【12/2 新潟戦】Match Review
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リーグ戦6連勝フィニッシュと得点王。どちらも逃す悔しい結果に“次”への反撃を誓う
今季のJ1リーグ最終節。すでにJ2降格が決まっているアルビレックス新潟のホームに乗り込んだセレッソ大阪は、今節の結果に関わらず3位という順位は確定していた。それでも、リーグ戦6連勝を懸けて、さらには、ベスト4に残っている天皇杯へいい形でつなげるために、「最後まで勝利を目指して戦う」(尹晶煥監督)ことを誓い、臨んだ。先発は、前節のヴィッセル神戸戦と同じ11人。負傷の山口蛍は今節も欠場となった。ベンチは前節から1人、変更。コンディション不良の福満隆貴に代わって酒本憲幸が入った。
試合は、1分、3分と新潟のホニに左サイドを突破されてピンチを招くなど、立ち上がりからセレッソは新潟のサイド攻撃に手を焼く場面が続く。それでも、最初の決定機はセレッソ。5分、マテイ ヨニッチのクロスを杉本健勇が胸トラップしてシュート。完ぺきにDFの裏を取ったが、前に出てきたGKの好守もあり、シュートはわずかに枠を外れた。試合後に「決めたかった」と杉本も悔やんだチャンスを逸したセレッソは、その後はピンチの連続。
8分、ホニの突破からのクロスはマテイ ヨニッチがクリアして防ぐ。17分には山崎亮平、19分にはホニ、ともにDFに当たってコースが変わる難しい軌道のシュートが枠に飛んできたが、ここはいずれもGKキム ジンヒョンが素晴らしいセーブを見せた。
直近のリーグ戦5試合で4勝1分という結果が示すように、復調してきた新潟。試合前、「(J2)降格が決まったチームは失うものがない。正直、そういうチームはどこよりも強い」と話していたのは清武弘嗣だが、この試合でも、新潟の勢いは止まらない。前線からの激しいプレスに、奪ったボールは素早くサイドを突く縦に速い攻撃。セレッソは序盤から守勢に回る場面が続いた。それでも何とか0-0で前半をしのぐと、後半に入り、セレッソもピッチを広く使いながら、攻勢に出る時間帯を増やして盛り返す。ただし、最後のパスやクロスが合わずにシュートまで行く回数を増やせずにいると、77分、ソウザのパスがズレたところを発端にカウンターを浴びると、ホニに抜け出され、GKとの1対1を決められた。その後は杉本が果敢にゴールを狙うも最後まで1点が遠く、リーグ戦での連勝が5で、公式戦での連勝は8でストップする敗戦を喫した。
この試合に得点王が懸かっていた杉本も、今節、逆転優勝を果たした川崎フロンターレの小林悠がハットトリックを達成したため、試合前の時点で付けていた2点差を抜かれて得点王を逃す悔しい結果に。試合後、その杉本について問われた尹晶煥監督は、「今日、杉本選手はケガを抱えながら出場しました。多少、(プレーに)影響はあったと思います」と言及。ミックスゾーンでそのことを問われた杉本も、「代表のベルギー戦で脇腹を痛めた」ことを明かした。もっとも、帰国後はそのような素振りを見せていなかったが、異変が起きたのは試合2日前に行われた紅白戦。試合の途中で左脇腹を押さえてうずくまる姿があった。トレーナーが駆け寄り、一時はバツ印が出かけるも、杉本は紅白戦に戻り、最後までメニューをこなした。「大丈夫…なの?」。案ずる言葉が喉まで出かかった。ただし、練習後、気丈にテレビカメラの前で得点王へ向けた意気込みを語る彼の姿を見て、覚悟の大きさを感じ取り、その問いかけはグッと飲み込んだ。
振り返れば、第7節のガンバ大阪戦での2得点から始まった得点量産への道。その後も第23節・ジュビロ磐田戦でのダイレクトボレーや、第29節・サガン鳥栖戦での2人抜きドリブルシュートなど、見るものを魅了する数々のゴールでサポーターを沸かせてきた。自身が渇望した「一番」は逃したが、今季、残した22ゴールの価値が色褪せることはない。試合後は、現実をしっかりと受け止め、真っすぐな思いを吐露。この悔しさをバネに、さらなる成長を遂げることを誓った。
チームに話を戻すと、今節で全日程が終了したJ1リーグ戦でセレッソが残した勝点は63。首位の川崎F、2位の鹿島アントラーズとの勝点差は9の3位で終えた。アウェイでの勝率や、夏場の失速など課題も残したが、ホームでは無類の強さを誇り、これまで勝利が遠かったスタジアムでの勝点3など、数々のジンクスも破った。立派な成績だ。「今年1年、選手は全員、一生懸命頑張ってくれました。いい結果を得ることができたと思います」と尹晶煥監督も労いの言葉を残した。もっとも、今季はまだ終わっていない。しばしの休息を挟み、今季、最後の戦いである天皇杯へ。桜の戦士たちが2冠に挑む。