第28節
2024明治安田J1リーグ
2024.8.24土
横浜F・マリノス
アンデルソン ロペス (49')
加藤 蓮 (73')
アンデルソン ロペス (83')
天野 純 (90+5')
4
AWAY
FULL TIME
0
国立競技場
0-0
4-0
セレッソ大阪
国立競技場
47,926人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊 昭雄監督
「前節は入りのところで課題があり、この試合に向けて、試合の入りを修正しました。マリノスのスタイルもしっかりと理解した上で、相手の矢印を折っていく作業、しっかりと守備から入っていこうということで、選手たちは前半、良い入りをしてくれたと思います。良い守備からのカウンターでゴール前まで運ぶシーンも多く作れました。前半は素晴らしいゲームコントロールをしながら45分を過ごせたと思っています。後半もハーフタイムには、『入りに気を付けて、前半のように、いい守備から入ろう』ということだったのですが、PK(による失点)が重くのしかかったと思います。ただ、選手たちはそこから主導権を握り返して、チャンスを作ることもできました。一つ入っていたら、また違う展開になっていたと思います。逆にチャンスでしっかり決めてくるマリノスの強さも改めて感じるゲームでした。選手たちはこの1週間、素晴らしい準備をしてくれたので、結果は監督である私の責任だと思っています。次のスペシャルマッチに向けて、自分たちで全てを背負って、またしっかり準備して、試合に向かっていきたいと思います。勝たなければいけない特別な試合です。チームは苦しい状態ですが、ダービーがあることをプラスに捉えて、全員で向かっていきたいと思います」
Q:前半は戦術的な狙いを持った引き締まった試合でしたが、ここ数試合、気になるのは、失点後の選手交代です。攻撃的な選手を投入するも、ピッチ内に混乱が見られ、逆に守備が手薄になってピンチを招くシーンが多く見られます。追いつくためには仕方ない部分もあると思いますし、今日に関しては香川選手のアクシデントもありましたが、試合終盤の采配や攻守のバランスについて
「失点した後は、リスクが増えたとしても、攻撃的に点を取りにいく姿勢を(出さないといけない)。あの時間帯でマリノス(の陣形)が伸びてくるというスカウティングもあったので、(香川)真司、(北野)颯太、シバ(柴山)とクオリティーの高い選手を投入しました。もちろん、攻撃的に振り切る分、守備や失点のリスクは上がりますが、彼ら3選手も入って早々チャンスもありましたし、彼らの持ち味は精一杯、出してくれたと思います。そこで私たちもしっかり決め切ること。そこを求めていきたいですし、18人全員が素晴らしいモチベーションで準備してくれました。0-1から0-4までなった結果は私の責任だと思っています。これからも彼らのクオリティーを存分に発揮していって欲しいと思います」
Q:今節は香川選手がリーグ戦では久しぶりにメンバーに入りました。ケガ明けでプレーした先週の練習試合後の香川選手の様子を踏まえると、このタイミングで入ったことに少し驚きもありましたが、18人のメンバーに選んだ理由と、実際に起用された意図について。また、分かる範囲で、負傷した肘の状態について
「まず肘に関しては、まだ私も彼と会っていないですし、ドクターからも聞いていないので、これから確認したいと思います。メンバー入りに関しては、練習試合の後の(練習での)パフォーマンス、それが全てです。真司の経験、リーダーシップ、クオリティー、時間限定ではありますが、真司が必要だと判断して、18人のメンバーに入れて起用しました。彼も本当に久しぶりのリーグ戦でしたが、試合勘の部分は、彼の経験で、クオリティーでカバーしたと思います。それだけにケガは残念ですが、軽傷であることを願っています」
Q:香川選手を投入する際、平野選手を残して、田中選手と交代した理由について
「(田中)駿汰に関しては、ここまでほぼフル出場で、夏場の時期で蓄積疲労も考えられました。逆に平野は今日がリーグ戦初先発で、非常に高いパフォーマンスを発揮してくれていましたし、まだまだエネルギーも感じていたので、ボールを握ることに振り切っていこうと。駿汰はバランスや守備力も特長ですが、より攻撃に舵を切って、真司のパートナーとして平野を残しました」
選手コメント
■西尾 隆矢選手
Q:前節の課題も踏まえ、意思統一した試合の入りができていたと思うが、終わってみれば0-4。この結果をどう受け止めますか?
「試合の入りはまとまってやれました。今週はチームのやり方も全員で意思統一して、やるべきことも明確でした。監督からの提示も明白でした。練習の雰囲気も良かったですし、全員が同じ方向を向いて、良い状態で今日を迎えることができました。前半は苦しい時間が続くことも試合前から分かっていました。そこで我慢強く耐えたことは良かったです。ただ、後半の1失点目もそうですけど、ちょっとした対応ミスが失点につながった。PKにつながったファウルをしてしまった(奥田)勇斗だけの責任ではない。後半の入りとして、我慢強くプレーすることを意識し過ぎて、ボールに人が行けなかったところもあったと思います。そこからも、2失点目までは、まだ良かったのですが、2失点目をしてから崩れてしまった。最近は失点を重ねると、どうしても点を取りにいきたい姿勢があるので、前めの重心になって、ポジションも変化して、カウンターを受けてしまうシーンが多い。もちろん点を取りにはいきたいので、そこは難しいところですが、リスクを背負っていくなら、後ろはしっかり守らないといけないです」
Q:前々節の広島戦や前節の京都戦でも見られた現象ですが、ポジションが変わって、ピッチ上でやや混乱も見受けられます。ビハインドの状態で選手交代後にどう攻めるかは、より煮詰めていく必要がありそうだが?
「今日は、最後は1人少なくなったこともありましたが、どう点を取りにいくのか、そこはもう少し明確にしないといけないことは確かです。交代で入った選手も含め、どういうサッカーをするのか、どう攻めるのかを意思統一しないといけない。監督も提示をしてくれているので、細かいところも含めてみんなで突き詰めていかないといけない。前節から試合の入りは改善されました。終盤の試合運びも改善しないといけない。ネガティブにはならず、やっていくしかない。試合が終わってからも、みんな本当に悔しがっていました。僕も副キャプテンとして、責任を感じます。みんな『チームを勝たせたい』という思いでプレーしています。そこで、この結果は凄く悔しい。ここまで苦しい結果が続いている中でも、サポーターの皆さんはポジティブな声を出してくれています。その思いに応えたい。次の大阪ダービーは、今の流れは関係ない。勝つだけ。勝点3だけを求めて戦います」
Q:試合終盤は、中盤でフィルターがかからず、相手のカウンターで最終ラインがさらされる形になりました。どう試合を進めていけば良かった、というイメージがありますか?
「点差が開いた状態では、どうしても全体が前、前に行くので、自分たちの前にはスペースがあります。そこに奪いに出ていけば、背後が空きます。追いかける状況になった試合では、最後の方はDFラインやCBだけで守っている時間帯もあるので、そこはもう少し改善しないといけない。中途半端に前から行って剥がされるのなら、引き込むことも一つの手。今は苦しくて失点も多いですが、このままズルズルいかないようにしないといけない。次はダービーですし、今日よりさらに意思疎通を図って、同じ方向を向いてやっていければと思います」
Q:広島戦の反省を踏まえ、京都戦では攻撃を改善。京都戦の反省を踏まえ、今節は入りを改善しました。チームとして狙いを持って取り組んで、それがピッチに反映されている時間帯もありますが、1試合を通して攻守がカチッとハマる試合がなかなか作れない。決してバラバラになっているとは思わないだけに、次こそ攻守に完遂したいですね。
「本当にそう思います。みんなまとまっているし、シーズン序盤の勝っている時より、チームはまとまっています。練習中もお互いに話す機会が増えていますし、プラスのコミュニケーションは取れています。スタッフの方々とのコミュニケーションも増えています。チームとして良い方向に向かっていると感じるからこそ、結果が付いてこない現状が悔しい。ただ、そこはプロなので、結果を出さないといけない。下を向かずにやり続けることが大事。厳しい状況ですが、次のダービーで勝てば、必ず上向きになります。一人一人が意識を高めてリーダーシップを取ることが必要ですが、セレッソのアカデミー出身でもありますし、自分自身が必ずセレッソを勝利に導く、という思いで次節に臨みます」
■為田 大貴選手
Q:前半は守備から入って締まった試合もできていましたが、最終的には0-4という結果になりました。どう受け止めていますか?
「入りのところは、プレスが嵌れば継続するし、回避されたら粘り強く守って、前半は失点ゼロで終わろうと。もちろん、先に取れたら良かったですが、みんなで『まず失点ゼロで前半を折り返そう』と試合に入りました。その意味では、0-0で前半を終えたことは良かったですが、この結果が今の僕たちの現状だと思います」
Q:後半は為田選手も再三サイドを取るなど、打開しかけたシーンもありました。チーム全体としても4点差が付く内容ではなかったと思うだけに、難しい試合になった印象です。
「スタッフの方も勝つために努力してくれていますし、自分も立場的に、一番、結果を残して次につなげていかないといけないと思ってプレーしていました。カピ(カピシャーバ)がケガしてからずっと、そう思ってやってきましたが、若い選手とか、試合に出ていない選手に申し訳ないですし、信頼して使ってくれた小菊監督にも申し訳なく思います」
Q:次節の大阪ダービーへ向けて、もう一度、全員でまとまって戦う姿勢をサポーターは望んでいると思います。次節へ向けて、意気込みをお願いします。
「言葉で言うのは簡単で、実際に結果を出すことは難しいこと。でも、ダービーは、現状は関係ないと思いますし、ここで勝てば色んなことが変わっていくと信じています。小菊監督を含めスタッフ全員の言葉をしっかり聞いて、チームが別々の方向を向かないように、ガンバ戦に向けてしっかり戦えるように、僕も力になれるように頑張っていきます」
■田中 駿汰選手
Q:“対横浜FM”という部分で、試合に入るプランとしてはしっかり意思統一されていた印象だが、結果として0-4で敗れた事実をどう受け止めていますか?
「前半に関しては、試合前から『持たれても焦れずにやろう』と話していました。実際に持たれながらも、守備で堅く守って、ゲームプランとしては、みんなで話していたことが比較的できていたとは思います。もう少し守備の時間を減らして攻撃できれば良かったとも思いますが、取った後のカウンターも狙っていた形だったので。もう少し握れたら良かったとは思いますが、前半は全体的に狙いを出せていたと思います」
Q:ここ数試合、先制された後に連続失点して、そこから前に人数をかけるけど、逆にピッチ内で整理できずにカウンターを受ける展開が続いています。
「そうですね。同じことを繰り返してはダメだと思うし、失点した後、ピッチの中で声をかけ合ってやっていますが、そこから交代選手も入って、点を取りに行った中でのカウンターからの失点。そのカウンターをしっかり仕留めるクオリティーが相手にはあって、自分たちは仕留め切れなかった。悔しいです」
Q:次節は大阪ダービーです。こういう状況ですが、逆に言えば、流れを変えるには大きな試合になりそうです。抱負をお願いします。
「良いタイミングだと思っています。もう内容はどうでもいいので、絶対に勝つという気持ちで、走って、戦って、勝つことだけ。2試合続けてこういう試合をやっているので、もうこういった試合はできない。そのタイミングでダービーが来る。もっともっとチームで厳しくやって、前回アウェイで負けた分、ホームなので、必ず勝ちたいと思います」
■平野 佑一選手
Q:リーグ戦では今季初先発でした。試合に挑む気持ちについて
「いや、もう勝つことが全てだったので、それを果たせず、悔しいの一言です」
Q:前半はプラン通りに進んだ印象だが?
「最近は先制点が取れていない試合が多い中で、マインドとしては難しくても、立ち上がりはリスクを減らして、前半は0-0でもいい、というプランで臨みました。ただ、攻撃はカウンターだけになっていたので、前半の中盤から終盤は、もう少し相手陣地でボールを握って相手を揺さぶる攻撃ができれば良かったとは思います」
Q:特長がはっきりしている相手ということもあったと思いますが、平野選手のシンプルにプレーする姿勢が目立っていたと思うが?
「そうですね。チームとして、今は難しいことをしても上手くいかない時期なので、自分が模範となって、つなぐところはつなぐ、蹴るところは蹴ると、意識的にプレーしたところもあります。チームとしても、今週はみんなでまとまって戦う意識でやれていました。ただ、サッカーは簡単ではない、ということも今日も改めて経験させてもらいましたけど、勝てていない原因は何か、みんなで共有して次に臨まないといけないと思います」
Q:停滞したムードの中で、今まで出場機会が少なかった選手がピッチで見せて、流れを変えたい試合が次節に控えているが?
「それがこの試合だと思って全力で挑んだのですが、ミッションは果たせなかったです。次、チャンスがあるか分からないですが、次、チャンスをもらえた時は、結果を出せるように。1試合の中でボランチ2枚が変わっているチームが安定した試合運びをできるとは思わないので、その意味でも情けないです。やっぱり勝たせられるボランチになりたいです」
Q:次節の大阪ダービーへ向けて
「ここ数試合、気持ち良い試合ができていない中でも、今日のアウェイにも来ていただいて、負けた後でもブーイングではなく、『次は勝とう』という雰囲気でした。僕自身、セレッソには今年入ったばかりですし、出身は東京ですが、今日の試合後のサポーターの反応や横断幕を見て、絶対に負けてはいけないと思ったし、今日は落ち込んでも、明日からは顔を上げて、ファン・サポーターのために、大阪ダービーを勝つためにやっていきたいと思います」
“新”国立での横浜FM戦。試合の入りは改善も、後半に失点を重ねて3連敗を喫する
前節の京都サンガF.C.戦から中6日。セレッソ大阪は、横浜F・マリノスとの明治安田J1リーグ第28節に臨んだ。国立競技場が舞台で、先発は前節から2人変更。平野佑一が加入後リーグ戦初先発を果たすと、CBには西尾隆矢が戻った。
立ち上がりから試合の構図は明確になる。ボールを握って押し込んでくる横浜FMに対し、セレッソはプレスの位置を下げて、中盤に守備ブロックを作り、ミドルプレスで対応。左右からのクロスは中でDF陣が跳ね返し、横浜FMに決定機は作らせない。攻撃ではシンプルに背後を狙い、ゴールを目指す。12分、ヴィトール ブエノのパスを受けたルーカス フェルナンデスが右サイドからシュート。決定機に近い形だったが、相手GKの好守に防がれた。前半の飲水タイム時点で横浜FMのボール保持率は68%に達したが、「試合前から『(相手にボールを)持たれても焦れずにやろう』と話していた」と田中駿汰も振り返ったように、セレッソとしては、この展開も織り込み済み。「粘り強く守って、『まず失点ゼロで前半を折り返そう』とみんなで話して試合に入った」(為田大貴)。互いにチャンスシーンは少なかった前半だが、セレッソはフェルナンデスと奥田勇斗で組む右サイドが活性化。31分には右で作り、最後はブエノのパスから背後を取った舩木翔がネットを揺らしたが、ここはオフサイドで得点は認められず。逆に37分、横浜FMに中央を割られ、最後はアンデルソン ロペスに強烈なシュートを許したが、今度はGKキム ジンヒョンが好セーブ。前半は0-0で終了した。
静かな前半から一転、後半は開始早々、試合が動く。47分、セレッソは自陣左サイドからのクロスに対し、ファーサイドでロペスと競り合った奥田がロペスのユニフォームを引っ張ってPKを献上。これをロペスに決められ、先制点を許した。ここからはセレッソもボールを握って敵陣へ入っていくと、52分に決定機。フェルナンデスが田中とのワンツーで右サイドを突破しクロス。中でレオ セアラが頭で合わせたが、際どいコースへ飛んだシュートは相手GKに防がれた。なおも攻めるセレッソは66分、再びブエノのパスに抜け出した舩木が左サイドからクロス。ファーサイドで相手DFのオウンゴールを誘ったが、ここも舩木がオフサイドで無得点に。67分、さらにギアを上げるべく小菊昭雄監督は3枚同時交代を決断。香川真司がリーグ戦では第13節・ヴィッセル神戸戦以来の出場を果たすと、北野颯太、柴山昌也と若きアタッカー2人もこのタイミングでピッチに入った。直後に平野、奥田、北野とつないで最後は柴山がフィニッシュも、シュートはGK正面に飛んだ。攻勢に出た時間帯で同点ゴールを奪えずにいると、73分、敵陣でのパスをカットされて、カウンターから失点。苦しい展開に追い込まれたセレッソは、80分、平野に代わって山﨑凌吾が入り、前線を2トップに変更。ボランチは香川と柴山が務めたが、83分には相手のプレスに嵌められ3失点目。さらには香川が相手選手との競り合いの中でバランスを崩して着地した際、左肘を負傷するアクシデントも発生。すでに交代枠を使い切っていたため、残りの時間帯は10人でのプレーを余儀なくされた。後半アディショナルタイムにはセアラがGKとの1対1を迎えるも、決め切れずにいると、直後に横浜FMに4点目を決められ万事休す。拮抗した展開で推移した前半から考えると、最後は思わぬ大差が付く結果となった。
「みんな『チームを勝たせたい』という思いでプレーしている中で、この結果は悔しい」。試合後、キャプテンマークを巻いて奮闘した西尾は声を絞り出した。リーグ戦7戦未勝利と現状は苦しいが、攻守が一つ噛み合えば、状況が好転することは十分に可能。「サポーターの皆さんはポジティブな声を出してくれている。その思いに応えたい。次の大阪ダービーは勝点3だけを求めて戦います」(西尾)と次節へ向け、チームは決意を新たにした。敗れたアウェイでの借りを返し、シーズンの流れを変えるために、チーム一丸で次節・大阪ダービーに挑む。