【11/18 横浜FM戦】Match Review
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先制されるも、怒とうのゴールラッシュ。ライバルに完勝し、ACL出場圏内である3位をキープ
悲願の初タイトルを獲得したJリーグYBCルヴァンカップ優勝から2週間。舞台を再びリーグ戦へ移し、3位のセレッソ大阪が5位の横浜F・マリノスのホーム、日産スタジアムに乗り込んだ一戦は、前半、横浜FMに先制されるも、後半、一気の4得点で逆転勝ち。ACL出場圏内である3位を争うライバルを蹴落とし、セレッソが勝点を60に乗せた。
先発はルヴァンカップ決勝とまったく同じ11人。「現状のベスト」と尹晶煥監督も話す面々が、リーグ戦では第29節のサガン鳥栖戦から4試合連続でピッチに並んだ。タイトルを獲得した直後の試合、試合間隔が空いた中での試合、そして、アウェイ。懸念された試合の入りだが、しっかりとボールもつなぎ、悪くはなかった。ただし、攻撃時にパスのズレも散見され、失ったボールを相手に素早く前に運ばれると、両サイドを起点に攻め込まれる場面も作られた。
すると、13分。一瞬の隙を突かれ、左サイドのダビド バブンスキーにペナルティーエリア外から強烈なシュートを決められ、横浜FMに先制を許してしまう。この1発自体はワールドクラスとも呼べる相手を褒めるべきシュートであることも確かだが、対応に当たった水沼宏太は、「ああいう隙を与えてはいけない」と反省した。以降は守備でプレスがかからず横浜FMに主導権を握られる時間帯が続いたセレッソだが、ここで崩れず、1失点でしのぐと、徐々に反撃姿勢を強める。32分、途中から中央寄りにポジションを移していた清武弘嗣のパスに抜け出した杉本健勇が弾道の低いシュートで横浜FMのGK飯倉大樹を脅かすと、続く34分には、水沼の柔らかいパスに後ろから走り込んだソウザがヘディングでうまく合わせたが、ここはポストに弾かれ、ゴールならず。その後も39分にソウザ、前半アディショナルタイムには柿谷曜一朗がそれぞれ強烈なシュートを放つなど、後半に期待を抱かせる内容で前半を終えた。
後半に入ると、セレッソがさらに横浜FMを押し込む。「サイドの深いところまで進入することができれば、中央でチャンスを掴める」という指揮官の指示もあり、前半よりもサイドから崩す意識も加えることで、横浜FMの守備に穴を空けにかかる。さらに、「後半は、マルが『(山口)蛍とソウザの横にいたほうがいいよ』と言ってくれて。僕は少し下がりながらボールに触って、そこから前に出て行った。相手は2列目から出てくる選手を掴み切れていなかったと思う」と清武も話すなど、崩しに工夫を加えると、64分、待望の同点ゴールが生まれた。水沼の左足でのサイドチェンジを受けた丸橋が高い位置でキープすると、2列目から飛び出してきた清武が横浜FMのDFラインとボランチの間のスペースに走り込み、丸橋からのパスを受けて左足を振り抜き、同点ゴールを決めた。
すると、ここからセレッソが怒とうのゴールラッシュ。同点から4分後、今度は左サイドで山口蛍、清武、柿谷とパスを回してCBの中澤佑二を釣り出すと、柿谷の浮き球のパスを清武がヒールで落とし、空いた中央のスペースに走り込んだ水沼が左足で決めた。「イメージ的には曜一朗に出したんですけど、そしたら(水沼)宏太がいて、という感じでした(笑)」と清武は自身のアシストを振り返ったが、複数の選手がゴールへのイメージを共有して相手の守備を崩した見事な形だった。すると、2点目から2分後の70分。ニアに蹴った丸橋のCKを杉本が豪快に合わせてセレッソが3点目。日本代表の欧州遠征から帰国した直後の試合で結果を残した杉本は、自らのバースデーを祝うとともに自身の得点を20点の大台に乗せ、得点ランキングでも浦和レッズの興梠慎三と並んでトップタイに躍り出た。
圧巻のゴールラッシュの締めくくりはマテイ ヨニッチ。87分、再び丸橋のCKから杉本が打点の高いヘディングで合わせると、飯倉がキャッチし切れずファンブルしたところを詰めた。「失点シーンに関しては修正しないといけないですが、今日は全選手が落ち着いて、良いプレーを見せてくれました」と試合後に尹晶煥監督も振り返ったように、セレッソは先制されても慌てず、自分たちでボールを保持しながら横浜FMの堅守を攻略してみせた。ルヴァンカップ優勝により、今節からユニフォームに星が一つ付いたセレッソだが、まさにチャンピオンにふさわしい堂々たる試合運びで横浜FMを粉砕し、ACL出場圏内である3位をキープした。