得点やアシストで貢献したいと思います。優勝という目標へ近付けるよう、プレーします」
■カピシャーバ選手
Q:アシストした場面を振り返ると?
「ブエノとは、試合前から話していました。相手のCBは大きいので、下のクロスでニアに速いボールを入れることを意識していました。ブエノが良いところに入ってくれて、難しいシュートだったと思うのですが、よく決めてくれました」
Q:あのシュートは難しいですよね?
「難しいと思います。相手の前にポジションを取ったことが大きかったと思います。彼も復帰戦で決めたことで、ここからもっとチームに貢献してくれると思います」
Q:敵ながらマルシーニョ選手の切れ味も鋭かったが、対戦して感じたことは?
「昨年も戦ったので、彼の速さや能力の高さは分かっていました。彼だけではなく、川崎はクオリティーの高い選手が大勢います。そうした相手に負けなかったことは良かったですが、勝って帰れたら一番良かったと思います」
■キム ジンヒョン選手
Q:失点後、マルシーニョ選手との1対1を止めたシーンが、試合を左右しました。あのセーブを振り返ると?
「今日は1対1が続いていたので、その分、対応できたと思います。最初の脇坂選手のシュートもほぼフリーで打たれて、1対1のような状況でした。失点場面も1対1でした。もう少し落ち着いて対応できたら良かったです。その後のマルシーニョ選手との1対1の場面は流れも読めたし、コントロールしたところもしっかり見えた。先に倒れず耐えて、ボールに反応できたことが良かったと思います」
Q:前半のマルシーニョ選手への対応は、チームとしてもかなり苦しみました。
「速い選手なので、難しい対応になるとは思っていましたが、あれだけやられたことは、こっちの守備が少しルーズだったのかも知れません。ただ、個々の局面だけではなく、取られ方が悪かったり、パスの出し手に対してプレッシャーもかかっていなかったり、全体的な守備が上手くいっていなかったと思います」
Q:だからこそ、チームを救ったセーブになりましたね。
「僕の仕事はそこなので。最後の最後で止めることが、自分がやらないといけないこと。ただし、その前にチームとして1対1を作らせないことも大事。今、DFラインは若くなっているので、こういう試合や、あのような相手と対峙したことを経験にして、積み重ねていかないといけない。今日の経験を自分の力に変えて、成長につなげて欲しいと思います」
■西尾 隆矢選手
Q:パリ五輪に挑むU-23日本代表に合流する前、最後の試合となったが?
「オリンピックは意識していなかったです。セレッソでの1試合、ということだけでした。リーグでは負けなしで来ていて、悪くない調子だったので、引き分けではなく勝点3を取りたかったです」
Q:マルシーニョ選手のスピードに苦労していたが?
「そうですね。前半は特にそうです。(奥田)勇斗のところをカバーできれば良かったですが、マルシーニョ選手も上手くて速かったので、その対応は苦労しました。ああいう選手を抑えられるプレイヤーにならないといけません。今日はやられましたが、またいつか必ずリベンジしたいです」
Q:手にしているのは、サポーターからの寄せ書きですか?
「はい。日の丸、セレッソのフラッグと、パリのタオルですね。感謝しかありません。一生の宝物になります。ファン、サポーターの存在は自分の力になると改めて感じました。試合後、ゴール裏からも『頑張れよ』と声をかけてもらいました。温かい声援を送ってくれました。今日、勝点3を届けて、良い状態でパリに行きたかったのが本音ですが、簡単には勝たせてもらえなかったです。ただ、もう自分は行くので、セレッソはチームメートのみんなに任せて、自分はしっかりオリンピックで良いプレーで表現できるように頑張ります!」
■平野 佑一選手
Q:終盤は攻撃に厚みも生まれたが、入った時間帯で意識していたことは?
「負けている状態で入ったので、前重心でプレーすること、チャンスクリエイトすることですね。相手も後ろを3枚で回す方が嫌そうだったので、そこはキープしようと。前半からもっと主導権を握った戦いができれば良かったですが、アウェイ3連戦で、走力的な厳しさもあったと思います。優勝を目指すためには勝点3を取らないといけなかったですが、この引き分けを価値ある引き分けにできるよう、次に向けてやっていきたいです」
■登里 享平選手
Q:今月上旬の時点では、この試合でのメンバー入りは微妙な感じもしただけに、間に合ったことが驚きでした。
「そこは情報戦で、駆け引きで(笑)。でも、しっかりとこの試合を目指して、最善の努力をしてきました。練習からアピールして、プレーできる状態まで戻すことができました。メディカルやドクター、監督を始めコーチングスタッフも判断してくれてベンチに入ることはできましたが、ピッチに立ってプレーして、勝ちたかったです。次の試合に向けてまた良い準備をしたいです」
Q:「セレッソを優勝させる」という強い決意で移籍された分、この2ヶ月はもどかしい時間だったと思いますが、リハビリの間はどのような思いでしたか?
「復帰後は前より良いプレーをすること、パワーアップした姿で戻りたいという思いだけでした。外から試合を見て改善すべきこともみんなと話しながら、有意義な時間にしようと常に考えていました」
Q:試合に関しては、前半は苦しかったですが、後半にうまく修正できた印象だが?
「後半は川崎も間延びしてきて、自分たちの質的優位も出せましたし、回し方も変えたり、色んなことにチャレンジしながらできたと思います」
Q:メンバー発表の瞬間は、フロンターレのサポーターからも拍手が起こっていたが?
「温かく迎えてくれて感謝ですし、もちろんフロンターレも思い入れのある特別なクラブです。ただ、今日復帰して、優勝というセレッソの目標のために、自分が何を還元できるかを考えていました。ピッチに立っても立たなくても、できることは常にあるので、外から見て気付いたことは伝えるようにしていました」
Q:試合後、フロンターレのサポーターに挨拶している時は、色々な言葉を掛けられていましたが、どのような想いでしたか?
「外に出たことで、自分がここでやってきたことを改めて感じることができました。フロンターレでやってきた経験は誇らしいことですし、その経験を還元することはセレッソでも求められていること。その経験をフロンターレにいたまま伝えていくこともできましたが、自分自身、セレッソに来て新たな気付きもありました。サポーターに関しては、似ているというか、とても温かい。自分の振る舞いとしても、フロンターレにいた頃と同じようにセレッソでもできていると思います」
苦しんだ前半から一転、後半はシステムを変えて反撃。
ヴィトール ブエノの技ありの一撃で追いつき勝点1を獲得
天皇杯3回戦・ヴァンフォーレ甲府から中3日。セレッソ大阪は、敵地に乗り込み、川崎フロンターレとの明治安田J1リーグ第23節に臨んだ。先発は甲府戦からDFラインを除く7人を入れ替え。前節・東京ヴェルディ戦からは1人変更。阪田澪哉に代わり、奥田勇斗が右サイドバックに入った。
立ち上がり、ルーカス フェルナンデスが田中駿汰とのワンツーで右サイドを破るなど良い入りを見せたセレッソだが、4分、プレスを裏返され、川崎の強みである左サイドのマルシーニョを起点に決定機を作られる。対応に当たった奥田が交わされ、中央にパスを通されると、脇坂泰斗に進入されてGKとの1対1に。ただし、ここはキム ジンヒョンが素晴らしい反応でボールを弾き、クロスバーを直撃。守護神のビッグセーブで開始早々の失点は免れたが、前半は川崎の快速ドリブラーを止める術がなく、後手を踏み続けた。19分、23分にも彼を起点にピンチを招くと、36分に失点。キム ジンヒョンのクリアをカットされると、そこから前に運ばれ、縦につながれ、背後に抜け出されたマルシーニョにネットを揺らされた。続く38分にも被決定機。川崎の司令塔・大島僚太のパスからまたしてもマルシーニョに背後を取られたが、再びキム ジンヒョンがビッグセーブ。態勢を崩しながらも左手1本で止めてみせた。試合後は、「僕の仕事はそこなので。最後の最後で止めることが、自分がやらないといけないこと」とサラリと言ってのけた桜の守護神。対応に苦しむ奥田や西尾隆矢ら若きDFラインを後ろからしっかりと支えた。劣勢の展開の中、1失点で抑えたことが後半につながった前半だが、攻撃面ではチャンスらしいチャンスは作れず。11分、フェルナンデスのFKから田中が放ったヘディングは際どいコースへ飛んだが、GKチョン ソンリョンに防がれた。
「前半は攻守ともに距離感の問題がありました。特に攻撃のところで、良い攻撃ができない、奪われ方が悪くて川崎の武器であるカウンターを受けてしまった。その中で、距離感を縮める必要がありました。また、前半は少しロングボールの比率が高くなったので、足元で、ボックスで受けられる選手を入れて、立ち位置も変えてやりました」と試合後に述べた小菊昭雄監督だが、後半開始からセレッソは立ち位置とボールの回し方を大きく変更した。初期配置は田中をアンカーの4-3-3に、ボール保持の際は右サイドバックの奥田がボランチに入る3-2-5を採用。開幕当初に見せていた登里享平が中に入る逆バージョンを試みた。また、上門知樹に代わって後半から入った柴山昌也が奥埜博亮とともに2シャドーの立ち位置を取り、レオ セアラをサポートした。59分には、奥田を下げて平野佑一を投入。田中がDFラインに下がりつつ、ボールの保持の際はボランチにポジションを上げた。このシステム変更により、より高い位置を取ることが可能になったウィングから同点弾が生まれた。77分、舩木翔、セアラとつなぎ、相手DFを左サイドへ展開すると、カピシャーバのニアへのクロスに途中出場のヴィトール ブエノが巧みに合わせてネットを揺らした。直後、小林悠にゴールを決められたが、その前に家長昭博のタッチがゴールラインを割っていたことで無効に。胸をなでおろしたセレッソは、ここから試合終了まで猛攻を展開。87分には、相手CBのバックパスを拾ったカピシャーバがGKと1対1のシーンを迎えたが、ここは相手GKの好守に阻まれた。
後半アディショナルタイムには西尾の攻撃参加から柴山が絶好機を迎えたが、シュートは打てず。あと1歩まで追い詰めながら、勝ち越すことはできなかった。それでも「後半は久しぶりのシステムとタスクだったのですが、キャンプでやっていた立ち位置を全員が全うしてくれました。それが後半の素晴らしいパフォーマンスにつながったと思います」と指揮官は今後へ向けた手応えも覗かせた。今節の結果、首位・FC町田ゼルビアとの勝点差は『12』に広がったが、まだ諦めるのは早い。中断前最後の一戦となる次節・ホームに戻ってのアルビレックス新潟戦で勝利を収め、優勝戦線に食らい付いていきたい。