2回戦
天皇杯 JFA 第103回 全日本サッカー選手権大会
2023.6.7水
セレッソ大阪
北野 颯太 (7')
阪田 澪哉 (53')
石渡 ネルソン (55')
北野 颯太 (74')
毎熊 晟矢 (81')
5
HOME
FULL TIME
0
ヨドコウ桜スタジアム
1-0
4-0
Cento Cuore HARIMA
ヨドコウ桜スタジアム
NaN人
放送
ギャラリー
MATCH REVIEW
監督コメント
■小菊 昭雄監督
「毎年、天皇杯2回戦は非常に波乱も多い大会だと認識して、選手たちともしっかり準備して、相手をリスペクトして臨みました。関学や福井ユナイテッド。私たちもよく練習試合をしたり、交流があるチームを相手にしっかりと勝ち上がってきた実力を、前半、特に感じました。かなり強くボールを奪いにきましたし、アグレッシブにゴールに向かってきました。本当に、手ごわい相手でした。その中で、普段、試合に出ていない選手たちが、しっかりとトレーニングの成果を出して、結果を出してくれたこと。セレッソの未来は明るいということを、結果で皆様にお見せできたことは嬉しく思います。もちろん課題も見受けられました。ただ、公式戦でしか感じ取れない雰囲気、自分への課題を感じられたことは、今日、出た選手たちが得た大きな収穫だと思います。また明日からチームの競争は激化すると思いますので、全員でいい準備をして、リーグ戦の神戸戦に向かっていきたいと思います」
Q:2得点を決めた北野颯太選手について
「結果が全てのこの世界で、チャンスを作ったり、いいプレーが多かった中でも、ゴールを決め切れない。それは代表も含めて。彼自身、苦しかったと思います。もう一度、昨年のプロになったときの気持ち、初心を取り戻して、目の色を変えてトレーニングを続けた結果が出たと思います。その気持ちをこれからも大切にして欲しいと思います。練習が終わってからも、色んなシュート練習を黙々とやっている姿を見て、近いタイミングでゴールを決めることは予想していました。結果を一つ出すことによって、若い選手は、乾いたスポンジが水を吸収するかのように、グンと成長する姿を私もたくさん見てきました。その意味でも、今日のゴールは彼にとって大きなゴールになったと思います」
Q:阪田選手、石渡選手が同じタイミングでプロ初ゴールを決めたが、彼らの今日の評価について
「初めて公式戦の先発として出た試合で結果を残すことは、これまで私が見てきた中でも、なかなかそういった選手は記憶にないです。メンタルも含めて素晴らしいなと思います。ネルソンは、普段はボランチを中心にやっているのですが、(松田)陸に少しアクシデントがあり、軽い腰痛があり、急遽、ネルソンを右サイドバックで起用しました。彼の推進力、技術の高さ、対人の強さ。たくさんの良さを見ることができました。ゴールシーンは、彼の素晴らしい能力が詰まったゴールだったと思います。(阪田)澪哉は、少し最初は緊張からか、ボールが足に付かない時間帯もあったのですが、修正して、自分の良さを出せたこと。これは大きな経験です。彼の成長を一気に加速させるゴールになったと思います」
Q:「若手の台頭は、ここからさらに強いチームになっていくためには必要」といった言葉もあった中で、そうしたプレーを体現した選手たちに、試合後はどのような声をかけられた?
「今日のメンバーは、なかなか試合に出られず苦しい期間もあったと思います。しっかり自分と向き合ってトレーニングした成果がたくさん出たことは素晴らしいこと。ただ、課題も各自、感じたこともあったと思います。そこは日常のトレーニングから高めていくしかありません。今日の学びをまた生かしていこう、という話をしました。昨日の会見でも申し上げたのですが、我々の若い選手は、セレッソだけではなく、日本を引っ張っていく、それだけの才能をもった選手がたくさんいます。今日、そういった可能性を秘めた選手たちを皆さんに披露できたことは非常に嬉しく思います。彼らの成長を、ともに見守り続けて欲しいなと思います」
Q:後半の途中から中原選手をボランチで起用された意図、また、交代で入った大迫塁選手は久々の出場だったが、彼のプレーについて
「輝に関しては、中でのプレーもタスクとして与えています。もちろん、サイドでも彼の良さ、インスイングでのクロス、カットインからのシュート、縦への突破。プラスα、彼はゲームを作る能力、スペースや時間がない中でもボールを受けられる能力が高い選手です。オプションとして、彼の幅を広げるために、チームとしての戦術の幅を広げる意味も含めて、トレーニングでは中でのプレーもやっています。公式戦でトライしました。塁に関しても、ネルソンと同様、本来はボランチのポジションでトレーニングしているのですが、左足の技術、体の強さ、キックの精度も含めて、今は左サイドバックにもトライしています。これからは色んなポジションができることも求められると思いますので、若い彼らにはたくさんのポジションを与えながら、色んな方面から、成長するためのアプローチをしたいと思います」
Q:改めて、週末の神戸戦に向けて意気込みをお願いします
「今日の午前中、私もコーチ陣と一緒に練習を見ていたのですが、主力組が素晴らしいトレーニングをしてくれました。かなり暑い中、コーチ陣も厳しいトレーニングを課していたのですが、本当に素晴らしいトレーニングをしてくれました。それを見て、私は『土曜日にやってくれるな』と確信を得ました。さらに今日、このゲームをスタンドから見て、色んなことを感じたと思います。今日の勝利は、そうした意味も含めて、大きな試合になりました」
選手コメント
■阪田 澪哉選手
Q:プロ初ゴールを決めた感想は?
「今日は得点を決める、という気持ちでピッチに入ったので、セットプレーだったのですが、決めることができて良かったです」
Q:公式戦でプロ初スタメンだったが、スタメンを言われたときの気持ちは?
「準備はしっかりしていたので、やるべきことも整理していました。スタメンを言われたときは、『やってやろう』という気持ちでした」
Q:プロ初ゴールがヘディングということは、イメージしていましたか?
「はい。前日練習でも、セットプレーからヘディングで決めていたので。高校時代も、結構、セットプレーからの得点は得意でした。欲を言えば足で決めたかったですが、そんなことは言っていられないので(笑)。点を決めることができて良かったです」
Q:プレー内容としては、最初は少し硬かった感じですか?
「内容は、今日は全体的にはあまり良くなかったので、そこは練習から高めていきたいです」
Q:ネルソン選手と同じ試合でプロ初ゴールを決めましたね。
「そうですね(笑)。ネルも自分もプロ初ゴールということで、自分のことのように、ネルのゴールも嬉しかったです。これからのセレッソを自分たちが作っていく、という意味でも、今日は自分とネルのゴールで勝てたことは大きかったと思います。結果が求められる世界なので、ゴールという結果を残せたことは良かったです」
■石渡 ネルソン選手
Q:決めた瞬間はかなり嬉しそうでしたが、プロ初ゴールを決めた思いは?
「最高でした(笑)。打った瞬間、ボールが見えなかったのですが、スタジアムが沸いていたので、『入ったんや』と思って、ベンチに行きました(笑)」
Q:右サイドバックでのプレーでしたが、あの瞬間はゴール前まで入っていった?
「点を取りたかったので。リスクも考えましたが、どんどん出ていくことは監督からも言われているので。それがいい形になって、得点を決められて良かったです」
Q:中盤で出ても、右SBで出ても、やはり前に出ていくことは強みとして生かしていきたい?
「そうですね。前に出ていくこと、ボールを運ぶことは自分の武器だと思っているので、そこはポジションが変わっても生かしていきたいです」
Q:中盤が本職だとは思うが、今後もリーグ戦でも、サイドバックでの出場機会があれば狙っていきたい?
「はい。色んなポジションができて損することはないですし、今回はサイドバックでしたが、真ん中も含めて色んなポジションで貢献できる選手になりたいです。(右サイドバックは)ユースのときにも少しやったので、感覚的にも残っていたので、困ることはなかったです」
Q:ゴール裏のサポーターの前で決めたが、歓声は聞こえた?
「聞こえました。めちゃくちゃ気持ち良かったです(笑)」
Q:先発ということで、緊張はしなかったですか?
「緊張はしなかったですね。楽しみの方が勝っていました。前半から出られることは、長い時間プレーできるので、絶対に結果を残そうと思っていました」
Q:松田選手のアクシデントもあり、先発は急遽という形だったようだが?
「それもありますし、チームとしてもターンオーバーということもありましたが、僕の中では関係ないですし、チャンスが回ってきたので精一杯プレーしました」
Q:北野選手や阪田選手、若い選手のゴールで勝てたことについては?
「凄く嬉しいです。なかなか試合に出られていないメンバーで結果を残せたことも嬉しいです。ただ、今日の結果に満足することなく、もっともっと試合に絡んで、若手からチームを底上げしていきたいです」
■北野 颯太選手
Q:今季初ゴールとなったが?
「色んな複雑な思いを抱えながら、この試合に懸けていました。『ここで結果を残さなかったら後がない』くらいの覚悟で臨んだので、ひとまず結果を残すことができて、ホッとしています」
Q:相当な覚悟で臨んだ試合だったということですね。
「はい。一番、心にあったのは危機感です。監督ともU-20代表から帰ってきて話をしましたが、監督からも、『もっともっと颯太ならやれるよ』という励ましの言葉をいただきました。そういった意味でも、今日は2得点を決めることができて良かったです。ただ、2点を決めたのですが、もっと上のレベルを見据えたら、まだまだやらないといけないことは多いので、満足せずにやっていきたいです」
Q:改めてU-20W杯を振り返ると、悔しさや危機感しかない?
「そうですね。U-20W杯を経験して、世界との差を凄く感じました。何もできなかった自分が悔しいですし、チームとしても予選敗退という結果で終わってしまったので。10番として、結果を残して帰ってきたかったのですが、自分の実力がまだまだでした。同世代の世界の選手と戦って、このままだと間に合わないというか、このまま終わってしまうと感じたので、凄く悔しい思いをしました」
Q:プレー面での課題はどこに一番感じましたか?
「自分の良さを出させてもらえなかった。相手とのフィジカルの差を感じました。一番はフィジカルでしたが、クイックネスのところも、より一層、やらないといけないと感じました」
Q:帰国して、気持ちを切り替えることは難しかった?
「いや、W杯では悔しい思いをしたのですが、帰ってきたらチームはチームなので。先輩たちも優しく迎えてくれて、監督も、今日こうやって出番をくれて。悔しい気持ちはありますが、自分はそれを力に変える能力はあると思うので。落ち込みましたが、常に毎回の練習から、基準を忘れずにやってきました」
Q:次はリーグ戦での、首位・神戸との大一番が控えています。
「監督が試合前のロッカールームで『この試合で良かったら次もチャンスを与える』と全員に話をしていました。アピールという意味では、一番分かりやすい結果という数字を残せたので、そこは良かったです。神戸戦でもチャンスがあれば、決める準備はしています。チームとして勝利すること、勝点3が、上にいくためには必要な試合。それを自分のゴールで導きたいです」
■原川 力選手
Q:4アシストという結果を残しました。さすが、ですね。
「4アシストですか?(少し考えて)確かに、そっか(笑)。いつもと違ってアンカーっぽい役割ではなかったので、前に出ていきやすかったですし、元々、そういうタイプでもあるので。自然と体が動くような感じはありました」
Q:特にこういう試合は先制点が大事ですが、早い時間帯でCKから取れたことが大きかったですね。
「そうですね。颯太がすぐ取ってくれて楽になりました。2点目がちょっと遅かったですが、結果的に5点が入って良かったです」
Q:阪田選手とネルソン選手。2人のプロ初ゴールをアシストする形になったが、なかなか珍しいケースですね。
「フフフ(笑)そうっすね」
Q:2人から何か感謝の言葉はありましたか?
「いや、まだ特にないっすね(笑)。でも、ネルソンとか、あの喜びようを見ていたら、若々しくていいなと思いました。めちゃくちゃ笑顔だったので、可愛かったですね(笑)」
■山下 達也選手
Q:メンバーを大幅に入れ替えて中で勝った試合でしたが、振り返ると?
「みんないい準備をして臨んで、リーグにうまくつなげられるように、ということと、リーグに向けて、という意味で、いいアピールもできたと思います」
Q:自身としても、公式戦は久々の出場になったが?
「久々でしたね。公式戦はお客さんもいますし、練習試合とは違った緊張感なので、体にもきますし、いい緊張感の中でやれて良かったです」
Q:点差が開いた中でも無失点で終えたことも良かったですね。
「そうですね。やっぱり無失点は見え方もいいですし。自分自身、みんなにカバーしてもらいながらやれたと思います」
北野颯太の2得点に、阪田澪哉と石渡ネルソンがプロ初ゴール。若手の活躍が光り、5-0の快勝で天皇杯3回戦へ進出
J1、J2勢にとって初戦となる天皇杯2回戦。セレッソ大阪は、ヨドコウ桜スタジアムに兵庫県代表のCento Cuore HARIMAを迎えた。先発は直近のリーグ戦から総入れ替え。山下達也、石渡ネルソンが今季の公式戦初出場を果たし、阪田澪哉が公式戦初先発を飾った。リーグ戦と同様、4-4-2でスタートしたセレッソ。5-4-1で構えるCento Cuore HARIMAに対し、序盤から攻め込むと、5分、中盤で中原輝がカットして、阪田とのワンツーでペナルティーエリア内へ進入。好機を作ると、7分、先制に成功。原川力のCKにニアで北野颯太が頭で合わせた。北野は10分にもFKのこぼれ球を拾ってクロスバーに当たるミドルシュートを放つなど、果敢にゴールに迫った。試合後、「一番、心にあったのは危機感。ここで結果を残さなかったら後がない、くらいの覚悟で臨んだ」と悲壮な決意でこの試合のピッチに立ったことを明かしたが、U-20W杯で味わった悔しさを、早速、力に変えてみせた。25分にも決定機。原川が左サイドへ大きく展開、左サイドバックの舩木翔がダイレクトで折り返して決定的な形を作ったが、中で合わせた阪田のシュートはクロスバーを越えた。すると29分、Cento Cuore HARIMAにロングスローからチャンスを作られたが、ここは何とかクリアで難を逃れた。32分には、この試合は右サイドバックで先発した石渡がサイドを駆け上がり、深くまで進入してクロス。U-20日本代表に帯同して刺激を受けて帰ってきた石渡も、この試合では攻守に対人の強さが光った。
前半を1点リードで折り返すと、後半もセレッソが攻め込む形で試合はスタート。すると53分、セレッソが追加点。再び原川のCKに対し、今度はファーで阪田がヘディングで合わせた。阪田にとって嬉しいプロ初ゴール。「今日は得点を決める、という気持ちでピッチに入ったので、結果を出せて良かった」と試合後は笑顔が弾けた。これで肩の荷が下りた選手たちは、ここからゴールラッシュを見せる。阪田の得点から2分後、今度は石渡がプロ初ゴール。上門知樹が背後に走って起点を作り、最後は原川のクロスに逆サイドで飛び込み、ヘディングでネットを揺らした。「前に出ていくことは自分の武器」(石渡)と果敢な攻撃参加がゴールを生んだ。60分、小菊昭雄監督は阪田、舩木、喜田陽に代えて、レオ セアラ、カピシャーバ、大迫塁を投入。大迫は左サイドバックに入り、喜田が下がったボランチには中原が移った。Cento Cuore HARIMAにもいくつかチャンスを作られたが、無失点でしのぐと、74分に4点目。再び上門が背後に抜けて、サイドを突破。クロスはDFにクリアされたが、こぼれ球を北野が豪快に蹴り込んだ。81分にも、細かいパス交換で左サイドを崩し、最後は原川の折り返しを交代で入ったばかりの毎熊晟矢が決めて5点目。試合を決定づけた。
北野の2得点に、阪田と石渡のプロ初ゴール。交代で入った大迫も5点目の起点になるなど、10代の活躍が目立ったこの試合。「公式戦でしか感じ取れない雰囲気、自分への課題を感じられたことは、今日、出た選手たちが得た大きな収穫。セレッソの未来は明るいということを、結果でお見せできたことは嬉しく思う」と指揮官も試合を総括した。ここから中2日で迎えるリーグ戦。次節の相手は、現在、首位を走るヴィッセル神戸。「(主力組の選手たちも)今日のゲームをスタンドから見て、色んなことを感じたと思います。また全員でいい準備をして、神戸戦に向かっていきたい」と小菊監督。シーズンの今後を占う大一番となる前半戦のラストゲーム、チーム一丸で、勝点3を奪いにいく。