2025明治安田J1リーグ第6節

2025明治安田J1リーグ

2025.3.15

横浜FC

山田 康太 (27')

山根 永遠 (53')

2

AWAY

FULL TIME

0

1-0

1-0

セレッソ大阪

ニッパツ三ツ沢球技場

6,431

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

横浜FCの守備を崩せず今季初の無得点。2失点に球際と、攻守で課題が残る一戦に

1-1の引き分けに終わった前節の名古屋グランパス戦から中6日。セレッソ大阪は、開幕戦以来となる勝利を目指し、敵地に乗り込み、横浜FCとの明治安田J1リーグ第6節に臨んだ。先発は名古屋戦から1人変更。阪田澪哉に代わり、ラファエル ハットンが左ウイングに入った。

開始早々、サイドでボールを失い、クロスからピンチを招いたセレッソだが、その後はボールを保持し、試合を進めていく。ただし、守備の組織が構築されている横浜FCに対し、ブロックの中にパスを差し込むことができずにいると、15分にはパスがズレたところからカウンターを受けて、17分にはサイドチェンジで揺さぶられた状態でのクロスから、それぞれ横浜FCに決定機も作られた。両シーンともシュートが枠外で事なきを得たが、不安定な立ち上がりとなる。21分にはセレッソも高い位置で奪ってチャンス。この試合も1トップで先発した中島元彦が収めてラストパスを送ると、左サイドから中に入ってきたハットンが受けるも、トラップが決まらず、シュートは打てず。前半は開始から攻守で横浜FCの前向きな矢印を受けて後手に回ると、27分に失点。相手のスローインから自陣左サイドの深い位置で櫻川ソロモンにキープされると、対応した髙橋仁胡と喜田陽が止めることができず、ターンを許し、そこから上がったクロスに中で山田康太に決められた。失点後も反撃のギアが上がらずにいたセレッソだったが、34分、この試合、最初の決定機。ルーカス フェルナンデスのFKをニアで中島が逸らし、ファーで田中駿汰が足に当てたが、ボールはわずかにポストの横に外れた。前半はこのままセレッソが1点ビハインドで折り返した。

後半開始からアーサー パパス監督は2枚替え。フェルナンデスと喜田に代えて、阪田とヴィトール ブエノを投入する。この交代により中盤の形が変化。田中をアンカーに、北野とブエノがインサイドハーフに並ぶ4-3-3になった。ボールを受ける起点が増えたことで、全体の距離感も良くなり、セレッソがより高い位置で相手を押し込むことに成功する。失ってもすぐにカウンタープレスでボールを奪い、敵陣でサッカーを進めていく。このまま同点まで持ち込みたいところだったが、53分に2失点目。敵陣でボールを失い、そこから素早くサイドを変えられると、福森晃斗の鋭いクロスをGKキム ジンヒョンが弾き切れず、こぼれたボールを山根永遠に決められた。反撃のリズムが出始めたところで喫した痛恨の失点だった。ここからは自陣で守備ブロックを構える横浜FCに対し、セレッソがよりボールを握り、細かくパスをつないで進入を試みる。56分、田中のパスをブエノがスルー、ゴール前で受けた北野颯太が反転して左足を振り抜いたが、わずかにクロスバーを越えた。63分には、畠中槙之輔のパスを受けた北野がさらに前方の中島へパス。前節のように縦パス2本で相手を崩したが、中島のシュートはGKに止められた。その後、登里享平、奥田勇斗、チアゴ アンドラーデを投入し、両サイドからの仕掛けでテコ入れを図ったパパス監督だったが、状況を変えることはできない。2点のリードでブロックの位置を落としてきた横浜FCに対し、セレッソがボールを持つ時間こそ続いたが、相手の守備を崩せないまま時間が経過する。90分、途中出場の横浜FC・伊藤翔にネットを揺らされたが、ここはオフサイドに救われて3失点目とはならず。ただし、セレッソも今節は最後まで好機を作ることができず、タイムアップ。今シーズン初の無得点に終わった。

「球際の部分もそうですし、戦う姿勢をもっと見せないといけなかった。そこがベースになかった時点で、今日は負けるべくして負けた」と試合後は中島が反省の弁を述べれば、「嵌めてくる相手に対し、足元ばかりになった。背後へのランニングなど、もっとシンプルに相手の嫌がることをやる必要があった。相手は守りやすかったと思います」と田中はボール運びの課題に言及した。セレッソにとっては、攻撃、守備、球際。様々な面で課題が残った一戦になったが、「必ず修正して、改善します」とアーサー パパス監督は力強く語った。JリーグYBCルヴァンカップを挟み、ホームで迎える次節・浦和レッズ戦までにチーム全体で危機感を共有し、立て直しを図りたい。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「負けて悔しい気持ちですが、横浜FCさんには『おめでとう』という気持ちを伝えたいです。自分たちが作りたかった形、前半から押し込んでボールを動かしたかったのですが、勇気が足りなかったと思います。1失点目は、相手1人に対して2人が一気に交わされて失点。戦術どうこうより、個々の力が不足していたと思います。後半に関しては、交代で2人を起用して、流れがこちらに来るかな、と思ったところで、相手のクロスをこぼしてしまい、失点しました。ここで失点したことで、相手は守備を固めてきました。ブロックの守備を得意としているチームですが、何とかこじ開けないといけなかったと痛感しています」

Q:今日の前半は、第2節・湘南戦の前半に近い展開と言いますか、ボールを前に運べず、相手の前向きな攻守に押し込まれてしまった。冒頭で、「勇気が足りなかった」という言葉もありましたが、特に前半、足りなかったと思われることは?
「まずは簡単にボールを失い過ぎたこと。ボールを動かすためには、パスを付ける場所、付ける足、そこでターンすることが必要ですが、今日の前半はボールをキープしても前に進めることができませんでした。全て私の責任です。どうサッカーを進めるか、という部分で、自分で思っていることもありますが、それをうまく試合の中で表現できませんでした。相手が引いたところで動かしても、相手にとっては甘い蜜を吸っている感じになります。今日は相手のブロックの外側で回すだけで、中に入っていくこと、スペースにボールを送ることができませんでした。なので、そこも含めて交代を決断しました。もっともっと高い位置にボールを出せたら、と思いました。ただ、責任は自分にあります。必ず修正して、改善します」

Q:開幕戦で勝利して以降、5試合勝利がない状況について
「こういった状況でシーズンが始まりましたが、前節の名古屋戦は自分たちのサッカーを表現できましたし、そういったサッカーを続けていく中で、どれだけボックス内にボールを送っていくか、攻撃するか、それをもっともっと要求したいですし、そこの質を上げていきたいです。また、湘南や横浜FCのような守備の強固な相手に対して、自分たちの戦う姿勢、デュエルやセカンドボール、球際など、サッカー以上のところももっと必要となってきます。そこは求めていかないといけません。開幕戦は良い形で勝ちましたが、私自身はそこまで高揚しておらず、その後もクラブとしっかり話し合っています。長いシーズン、そのまま行くことは絶対にありません。変えていかないといけないことはクラブとも話し合って、伝えています。ここから山あり、谷ありだと思いますが、壁にぶつかることはあります。そことどう向き合うか、ここからどう立ち向かっていくか。リーグ戦は38試合ある中で、まだ6試合を終えたばかりです。この状況からどう這い上がっていくか、どう進めていくか、それはクラブとも協議していきたいと思います」

選手コメント

■田中 駿汰選手

Q:試合開始から思うような展開にできなかったが、そうなった要因をどう考えますか?
「前半から相手にとって楽な攻撃というか、相手は守りやすかったと思います。やっていて感じたことは、相手にとってもっと嫌なことをしていかないといけない、ということ。ゴールキックに対して(相手が)前から嵌めてきた中で、足元ばかりになったので。背後にランニングして、ランニングした選手をもっと簡単に使うとか、もっとシンプルに相手の嫌がることをやることで、相手もズレて、得点も生まれます。今日は、前半は特に、背後にもっと走ることが必要だと思いました」

Q:相手のプレスに嵌められた第2節・湘南戦にも近い印象を受けました。
「そうですね。自分たちには前に強くて大きい選手がいるわけではないので、逃げ道として、『何とか収めてくれ』というボールを出しても、やっぱり相手のCBに潰されてしまう。そうなると、機動力というか、ウィングのところ(が逃げ道になる)。ルーカス(フェルナンデス)や、今日はハットンでしたけど、そういう選手が裏、背後を狙うことで、足元、間も空いてくる。今日は相手のストロングで戦ったというか、自分たちの得意なところで戦えなかった。相手からしたら潰すだけだったと思います。そこは反省というか、もっと試合の中で対応していかないといけなかったと思います」

Q:内容的にも厳しい試合になりましたが、ここで下を向いているわけにはいきません。ルヴァンカップも挟みますが、次節に向けてどうチーム全体で立て直していきますか?
「修正すべきところはいっぱいあるので、もっとみんなで本気になって取り組まないといけない。やっていることを変えずにやることも大事ですし、臨機応変に対応して、変化もさせていかないといけない。相手も対策してくる中で、自分たちがどうサッカーをしていくのか。方向性を変えずにやるところと、自分たちの中で変えていかないといけないところもあると思います」

■ラファエル ハットン選手

Q:左ウイングでの先発は初めてでしたが、プレーした感想は?
「自分自身、ポジションに関しては特に問題なくできたと思います。ただ、自分も含めてチーム全体のパフォーマンスは良くなかった。チームとしてやるべきことはハッキリしているので、それに対して勇敢に、自信をもってやることが大切だと思います」

Q:チャンスを作り切れなかった要因はどう考えますか?
「先ほども言いましたが、チームとしてやることはハッキリしています。どう攻撃するか、どう守備をするか、それは分かっている中で、それを実行する勇気を持てなかったことが、チャンスを作れなかった要因だと思います」

■北野 颯太選手

Q:特に前半はボールを前に進めることができなかったが?
「相手の5バックをどう崩していくか、それが課題になりました。映像で見直して、またチームで振り返りたい。もう少し上手くやれたと思うので、それは次につなげるしかないです」

Q:前半は特にそうでしたが、中間ポジションで受けようとしても、相手にマークに付かれて前を向けず、そうなると、チーム全体としても止まったパスが多くなった印象です。中盤の立ち位置を変えることも必要でしたか?
「重過ぎたかなとは、試合中から感じていました。立ち位置のところもそうですし、前半は僕が孤立していたので、自分のポジションも含めて、見直さないといけないことは多い試合になったと思います」

Q:相手は守備に人数を掛けてくることも想定された中で、実際に対戦して、難しさもありましたか?
「前半は、まず球際のところで負けてしまうシーンが多かったです。セカンドボールを回収できないシーンも多かった。相手はホームですし、そこから勢いをもって試合を進めてきた。そこをまずは反省しないといけない。もっと全員で厳しくやっていかないといけないと思います」

■中島 元彦選手

「球際の部分もそうですし、戦う姿勢をもっと見せないといけなかった。そこがベースになかった時点で、今日はもう負けるべくして負けたのかなと思います」

Q:前半はなかなか前にボールを運べない展開が続いた中で、どう打開しようかと考えていましたか?引いてボールを受けることも多かった?
「相手に5バックでガッチリ構えられて、後ろに相手のディフェンスの人数が揃っている中で、自分たちの攻撃の枚数が全然足りなかった。まずボールが前に入ってこないと前進できないので、自分がスペースに降りて、ボールを引き出そうとしたんですけど、なかなか上手くいきませんでした。前半はチャンスらしいチャンスもなかった。いろいろ試してはみたんですけど、全体的に5バックに対する攻撃の仕方をもう少し考えるべきだったと思います」

Q:後半、ブエノ選手が入って形を変えたことで、前につながるようになったと思うのですが、得点をするために何が足りなかったのか、中島選手として思うことは?
「前半から自分が頂点にいる中で、もう少し裏のスペースを狙う動きを増やさないといけなかった。足元、足元のプレーになり過ぎて、相手の最終ラインが高い位置を保てていた。前向きの守備をさせる形になっていたので、もっと前後に揺さぶる動きが必要だったと思います。それを自分がすれば良かったと思ったので、次の試合に生かしていきたいです」

Q:総じて、先ほど話されていた「戦う姿勢」が最終的には重要になってくる?
「そこがまずベースとして欠けていたのが事実ですし、自分も含めて練習からもっと厳しくやっていかないといけません。戦う姿勢、根本的なところをチームとして変えていかないと、このままだと非常に厳しい結果になってしまう。この状況が続いてしまう可能性が高いと思いので、自分を含めてチーム全体で変わっていけたらと思います」

■登里 享平選手

Q:前節復帰して、今節が2試合目になりました。現在の状態は?
「もっともっとコンディションを上げていかないといけないと思います」

Q:入った時間帯は2点差が付いて、相手も守備を固める難しい状況だったと思いますが、どう立て直そうとプレーされましたか?
「前半、0-1ならまだポジティブだと捉えて、しっかり後半に巻き返していこうというタイミングで失点してしまったので、そこはチームとして課題になりました。外から見ていても、相手のウイングバックとのズレが埋まっていなかった。中に入るのか、外に張ってウイングバックを引き出しながら、相手の3CBのギャップを突いていくのか。そこを何とかしたいという思いで入って、相手の3CBを動かして、スペースを突いていくイメージはしていたのですが、パスがズレたり、仕留め切れなかったので、そこが課題かなと思います」

Q:外から見ている時間が長かったと思うが、実際にピッチに入って、勝てていない現状をどう考えていますか?
「立ち位置や攻撃のやり方、手数は監督やコーチが示してくれています。その中で判断するのは選手なので、自分もそうですし、もっと相手ありきで考えないといけない部分もあります。練習から相手を見て、相手を動かす部分や駆け引きは、もっと詰めていきたいです。あとは、基本的な戦うこと、メンタルの部分はもっともっとエネルギッシュにやらないといけない。練習での取り組みからしっかりやっていきたいです」

Q:前節、達成したJ1リーグ通算300試合という数字については?
「1試合1試合を積み重ねてきた結果です。もちろん、フロンターレでのキャリアが長くて、そこでの300試合は自分にとって誇れるモノですし、自信になります。フロンターレという良いクラブで長年過ごせたことは感謝でしかないですし、こうしてまたセレッソとも縁があってプレーできているので、しっかりチームに還元していきたいです」