2026明治安田J1百年構想リーグ第8節

2026明治安田J1百年構想リーグ

2026.3.22

セレッソ大阪

井上 黎生人 (12')

1

HOME

FULL TIME

1

1-0

0-1

PK

6-5

ヴィッセル神戸

日髙 光揮 (67')

ヨドコウ桜スタジアム

20,496

平野クレーン工業サポーティングマッチ

HIGHLIGHTSハイライト

ギャラリー

MATCH REVIEW

前半はゼロトップが機能し、CKから井上黎生人が先制点。後半に追いつかれるも、PK戦で勝利して“ヨドコウ桜スタジアム”ラストマッチを飾る


リーグ3連戦、ホーム連戦となる今節。セレッソ大阪は、ヨドコウ桜スタジアムにヴィッセル神戸を迎え、明治安田J1百年構想リーグ地域リーグラウンド第8節に臨んだ。先発は前節・ファジアーノ岡山戦から6人変更。奥田勇斗と本間至恩が今季初スタメン、登里享平が第1節以来、柴山昌也と阪田澪哉が第4節以来、畠中槙之輔が第6節以来。ベンチには怪我で戦列を離れていたキム ジンヒョンも戻ってきた。

今季ここまで7試合連続で先発を張っていた櫻川ソロモンがベンチスタート。注目された前線は、本間と柴山が2トップの位置に入った。もっとも、彼らは前にいるだけではなく、真ん中から降りてきてボールを受け、中盤で数的優位を作りながら前進。「センターバックに捕まらない位置や、相手のボランチに見られない位置にタイミングよく落ちて、ボールを触って、また前に出る。相手の目線をずっと変えながらプレーしていました」と試合後に話したのは柴山だが、神戸の選手たちに誰が誰を見るのかハッキリさせないまま試合を進めていった。「より距離感を縮めるために、『ダブルボランチ、ダブル10番』という形でゲームをコントロールしていこうという発想で、今日の戦い方になりました」と今節の意図を述べたアーサー パパス監督。“ゼロトップ”の2人が下がると田中駿や石渡が前に出る場面もあり、左サイドのチアゴ アンドラーデも効果的に使った。11分、柴山のスルーパスからチアゴが左サイドのスペースを突破してクロス。DFにクリアされるもここで得たCKが先制点につながっていく。1本目はショートコーナーを選択。相手の目線を変えると、セカンドボールを拾った阪田がドリブルからシュート。惜しくもGKに防がれたが、次のCKで先制に成功する。柴山のニアへのキックに井上黎生人が合わせた。前半の中盤は守備ブロックの位置が下がり、神戸にボールを持たれて押し込まれる時間も。19分、33分とCKやロングスローのセカンドボールを拾われミドルシュートを受けたが枠外に飛んだ。39分、中央でパスを受けた柴山がドリブルで運んでシュートを放つと、前半アディショナルタイムにも決定機。最後はチアゴが中に切り返して右足で絶妙なクロス。飛び込んだ阪田がボレーを放ったが、クロスバーを越えた。

後半開始から登里に代わり大畑歩夢が入る。後半も立ち上がりはセレッソのペースで試合は進む。51分、52分と立て続けにセットプレーの機会も得ると、セカンドボールを拾った大畑のクロスに本間が飛び込む。59分、パパス監督は本間に代えて櫻川を投入。試合を決める2点目を取りにいく。もっとも、68分、自陣ゴール前での混戦の中から神戸の日高光揮に強烈なシュートを叩き込まれ、同点に追いつかれた。「セレッソも人数は揃っていましたが、逆に人数がいて誰が行くのか曖昧になった」と井上。まさに一瞬のエアポケットを突かれた格好となった。ここから攻勢を強めてきた神戸に対し、セレッソは守勢に回る。特に試合終盤は神戸が立て続けにセットプレーの機会を増やして押し込んできたが、セレッソも何とかはね返し、勝ち越しゴールは許さない。すると後半アディショナルタイムに決定機。畠中が右サイドへ展開したところからディオン クールズ、奥田と渡り、奥田がピンポイントで中にクロス。櫻川が頭で合わせたが、ヘディングシュートは枠を外れた。続けて香川真司のパスに抜け出した横山夢樹が縦へ突破してシュート。相手に当たってゴールに吸い込まれかけかたが、惜しくも決まらなかった。

試合はこのまま1-1で終了。決着はPK戦に委ねられると、セレッソは香川、クールズ、田中駿、畠中、井上と5人全員が成功。神戸も5人とも決めて譲らない。セレッソは6人目で登場した柴山が決めた一方、神戸の6人目、濱﨑健斗のシュートがクロスバーを直撃。“ヨドコウ桜スタジム“ラストマッチを勝利で飾った。

監督コメント

■アーサー パパス監督

「戦術的な視点で、観ている方にとっては非常に興味深い試合になったと思います。とても良い前半を過ごすことができました。昨日トレーニングしてきた内容をしっかり出せて、色々な問題を相手に突き付けることができました。良い状況を作り出すことができました。前半あと2、3点は取れたかなと思いますが、後半は相手も修正して持ち直してきたので、引き分けは妥当な結果だとは思います。その中でも、相手が勢いを増してきたところで、相手のプレスを解放できなかったことが後半の流れになったと思います。ただし、終盤にかけてセットプレーで守備に回る時間も多かった中で、そこをしっかり守り切れたことは、選手たちはよくやってくれたと思います。そのあと、2つ良いチャンスを作り出したので、決め切りたかったなと思います。全体的に言えば、良いパフォーマンスだったと思います。完璧ではないものの、良かったので、この勝点2を取れたのは大きいです」

Q:「戦術的な視点で興味深い試合」という言葉もありましたが、前半の戦い方についてお伺いします。前線の本間選手と柴山選手がゼロトップのような位置で真ん中から降りてきてボールを受けて、数的優位を作りながら相手を引き出して両サイドの背後を狙う戦い方が機能していたと思います。試合前日に練習されたということですが、今節、この戦術を採用した狙いと、成果についてはいかがですか?
「今日の戦術を採用した理由の一つが、選手に疲労があったということです。連戦で疲労があり、まずは選手を代えなければいけない、ということから始まりました。その優先度が高かったです。ただ、選手を代えた時に同じスタイルを維持できるかと言えば、そこまで編成に厚みはないので、出られる選手の中で何ができるかを考えました。そして、(前節・)岡山戦の試合後にも言いましたが、かなり間延びして選手間の距離が開いたと。それだとウチらしさが出ない、ウチには適さないスタイルになるので、より距離感を縮めようというところから、『ダブルボランチ、ダブル10番』という形で、よりゲームをコントロールしていこうという発想で、今日の戦い方になりました。コントロールしながら裏も使えていたので、普段の状況も作れていたと思います。効果的だったと思います。理由はいま話したようなことですが、最後は選手が理解して実行できたことが何より嬉しいです」

Q:今日の戦い方は、今後もオプションになりますか?また、後半14分に櫻川ソロモン選手を投入された狙いとしては、神戸のプレスが強まることも想定しつつ、プレスを回避する起点を前に作りたかったこともありましたか?
「もちろん、今後も選手の状態が100%ではない、疲労が溜まっている、そういう時には考え得るやり方です。ひとつのソリューションとしては必要かなとは思いますが、非常にチャレンジングなやり方ではありました。二つ目の質問に関しては、元々、後半から投入する考えを持って試合に臨んでいました。やり方を変えることは選手たちにも伝えていました。今日、(櫻川が)95分出ることはありませんでした。疲労を取って欲しかったので。ただ、『後半から出てチームを助けてほしい』ということは試合前から伝えていました。今日の試合で一番のビッグチャンスは彼に訪れました。おそらく他の試合ではそれを決めて、勝ちをもたらしてくれると思います。後半の苦しい時間帯にセットプレーの守備でも貢献してくれたので、よくやってくれました」

Q:決勝点を決めた井上選手について、ピッチでのプレーとともに、評価をお願いします
「ここまで非常によくやっています。今シーズン、試合を重ねるごとに、どんどん良くなっています。昨シーズン彼を獲得した時も、『きっと来シーズン、さらにこのチームに貢献してくれる』と思っていました。成長しているところでは、ビルドアップも良くなっていますし、アグレッシブですし、裏もカバーできます。今日は得点も決めました。今後もセットプレーの機会は増えるので、得点源になれることは良いなと思います。全体的に言えば、彼の成長を見ることができて嬉しいですし、これからもっともっと成長していくと思います」

選手コメント

■井上 黎生人選手

Q:前半の戦い方について。本間選手と柴山選手がゼロトップのような形で真ん中から下がってボールを保持して攻めることができていました。手応えはいかがでしたか?
「パスコースも多く、取られた後もすぐ守備に行けるメリットもありました。こぼれ球を拾う回数も多かった分、セレッソの流れになったと思います。ただ、逆に言えば距離が近くて人数が多かったら、中でごちゃごちゃする可能性もあったのですが、そこはうまく(本間)至恩とシバ(柴山)がバランスを取ってくれました。2人とも足元が上手くて狭い中でもプレーできるので、相手からすると嫌だったと思います」

Q:今節に向けた短期間で準備した戦い方が機能したことは、自信にもなりましたか?
「そうですね。これまで、ソロ(櫻川)に頼り過ぎていた部分もあったので、ひとつオプションが増えたことは、チーム全員の自信にもつながったと思います。だからこそ90分で決着を付けたかったです。それが今日の課題になりました」

Q:CKからニアで決めた先制点については?
「その前に1本、CKがあって、ショートコーナーをしたので、その影響か、相手のストーンが前に行っていた分、ニアが空いていました。『ここに来そうだな』と思ったら、本当に来ました。シバのボールも良かったですし、うまく逸らせました」

Q:2022年の京都時代以来のゴールでしたが、得点を決めた思いは?
「4年ぶりなので嬉しかったですが、90分で勝っていないので、なかなか喜べないというか…。でも、僕もこうやって決めることができる、と示せたことは良かったです。それも一つの武器にしたい。点が取れるセンターバックにならないといけないと思っているので、一つ成長かなと思います」

Q:後半は相手のセットプレーやセカンドボールからのミドルシュートも増えました。失点場面は相手のシュートも素晴らしかったですが、どうすれば防げたと思いますか?
「あの場面になるまでに取られ方が悪かったのが一つと、あの瞬間、枚数はセレッソも人数は揃っていましたが、逆に人数がいると誰が行くのか曖昧になった。人数が多い分、ちょっとした隙が出ました。結構ありがちなのですが、防げたシーンでした。あの1失点で流れを持っていかれることもある中で、最後は相手のセットプレーも多かったですが、よく耐えたとは思います。そこは昨シーズン学んだことでもあると思います」

Q:連戦でもスタメンが続いているが?
「連戦は久しぶりですが、楽しいというか、体はキツくても充実感が上回ります。もっと試合に出たいという欲もあるし、もっともっとサッカーしたいという思いもあります。キツいというより、ポジティブな感覚です。センターバックだけではなく、どのポジションも誰が出てもおかしくないですし、競争を毎日続けていけば、自分の成長にもつながるし、チームも順位を上げていけると思います。ACLに出られるチームだと思うので、そこを目指して戦いたいです」

Q:PK戦では5番手として登場したが?
「右スミに決めたのですが、(周りから)『外すと思った。ドキドキした』と言われて(笑)。でも意外と緊張しなかったです。練習でも決めていたので、自信を持って蹴れました」

■柴山 昌也選手

Q:監督は「ダブル10番」という言い方をされていましたが、本間選手とのゼロトップのような戦い方が面白かったです。プレーした感触や手応えはいかがでしたか?
「見ている人も思ったと思いますが、自分と(本間)至恩くんを相手は捕まえ切れていなかったので、それが前半、圧倒できた要因かなと思います」

Q:今日の戦い方は今後もオプションになりそうですか?選手間の受け止めとしてはいかがですか?
「初めてのチャレンジでしたが、やれると思っていました。一つのオプションとして良いと思いますし、どんどんやっていきたいです」

Q:柴山選手や本間選手が降りた時に、入れ替わるように田中駿汰選手や石渡選手が上がってくることもあったが、どのようなイメージをもっていた?
「流動的に動きながら、スペースを誰が使ってもいい、と思っていました。スペースにタイミングよく、入れる選手が入る。自分が落ちた時に、ボックスのスペースを(田中)駿汰くんや(石渡)ネルソンが上がって使っても良い。うまく捕まえられないようにすることが大事。回りながら動き続けながら。それはボス(パパス監督)も自分たちに言っていますし、自分たちでも動けば捕まえ辛いと思うので、前半はそれを体現できたと思います」

Q:「距離が近くて人数が多かったら、中でごちゃごちゃする可能性もあったのですが、そこはうまく(本間)至恩とシバ(柴山)がバランスを取ってくれました」と井上選手も話していましたが、中盤の交通整理のような役割は意識していた?
「そうですね。センターバックに捕まらない位置や、相手のボランチに見られない位置にタイミングよく落ちて、ボールを触って、また前に出る。相手の目線をずっと変えながらプレーしていました。隠れることもなく、常にパスコースに入っていったので、後ろもやり易かったと思います。自分はボールに触ることでリズムが生まれる選手ですし、みんなもどんどん付けてくれたので、どんどん自分の中でもリズムが生まれて、やっていて楽しかったです(笑)」

Q:それだけに、良い流れの前半に2点目を取れていれば良かった?
「そうですね。自分も中盤でターンしてゴール前まで運んだシーンもありましたし、(阪田)澪哉にも決定機はありました。何回もニアゾーンを取って、最後のクロスが合わないシーンもありました。2、3点取れるチャンスはあったので、そこで決めていれば、今日のゲームは終わっていたと思います」

Q:パパス監督は「チャレンジングなやり方だった」と話していたが?
「自分としては、ワクワクしました。狭いスペースで受けることは自信がありますし、『10番として違いを作ってくれ』と監督にも言われていたので、監督の期待に応えることができたと思います」

Q:先制点につながったCKについて、その前にショートコーナーもやっていたが?
「自分が選択して良いと言われています。ショートをすることによって相手の目線も変わります。その結果、中のブロックが前に出て来て、リキくん(井上)の所が空きました。1本目にショートコーナーを選択して良かったと思います」

Q:6人目のキッカーとして登場したPK戦については?
「5番目にリキくん(井上)か僕が蹴ることになっていて、リキくんが『蹴る』と言ったので、『僕は何番でもいいですよ』と。蹴る準備はしていました」

■本間 至恩選手

Q:監督は「ダブル10番」という言い方をされていましたが、柴山選手とのゼロトップのような戦い方、2人が降りて数的有利を作るやり方は面白かったです。プレーした感触や手応えはいかがでしたか?
「2日前に『やるよ』と言われて、昨日確認して、思ったより上手くいきました。ボールを保持するのがセレッソのスタイル。最近は握れていなかったので、監督も『ボールを握るぞ』と。勝点3を取れたら一番良かったです。良いサッカーができたと思うので、勝ちたかったです」

Q:近い位置でパスをつなげた前半は、やりながら楽しかったですか?
「そうですね。真ん中に人がいっぱいいるので、パスコースもいつもより近いですし、前を向いたらウイングも走っている。あとはどう点を取るかという部分。追加点を取っていれば、試合は終わっていたと思うので、そこが今日の課題になりました」

Q:追加点という意味では、前半終了間際、つなぎながらサイドに展開して、チアゴ選手のクロスに飛び込んでファーにいた場面は悔しそうでしたね(笑)
「スルーしてほしかったですね(笑)。タイミングもバッチリ待っていたので、当てるだけだったと思います。でも澪哉もあそこに入っていくことが大事。厚みは出していかないと点は入らないので、続けていくだけだと思います」

Q:真ん中でのプレーについては?
「景色は違うので、難しさもありましたが、最初にしては良く出来た方だと思います。他の真ん中の選手、シバ、駿汰くん、ネルが上手く作ってくれて、自分をフリーにしてくれる場面もありました。逆にシバをフリーにする場面もありました。しっかり走ることをベースにこれからもやっていきたいです」

Q:短い練習で試合でもやることは、不安はなかったですか?
「面白いな、と思いました。本当にボールを握れるかな、という気持ちはみんなにあったと思いますが、昨日の練習で上手くいったので、相手は捕まえられないだろうと考えていました。みんな『楽しかった』と言っていたので、みんなの自信にもつながったと思います」

■奥田 勇斗選手

Q:足は大丈夫ですか?
「両足を攣っています(苦笑)」

Q:それだけ走ったということだと思いますが、久しぶりの出場で気持ちが高まる部分もあったのでは?
「そうですね。今季に入って初スタメンで90分出たので。今まで出られなかった悔しさもあったので、今日の試合に懸ける思いは強かったです」

Q:本間選手と柴山選手のゼロトップのような形で保持の時間を増やす取り組みは、手応えもありましたか?
「ボス(パパス監督)から話もありましたが、今まで試合をしてきた中で、ソロ(櫻川)に頼っている部分が大きいと。ロングボールが増える試合が続いたので、自分たちの初心に戻って。ボールを支配するサッカーをする上でサイドバックもそうですが、前はゼロトップという形で、シバと至恩くんの特長を生かすやり方で、上手くボールを保持する時間を増やそうという形で今回は試合に入りました。自分もそこは特長としてあるので、しっかり回せたと思います」

Q:最後のクロスについて。足を攣っている中でもあの精度は素晴らしいと思ったが?
「変に力が入らず、力が抜けて、良い感じで蹴れました。パッと顔を上げたらソロが見えたので。『決めてー』と思って蹴りました。入ったと思いましたが、良いボールを供給できたと思います」

Q:前半のようなサッカーと、櫻川選手をターゲットとして生かすやり方と、上手く使い分けることができれば、相手にとっても読み辛くなる?
「そうですね。戦略的で良いなと思いますし、上手く使い分けながらやれたら相手も戸惑うと思います。効率よくやっていけたらと思います」

Q:保持の時間が長いと、より奥田選手の良さも出ますね
「はい。自分の特長を生かしながら、課題である守備も少しずつ克服していけたら良いと思います」