2024明治安田J1リーグ第30節

2024明治安田J1リーグ

2024.9.13

ヴィッセル神戸

マテウス トゥーレル (2')

広瀬 陸斗 (11')

2

AWAY

FULL TIME

1

2-0

0-1

セレッソ大阪

レオ セアラ (51')

ノエビアスタジアム神戸

13,803

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

中断期間で準備した3バックも奏功せず、開始11分で2失点。神戸に完敗し、連敗が4に伸びる

 

明治安田J1リーグ第28節・横浜F・マリノス戦以来、約3週間ぶりの公式戦。セレッソ大阪は、アウェイに乗り込み、ヴィッセル神戸との明治安田J1リーグ第30節に臨んだ。先発は横浜FM戦から2人変更。奥埜博亮、登里享平がともに2試合ぶりに先発復帰となった。ベンチにはカピシャーバが戻り、喜田陽が今シーズン、リーグ戦では初のメンバー入りを果たした。


この試合、セレッソは、「複数失点が続く現状、神戸の強みも踏まえて」(小菊昭雄監督)、試合開始から3バックを採用。舩木翔、西尾隆矢、鳥海晃司の3バック、左ウィングバックに登里、右ウィングバックにルーカス フェルナンデス、奥埜と田中駿汰のダブルボランチ、2シャドーに為田大貴とヴィトール ブエノ、1トップにレオ セアラという3-4-2-1で臨んだ。ただし、開始早々、攻め込まれると、2分にCKから失点。さらに11分にも大迫勇也のキープから広瀬陸斗に地を這うミドルシュートを決められ、2点を追いかける展開となる。試合後、指揮官や選手たちは「早い時間帯での失点でゲームプランが崩れた」と振り返ったが、ここからの時間帯、セレッソはピッチ内での意思統一をすることができず、試合の主導権は完全に神戸に握られてしまう。飲水タイム後は前節までの4-2-3-1(守備時は4-4-2)に戻したが、一度狂った歯車は戻らない。前線からのプレスで規制がかからず、神戸に容易くボールを運ばれると、サイドからのクロスや、背後へのパスで何度も決定的なピンチを招いた。ただし、西尾や登里が懸命にカバーに入り、相手のシュートミスにも救われ、3失点目は与えることなく前半を折り返した。


後半開始とともに、小菊監督は3枚替え。為田、ブエノ、舩木に代えて、カピシャーバ、北野颯太、奥田勇斗を投入する。前半はDFラインが下がり、効果的な攻撃を繰り出せずにいたセレッソだが、後半は開始から攻勢に出ると、47分、奥田を起点にフェルナンデス、セアラとつなぎ、最後は奥埜がミドルシュート。49分にも、北野が高い位置でプレスをかけてボールを奪うと、自身で持ち込み、角度のないところからシュート。DFに防がれたが、この流れから得たCKでセレッソが1点を返す。フェルナンデスのキックに合わせたのはセアラ。打点の高いヘディングでネットを揺らし、自身、再び得点ランク単独トップに立つ18点目を決めた。前半とは真逆の入りを見せた後半、一気に同点まで持っていきたいセレッソだったが、得点以降は思うように決定機を作れずにいると、75分、76分と連続して神戸に決定機を与えてしまう。ただし、ここは両方ともGKキム ジンヒョンがビッグセーブでゴールは許さない。2点差を阻止すると、終盤にかけて再びセレッソが盛り返す。86分には、カピシャーバの突破からのクロスに喜田陽、フェルナンデスが連続してシュート。87分にも、奥田のクロスにファーサイドでカピシャーバが飛び込むなど、同点まであと一歩に迫った。


最終的には、猛追及ばず1-2で敗れたセレッソだが、「前半を0-2という厳しい状況でも、選手たちは最後まで諦めず、後半は若い選手たちが躍動して、素晴らしいパフォーマンスを発揮した」と指揮官も振り返ったように、後半開始から入った北野が攻守にスイッチを入れてチームを引っ張れば、奥田も持ち前の攻撃センスでサイドを活性化。77分には喜田もリーグ戦では今季初出場を果たすなど、残り9試合へ向けて収穫もあった。2006年以来18年ぶりの4連敗と苦しい状況は変わっていないが、「現状を変えるためには選手自身がピッチで表現するしかない」と西尾。次節のアウェイ湘南ベルマーレ戦こそ連敗をストップし、9試合ぶりの勝点3を掴んで前に進みたい。

監督コメント

■小菊昭雄監督

「ここ数試合、失点数が多いという私たちの現状や課題、ヴィッセルの強みを踏まえて、中断期間中、色んな事にトライしました。その中で、今日は3バック、5バックで臨んで、0-0の時間を長くしながら我々が主導権を握り、カウンターも含めて得点を奪いにいく。そういったプランで臨みました。その中で、入りのCKからの失点が全てだったと思います。そこでゲームプランが崩れて、立て続けに失点してしまいました。ただ、チャンピオンチーム相手のアウェイ、前半を0-2という厳しい状況でも、選手たちは最後まで諦めず、後半は若い選手たちが躍動して、素晴らしいパフォーマンスを発揮したと思います。セレッソの明るい未来、彼らのパフォーマンスは素晴らしかったと思います。後半のような戦い方を私自身が提供できなかったこと。それが全てだと思いますので、この敗戦は、監督である私の責任だと思っています」

 

Q:スタートは3バック、前半の飲水タイム後は4バックに変えましたが、いずれにしても、前半は前からプレスの規制がかからず、中盤、背後とかなりスペースが空いて、ピンチの連続でした。前半の守備は何が問題だったのか。

「まず、ファーストディフェンダーが定まらなかったこと。それに伴って、ヴィッセルのポケットへのランニング、動き出しの速さによって、最終ラインが下がってしまった。そこはチームの問題であり、個人の強度にも問題があったと思っています。ただ、その戦い方やメンバー選考は私が決定しているわけで、前半の守備がハマらなかったことも含め、今日の敗戦は私の責任だと思っています」

 

Q:3バックを選択したのは、失点が多い現状を踏まえた上での緊急措置か、神戸対策という側面だったのか。

「答えから言えば、両方になります。この3試合、4バックでかなり失点が多かったこと。今のチームの課題を考えた時に、しっかりと後ろを5枚で、5-4-1のリトリートと、5-2-3のハイプレス。その使い分けをしながら、まずはしっかりゴールを守る。そこにターゲットを絞って臨みました。もちろん、ヴィッセルの前線のクオリティー、今のヴィッセルのチーム力、強みを踏まえての決断でもありました」

 

Q:今日の結果だけで判断するわけではないと思うが、3バックは今後も使える目途が立っているのか、人選も含めて再考の余地があるのか。

「中断期間中、練習試合も含めて大きな手応えがありました。私自身、この3年間で、4バック、3バック、5バック、4-3-3、4-4-2、4-2-3-1と色んなことをトライしてきました。相手の強み、我々の課題や現状、出る選手のクオリティーや強み、そういったことも全て含めて、1試合1試合、最適なシステムをチョイスしていきたいと思います」

 

Q:後半から入った北野選手ですが、今日だけではなく、ここ数試合、かなり気持ちが見えるプレーが増えています。ここ1、2年、突き抜け切れそうで突き抜け切れない時期を過ごしていますが、今日のパフォーマンスと今後の期待について

「颯太は私が監督に就任してから、セレッソの宝、日本の宝だと思って、期待してきました。その中で、昨年、大ケガを負って、今もまだ痛みが残る中で、苦しかったと思います。精神的にもまだまだ若い選手ですので、ケガから復帰するまでの過程、結果が出ない中で、苦しい期間もあったと思います。私もこれまでたくさんの若い選手、日本代表まで行った選手、海外に巣立った選手を見てきましたが、どの選手も苦しい期間はありました。颯太もそうした苦しい期間を経て、今まさに、ここ数試合、本来のパフォーマンス、成長したパフォーマンスを発揮してくれていると思います。後は結果を出して、今日のようなパフォーマンスを続けていけば、間違いなくこのクラブの将来を担う中心選手になると思いますし、日本代表になっていく選手だと思います。皆さんも、どんどん期待をしていって欲しいなと思います」

選手コメント

■西尾隆矢選手

Q:今節は、後ろを3枚で始めました。その良さが出る前にCKから失点したことで、成否が見えにくい形にはなりましたが、試合に臨む準備としては、堅く守ろうという意識だったのでしょうか?
「守備もそうですが、ボール保持でも、(3-4-2-1は)前に人数をかけることができます。もちろん、試合の入りは堅く、というイメージはあったのですが、セットプレーから失点してしまい、前の選手は焦りもあったと思います。試合を通してのゲームプランも変わってしまい、修正が効かなくなったのかなと思います。ただ、前半が終わってみんなでしっかり話し合った結果、後半はしっかり修正できました。1点を返して、さらにボールを保持できた部分もありました。ただ、今日の試合に関しては、前半開始10分ぐらいの流れが全てだったのかなと思います」

Q:3バックについて、監督は「練習試合でやって、手応えを持って試合に臨んだ」というような話もありましたが、選手間での受け止めについては?
「この時期にシステムが変わった不安はあったのですが、練習試合でもいいプレーや、いいシチュエーションはあったので、どちらかと言うとプラスのイメージがありました。ただ、入りさえしっかりやれば、という中で失点してしまった。特にセットプレーは神戸の強みだったので、集中はしていたのですが、失点したことで一人一人のメンタルも少し崩れてしまったのかなと思います」

Q:4連敗という苦しい状況ですが、今後の戦いへ向けて、どう変えていきたい?
「プロである以上、この現実を受け止めないといけないですし、現状を変えるためには選手自身がピッチで表現するしかない。正直、厳しい状況ですが、少しでも、小さいことから変えていかないと、勝利は簡単ではないと改めて思います。試合もすぐ来るので、いい準備をして臨みたいと思います」

■登里享平選手

Q:3週間、準備してきたことを実際にやってみて。
「立ち上がりの失点で、プランというか、立て続けに失点したことでダメージはありました。その中で、ゲームコントロール、自分も含めてプレーの判断だったり、押し返す力、我慢するところ、どれも後手に回ってしまったと思います」

Q:前半と後半の違いは何だったのでしょうか。
「後半は取りにいかないといけないとハッキリしていたので、そこが一番大きいと思います。2失点したことで、前に出ないといけなくなり、プレスの迫力や、交代で入った選手もパワーを出してくれました。後半はハッキリ戦えたと思います」

Q:失点してからスイッチが入るようでは良くない?
「そうですね。(前半は)結果が出ていない時のサッカーというか、負けに値するサッカーの質、メンタルだったと思います。そこは勝つことで変えられるので、早く勝たないといけない。もちろん、勝つことは簡単ではないですが、まして、こうやって結果が出ない時は、どうすればチームがうまく回るのか、それぞれがアンテナを立てながらやっていかないといけない。個人の頑張りをチームの頑張りに、勝利につなげていかないといけない。結果が全ての世界なので、どんな内容でも勝たないといけない。そこはもっともっと求めていかないといけない。次節まで、できる限りのことをやって、危機感を持ってやらないとダメだと思うので。一人一人、もう一度、映像も見返して、自分も反省するところと、チームをうまく回すところと使い分けて、しっかりやっていきたいです」

■レオ セアラ選手

Q:失点の時間帯が早かったこともあったと思うが、前半は守備がハマっていませんでした。前線でどう感じてプレーしていましたか?
「今回だけではなく、何度も立ち上がりに失点する試合があります。そこは早く改善しないといけない。こういう強い相手に対して、もっと最初から集中する必要があると思います。相手が2点を取った後、自分たちは引いてしまった。後半は自分たちが支配できましたが、前半の内容は課題が多く残りました」

Q:後半立ち上がりの得点は、サポーターを勇気づけたと思うが?
「こうしてセレッソのユニフォームを着てまた得点できたことは嬉しいですが、何よりも勝利できなかったことが悔しい。来週またいい準備をして、早くサポーターの皆さんに勝利を届けたいと思います」

Q:再び得点ランクの単独トップに立ったことについては?
「個人のことを考えるのではなく、チームが勝利するために何が足りないのかを考えたい。自分の得点は嬉しいですが、チームが勝利することが何より大事なので。次節に向けて勝利できるように、来週1週間またいい準備をしていきたいです」

■北野颯太選手

Q:後半から出場して、気持ちを前面に出したプレーが流れを大きく変えたと思います。前半は相当悔しい内容だったと思うので、「ガラッと変える」ぐらいの意気込みでピッチに入った?
「そうですね。外から見ていても、守備のところで前線の選手がなかなか付いていけていない印象があったので、それが一つずつズレて、ディフェンスラインの選手も押し上げられない状況になっていることは、見ていても分かりました。後半の早い段階で交代はあるな、とはイメージしていて、後半の頭から、という中で、まず守備のところは気持ちの面でも戦術的なところもでも変えるつもりでプレーしました」

Q:ここ数試合、プレータイムが徐々に伸びている中で、北野選手にとってはチャンスと言いますか、この機会を掴めば、という期待も懸かるが、自身では現状をどう捉えていますか?
「自分自身、最近はいつも言っていますが、『このチームは自分のチームなんや』というぐらい、背負わないといけないと思っています。気付くのが遅かったというものありますし、監督には常に『お前が引っ張れ』とは言われていましたが、なかなかプレーで示すことができなかった。最近は責任感も変わってきていますし、何回も言いますが、僕がチームを引っ張らないといけない。苦しい状況なので、若い力は必要になってくる。こういう時期こそ、救世主のような存在が必要なのかなと思っています」

■喜田陽選手

Q:公式戦では今季初出場になりました。ピッチに入る前は、どのようなプレーでチームを活性化しようと思っていましたか?
「時間は短かったですが、もう1点、せめて同点まで持っていければ、と思ってプレーしました。追いつけなかったことは悔しかったです」

Q:後半はボールを持ちながら、崩せそうなシーンも増えました。ベンチで見ながら、入ったら追いつけそうな感覚もありましたか?
「前半と違ってボールを持てる時間も多くなり、押し込む時間は増えていたので、自分が入ったら、間、間で受けて効果的なパスを出せれば、もっと押し込めるのかなと思ってイメージしていました」

Q:個人としては、今シーズンの第一歩を刻んだ感じでしょうか?
「小さな一歩ですが、残り9試合、全部勝つつもりでやりたいです」