【3/2 札幌戦】Match Review
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杉本、柿谷の2トップがそろい踏みも、後半に守備が崩れて3失点。リーグ初勝利はお預けに
「フライデーナイトJリーグ」と銘打たれたJ1第2節。ピッチ外の様々なイベントも試合の盛り上げに一役買い、平日夜のキックオフにも関わらず、入場者数は1万人を超えた。札幌からも多くのサポーターがゴール裏に駆け付け、熱気に包まれた中で行われたセレッソ大阪と北海道コンサドーレ札幌の一戦は、前後半で激しく点を奪い合う、乱打戦となった。
決定機を決め切れずに引き分けに終わった横浜F・マリノスと開幕戦を踏まえ、今節を前に尹晶煥監督とセレッソの選手たちが口を揃えて重要性を語っていたのが「先制点」。その待望の得点が決まったのは27分、今季初ゴールが待たれていた杉本健勇の右足から飛び出した。かつてセレッソにも在籍していた札幌GKク ソンユンのキックミスを見逃さず、山口蛍、杉本、高木俊幸と展開すると、最後は高木のクロスを収めた杉本が粘り強くキープして右足を振り抜き、ゴールを決めた。
その後は三好康児や駒井善成のドリブルに手を焼く場面もあったセレッソだが、そこをしのぐと、43分に追加点。ジェイに入ったボールをマテイ ヨニッチと水沼宏太が挟んで奪い、柿谷曜一朗がドリブルでペナルティーエリア内へ進入。ヒールで落とすと、そこへ走り込んだ高木がダイレクトで決めた。「曜一朗くんなら出してくれるかなというシーンだったので、信じて走った」(高木)という阿吽の呼吸で決まった、見事なゴールだった。
セレッソにとって素晴らしい内容となった前半を経て、このまま優位に試合を進めるかに思われたが、後半に入ると、一転して札幌の猛攻を受ける。セレッソは、前半は高い位置を保っていたDFラインが下がり、自陣に釘付けとなる。札幌に横幅を広く使われると、サイドで数的優位を作られ、そこからのクロスでピンチを招く。プレスの出足も鈍ると、次第にファウルも増え、相手にセットプレーの機会を与えてしまう。
62分、三好のクロスからチャナティップにヘディングで決められると、尹晶煥監督が山村和也を入れて守備のテコ入れを図ろうとした直後の69分、FKのこぼれから、駒井のクロスに今度は深井一希にヘディングで決められて同点に追いつかれた。
それでも、72分、セレッソが見事なカウンターから3点目を奪う。相手選手がピッチに足を滑らせて失ったボールをソウザ、杉本と素早くつなぐと、杉本の折り返しを柿谷がダイレクトで合わせ、セレッソが勝ち越しに成功した。今季のリーグ戦初勝利が近付いたかに思われたが、79分、CKからまたもヘディングで決められ、札幌に再び追いつかれた。
その後も最後まで得点を目指して攻め合った両チームだが、勝利を決定付ける4点目は生まれず、3-3の引き分けで試合は終了した。「1試合で6ゴールも入ったゲームであれば、いいゲームであったと言っていいと思います。よく、多く得点が入ると、点を取られたほうのチームは『なぜそれだけ失点したのか』と、失点の数を気にすることが日本では多いと思います。でも、得点が多く入ったことは、お互いがよりリスクを負って攻めた証。スリリングな展開だったと思います」と札幌のペトロヴィッチ監督が胸を張ったように、攻撃面においては互いに良さを出し合ったスペクタクルな試合だったことは確かだが、杉本と柿谷の2トップに揃ってゴールが生まれ、2度リードした展開に持ち込んだセレッソとしては、勝利を掴みたかっただけに、悔やまれる勝点1となった。