2回戦
2025JリーグYBCルヴァンカップ
2025.4.16水
FC今治
竹内 悠力 (32')
藤岡 浩介 (34')
日野 友貴 (48')
3
AWAY
FULL TIME
4
アシックス里山スタジアム
2-2
1-1
0-0
0-1
セレッソ大阪
ヴィトール ブエノ (12')
ジャルンサックウォンコーン (15')
香川 真司 (80')
奥田 勇斗 (118')
アシックス里山スタジアム
4,148人
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■アーサー パパス監督
「まさにカップ戦と言える戦いだったと思います。良い入りができたのですが、同点にされて、ひっくり返されて、追い付いて、最後の最後に勝つという展開でした。今治の選手たちも称えたいと思います。成長しているクラブだと思います。スタジアムも素晴らしいですし、凄く良いチームだと実感しました」
Q:前半に関して伺います。直近のリーグ戦から先発を10人替えながらも素晴らしい攻撃を披露しました。メンバーを入れ替えると、チームのコンセプトが発揮できないチームもある中で、誰が出ても監督が求める攻撃的なサッカーをする戦いが表現されていたように思いますが?
「入りは凄く良かったです。先制点も2点目も素晴らしい形で取りました。前を意識して、パスを出してすぐに動く、前に走ってもう一回受け直す、そういった形が発揮できていました。ただ、前半の最後の時間帯はバックパスが増えてしまったと思います。10人を替えた中で、プレー時間が短い選手もいて、難しさが出たかも知れません。ただ、言い訳はできません。相手もリーグ戦から大きく選手を替えていたからです。2-2になって難しい展開になりました。正直、後半の入りもあまり良くありませんでした。ただ、このチームが成長したなと感じたことは、トレーニングでやってきたことを難しい展開になっても続けられたことです。パスをつないで前に抜けていく、もう一回受け直す、そういうプレーを続けた中で勝ち切れたことは、選手の成長を感じます」
Q:そうしたトレーニングの成果が随所に出ていたことは収穫である一方、監督も言及された前半の終盤は自陣でパスミスを繰り返して、自滅に近い形で相手に2得点を与えてしまったように感じました。2失点を喫した前半30分から5分間の時間帯は、何が問題だったのでしょうか?
「率直に言うと、メンタリティーだと思います。入りが良くて、前を意識したサッカーを展開していた中で、あの時間帯は少し後ろ向きになって、失点につながったと思います。最初にも言ったように、カップ戦特有の流れというか、点を入れた後に自分たちのペースがゆっくりした時に、相手に流れを持っていかれた。それが失点につながったと思います。先ほど、成長したと申し上げましたが、全体として、もっと成長していくべきところも見えたゲームになりました。ただ、最後の最後に点を取ることも多くなってきたことは、チームのスピリットの成長だと思います」
選手コメント
■香川 真司選手
Q:率直に120分を振り返ると?
「もちろん勝ったことは素晴らしいですし、何より大事で、目的は果たせましたけど、試合の展開的に、前半ああいうスタートを切れた中で、あのような2失点をして、そこは反省しないといけないですし、チームとしての未熟さが出てしまったという悔しさがあります」
Q:リーグ戦から10人先発を入れ替えた中でも素晴らしい崩しがあって、今のサッカーが全員に浸透している様子も伺えたが?
「もちろん、良い場面はあったし、2得点を含めて最初の15分は素晴らしいチャンスを作り出していました。ただ、それ以降は(課題が残った)。久しぶりにプレーする選手もいたし、今日のメンバーで練習はやっていますが、試合は久しぶりだったので。そこには若さもあったし、このチームの未熟さが出てしまったなと。2-0でスタートしたなら、もっと試合を上手くコントロールしないといけない。自分たちで壊してしまったと思います」
Q:まさに自滅のような形で2失点しましたが、あの時間帯はパスミスも続き、自分たちから良くない失い方をするシーンが目立ちました。振り返ると、何が問題でしたか?
「ミス一つに対してナーバスになり過ぎて、リズムを失いました。相手のプレスもはがせていましたし、そこまで相手のプレスがハマっている感じはしなかったので、慌てる必要はなかったのですが。試合に対してみんながしっかり入らないといけないし、単純なミスが起きているのは技術的な問題でもあるし、精神的な問題でもある。それは本当に課題です。ミスから自滅することはもったいないことなので、それは反省しないといけない。もちろん勝ったことは良かったですが、どっちかというと反省の方が多い試合になりました。特に90分間はそういうゲームでした」
Q:リードされた展開の中、後半、同点に追い付いたPKの場面については?
「(キッカーは)監督から言われていたので、練習もしていましたし、しっかりと蹴れて良かったです」
■ジャルンサック ウォンコーン選手
Q:セレッソでの公式戦初先発でしたが、気持ちは高まっていましたか?
「まずパパス監督に感謝を申し上げたいです。監督のおかげで、このようなチャンスをもらえました。いつもハードな練習を一緒にしているチームメイトの皆さんにも感謝したいです。先発できたことはめちゃくちゃ嬉しかったです。ワンチームになって勝てたことはもっと嬉しかったです」
Q:1ゴール1アシストの活躍でした。
「予想外ですね(笑)。こんなに活躍できるとは思わなかったです。チームメイトの皆さんのおかげです」
Q:率直に、ゴールを決めた瞬間の思いは?
「最初は、『本当に入ったのかな?』という気持ちだったのですが(笑)、チームメイトの皆さんが寄ってきてくれたので、『入ったんだ』と思って嬉しかったです」
Q:リーグ戦でのデビューも待たれます。今後へ向けて。
「前節の鹿島戦は素晴らしい勝利でした。ここから波に乗っていきたいです。まだ勝点3が足りないので、これからもっと勝利を重ねていきたいです。サポーターの皆さんも、ぜひ応援よろしくお願いします」
■ヴィトール ブエノ選手
Q:120分の激闘になりましたが、試合を振り返ると?
「序盤はかなり良かったと思います。2点を決めることもできました。前半の途中からパフォーマンスが落ちてしまったことで、失点につながりました。ただ、チーム全体としては、『必ず次に進む』という自信を常に持ち続けて戦っていました。最後まで諦めずに戦った結果が、今日の勝利だと思います。相手はJ2に上がったばかりのチームでしたが、今はリーグ戦でも調子が良いと聞いていましたし、実際に戦っても、難しい相手でした」
Q:前半の2得点は綺麗に崩した形でした。リーグ戦から先発を入れ替えた中でも監督が求める攻撃を表現できたことは今日の収穫だと思うが?
「そうですね。練習から全員が同じ方向に向かって、監督の考えていることをピッチで表現しようとしています。メンバーが替わっても公式戦で表現できる準備が出来ていた、ということが今日の試合で示せたと思います。次の試合以降、良い意味で監督を悩ませることができたのではないかと思います」
Q:ジャルンサック ウォンコーン選手とは公式戦では初めて一緒にプレーしたと思うが、良いコンビネーションでしたね。
「今日も自分も得点できて、パフォーマンスは良かったと思います。テイに関しては、外国籍選手の中でもタイ人は一人だけですし、言葉が通じない大変さは理解しているつもりです。なかなかベンチに入れないことが続いていたので、彼が今日、良いパフォーマンスを見せたことは自分も嬉しいです」
Q:後半、同点に追い付いたPKはブエノ選手が獲得しました。キッカーは香川選手に託した形でしたか?
「チームとしてキッカーは決まっています。自分がPKを取ったのですが、優先順位もあったので、(香川)真司に『行けるか?』と確認したら、『行ける』ということだったので、彼に任せました」
■上門 知樹選手
Q:良い入りができた中で、一度は逆転される苦しい展開になりました。試合を振り返ると?
「幸先良く2点を取れて、もう1点取れたらゲームを決めることができたと思うのですが、失点してバタバタしてしまった。普段、あまり出ていない選手が多かったので、修正力はまだまだ必要だと感じます。1失点目に関しては、僕がマークを外してしまったので、自分の責任です。勝ち切れたことはチームとして良かったので、反省と継続をしながらやっていきたいです」
Q:前半の途中から、自滅のような感じで崩れてしまった?
「そうですね。バックパスが増えて、前に差すパスや背後への抜け出しが減ってしまった。先に2点を取って、みんなどこか安心して、相手のペースに合わせてしまった。監督の求めるサッカーは、常に前に前に、というサッカー。気の緩みではないですが、3点目をより意識して戦うことができれば、これだけ難しいゲームにはならなかったと思います。でも、今治さんもタフなチームでしたし、戦ってみても強かったです」
Q:リーグ戦から先発が10人替わった中でも攻撃の形を何度も作れたことは、パパス監督の求める攻撃的なサッカーが浸透している証だとも思ったが?
「そうですね。それができていた分、失点の仕方がもったいなかったです。良い入りができたのに、崩れてしまった。リーグ戦もそうですが、毎試合、失点はしているので、僕自身も含めて細かいところはもっと見直さないといけない。今日は久々に出たので結果を残したかったですが、また切り替えてやっていきたいです」
■髙橋 仁胡選手
Q:最後のプレー、左サイドを崩して決勝点につなげたが?
「試合終了間際はずっと攻めていたし、相手を押し込んでいました。ゴールが欲しい時間帯だったので、全員が得点を目指して攻めていました。最後に(奥田)勇斗くんが決めてくれて良かったですし、スッキリしました(笑)」
Q:120分、最後まで走り切りましたね。
「そうですね(笑)」
Q:2点目の起点になるドリブルもありました。今日の先発メンバーでも崩したシーンは多かったが?
「入りは良かったです。背後はずっと狙っていたし、2点ともしっかり崩して決めて、自分たちのプレーができたと思います。ただ、その後の2失点は、チームとしても反省しないといけません」
■奥田 勇斗選手
Q:試合終了間際、118分での決勝点になりました。自身のゴールを振り返ると?
「執念のゴールというか(笑)。最後の時間帯は、絶対に攻撃に関わってやろうと思っていました。良い形でこぼれてきたのですが、位置的には(田中)駿汰くんの方がボールに近かったのですが、強引に自分が一歩前に出て、冷静に流し込もうと思って、ふかさず、気持ち良く打ち切れました」
Q:ダイレクトで打って枠に正確に入れることは簡単ではなかったと思いますが、やはりふかさないことを一番、意識された?
「そうですね。ふかさないことと、勢いで打った感じです」
Q:起点は髙橋仁胡選手でした。最後の最後の時間帯で、ああやって両サイドバックが得点に絡むことは、パパス監督の最後まで攻め切るサッカーが浸透してきた証だとも感じたが?
「そうですね。今年のスタイルはサイドバックが攻撃的に行くサッカーですし、逆サイドのサイドバックが中に入る形もやっています。その結果、今日は良い形で自分にこぼれてきて、それが得点につながって良かったです」
Q:2-3の状況で後半29分に投入されました。3選手が同時にピッチに入りましたが、どのような思いで入りましたか?
「前半から試合を見ていて、最初は2点が入るなど、勢いがあってアグレッシブな良いサッカーをしていたのですが、急にガクッと落ちて、相手のペースになっているのが目に見えて感じました。自分たちが出場する意味は、攻撃的に行くことだと思い、もう一度アグレッシブにアクションを起こすことを意識して入りました」
Q:先発の右サイド、阪田澪哉選手とウォンコーン選手の攻撃も面白かったですし、途中から入った奥田選手とルーカス フェルナンデス選手も何度も決定機に関わりました。選手が替わっても攻撃の形が作れていることは、今日の収穫だと感じたが?
「チーム全体として、ボス(パパス監督)がしたいサッカーを落とし込めているので、その共通理解は進んでいると思います」
Q:延長戦を含めて約45分、プレーした形になりました。疲労は多少あると思いますが、中3日で迎えるリーグ戦も大事になります。
「正直最後は攣りかけていました(苦笑)。ただ、(西尾)隆矢は連戦で、今日も120分プレーしています。まずはしっかり回復に努めること。勢いに乗ったまま次のFC東京戦にも勝てるように準備したいです」
Q:幸い、FC東京も今日のルヴァンカップでは120分を戦っています。
「であれば、条件は同じですよね。あとはもう、メンタルで勝てるように頑張ります!」
終了直前、奥田勇斗が劇的な決勝点。公式戦では初対戦となったFC今治との120分の激闘を制し、ルヴァンカップ3回戦進出を果たす
直近のリーグ戦、劇的な勝利を飾った明治安田J1リーグ第10節・鹿島アントラーズ戦から中3日。大会をJリーグYBCルヴァンカップに移し、セレッソ大阪はFC今治との1stラウンド2回戦に臨んだ。今治とは練習試合では何度も対戦しているが、公式戦で対戦するのは今回が初となった。
先発は鹿島戦から西尾隆矢を除く10人を変更。この試合から中3日でリーグ戦の次節・FC東京戦を控えている日程もあり、アーサー パパス監督は大幅な入れ替えを決断した。ただし、そうした入れ替えがあっても、現在のセレッソが目指す攻撃的な戦いは不変。開始7分、阪田澪哉のスルーパスに抜け出したジャルンサック ウォンコーンがGKとの1対1を迎える決定機。加入後公式戦初先発を果たしたジャルンサックが早速見せ場を作ると、12分、セレッソが先制に成功。髙橋仁胡の縦パスを受けた香川真司が喜田陽に落とし、喜田が中央へ差し込み好機を拡大。ヴィトール ブエノが運んで右サイドへ展開すると、ジャルンサックの折り返しをブエノがうまく合わせてネットを揺らした。一連の流れのような攻撃は見事であり、3分後の15分にも追加点。今度は髙橋が左サイドをドリブルで運ぶと、一度は奪われたが、この試合はワントップで先発した上門知樹がすぐさま奪い返してショートカウンターを発動。左サイドへ走る柴山昌也へパスを送り、柴山が縦に突破してクロス。逆サイドから飛び込んだジャルンサックが合わせた。待望の加入後初ゴールに試合後、ジャルンサックは、「パパス監督、チームメイトの皆さんに感謝したい」と笑顔を浮かべた。リーグ戦からメンバーが替わった中でもチームとして意図を持った崩しで2発。完璧な入りを見せた中で、試合の雲行きが怪しくなってきたのは30分の前あたりから。28分、阪田が自陣で奪われて迎えたピンチはGKキム ジンヒョンが好セーブでしのいだが、31分、今度はジンヒョンが縦に差したパスを奪われたところから与えたCKで失点。ニアでうまく決められた。前から奪いに来るプレスの勢いが増した今治に対し、セレッソは立て直す時間を作れず連続失点。33分、自陣での喜田、舩木翔のパス交換がズレて奪われると、そこからすぐにクロスを入れられ、慌てて前に出てきたジンヒョンが相手選手を倒してPKを献上。これを決められ、瞬く間に同点に追い付かれた。「2-0でスタートしたなら、もっと試合をうまくコントロールしないといけない。チームとしての未熟さが出てしまった」(香川)ことはこの試合における大きな反省材料だ。
後半も開始早々、自陣右サイドでボールを失うと、クロスをファーで折り返され、中でヘディングを決められ、勝ち越しを許してしまった。幸先良く2点を取ったがゆえに生まれた隙。「点を入れた後に自分たちのペースがゆっくりした時に、相手に流れを持っていかれた」と指揮官も振り返る“魔の時間帯“だった。その後も前半に見せたようなパスワークを発揮できず、今治の攻勢に押されてあわや4失点目かというピンチもあったが、体を張って防ぐと後半の中盤から終盤にかけて、再びセレッソが試合の主導権を奪い返す。そうした流れの中で、74分、パパス監督は3枚替えを決断。ラファエル ハットン、ルーカス フェルナンデス、奥田勇斗を投入し、同点、逆転を目指すと79分、右サイドで柴山のパスを受けたブエノが足をかけられPKを獲得。香川真司が落ち着いて決めて、80分、セレッソが同点に追い付いた。
試合は3-3のまま延長戦に突入すると、延長前半、よりチャンスを作ったのは今治。ただし、2度の決定機をいずれもジンヒョンが好セーブで守ると、延長後半はセレッソが押し返す。114分にルーカス、117分に北野颯太が迎えた決定機こそ仕留めることはできなかったが、118分にネットを揺らす。髙橋と北野で左サイドを崩し、北野のクロスがDFにクリアされたこぼれ球にいち早く反応した奥田が抑えの利いたミドルシュートを叩き込み、土壇場でセレッソが再逆転に成功した。「このチームが成長したなと感じたことは、トレーニングでやってきたことを難しい展開になっても続けられたこと」とパパス監督。もちろん、2点を先取した流れ、序盤の内容を考えると、自ら試合を難しくした感も残ったが、ここまでJ2リーグ9試合でわずか1敗と好調の今治の実力が本物で「難しい相手」(ブエノ)だったことも確か。「全体として、もっと成長していくべきところも見えたゲーム」とパパス監督は課題も挙げながら、「最後の最後に点を取ることも多くなってきたことは、チームのスピリットの成長」と称えた。中3日で迎えるリーグ戦の次節・FC東京戦へ向けて回復に務め、「勢いに乗ったまま」(奥田)リーグ戦の連勝、公式戦3連勝を目指す。