2025明治安田J1リーグ第8節

2025明治安田J1リーグ

2025.4.2

セレッソ大阪

チアゴ アンドラーデ (3')

ラファエル ハットン (45+3')

2

HOME

FULL TIME

1

2-1

0-0

ファジアーノ岡山

佐藤 龍之介 (44')

ヨドコウ桜スタジアム

17,141

ヤンマー #Football is our engine サポーティングマッチ

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

待望の今シーズン、ホーム初勝利。ブラジル人トリオの躍動に、守備でも粘り強く戦う


悔しい引き分けに終わった前節の浦和レッズ戦から中4日。今シーズンのホーム初勝利、新体制でのホーム初勝利を目指して臨んだ明治安田J1第8節・ファジアーノ岡山戦。セレッソ大阪の先発は前節と同じ11人。前節、負傷交代したチアゴ アンドラーデも名を連ね、3月27日に浦和から期限付き移籍で加入した本間至恩が初めてメンバーに入った。

開始3分、相手CKをクリアした後のセカンドボールをラファエル ハットンが猛烈なプレスでカットすると、こぼれ球を拾ったチアゴ アンドラーデがハーフウェーライン付近から独走。そのまま持ち込み、岡山のGKスベンド ブローダーセンのニアを撃ち抜きゴール。前節と同様、ブラジル人コンビによる電光石火の先制点を奪った。直後、相手のロングボールから岡山の1トップ・ルカオに収められ、際どいコースにシュートを打たれたが、前節に続いて先発した守護神・福井光輝が好セーブで失点は防いだ。ここからはセレッソが試合をコントールしつつ2点目を狙う。19分、CKのセカンドボールをルーカス フェルナンデスがシュート。強烈な弾道だったが、GKの正面に飛んだ。21分にもチャンス。奥田勇斗がチアゴを走らせる裏へのボールを蹴ると、チアゴのトラップは乱れたが、ここから素早く切り替えて、高い位置で奪ってショートカウンター。最後は中島元彦のパスを受けた北野颯太がシュートも惜しくも枠を外れた。24分には奥田が足を滑らせてトラップをミス。ボールを失い、岡山の決定的な形になりかけたが、畠中槙之輔が猛然とスライディングでブロック。ルカオのシュートを未然に防ぐビッグプレーだった。畠中は38分にも素晴らしい戻りでピンチをしのいだが、このプレーで右足を痛めて交代。今節がJ1通算100試合目となった西尾隆矢が入った。直後のピンチで好カバーを見せるなど、西尾の試合への入りも良かったが、44分に失点。ピッチ中央でルカオに収められると、自陣右サイドに展開され、岡山の左ウィングバックのクロスに逆サイドのウィングバック佐藤龍之介に合わせられ、同点に追い付かれた。ただし、前半はこのまま終わらない。アディショナルタイム、中島、奥田、ルーカスとつなぎ、ルーカスが相手の背後を取ると、敵陣ペナルティーエリアのすぐ外でFKを獲得。ここで機転を利かせたのがルーカスとハットン。「相手のポジショニングを見たら、PKマークのあたりにスペースがあるなと思い、ハットンに目で合図をしました」(ルーカス)、「FKになった瞬間、みんなが中に入って、相手も付いて行ったので、手前には大きなスペースが空いていると気付きました。ルーカスに指で示して、『ここに出してくれ』と伝えました」(ハットン)。互いの意思疎通がピタリと合い、ルーカスのマイナスのパスにハットンが合わせてネットを揺らした。

1点リードで迎えた後半は、岡山が攻守に前がかりの姿勢を強めてきたが、53分、セレッソがその矢印を裏返す形で決定機。進藤亮佑のロングパスから抜け出したルーカスが競り勝ち、中へクロスを上げると、走り込んだハットンが相手CBに倒されたが、笛はならず。PKかと思われたシーンだったが、VARの介入もなく、追加点とはならなかった。ここからは互いに選手交代も行いつつ、一進一退の攻防が展開される。セレッソはサイドから何度かピンチを招いた一方、北野やルーカスを中心にカウンターで好機を作る。83分には決定機。この試合でも抜群のキレを見せた北野がドリブルで運び、田中駿汰のパスを受けたルーカスが中へクロス。ハットンが合わせて枠内へ飛ばしたが、GKブローダーセンの好守に阻まれた。直後の84分、アーサー パパス監督は2人替え。登里享平とハットンに代えて、髙橋仁胡と香川真司を投入。このタイミングで田中を3バックの中央に下げて北野をワントップに上げる[5-4-1]にシステムを変更。試合の前日会見で「最後の締め方は今節に向けて選手たちとも話し合いました」と語っていた指揮官だが、まずは目に見える形で修正を施し試合を締めにかかった。ただし、88分にアクシデント発生。相手のクロスに対し、GK福井と進藤が頭同士で激突。特に福井はそのまま起き上がれず、脳振盪による交代でピッチを後にした。キム ジンヒョンが入り、改めて試合を締めにかかったセレッソだが、90+6分、岡山のパワープレーから失点。第5節・名古屋グランパス戦、前節・浦和戦に続き、土壇場での同点ゴールに「またか」の思いもよぎったが、得点に至るプレーで岡山にオフサイドがあり、得点が取り消しに。胸をなでおろすと、このまま2-1で試合は終了。苦しみながらも待望の今シーズンのホーム初勝利、新体制でのホーム初勝利を掴んだ。

前半途中で交代した畠中も勝利の瞬間を見届け、「ピッチに立っていた選手たちが最後まで戦い続けてくれたからこその勝利」と仲間を称えた。「(福井)光輝くんも体を張って守ってくれたので、最後は光輝くんのためにも、という思いでやっていました」とは北野。試合後の周回では、西尾が福井のユニフォームを掲げた。キャプテンの田中は、「みんなよく走って、球際もファイトしていた。こういう戦いを続けていくことが大事」と今後を見据えた。ようやく手にした待望のホーム初勝利だが、まだ2勝目。次節は、近年勝てていないサンフレッチェ広島とのアウェイ戦。「プライドのぶつかり合い。いい準備をして臨みたい」(北野)。中3日でしっかりと回復に務め、今季初の連勝を目指して広島に乗り込む。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「良い入りができました。ボールをしっかり保持して動かすことに関しては、今日は満足できない部分もありましたが、前半の終盤にかけて少しずつ良くなったと思います。失点してからも責任感を持ってプレーしたことも良かったです。後半のスタートも良かったと思います。その後は岡山さんもどんどんボックスにボールを送り込んできました。自分たちにプレッシャーもかかった中で、メンタル的に乗り越える必要がありました。前節は同じような状況でいい終わり方ができなかったのですが、一つ一つ乗り越えて、いい判断ができるようになってきたのかなと思います。強い相手に対して勝ち切れたことは良かったと思います」

Q:苦しんで掴んだホーム初勝利ですが、試合終了後の気持ちと、選手たちにはどのような声を掛けましたか?
「ホームではこのような終わり方の試合が続き、『6週間でどれだけ歳を取らせるんだ』という話をしました(笑)。でも、それもサッカーを表していると思います。人生と一緒で、困難を乗り越えていくためには必要なことです。チームは一貫性を持ってやれていると思いますし、困難を乗り越えて強くなっている実感はあります。最終的には運もありましたが、良い形で終われて良かったです」

Q:今節を迎える前、「試合の締め方を選手たちと話した」と仰っていました。奇しくも今節も前節と同じような形で終盤を迎えましたが、あの時間帯で最も大事にしていたこと、どういう考えで試合を締めようと試みましたか?
「まず言えることは、どんなシステムで対応しようと、どういう形で守ろうと、試合の終盤には、どの相手にもボックス内に強い選手がいます。自分たちが目指すフットボールを考えると、簡単に相手にボールを渡さなければいい、という思いもあります。失点しないことも大事ですが、自分たちがボールを動かすことで、スペースも出てくると思います。しっかり保持できないと、簡単に取られたら、相手はボールを入れてきます。岡山さんはそういうスタイルのフットボールをやってくるチームです。もちろん、リスペクトの気持ちもあります。自分たちがやっていきたいフットボールを体現し続けるためには、もっともっとやっていかないといけないと感じています」

Q:常に声援を送ってくれたサポーターの前で、ホーム初勝利を届けました。勝利を待ち望んでいたサポーターにメッセージをお願いします。
「いつも声援を送ってくれて、アメージングなサポーターです。私も他のクラブで仕事をしてきました。日本の全てのクラブのサポーターが素晴らしいですが、セレッソのサポーターはその中でも特別です。もちろん勝利は大事ですが、どんな形で終わっても、プレーして戦った選手たちにしっかりと声援を送ってくれます。そうしたサポーターを喜ばせる状況を作っていくことを、もっと継続していきたい気持ちです」

選手コメント

■ラファエル ハットン選手

Q:ホーム初勝利を掴んだ気持ちについて。
「ここまで練習でも試合でもハードワークしてきて、勝ちに価する試合でも勝ち切れなかった。チームは苦しい状況にありました。監督を含め、スタッフも結果が付いてこない苦しさはあったと思いますが、今日はやってきたことが実ったので嬉しく思います。自分もゴールという形で勝利に関わることができて、言葉では表せられないぐらい嬉しいです」

Q:決勝点になった得点場面を振り返ると?ルーカス フェルナンデス選手は、「あの場で閃いて、アイコンタクトをした」と話していたが?
「そうですね(笑)。FKになった瞬間、みんなが中に入って、相手も付いて行ったので、手前には大きなスペースが空いていると気付きました。ルーカスに指で示して、『ここに出してくれ』と伝えました。ルーカスもそのスペースが見えていたと思います。あとは、とにかくふかさないように蹴り込みました。入って良かったです」

Q:オフサイドで取り消されましたが、最後の場面はベンチからどのような思いで見ていましたか?
「祈るような気持ちで見ていました。さっきの話にもつながりますが、1週間、準備して、ハードワークして、いい入りをして点は取りながら追いつかれる、そういう試合が多かったので、『またか』という思いでしたが、ホッとしています」

Q:激しい試合をモノにしました。この1勝をどうつなげていきたい?
「Jリーグは簡単な試合がないことを肌で感じています。全ての試合がアグレッシブで、本当に競争力が高いリーグです。ただ、自分が好むような試合です。コンタクトがあって激しい試合は自分の好みです。難しい試合が続きますが、一つでも多く勝って、できるだけ高い順位に上げたいです」

■ルーカス フェルナンデス選手

Q:先制して追い付かれて、突き放して、最後はヒヤリとしました。色々なことがあって掴んだホーム初勝利です。試合が終わった瞬間の思いは?
「重要な勝利になりました。我々のサポーターの前でようやく勝てました。今日も含めて、勝つことはこんなに難しいのかと。最後まで我慢強く戦えました。すごく大事な勝利になりました。最後はVARに救われた試合になりましたが、トータルで見て、チームは良い方向に進んでいます」

Q:決勝点になったFKについて。マイナスのパスをハットン選手に送ったのは、あの場で閃いたのか、準備していたのか。
「あの瞬間の閃きです。相手のポジショニングを見たら、PKマークのあたりにスペースがあるなと思い、ハットンに目で合図をしました。ハットンもそれを理解してくれて、上手くいきました。お互いの意思疎通ができたゴールになりました」

Q:後半の途中からは左ウィングでもプレーし、再三、チャンスを作っていました。
「監督が必要とするポジションで、常に出られる準備はしています。右であれ左であれ、ピッチでプレーし続ける、チームに貢献できることは嬉しいです。これからも監督が必要とするのであれば、右でも左でも準備したいです」

■北野 颯太選手

Q:勝ち切れた要因をどう振り返りますか?
「最後まで全員が集中して戦えたことが一番だと思います。ここ数試合、なかなか追加点が取れず、同点に追い付かれる試合も多かった中で、今日は全員が勝ち切る意識はありました。(福井)光輝くんも体を張って守ってくれたので、最後は光輝くんのためにも、という思いでやっていたと思います。VARで確認になった時は内心祈る気持ちでした(笑)」

Q:試合終了の笛が鳴った瞬間はピッチに倒れ込みましたが、あの瞬間の思いは?
「(ホームで勝つまで)長かったなー、と思いながら、自分自身に対する悔しさもありながら。ただ、今日はサポーターの皆さんとホームで分かち合えた喜びが一番大きかったです」

Q:ここまで全試合で先発し、フル出場も多いですが、ケガ明けの昨シーズンと比べて、どのあたりに成長を感じますか?
「今年になって90分出ることが増えて、強度や試合のリズム、そういうものに慣れてきたかなと思います。最初は90分出たらヘトヘトでしたけど、何試合も続けているうちに、慣れてきました」

Q:中島選手と中盤で組んでいるここ2試合について。前後で動く場面もあったが?
「相手がマンツーマン気味で付いてきていた中で、なかなか一人ではがすのは難しいので、連動して動いて、空いたスペースにどっちかが入ろう、ということは試合中に話し合っていました。もう少しうまくやれたと思いますが、試合の中で改善できていることはポジティブです。僕は周りをうまく使いながら、というタイプなので、ハットンが前で起点になって収めてくれることも大きいですし、今の形にやりやすさもあります」

Q:次節のアウェイ、サンフレッチェ広島戦へ向けて。
「強敵ですし、今日は鹿島に勝っているので勢いはあると思いますが、プライドのぶつかり合いです。いい準備をして臨みたいです」

■中島 元彦選手

Q:もちろん、チームや状況は違いますが、昨シーズンのJ1昇格プレーオフ決勝で敗れた相手に勝利した気持ちは?
「そうですね、J1昇格プレーオフ決勝で負けた時は本当に悔しかったので、とりあえずリベンジできたなと思います。最後はオフサイドで助かりましたが、(ゲストの)ローランドさんの覇気でオフサイドになったんじゃないかなと思います(笑)」

■田中 駿汰選手

Q:最後は田中選手が中央に入る3バック、5バックで締める形になったが?
「シンくん(畠中槙之輔)が交代していたから、僕が真ん中の5バックになったと思います。そのままシンくんが残っていたら、僕が下がらない5バックになっていたと思います」

Q:後ろを5枚で逃げ切るパターンも想定していた?
「特別、練習でやったわけではないですが、前節・浦和戦後に(パパス監督と)話をして、(こういう選択肢もあるのではと)伝えたりはしていたので、そこを汲み取ってくれたボス(パパス監督)の判断でした。最終的に判断を下すのはボスなので、僕らとしては、4枚のままでも5枚になっても、ボスの指示に従ってプレーすることが大事です」

Q:苦しみながら手にしたホーム初勝利について。
「岡山さんも強かったですし、球際も戦えていいチームでした。自分たちとしては苦手としている3バックの相手でしたが、みんなよく走って、球際もファイトしていました。こういう戦いを続けていくことが大事ですし、この勝ちを大きなモノにしていきたいです」

■畠中 槙之輔選手

Q:交代前の守備で魂を感じました。チーム全体に、「今日は勝つ」という士気を注入したプレーになったのかなと思いました。
「ディフェンスはゴールを割らせないためには体を張ることが大事です。僕は途中で交代してしまったんですけど、ピッチに立っていた選手たちが最後まで戦い続けてくれたからこその勝利だと思うので、チームで勝ち取ったセレッソの勝利だと思います」

Q:今日は内容的には岡山のゲームだったかも知れないですが、泥臭くても勝つことが大切ですね。
「そうですね。どういう内容であれ、勝つことが大事です。今日は最後、オフサイドで相手の得点が取り消しになりましたが、逆に言えば、しっかりラインも整っていたからこそ、オフサイドになったと思います。自分たちとしては、ラッキーというよりも、やることをやって、しっかり防いだ失点だと思います」

Q:ケガのところは大丈夫でしょうか?
「大丈夫だと…思います!」

■香川 真司選手

Q:今日は締め方に失敗できない中で、香川選手が入った状況は、逃げ切る感じでしたか?
「そうですね、より守備にフォーカスしながら。時間帯も時間帯だったので。ホームでは、ここ2試合、終盤に失点して引き分けている中で、繰り返してはならないと選手も、ファン・サポーターも感じていたと思います。最後はオフサイドで助けられた部分もありましたが、一つ流れを断ち切れたことは大きいと思います」

Q:交代で入る前は、パパス監督から指示も受けていました。「コンパクトに、コンパクトに」という感じだったと思いますが、意思統一のような話でしたか?
「そうですね。5バックはそこまで練習しているわけでもないし、慣れているわけでもないので、より細かいポジショニングをピッチの中で話し合いながらやっていました。細かいディテールにこだわりながらやることを意識して入りました」

Q:苦しみながらでしたが、やはり勝つことでチームは成長していく?
「勝つのはこれだけ大変、ということはチームとしても痛感しているし、同時に自分たちはもっと成長しないといけない。久しぶりの勝利は大きな一勝ですし、流れを食い止めれたことは大きいと思います」

Q:入場の時、ミャンマー・タイで発生した地震の被災者に向けての支援、「BE STRONG」のメッセージが書かれたTシャツを着用していました。香川選手を中心に選手主導で行ったと伺ったが、どういった思いから?
「映像でも流れているように、大きな震災でミャンマー、タイの人たちが被害を受けています。僕も欧州にいた時、東日本大震災があって、欧州のチームがどれだけ日本に支援して、勇気付けてくれたか、僕自身も痛感しました。何よりそれがサッカーの一つの素晴らしさ。Jリーグでも当然、示していかないといけないし、やっていかないといけない。災害に対しては、みんなで支え合うこと、助け合うこと。サッカーを通してアスリートが連帯感や一体感を示していける文化に日本もJリーグもなっていかないといけない。微力かも知れないですが、行動に起こすことが大事だと思いました。1日でも早く彼らが復興できるようにサポートしていきたい。チームメートにもタイ人のテー(ジャルンサック ウォンコーン)がいるので、僕たちが示すことが大事だと思います」