第9節
2025明治安田J1リーグ
2025.4.6日
サンフレッチェ広島
新井 直人 (18')
荒木 隼人 (86')
2
AWAY
FULL TIME
1
エディオンピースウイング広島
1-1
1-0
セレッソ大阪
ルーカス フェルナンデス (15')
エディオンピースウイング広島
25,324人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■アーサー パパス監督
「広島さんが勝利に価する試合をしたと思います。自分たちも前半はとても良い戦い方ができていました。ただし、追加点を取れないと難しい試合になります。チャンスは作れていたので。後半、何人か選手を交代しましたが、広島さんのベンチにも良い選手が残っていた中で、自分たちは低い位置で相手にボールを与え過ぎたと思います。その結果、ロングボールに耐え切れずに失点しまったという形でした」
Q:敗れたとは言え、前半は素晴らしいビルドアップ、チャンスメイクで決定機も多かったので、勝点1でも持って帰りたいゲームでした。今シーズンのここまでを振り返ると、6試合で先制しながら2勝2分2敗です。毎試合、終盤に押し込まれる展開が続いていますが、90分トータルでのゲームマネジメントについて、どのように考えていますか?
「最後の最後、押し込まれたところでどのような処理ができるか(が課題)。そこに尽きると思っています。また、前半にチャンスを作っていた中で、決め切れないシーンもありました。広島さんは最後に決め切る力があって、ここ数シーズンは常に上位で終わっています。セレッソも上位に入るためには最後の最後のメンタリティーを強化していく必要があります。勝ち切れるチームになるためには色んな要素が必要で、強化していかないといけないと痛感しています」
Q:最後の交代策について。ヴィトール ブエノ選手、喜田陽選手を投入して中島元彦選手を1トップに上げました。守備にも気を配りながら、2点目を狙いにいったと思いますが、狙いについて
「直近の公式戦4試合、ほぼ変わらないスタメンを使っています。誰が出ても形が変わらないチームを作りたいと思っていますし、交代で入る選手がしっかりインパクトを残して欲しい思いもあります。試合を通して最後まで同じ選手がプレーすることは難しいので、途中で入る選手も違いを出せる選手になって欲しいと思っています」
Q:ロングボールの対策について
「毎回、そういったシチュエーションの練習はしています。現状、今日のメンバーを見てもらっても分かるように、CBの控えがいませんでした。ディフェンスの選手としてはSBが一人いた状態です。でも、どんな選手が最後に出ていても、どんな状況であっても、最後の最後まで跳ね返す、守り切ることが必要です。最後までしっかりプレーすることを選手たちには求めていきたいです」
選手コメント
■ルーカス フェルナンデス選手
Q:悔しい結果になったが、どう振り返りますか?
「もっと良い結果を得られたと思うし、それに価する試合はしていたと思います。特に前半は自分たちが圧倒的に支配していたので、勝てた試合だと思っています。こういう結果になってしまったことは残念に思います。ただ、後半は前半に使えていたスペースが使えなくなり、自分たちが思うような攻撃はできませんでした。最後のロングスローからの失点は悔やまれます」
Q:前半は今季ベストとも言える内容を示したと思うが、今後につなげていきたいことは?
「言ってもらった通り、前半はかなり良かったと思いますが、2点目を取れるチャンスもあったので、そこでしっかり仕留めること。それと、守備のところでは、もっと強く行くところは強く行かないといけない。カード覚悟で奪いに行くことも時には必要でしょうし、もっともっと競争心を持って戦う必要があります」
■北野 颯太選手
Q:前半は素晴らしいパスワークもあり、先制点も良い崩しだったが?
「立ち上がりから自分たちのサッカーをすることを最近は特に意識している中で、今日も先制点は良い形で取れました。チアゴ(アンドラーデ)の個の力はチームみんなが理解していますし、チアゴのドリブルに対して僕もいいオーバーラップができて、中に入ってくるルーカス(フェルナンデス)も見えたので、チームとして崩せたゴールだと思います」
Q:すぐに追い付かれた中で、前半の内に勝ち越すチャンスもあったが?
「追い付かれてもチームとしては慌てることなくプレーできました。追加点の所は僕が一番責任を感じているので、自分に矢印を向けてやるしかないと思います」
Q:守勢に回った後半については?
「自分たちが受ける形になることが多かった。その中で耐え抜く力もそうですし、奪ったボールをもっと大事にして、自分たちのペースに持っていくことも重要かなと思います」
Q:試合の進め方、締め方は引き続き、課題として残ったが?
「攻撃の選手からすれば、追加点は間違いなく必要ですし、もちろん失点するつもりはないですけど、例え失点したとしてもそれ以上に得点を取りたいと個人的には思っています。ただ、前節の岡山戦のように、追加点を取れなくてもリードを守り抜く力も付けないといけないと思っています」
Q:攻撃のスタイル、浸透度は試合ごとに増している印象だが?
「良いサッカーはできていると思うので、だからこそ、勝利につなげたかった思いが強いです。(次節の鹿島戦へ向けて)今のセレッソなら鹿島にも勝てる力はあると思っていますし、個人的にはゴールでチームを勝たせたいです」
■奥田 勇斗選手
Q:前後半で流れが変わった試合になりましたが、前半はビルドアップも含めて素晴らしい攻撃が数多くありました。
「相手の後ろ5枚に対して自分たちがどうビルドアップして攻めていくかを考えた時、自分の所から素早く始めて、相手を釣り出して進めていく狙いがありました。前半は(北野)颯太やもっくん(中島)、(田中)駿汰くんを含めて綺麗に崩せた場面はあったので、そこはポジティブに捉えています。自分も常に彼らを見ています。前半は特にチャンスもあり、速い展開、速い攻撃に広島も付いてこれていなかったので、そこで1点を取り切れたことは良かったです」
Q:前からプレスに来る相手に対して、前半は「足元と背後の使い分け」としては理想的な運び方ができていたと思うが、後半は相手の圧力もかかり、前に運ぶことが難しくなった印象だが、後半については?
「後半の中盤の時間帯、オープンな展開の時にいかに自分たちで保持する時間を増やせるか。なるべく相手陣地でプレーしたいので、サイドで時間を作って3人目とか、人数を掛けて攻撃することも必要になってくると思います。前線3枚の選手が手数を掛けずに攻め切る攻撃も良いですが、しっかり後ろも押し上げて、厚みのある攻撃もできたら良かったと思います」
Q:後半途中で入ってきた選手も含め、そのような意思統一はできていた?
「そうですね。攻撃に関しては、入ってきた選手の個性も生かして攻めることは考えていました。守備も共有して突き詰めていかないといけない。後半の終盤に関しては、自分たちもボールを握ってチャンスもあった中で、ああいうロングスローから失点してしまうのはもったいない。そこは突き詰めていきたいです」
Q:今日の内容で勝点1も取れないことは、割に合わない思いもあります。それだけに、個々の対応も含めて、跳ね返すところは跳ね返さないといけない?
「そうですね。一番、悔しいですね。(失点場面は)詰めて共有しないといけないです。ただ、今日に関しては、全体を通して守備もプレスバックできていたし、前線で圧もかけることができていた。特に前半は良い形で取れていた部分も多かった。全員がハードワークできていたので、後半に関しては攻撃でもう少し厚みをかけて攻める時間を増やしていけたら、もっと自分たちで支配できる時間も作れたと思います」
■キム ジンヒョン選手
Q:直近2試合は福井光輝選手が先発でした。その中で迎えた今節に向けた思いは?
「競争なので、いつでも(違う選手に)代わることもあり得ると思っている中で、自分としても、お互い、いい競争をしながらプレーできればと思ってやっています。(先発から外れた2試合も)また自分に出番が来た時に良い仕事をしようと思っていました。福井選手もモチベーションは高いですし、左利きで上手なプレーができる選手です。福井選手は福井選手で、自分は自分で、お互いにチームのためにできることをやればいいと思っています。自分としては、常に自分と向き合ってやることしかないと思っています」
Q:今節の前半は攻守に素晴らしいゲームでした。今季ベストとも言える内容だったと思うだけに、勝点3、せめて勝点1でも持って帰りたい試合だったが?
「そうですね。みんなハードワークしていましたし、戦っていました。今日だけじゃなくて、常に前を向いて戦えていることは間違いないですが、結果が出ていないことはもっとみんなが自覚してやっていかないといけません。ただ、このまま継続してやっていけば、結果も付いてくると思うし、自信を持ってやり続けていくことが一番大事だと思います」
■本間 至恩選手
Q:セレッソデビューとなったが、プレーした感想は?
「プレー自体は悪くなかったと思います。ただ、みんなが1対1を作ってくれた場面で、何か自分が起こさないといけない。クオリティーを上げて、フィニッシュで終われたら良かったです。ボールロストとかは少なかったので、そこは続けていくこと。あとは、自分が入って、チームを勝たせるところまでできたら良かったです」
Q:自身が仕掛けて中島選手や北野選手のシュートにつなげるシーンもありました。周りとのコンビネーションについては?
「チームに入ったばかりで、まだ長い時間、一緒にプレーはしていないですが、みんな上手いので、やらなくても細かいビジョンはみんな分かっています。監督が求めるサッカーもしっかりしているので、ここからもっと連係も深まっていくと思います」
上位のサンフレッチェ広島相手に攻守に収穫も多かった一戦だが、追加点と試合の締め方に課題を残し、無念の逆転負け
今シーズンのホーム初勝利を手にした前節のファジアーノ岡山戦から中3日。セレッソ大阪は、敵地に乗り込み、今季初の連勝を目指してサンフレッチェ広島との明治安田J1リーグ第9節に臨んだ。先発は前節から2人変更。前節、脳震盪で交代したGK福井光輝はメンバーから外れ、キム ジンヒョンが3試合ぶりにスタメンに復帰。同じく前節に右足を痛めて途中交代した畠中槙之輔に替わり、西尾隆矢がセンターバックの左に入った。
21シーズン以来の広島戦勝利を目指して臨んだ試合は前半、セレッソが主導権を握る。開始1分、左サイドを崩してチアゴ アンドラーデがシュートを放つと、8分にはルーカス フェルナンデスの突破が佐々木翔のイエローカードを誘うなど、前節、結果を出した両ウイングが躍動する。その流れのままに15分、セレッソが先制に成功。キム ジンヒョン、登里享平、中島元彦とパスをつなぎ、中島が軽やかなターンで前を向いてチアゴを縦に走らせるパスを送ると、チアゴがドリブルから中にカットイン。その裏を追い越した北野颯太が縦に運んでクロスを入れると、逆サイドから走り込んだルーカスがダイレクトで合わせた。試合後は敵将のミヒャエル スキッベ監督も「ファンタスティックだった」と唸らせる鮮やかな崩しからネットを揺らした。ただし、3分後、同点に追い付かれる。試合前に田中駿汰も「しっかり潰さないといけない」と警戒していたジャーメイン良にサイドで起点を作られると、折り返しのパスに逆サイドで待ち構えた新井直人に決められた。相手に許した最初のシュートで失点を喫したセレッソだったが、気落ちすることなく攻め続けると、31分には再びGKジンヒョンから田中、北野とテンポよくつないで前進し、北野のパスから右サイドの裏に抜け出したルーカスがドリブルで運んでシュート。ただし、ここはクロスバーに弾かれゴールならず。続く40分にもジンヒョンを起点に奥田勇斗、ルーカス、田中、ラファエル ハットンとつないで中央を崩すと、最後はチアゴがGKとの1対1を迎えたが、日本代表の守護神・大迫敬介に間合いを詰められ、シュートは止められた。この絶好機を逃した1分後にも決定機。奥田を起点に中島のパスを受けた北野がシュートも、わずかに枠を外れた。前半は広島のシュートを2本に抑え、再三、相手ゴールに迫るなど、攻守にセレッソが圧倒したが、スコアはイーブンのまま後半を迎えた。
広島のスキッベ監督は後半から塩谷司と中村草太を投入。各ポジションにテコ入れを図って圧力をかけてきた広島に対し、セレッソは後半の立ち上がりから押し込まれる展開が続く。47分にはロングスローからジャーメインに決定的なヘディングシュートを許したが、クロスバーを越えた。続く48分にも広島に決定機を作られたが、最後のシュートはGKジンヒョンがビッグセーブ。54分のピンチは進藤亮佑が懸命にカバーして事なきを得ると、58分のジャーメインのミドルシュートもジンヒョンが阻止。広島の猛攻を耐えたセレッソは、62分に2枚替え。チアゴとルーカスに代えて柴山昌也と本間至恩を投入。セレッソデビューとなった本間は3分後、早速、見せ場を作る。左サイドで起点を作り、カットインから中へパス。中島のミドルシュートにつなげた。56分に登里に代わって入っていた左サイドバック、髙橋仁胡との連係もスムーズで、左サイドの攻撃を活性化させると、76分にもカットインから北野のシュートを導く。「プレー自体は悪くなかったと思います」と試合後に自身も振り返ったように、今後の活躍にも期待が持てる鮮烈なデビューを飾った。本間の活躍もありセレッソが盛り返すと、後半の中盤から終盤にかけては一進一退の攻防が繰り広げられた中、86分、広島のロングスローから失点。ファーサイドで折り返されると、最後は中央で荒木隼人に押し込まれた。その後は広島にうまく時間を使われ、反撃の機会を封じられると、試合は1-2で終了。前半は今季ベストに近い内容を見せ、後半も序盤以外は決して悪くなかったセレッソにとっては痛恨の逆転負けとなった。
終わってみれば、「追加点と試合の締め方」という今シーズンの課題が今節も浮き彫りになった格好だが、「今日に関しては、全体を通して守備もプレスバックできていたし、前線で圧もかけることができていた。特に前半はいい形でボールを取れていた部分も多かった」と奥田が振り返ったように、全体をコンパクトに保ちながら前からしっかりプレスをかけて、奪ったところから素早く攻撃に転じる機会も多く、前半は特に良い距離感からフィニッシュまで行くシーンも作れていた。課題としては、相手に主導権が渡った後半、「攻撃でもう少し厚みをかけて攻める時間を増やしていけたら、もっと自分たちで支配できた」(奥田)こと。途中で入った選手も含め、攻撃での意思統一が必要だった。もっとも、同点の後半にホームチームが押し込んでくることは当然であり、守備でしっかり跳ね返すことも必要だ。「後半は自分たちが受ける形になることが多かった。その中で耐え抜く力もそうですし、奪ったボールをもっと大事にして、自分たちのペースに持っていくことも重要だった」と振り返ったのは北野。「攻撃の選手からすれば、追加点は間違いなく必要ですし、追加点を取れなくてもリードを守り抜く力も付けないといけない。追加点のところは僕が一番責任を感じているので、自分に矢印を向けてやるしかないと思います」と若きエースは次節・鹿島アントラーズ戦での雪辱を誓った。上位の広島相手に十分にやれた手応えと足りなかった課題を受け止め、チームは次節、ホームで12連敗中の天敵・鹿島撃破を目指す。