第33節
2024明治安田J1リーグ
2024.10.5土
浦和レッズ
0
AWAY
FULL TIME
1
埼玉スタジアム2002
0-1
0-0
セレッソ大阪
為田 大貴 (17')
埼玉スタジアム2002
32,129人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊 昭雄監督
「大阪ダービーという特別なビッグマッチから中2日、そしてアウェイの埼玉スタジアムということで、非常に厳しいスケジュールだったのですが、選手たちはしっかりと全員でハードワークして戦ってくれました。今日で3試合連続のクリーンシートになりますが、守備でしっかりと全員が粘り強くゲームコントロールして、セットプレーから仕留めることができました。メンタル面も含め、チームが勝負強くなったな、試合巧者になってきたなと、成長を強く感じます。このスケジュールの中で走り切った、勝ち切った選手たちを誇りに思います」
Q:中2日のアウェイということもあり、大阪ダービーのように90分攻守にアグレッシブにというわけにはいかなかったが、前半はプレスもかかって攻める形も作り、セットプレーから先制。後半はしっかり守備を固めて締めました。そうした試合巧者ぶりを発揮できたチームについて。
「本来ならば、ダービーのように、アグレッシブに攻守に圧倒する。毎試合そういう試合をお見せしたいのですが、コンディション面も含め、今日は攻撃だけではなく、守備も含めたゲームコントロールが大事になると思っていました。前半は相手にボールを握らせる時間と、逆に自分たちがボールを握ってシュートまでいく時間もあり、素晴らしい内容だったと思います。その中で、時間の経過とともに、後半は『守備で勝ち切るんだ』と割り切った戦い方もできました。再三、押し込まれる時間もありましたが、随所にカウンターも見せることもできたので、今日はゲームコントロールが勝利につながったと思います。選手たちがしっかりコミュニケーションを取りながらゲームを読む。そうした力も付いてきたと、私自身も嬉しく思っています」
Q:今日のような試合では、やはりセットプレーが武器になると改めて感じました。アシストしたルーカス フェルナンデス選手は10アシストになりました。また、為田選手は、今季は苦しい時期もありましたが、ここに来てウィングバックとして献身性も含めて存在感を発揮しています。両者の評価について。
「ルーカスは、実は今日は少し負傷を抱えた中での出場だったのですが、その中でもクオリティーの高いプレー、守備でも献身性を出してやってくれました。彼の存在は大きいです。これでアシストもトップということで、私自身も嬉しく思います。ラスト5試合、彼の献身性、攻撃のクオリティーの違いを見せ続けて欲しいと思っています。タメ(為田)に関しては、4バックの時は左サイドハーフ、または左サイドバック、色んなポジションをやってもらっていたのですが、それは彼の持つクオリティーの高さ、サッカーIQの高さ、全ての面で素晴らしい選手であるからこそ、色んなポジションを高い水準でできると思っています。今日のシュートも素晴らしかったですし、攻守に素晴らしい選手です。ケガで苦しんだ時期もあったのですが、今はコンディションも100%の状態だと思っています」
Q:後半、相手に押し込まれる時間はありましたが、ベンチも含めてバタバタした様子はありませんでした。どうゲームを見られていましたか?
「浦和の強みを考えた時に、(守備時は)5-2-3が理想の形でしたが、5-4-1も含めてしっかりスペースを消す。そして、浦和のストロングである、スピードある選手のドリブル突破、ワンツー、コンビネーション。そうしたことは事前のスカウティングでも、抑えるべきポイントとして共有していました。チアゴ サンタナ選手へのクロス対応、そこからのカウンター、そこも全員で同じ絵を共有できました。メンタル的にバタバタしてしまうと、一人ひとりの頑張りがつながらないのですが、選手たちが強固につながっていたことが今日の守備につながり、勝利につながったと思います」
Q:直近の大阪ダービーから先発11人を変えませんでした。流れを重視したのか、意図について。
「最後の最後まで悩みました。私は普段、試合前日にメンバーを選手に伝えているのですが、実は私が監督に就任してから初めて、試合当日の昼のミーティングで発表しました。最後までトレーナー、フィジカルコーチとコミュニケーションを取りました。やはり選手は疲弊していますし、先ほど申し上げたルーカス含め、何人か少しケガを抱えている選手もいた中で、ダービーの流れを継続したいと。その中で、選手たちとも試合前に共有したのですが、『前半で出し切って、疲れたら交代する。そこは徹底しよう。チームの勝利のために理解して欲しい』と。そこも含めて全員のつながりが強固だったことが、今日の勝利につながったと思います」
選手コメント
■為田 大貴選手
Q:決勝点になった先制点の場面を振り返ると?
「たまたまです(笑)。シン(進藤)が相手を引き付けて、相手がシンにアタックするのは分かったので、ボールが長かったら僕が突っ込めるように、ということは狙っていました」
Q:フリーでしたが、シュートの瞬間は?
「来たボールに逆らわずに、基本に忠実に打ちました」
Q:2年前も加藤陸次樹選手に素晴らしいアシストがありました。埼玉スタジアム2002には良いイメージがありますか?
「いや、でもセレッソに来て、レッズとのアウェイはいつも楽しみです。このスタジアムの雰囲気は特別ですし、なかなか味わえる雰囲気ではないので。その中で、レッズとの試合では良いパフォーマンスができているイメージもあったので、今日も良い流れで試合に入ることができました」
Q:大阪ダービーから中2日という状況で、チームとしてしっかり戦えたことについて。
「中2日とか、3日とかは関係なく、チームとしてやりたいこと、やらないといけないことが整理されてきたことが大きいです。今まで噛み合っていなかった部分を、みんなで嚙み合わせることができていると思います」
Q:第28節・横浜F・マリノス戦の試合後、とても悔しそうな表情がまだ印象に残っています。立て直せた要因をどう考えていますか?
「フォーメーションを変えたこともありますが、頭がクリーンになったことが大きい。もう一度、自分たちが良かった時のサッカー、どんどん前に守備に行って、どんどん後ろから湧き出ていく、小菊監督がやりたいサッカー。それがベースにある中で、今年は小菊監督を含めてチームとして(新たなやり方に)チャレンジしましたが、僕たちがうまく表現できなかった。もちろん、うまく表現できた試合もありましたが、少しどっちつかずというか、難しい時期を自分たちで作ってしまった部分もありました。もう一度、チームとしてうまく戦えるように持ってきてくれたスタッフに感謝しています。それと、僕らが試合で戦えているのも、試合に出ていない選手たちが練習で相手の役割になってくれていることもあるので、出ている選手はそれに恥じないように戦えればと思います」
■進藤 亮佑選手
Q:中2日の厳しいコンディションでしたが、勝ち切りましたね。
「耐えました!本当はもっと自分たちの時間も欲しかったですが、今日の(コンディションの)中では、精一杯やった印象です」
Q:前半は前から奪うシーンもあり、メリハリも付いていた印象だが?
「前半は良かったですね。良い形で奪えたり、守備でのチャレンジ&カバーも良かった。マンツーマンっぽかったですが、逆サイドも絞ったり。前回の大阪ダービーもそうですが、前半は良かった。先制した後ですね、課題は。今日も後半ももう少し自分たちで握るシチュエーションは作りたかったです」
Q:守りを固めた後半、最後は魂のシュートブロックもありました。浦和の小泉選手のシュートを止めた場面を振り返ると?
「当たったのはたまたまですが、あそこで最後に自分に何ができるかが大事。結果は良かった。普段から少しでも防げる確率を上げるポジションを取っているので、その結果です」
■田中 駿汰選手
Q:大阪ダービーから良い流れを継続できたが、今日の試合を振り返ると?
「形(システム)はダービーと変わらず、前から守備で嵌めていく部分は、チームとして狙い通りの守備ができました。最後は危ない場面もありましたが、1試合の中では、ああいうシーンはあると思うので、そこもしっかり守れて無失点で終われたことは良かった。前の選手も一生懸命追って限定してくれましたし、いいゲームができたと思います」
Q:今季はアンカーやダブルボランチでもプレーしながら、今は3バックの真ん中に入っているが、どのように考えてプレーしている?
「自分の良さとしては、どのポジションでもレベルの高いプレーができることだと思っています。今は3バックのセンターですが、こうして勝てているなら、しっかり自分の力を、監督に求められた場所で発揮していきたい。セレッソに来て色んなポジションを経験できているので、自分の成長にはつながっていると思います。チームが勝つことが自分の価値の証明にもなるので、もっともっと勝ちたいです。一つでも上の順位で終わりたいですし、今日も雨の中、多くのサポーターにアウェイまで来てもらっているので、その期待に応えられるよう、残り5試合、全部勝ちたいです」
■奥埜 博亮選手
Q:厳しい日程でしたが、メリハリを付けて勝利したことにチームの成長を感じました。
「守備のところでは、選手間がつながって守れたと思います。先に点を取れたので、後半はあのような展開になった部分はありますが、後半ももう少し攻撃でも、一人ひとりが良い立ち位置を取ってつながっていけたら良かったと思います」
Q:後半、苦しい展開の中でセカンドボールをかなり拾ってチームを助けていたが、中2日でも最後まで走り切れた?
「そうですね。途中からは割り切って、セカンドボールと相手に寄せることを意識して、そこにだけ力を使いました。だいぶ涼しくなってきたので、それも大きいです」
■北野 颯太選手
Q:大阪ダービーに続き、前半は前からの良い守備ができていたが?
「守備でスイッチを入れることは監督にも求められていますし、前で奪ってそのまま得点できれば一番いいので。でも、まだまだ得点できていないので、課題も残る試合でした」
Q:チームは苦しい時期が続いていたが、ここ数試合は先発で出るようになって、チームも結果が出ています。最近の流れについて。
「最近は試合にも出られていますが、全然、安心はできないですし、結果を残さないと入れ替わりもある。結果を残していかないと生き残れない。チームは勝っていますけど、自分の価値も同時に上げていかないといけないので、まだまだ満足できないです」
■ルーカス フェルナンデス選手
Q:大阪ダービーの激闘から中2日で臨んだ今日の勝利について。
「準備は短い期間だったので大変でしたけど、自分たちがやれることをグラウンドで見せて、勝利に結びつけられたことは良かったです」
Q:先ほどの監督会見で、「少し負傷も抱えていた」という言葉もありましたが、プレーに支障はなかった?
「そうですね。大きな問題はありませんでした。プレーできる範囲でしたし、メディカルスタッフなど色々な方が自分のために尽くしてくれたおかげで試合に出ることができたので、感謝しています。セットプレーからアシストできて良かったです」
Q:10アシスト目になりました。ファーを狙っていた?
「セットプレーは、ニアに速いボールを狙いつつ、ファーにも誰かが入ってくるイメージを持ちながら練習しています。今回はキックの力が強くなり、ファーに届きましたが、ファーで合わせる準備もしています」
大阪ダービーの流れを継続し、2試合連続のウノゼロ勝ち。決勝点はCKから為田大貴
会心の勝利で勝点3を手にした明治安田J1リーグ第29節・ガンバ大阪戦から中2日、大阪ダービー勝利の余韻に浸る間もなく、セレッソ大阪はアウェイに乗り込み、浦和レッズとの明治安田J1リーグ第33節に臨んだ。ビッグマッチを戦い終えた激闘の爪痕も残る中、コンディション的には難しいマネジメントが迫られた今節だが、小菊昭雄監督は「ダービーの流れを継続」し、先発に変更はなし。ベンチのみ、柴山昌也に代わって鳥海晃司が入った。
攻守に圧巻の内容を見せた大阪ダービーに続いて今節も3-4-2-1の布陣で臨んだセレッソは、守備ではハイプレスとミドルプレスを使い分け、相手に自陣への進入を許さない。レオ セアラ、ルーカス フェルナンデス、北野颯太の1トップ2シャドーから始まる守備で相手をけん制。浦和のビルドアップに制限をかけると、蹴らせたボールはしっかり回収。奪った後は、手数を掛けずに前線へ入れると、8分、今節も3バックの中央で先発した田中駿汰から1本のパスで背後を取った北野颯太にボールが渡り、もう少しで決定機という場面を作る。すると17分、幸先良く先制に成功。進藤亮佑から為田大貴へ対角に出たパスからCKを獲得すると、ルーカス フェルナンデスのキックにファーで合わせたのは為田。手前で進藤が競って潰れたことで、自身はフリーで待ち構えると、「来たボールに逆らわず、基本に忠実に打ちました」と、きっちりミート。逆サイドへ強いボールを蹴り込んだ。準備期間の違いによるコンディションの差は試合が進むにつれて顕著になってくると思われただけに、早い時間帯での先制点は非常に大きかった。
勢いづいたセレッソは、22分にも決定機。相手GKのミスキックをカットしたフェルナンデスが素早く前線のセアラへパスを送ると、セアラは対応に来たDFを交わし、巧みにフィニッシュに持ち込んだが、シュートはGKに防がれた。その後、こぼれ球に反応してマイボールにしようとしたところで相手DFの足が掛かり倒されたように見えたが、主審の笛は鳴らず。PKとはならなかった。惜しくも2点目こそ奪えなかったが、前節に続いて強固な守備の組織を形成し、前半は相手の枠内シュートをゼロに抑えた。
後半は、選手の配置を変えて、前半以上に高い位置を取って押し込んできた浦和に対し、セレッソは全体が下がり、セカンドボールも拾われ、自陣に釘付けにされる時間が続く。ただし、ボールは持たれても守備陣は慌てることなく対応すると、65分に惜しいチャンスを作る。直近は3試合連続で先発起用されている阪田澪哉がアグレッシブなドリブルで右サイドから中へ入っていくと、DFに防がれた後のこぼれ球を奥埜博亮がダイレクトでシュート。際どいコースへ飛んだが、GK西川周作の好守に阻まれ、ゴールとはならなかった。ここから終盤にかけて、より浦和に押し込まれる時間が続くと、82分、85分と自陣左サイドから2度ピンチを招いたが、1度目は、渡邊凌磨のシュートをGKキム ジンヒョンが好セーブで防ぎ、より明確な相手の決定機だった2度目は、クロスから小泉佳穂のシュートを進藤が体を投げ出しブロック。「普段から少しでも防げる確率を上げるポジションを取っているので、その結果」と胸を張った。後半アディショナルタイムでは、途中出場のカピシャーバや山﨑凌吾、奥田勇斗らが右サイドの奥で上手くボールをつないで時間を使い、タイムアップ。大阪ダービーに続く勝利で連勝を達成し、直近4試合は3勝1分で4戦負けなしとなった。
「準備は短い期間だったので大変でしたけど、自分たちがやれることをグラウンドで見せて、勝利に結びつけられたことは良かった」と決勝アシストを決めたフェルナンデスが振り返ったように、今節に向けた短い期間の中でやるべきことを整理し、現状のコンディションで出せるベストなパフォーマンスを披露したセレッソ。小菊監督は、戦い方、メンタルを含め、「全員のつながりが強固だったこと」を今節の勝因に挙げた。苦しい時期を経て、「V字回復」(小菊監督)を果たしつつあるチームは、2週間の中断を挟み、次節はホームにジュビロ磐田を迎えて今季2度目の3連勝を目指す。