第10節
2025明治安田J1リーグ
2025.4.12土
セレッソ大阪
進藤 亮佑 (90+12')
1
HOME
FULL TIME
0
ヨドコウ桜スタジアム
0-0
1-0
鹿島アントラーズ
ヨドコウ桜スタジアム
19,410人
ナカバヤシサポーティングマッチ
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■アーサー パパス監督
「今日の選手たちのパフォーマンスは最高でファンタスティックでした。相手も素晴らしいチームでしたが、自分たちはボールを持っても、持っていなくても、一貫性を持ったサッカーができたと思います。今まで苦しい試合も続きましたが、今日こうした形で終われて嬉しく思います」
Q:VARでの取り消しも含め、5度オフサイドで得点が無効になりました。下を向いてもおかしくない状況の中、前向きに戦い続けた選手たちについて
「難しい状況が何回繰り返されても立ち向かっていく姿勢は素晴らしかったです。苦難を乗り越えることが学びにつながります。乗り越えることができたからこそ、引き分けではなく、勝利で終えることができたと思います」
Q: 「失点しないためには敵陣でプレーを続けること」という話を常々、仰っていますが、まさに今日の試合は試合開始から終了まで、攻撃でも守備でも攻め続けた試合になりました。監督の理想が体現された試合になったのでは?
「自分たちが掲げるアタッキングフットボール、『こういった攻撃、こういった守備がしたい』という思いがプレーにつながって、それを選手たちが体現してくれたと思います。相手は素晴らしいチームでしたが、そうしたチーム相手にもアグレッシブに攻撃、アグレッシブに守備をすること。それを貫くことができました。ホームでの鹿島戦の勝利は15年ぶりということですが、なかなか勝てなかった相手にこうして勝利を収めることができて、嬉しく思います」
Q:今日は狙いを持ってボールを奪うシーンも多かったが、守備について
「チームとしてうまく奪うことができました。ボールをできるだけ長くキープするチームを目指すためには、できるだけ早く奪い返すことが必要です。今日は見て頂いた通り、サポーターの皆さんにとってエキサイティングな試合になったと思います。そういった(攻撃的な)スタイルを掲げて戦っていますし、それを毎試合、体現できるようにやっていきたいと思います。見に来るサポーター、お客さんに喜んで帰って頂きたいと思っています」
Q:試合終盤に香川選手を投入されました。PKになったシーンでも、得点後のシーンでも、香川選手と話をしている様子がありました。興奮状態の中、冷静にアドバイスされていたように見えましたが、どのような言葉を伝えていた?
「(香川)真司はスペシャルな選手です。それは日本にとっても、セレッソにとってもそうです。年齢に関係なく、凄く大事な選手です。試合前、彼と話した内容は、『15年前に鹿島相手に点を取ったのは真司だ』と。そして、『出るからにはしっかりとチームを勝たせて欲しい』と伝えました。15年後、ピッチに立って、勝利に導く活躍をしました。15年経ってもサッカーをし続ける、チームに貢献し続ける香川真司というプレーヤーは、改めて称賛に価する選手だなと思いました」
選手コメント
■進藤 亮佑選手
Q:劇的な決勝点を振り返ると?
「今日はボールが見えていました。オフサイドにはなりましたけど、その前に枠にしっかり入れることもできていたので、良い感覚の日かな、と思っていました」
Q:ゴール後はサポーターに飛び込んでいく様子も見られたが、感情が爆発した?
「最初にネットを揺らした時も喜んだのですが、『次、決めたらもっと行ってやろう』と思っていたので(笑)。競技規則も事前に見たことがあって、そこには、『安全が担保されない状況でのパフォーマンスはダメ』だと。『ユニフォームを脱ぐこと』『帽子を被ること』もダメで、それに当てはまらない範囲で最大限の喜び方を表現しました」
Q:得点後にゴール裏のサポーターと抱き付いたことはありましたか?
「ないと思います。柏の選手とかが、柏のスタジアムでやっているのを見て、凄く良いなと思っていたので、チャンスがあれば自分もやりたいと思っていました。僕らのスタジアムもできるので。危なくない範囲でやりたいと思っていたので、それができて良かったです」
Q:試合を通して鹿島の2トップを抑えて、常に押し込む形を作れていました。得点は最後の最後でしたが、理想的な試合ができたのでは?
「鹿島と対戦する時はいつも苦労していたのですが、今日は今までやってきた鹿島とは状況も違って、出足の鋭さもそれほど感じなかった。(鹿島が)ルヴァンカップで延長、PK戦までやった影響はあったと思います。次、対戦したら同じような鹿島ではないと思うので、今日、勝ったからと言って、鹿島に対するリスペクトは変わりません。今日で歴史は変わりましたけど、次、対戦する時は注意が必要だと思います」
Q:あれだけオフサイドで得点が無効になって、直前にはPK失敗もあって、心が折れてもおかしくなかったですが、PK失敗から最後のCKに向かう時の心境は?
「オフサイドで取り消される度に気持ち的に落ちてしまうことはありましたが、後ろの選手としては、『最悪、無失点で、0-0で終わればいい』ぐらいに思っていたので。ただ、あの瞬間はすぐCKだったので、自分にもチャンスが来るかなと。正直、自分がヒーローになることは考えていなくて、『誰でもいいから決めてくれ!』と思っていたのですが、あの瞬間は集中力高く、ボールに当てることができました」
Q:試合中はレオ セアラ選手ともバチバチやっていましたね。
「レオだけではなく、鈴木優磨選手や三竿健斗選手など、昔から対戦していた選手も多い。ピッチではバチバチやりましたが、試合が終われば友人として色んな話をして、次の対戦でも良いバトルができればいいと思います」
■ルーカス フェルナンデス選手
Q:今日は1ゴールと数アシストが幻になりましたね(笑)
「3アシストですね(笑)。最後の得点も(ゴールの前に相手DFに当たったので)アシストにはならないと思うで、4アシストですかね(苦笑)。仕方ないです」
Q:ただ、最後の最後に自身の蹴ったCKから決勝点が生まれました
「そうですね。その前のプレーで(味方が)PKを失敗し、精神的なダメージはありましたが、まだ時間はあったので、CKに集中しました。勝利に価する試合だったと思うので、最後に決まって良かったです」
Q:最後のCKに向かう瞬間も気持ちは切らさなかった?
「はい。最後の最後まで集中を切らさないことは意識しました。前節はラスト数分で失点しましたが、サッカーではそういうことも起こるので、今度は自分たちが最後の最後まで集中しました」
Q:前節の試合後、「最後に自分たちが決めることもある」と話していましたね。
「そうですね。今日は勝ちたいというチームの気持ちが存分に出ていました。それがラストの得点につながったと思います」
Q:改めて、チームスポーツは助け合いだなと。直前にPKを外したハットン選手も救いましたね。
「もちろん、決めたい気持ちは強かったと思いますが、それまで何度もオフサイドで得点が無効になって、プレッシャーもあったと思います。PKを外すこともあります。それでも、試合後に彼には、『次、PKがあっても蹴れよ』と伝えました」
Q:友人でもあるレオ セアラ選手と戦った感想は?
「素晴らしい選手です。昨年の活躍もそうですし、今年も得点王になりそうな勢いで決めています。今日、彼を止めることは重要なことでした。味方のCBがしっかり抑えてくれました」
■福井 光輝選手
Q:無失点での勝利になりました。今の気持ちは?
「今シーズン、セレッソとして初めてのクリーンシートになりました。僕一人ではないですし、みんなが本当に頑張って、走ってくれたので、成し遂げられたと思います。最後までピッチに立って勝点3を取れたので、嬉しく思います」
■奥田 勇斗選手
Q:ホームでの鹿島戦勝利は15年ぶりでした。奥田選手自身はそこまで関与していませんが、どのような思いで試合終了を迎えましたか?
「試合前から連敗していることは選手も意識していましたし、試合前のミーティングでも、『今日、その歴史を変える』という話がボス(パパス監督)からありました。今日はスタートからみんなで魂を込めて戦っていましたし、それが最後の最後に出て勝てたと思います」
Q:あれだけ何度も取り消されると、心が折れるかなとも思ったが?
「後ろの選手としては正直、『うそやろー!?』みたいな感じでしたが(笑)。でも、オフサイドにはなりましたが、何回も攻撃の形を作れたことは事実ですし、終わった後に動画を見ても、本当に僅かだったシーンも多いので。タイミングをもう少し詰めていけば、大量得点は取れます。今日はバトルの部分でセカンドボールを取れたことも大きかったと思うので、非常にポジティブな試合になりました」
■西尾 隆矢選手
Q:オフサイドで取り消しのシーンも多かったが、VARの判定を待っている間の意識は?
「進藤くんともずっと、『何が起ころうとも、やることをやり続けよう』と喋っていました。開幕からずっと失点も続いていたので、『今日は失点ゼロにこだわろう』と。『得点にならなくても関係ない。集中力は常に切らすな』という話はしていました」
Q:レオ セアラ選手ともバチバチやっていましたね。
「絶対にやらせたくなかった。練習でも対峙していましたが、今日、負けたくない思いは人一倍強かったです。リスペクトしている上で、彼を止めることは目標だったので。鈴木優磨選手も含め、あの二人はとてつもない攻撃力を持っているので、あの2人を抑えることで自分たちの自信にもなりますし、選手としての価値も上がると思いました。気合いは入っていました。無失点で終われたことは自信にもなりましたし、チームとしても良かったです」
Q:途中、鈴木選手も含めてヒートアップする様子もありましたが?
「サッカーをやっている以上、試合では起こることなので。試合後は挨拶してもらいましたし、鈴木優磨選手も優しい方なので。試合中はあのような感じですが、逆にいいなと思っています。鈴木優磨選手のブレないスタイルは見習うところもありますし、リスペクトしているからこそ、今日、無失点で終えられたことは良かったです」
Q:ホームでの鹿島戦勝利は15年ぶりになりました。
「試合前も監督から『歴史を変える一戦にしないといけない』という話がありました。僕たちもズルズル負け続けてはいけない、という自覚はあったので。歴史を変えたことは少なからずあると思うので、勢いに乗って、次につなげていきたいです」
Q:長い間、サポーターも悔しい思いをしてきたと思います。
「そうですね。それだけ勝っていないのかと、試合前に記事を見て思いました。僕はアカデミー出身でもありますし、ファン・サポーターには常に感謝しています。だからこそ、鹿島に勝てていない不甲斐なさも感じていました。最高の雰囲気を今日も作って下さったので、勝点3という結果を届けられて良かったです」
Q:今日は試合前にセレモニーもありました。奥さまとお子さんの前でカッコイイ姿を見せましたね(笑)。
「そうですね。奥さんと娘は毎回来ているわけではないですが、娘が見に来た試合は負けていないので、勝利の女神だなと思います(笑)」
■田中 駿汰選手
Q:後半アディショナルタイムに自身も決めましたが、前にいたラファエル ハットン選手がオフサイドの位置にいて、無効になりました。
「仕方ないですね。オフサイドはオフサイドだったので。3回目ぐらいから気持ちはすぐに切り替わりました(笑)」
Q:5回、得点が取り消されることも珍しいと思いますが、スタジアムの雰囲気もその度に盛り上がるというか、異様でしたね。
「逆にみんな楽しんでいたんじゃないかと思うぐらい(笑)。こんなに取り消されることもないので、選手としても楽しくなりましたね。オフサイドも全部、ギリギリだったと思いますし、相手の背後は狙い続けていきたいです。最後に勝ったことが大きいです」
Q:PK失敗の後の空気はどんな感じでしたか?
「僕的には、次のCKで決まりそうな雰囲気はありました。決まったから言うわけではないですが、それまでに何度も決まっていたので、次のCKで決まりそうな雰囲気はありました。誰一人、諦めていなかったです。試合内容も良かったですし、ここで引き分けるのと勝つのでは大きく違ったので、良かったです」
Q:内容がいい中で結果が付いてこない試合が続いていましたが、今日、いい内容で結果も出たことは、今後につながりそうですね。
「そうですね。最近は特に試合内容も良くて、あとは結果だけという状況だったので。今日は初めてクリーンシートもできましたし、みんな自信にもなったと思います。『ボス(パパス監督)のサッカーをやり続けていたら戦える』という自信は付いているので、僕らは信じてやり続けるだけです」
Q: 「常に相手コートでサッカーを進める」ということは監督も選手も話されていますが、今日、まさにそのようなサッカーを体現できましたね。
「そうですね。今日は特に『点差に関係なく、自分たちのサッカーを貫こう。得点しても失点しても、蹴らずにつなごう』という話はミーティングでもしていました。自分たちを信じて、自分たちのサッカーをやり続けた結果、最後にご褒美が待っていたので良かったです」
Q:今日はボールを奪うシーンも多く、試合を通してアグレッシブな守備も光ったと思うが?
「出足も良かったですね。各々が責任を持って、マッチアップした選手に負けないこと、シンプルに1対1で勝っていたので、そこが勝敗を分けたと思います。高い位置で奪えれば走って戻る距離も減りますし、これからも大事にしていきたいです」
Q:レオ セアラ選手も封じましたね。
「良かったです(笑)。CBの2人が潰してくれたので、僕は安心してボランチを潰すことを考えていました。僕を越されても進藤くんと(西尾)隆矢が潰してくれたので。そこがキーになると思っていましたし、大きかったです」
Q:そういう選手のところに最後、ボールもこぼれて来るんですね(笑)。
「そうですね。ご褒美が。ただ、進藤くんというのがちょっと…(笑)。どっちかと言えば隆矢の方が良かったです(笑)。でもやっぱり進藤くんは“もってる”なと(笑)」
■香川 真司選手
Q:ホームでの鹿島戦の勝利は、香川選手が決めて勝った試合以来、15年ぶりです。
「12連敗ということは試合前に知って。それはもうあってはならないこと。今日は何が何でも勝たないといけなかった。広島にも長年勝っていない中で、前節、あのような負け方をしたことも凄く悔しかった。この試合で大きく変えようと思っていたので、今日、劇的な形でも勝てたことは良かったです」
Q:PKの場面、得点場面と、常に監督と話をしていたが、どのような指示を受けていた?
「ディテールの部分ですね。最近は終盤に失点していたので、途中出場の選手がどうしても(責任があるように)見えていた。当然、僕たちも悔しかったし、そう(勝てない責任だと)言われることも悔しかった。本質はそこではないとも思っていました。どう勝ち切るか、ディテールが大事だった。それがいつも終盤で合わなかった。チームとしての問題ですが、でも途中から出る選手としては、(勝ち切るために)大きな責任があったことも確か。今回こうして勝てたことは非常に大きかったです」
Q:得点した後の時間帯で、最後までボールを運んでやり切れたことがチームとしても大きかったですか?
「そうですね。やり切ることが大事でした。試合の状況を見て、(勝ち切るために)自分たちで判断しないといけない。監督の指示待ちではいけない。メンタリティーとして成長しないといけない。それがセレッソには必要で、足りない部分。それを自分たちが打ち破らないといけない。勝ち切るためにどう戦うか。時には感情的にならないといけないし、喧嘩しないといけないこともある。それぐらい執念を持って勝ち切ることが、このチームには必要。経験ある選手がそこにもっとこだわってやっていかないといけないと、ここ数試合、特に感じています」
Q:スコアこそ1-0ですが、内容的には終始、押していました。取り組んできたサッカーが結果として出たことは、チームの今後にとっても大きいのでは?
「そうですね。今日、見せた戦いは非常に大きなモノでした。ただ、ここ数試合もこういう戦いはできていたので、継続していくことが大事。次の試合にも生かしていかないといけない。中3日でまた試合があるので、そこに集中して臨みたい。この1勝で満足しているようではダメなので。ただ、(ホームでの鹿島戦)12連敗という不名誉な記録をようやく止めることができた。みんなで一致団結して打ち破れたことは大きな成長ですし、サポーターの皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱいだったので。鹿島相手に勝てたことは大きいですし、ひとつの自信にしていきたいです」
5度のオフサイドによるゴール取り消しとPK失敗にも下を向かずに攻め続けた“パパス・セレッソ”が15年ぶりのホーム鹿島戦勝利
前節のサンフレッチェ広島戦から中5日。セレッソ大阪は、ホームに戻り鹿島アントラーズとの明治安田J1リーグ第10節に臨んだ。先発は広島戦から1人変更。GKキム ジンヒョンに代わり、前々節のファジアーノ岡山戦で脳震盪による交代でピッチを離れた福井光輝が2試合ぶりに戻った。
良くなってきた内容を結果につなげたい今節。セレッソは前半からボールを握り、試合を支配。4分、奥田勇斗、田中駿汰、ルーカス フェルナンデスとつないで右サイドを崩すと、最後は北野颯太が縦に突破してクロス。惜しくも中の選手とは合わなかったが、早速、鹿島ゴールに迫る。8分には鹿島に最初のシュートを許したが、福井がしっかりキャッチ。9分には左サイドから攻撃。チアゴ アンドラーデのクロスにラファエル ハットンが飛び込みチャンス。ここで得たCKから田中がヘディングシュートを放つ。23分には、FKのこぼれ球を北野がダイレクトでシュート。惜しくもクロスバーを越えたが、果敢にゴールを狙った。この試合では攻から守への切り替えも早く、鹿島に攻撃を許さない。鈴木優磨、レオ セアラの強力2トップも進藤亮佑、西尾隆矢を中心にしっかり競って、ボールを入れさせなかった。44分には進藤がボール奪取から持ち上がり、波状攻撃を仕掛けると、45分には左サイドを崩し、登里享平のクロスに中島元彦が合わせて決定機も、シュートはクロスバーを越えた。前半、鹿島に許したシュートは2本のみ。しっかりボールを握りつつ、試合をコントロールして前半を終えた。
後半は予測不能でドラマチックな展開が待っていた。最初の決定機こそ鹿島に許したが、シュートは枠を外れて事なきを得ると、ここからセレッソが鹿島ゴールに襲い掛かる。55分、CKの流れからルーカスのクロスをハットンがヘディングで合わせてネットを揺らしたが、VARの介入によりオフサイドの判定でノーゴールに。65分には北野がプレスバックでボールを奪い、素早く前線のハットンへスルーパス。ハットンが中央へ折り返してルーカスがネットを揺らしたが、北野のパスを受けたハットンの位置がわずかにオフサイド。続く67分、今度はルーカスのFKから進藤が頭で合わせたが、ここもVARの介入によりオフサイドとなり、三度、得点は取り消された。74分には奥田のパスを受けたハットンがチアゴとのワンツーからシュート。決定機を作ったが、鹿島GK早川友基の好セーブに阻まれた。80分、前節、セレッソデビューを果たした本間至恩が投入されると、再び左サイドが活性化。88分には本間のパスを受けた北野がシュート。これがラストプレーとなった北野。今節も果敢にゴールに迫り、攻守に出色のプレーを見せたが、最も欲していたゴールは奪えず、悔しそうな表情でピッチを後にした。北野と代わって入ったのは香川真司。15年前の2010年、最後にホームで鹿島に勝った試合でゴールを決めた背番号8が「チームを勝たせて来い」というアーサー パパス監督の言葉とともにピッチに送り出された。
90分にはその香川のパスを受けた田中に決定機が訪れると、後半アディショナルタイムにはセレッソが連続してネットを揺らしたが、ここでも2度ともオフサイドでゴールは取り消しに。どうしても1点が遠い中、90+7分、本間のパスを受けたルーカスがペナルティーエリア内で倒されてPKを獲得。この絶好機にキッカーはハットン。ただし、左スミを狙ったキックは相手GKの好守に防がれてしまう。ただし、「次のCKで決まりそうな雰囲気はあった。誰一人、諦めていなかったです」と試合後にキャプテンの田中も振り返った通り、PK失敗の直後に得たCKからセレッソが先制に成功する。ルーカスのキックを中でセアラがクリアし切れずファーに流れたボールに詰めていた進藤が押し込み、ついにセレッソがゴールを記録。直後にヒヤリとする場面こそあったが、最後まで集中したプレーを続けて1-0で勝ち切った。5度のオフサイドによるゴール取り消しがある苦しい展開だったが、「難しい状況が何回繰り返されても立ち向かっていく姿勢は素晴らしかった」と試合後に指揮官も賛辞を送ったように、選手たちは誰一人諦めることなく最後まで攻め続け、重かったホーム鹿島戦の扉をこじ開けた。「人生のドーパミンが全部出た」とはヒーローの進藤。守備でも西尾、福井らと今シーズン初の無失点を達成。内容と結果が伴った勝利で今後へ向けた自信も大きく膨らんだ一戦になったことは間違いない。「ボス(パパス監督)のサッカーをやり続けていたら戦えるという自信は付いたので、信じてやり続けるだけ」とは田中。“15年ぶり勝利”をさらなる力に変えて、中3日でのカップ戦、さらには今後のリーグ戦へ向けて、再びチーム一丸で突き進んでいきたい。