第26節
2024明治安田J1リーグ
2024.8.11日
サンフレッチェ広島
トルガイ アルスラン (78')
トルガイ アルスラン (85')
2
AWAY
FULL TIME
0
エディオンピースウイング広島
0-0
2-0
セレッソ大阪
エディオンピースウイング広島
25,817人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊 昭雄監督
「大阪からもたくさんのサポーターに広島まで来ていただいた中で、勝利をプレゼントしたかったですが、0-2で敗戦ということで、悔しく思います。上位争い、そして我々の目標である優勝争いを考えた時に、痛い敗戦となりました。ただ、私たちは1戦1戦、勝点3を積み上げながら、その目標に向かってブレずにやっていく、そのメンタリティーで次の試合に向かっていきたいです。今日の試合に関しては、広島のクオリティー、強度、スタッツが示す通り、素晴らしいチームです。その中で、私たちは攻守に距離感を大切にしました。前半の入りは広島の強い矢印にゲームをコントロールされましたが、前半25分、飲水タイムを挟んだあたりから、自分たちがしっかりボールを持ちながら前進していく、そして距離を縮めてカウンタープレス。そういったことができる時間帯も増えていきました。後半も一進一退の中で自分たちのペースもあり、深い位置まで進入してチャンスを作ることもできましたが、少し不運もありながらの1失点目が重くのしかかりました。また次節の京都戦へ向けて、分析しながら、いいところは継続し、課題は全員で共有しながらシーズンの残り12試合、もう一度しっかりと自分たちで目標に向かってやっていきたいと思います」
Q:失点の直前は、こちらも点を取りにいくために交代カードを切りました。そのタイミング、試合の流れはどのように見ていましたか?
「あの時間帯は両チーム、交代をしながら勝負の時間帯ということで、広島も動いたと思います。我々も勝点1ではなく勝点3を取りに、少しバランスを崩しながらも優勝するためには勝点3を取りにいかないといけないという中で、思い切ってフレッシュな選手を投入しました。バランスとモビリティーの部分で少しモビリティーを取るような形にはなったのですが、勝点3を目指して思い切って勝負に出た時間帯でした」
Q:今節は優勝という目標へ向けて、両チーム勝点3が欲しい試合でした。前半の中盤から終盤にかけてボールを握り返したり、後半もサイドの深い位置を取るシーンもありましたが、試合全体を通してみれば、交代策も含め、勝点3を取るために広島が先手、先手で試合を動かしにきていた印象です。セレッソは得点への姿勢がやや見えづらい展開になったように思うが、今節へ向けたマインドの部分について
「選手たちは今日の試合の重要性をもちろん理解して準備してくれました。ハーフタイムにも『しっかりボールを握りながら前進しているが、プラスα、シュートで終わる、クロスを打ち込む、そういうトライをしていこう』という話もしていました。後半は再三、深いところまで入っていけましたが、シュートで終われませんでした。最後のクロスのところもやり直すシーンが多かったり、リセットしてしまったり。ゴールへ向かうボールや動きは少なかったと思います。そのあたりは課題です。ボール保持からどうフィニッシュに繋げていくか。交代選手の起用も含めて全員でやっていく必要があると思います」
選手コメント
■キム ジンヒョン選手
Q:上位へ行くためには勝点3が必要な試合でした。敗戦をどう受け止めていますか?
「仕方ない、で済ませるには悔しいですが、認めるところはしっかり認めて、修正するところは修正してやっていきたいです。まだ何も決まっていないし、終わってもいない。ここで諦めることが一番問題だと思うので、今日の負けはしっかり受け止めて、まだ上位にも行ける。そういうメンタリティーのチームになっていきたい。まだ試合は残っている。ここで下を向きたくはないです」
Q:シーズン全体を考えても正念場だが、次節へ向けてどう挑みたい?
「昨年、自分がケガから戻ってきた時は雰囲気的に難しい状況でした。今年もそれを繰り返したくない。チームとして成長するために、ここでもう一度ギアを上げたいですし、上げないといけない。次節、いい結果を出せるように、来週1週間しっかりと準備したいです」
■西尾 隆矢選手
Q:0-2というスコアでしたが、どちらのチームの時間帯もあったように思います。90分を振り返ると?
「前半、苦しい時間もありましたが、しっかり耐えて盛り返したことは良かったです。ハーフタイムにも『ここから自分たちの時間も来る』という話もしていましたが、後半に関しては、相手が変わったというより、自分たちでバランスを崩してしまった感じがします。終わってからもみんなで話しましたが、一人一人がやりたいことがバラバラになってしまった。ボールを蹴って前に運ぶのか、後ろからつなぐのか、そこが曖昧になってスペースができたところを、相手はしっかり突いてきた。もう少し自分たちでチャンスを多く作れた時間帯もあったはずなのに、それを自分たちで消してしまった。それが今日の試合の分岐点だったのかなと思います」
Q:前節もそうでしたが、相手の方が選手交代をうまく生かしていたように思います。こちらは交代で入った選手が“良い悪い”ではなく、狙いの意思統一が足りない印象も残りました。
「交代選手が入って流れを変えることは、どのチームも狙っています。今日も広島は途中から入ってきた選手が結果を出しました。そういう選手が結果を出すと、チームも勢い付きます。自分たちも、途中からどう試合を進めていくか。それを明確にしないと、何となくやってしまうと、みんなの方向性がバラバラになってしまう。それは今日の結果を受けて凄く感じた部分です。どう戦うか、しっかりチームとして同じ方向を持たないといけない。選手の特長もあるので、そこを生かしつつ、どうするか。もう少しまとまって戦わないといけない。押されている時間を耐えて、ボールを握り返した時間帯もありました。自分たちの時間になった時にしっかり決め切るとか、もう一つ勢いを付けていける組織にならないといけないと、今日は特に感じました」
Q:前節に続き今節も右サイドバックでの先発でした。ニアゾーンを取るなど、前節からの工夫も見られたが、どういう意識でプレーしていますか?
「ここ2試合はサイドバックとして出場させてもらって、慣れないポジションではありますが、試合に出させてもらっていることはありがたいですし、サイドバックとしての経験も積ませてもらえることはありがたい。だからこそ結果で見せないといけない。今日に関しては、攻撃のところでもっとルーカス(フェルナンデス)と協力しないといけない。まだまだルーカスの動きと自分が合ってない。まだ自分も迷いがあるので、そこはしっかり合わせていかないといけない。サイドバックもできるようになれば、自分の選手としての価値も広がるし、また一つ成長できる。(サイドバックでプレーした時は)自分のサイドからも得点できるように、守備は失点ゼロで抑えることをマストとして、攻撃でもしっかり結果を出すことが大事になると思います」
■奥埜 博亮選手
Q:途中まではどちらの時間帯もあった試合ですが、こちらがボールを握る時間はあっても、なかなかシュートチャンスを作り切れなかった印象です。プレーしていて感じたことは?
「立ち上がりは相手の圧力が強くて苦しい時間もありましたが、そこで耐えたことで、段々、自分たちの時間も作り出して前半は終わりました。後半は前節もそうですが、選手一人一人が疲れてきたり、ミスが出てきた時にバラけてしまった。そういう時間帯に、もう一度、全員で意思統一していかないとバラバラになってしまう。出ている選手を含め、チームの状況を一人一人が把握しながらプレーすることが大事です。押し込んだ後の怖さももっと出さないといけない。押し込む場面は増えていますが、個人で仕掛けるとか、そこから相手にとって怖いプレーを増やしていかないといけない。距離感よく押し込んでいる場面では、取られてもカウンタープレスで奪い返すことはできるので。つないで押し込んでからの攻撃は課題というか、さらに高めていかないといけないと思います」
Q:全体の距離感が広がる後半は、逆に言えばこちらにも得点のチャンスがあると思うが、試合の運び方や攻め方の意思統一が、やや伝わりづらい印象でした。
「そこはチームで共有しないといけない部分です。入る選手の良さを一人一人が理解してプレーしないといけないですし、つなぐのが難しい時間帯であれば、ロングボールを入れて、周りに多く選手を多く配置できれば、セカンドボールも拾えますし、相手を押し込むこともできます。一人一人の良さをお互いに出し合えれば。最初から出ている選手が疲れている時間帯なので、途中から入る選手にも難しさはありますが、もっともっと共有していかないといけません。あと、後半の間延びした状態では、打ち合いのようになって、行ったり来たりが増えます。一人一人が走ってスプリントしてカバーできればいいですが、この暑さの中でずっと続けるのは難しい。試合展開も読んでプレーしないといけないし、行ったり来たりになるのであれば、落ち着かせることも大事。リスクを背負って出て行く時間帯と、出て行くことを我慢して相手の攻撃に備える時間帯と、そのメリハリも重要だと思います」
■北野 颯太選手
Q:交代の最初のカードとして起用されました。どのような思いでピッチに入りましたか?
「広島は強度が高いですが、試合を見ながら、自分が入ったら、というイメージはしていました。入ってすぐに失点して難しい展開にはなったのですが、どんな状況でも決定的な仕事をできる選手にならないといけないですし、途中出場の選手がいい流れを作らないといけないと感じました」
Q:ゴールへの意欲は見えましたが、やはり広島は堅かったですか?
「そうですね。でも外で見ているより、中でプレーした方が、思ったより間は空いていると思いました。そこで受けてからのクオリティーや、もう一つ崩す作業は必要でした」
Q:今季はずっと点が取れていたシーズンでしたが、ここにきて初めて2試合連続無得点です。起爆剤になって欲しい期待もかかるが?
「無得点は攻撃陣の問題ですし、僕自身もオランダから帰ってきて、結果というところで皆さんに示したかった試合でした。今日はある程度、出場時間も長かったので、それを言い訳にはできないですし、結果を残していくことが残り12試合では必要になってきます。今はスタメンで出ている選手も苦労している中で、途中から入る選手がチームを勢い付けないといけない。僕もそういう選手になれるよう、練習からもっと試合をイメージしてやっていきたいです。どんなゴールでも、泥臭くても良いので、貪欲に狙っていきたいです」
終盤までは拮抗した展開も、宿敵・広島から勝利ならず。上位追撃へ痛い星を落とす
前節のFC町田ゼルビア戦から中3日。セレッソ大阪は、アウェイに乗り込みサンフレッチェ広島との明治安田J1リーグ第26節に臨んだ。上位に踏みとどまるために勝点3だけが求められた一戦。初のエディオンピースウイング広島、スタメンは前節と同じ11人が並んだ。
立ち上がりは広島のペースで進む。高い位置からのプレスに、奪ったボールは両サイドを広く使って展開する広島に対し、セレッソは圧をかいくぐることができず、前線ではレオ セアラが孤立。守備で耐える時間が続いた。ただし、16分の決定的なピンチでは、加藤陸次樹のヘディングを鳥海晃司がクリアするなど失点は防ぐと、17分にはセレッソにもビッグチャンス。登里享平、柴山昌也、為田大貴のパス交換で左サイドを崩し、最後は為田のクロスにニアでセアラが潰れ、ファーで受けたルーカス フェルナンデスに決定機。ただし、枠を捉えたシュートはゴール手前で広島DFにクリアされ、先制とはならなかった。29分にカウンターから迎えたピンチでは、再び鳥海がシュートブロックで防ぐと、30分以降はセレッソの保持が広島を上回り、押し込む時間が続く。41分には、柴山のパスから右サイドの奥を取った西尾隆矢がクロス。ニアでセアラが合わせたが、広島DFの寄せに遭い、シュートはミートしなかった。前半はこのまま0-0で終了。得点はできなかったが、しっかりと主導権を奪い返してハーフタイムを迎えた。
後半も入りは広島が圧をかけてきたが、セレッソもすぐにボールを握り返し、相手を押し下げることに成功。セカンドボールも回収し、分厚い攻撃を仕掛けると、58分には再び柴山、登里、為田で左サイドを攻略。最後は敵陣深くまで進入した登里が角度のないところからシュートを放ったが、枠を捉えることはできなかった。続く60分にも、今度はフェルナンデス、セアラ、柴山とつないで右サイドを崩すと、最後はニアゾーンを取った西尾がクロスも、中でDFに跳ね返された。崩しの局面で何度も顔を出していた柴山だが、徐々にプレー判断に正確性を欠き、疲労の色が見られると、66分、代わって北野颯太がピッチに入る。直前には広島も2枚替えを行うなど、拮抗した試合で先手を取るべく両指揮官が動き始める。70分には、加藤の枠を捉えた強烈なシュートをGKキム ジンヒョンが好セーブ。74分のピンチでは、奥埜博亮が戻ってカバーするなどセレッソも懸命に守る。すると76分、今度は小菊昭雄監督が山﨑凌吾、平野佑一の2選手を同時投入し、勝負に出た。ただし、交代策が的中したのは広島だった。78分、広島の新外国籍選手、トルガイ アルスランに正確で強烈なシュートを決められ、先制を許してしまう。その後、ヴィトール ブエノ、阪田澪哉と攻撃に特長があるアタッカーを投入して同点を目指したセレッソだが、攻守のバランスが崩れたところを突かれ、85分に2失点目。勝負を決められた。
そこからも阪田の突破など最後まで攻めたセレッソだが、一矢報いることはできず、無念のタイムアップ。「上位争い、そして我々の目標である優勝争いを考えたときに、痛い敗戦になりました」と小菊監督も唇をかみしめた。今節は町田も敗れたため、首位との勝点差は変わらなかったが、5位・ヴィッセル神戸との勝点差は7に開き、優勝争いのグループからは、一歩交代。痛恨の一敗となったことは確かだが、「まだ何も決まっていない。ここで下を向きたくはない」とGKキム ジンヒョン。シーズン全体を考えても正念場の8月。ホームに戻る次節・京都サンガF.C.戦で、現状を打破するリーグ戦6試合ぶりの勝利を掴みたい。