【4/25 仙台戦】Match Review
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先発復帰を果たした清武弘嗣が2得点!逆転で仙台を破り、再び前を向く勝利を収める
J1第10節・ベガルタ仙台戦。ついに、この男が先発に名を連ねた。今季から背番号10を身にまとう清武弘嗣だ。セレッソ大阪へ復帰して2年目の今季は、開幕前のキャンプからフルメニューをこなすと、シーズンの開幕を告げるFUJI XEROX SUPER CUPでは得点も奪い、チームを勝利に導き、最高のスタートを切った。ところが、AFCチャンピオンズリーグMD2、広州恒大戦を3日後に控えた2月18日の練習中に右腓腹筋を損傷。しばしの戦線離脱を余儀なくされた。
負傷から約1ヶ月半。J1第7節・川崎フロンターレ戦で途中出場による復帰を果たすと、そこから、リーグ戦では川崎F戦を含めて3試合連続での途中出場を経て、今節、ついに先発復帰を果たした。試合前日の囲み取材では、「まだ先発は難しいのでないか」と尹晶煥監督は清武について話していただけに、先発はサプライズでもあった。
そんな背番号10に注目が集まる中、始まった試合は、両サイドを広く使ってクロスから活路を見出す仙台に先制される厳しい入りとなった。10分、CKのこぼれ球を拾われ、野津田岳人の浮き球のパスに抜け出した蜂須賀孝治にダイレクトでシュートを決められた。セレッソとしてはオフサイドを取りに行った場面だったが、松田陸が残っていたことで、オフサイドは適用されず。あっさりと失点を許す立ち上がりとなった。
それでも、セレッソに慌てる様子は見られず、清武を中心にボールを保持して仙台の守備を破りにかかると、30分過ぎからは相手を押し込み始める。40分、山村和也のパスに抜け出した福満隆貴が見事なトラップから前を向いてシュートを放てば、44分には、清武のCKのこぼれ球を山口蛍がシュート。芯を捉えた素晴らしいシュートだったが、惜しくもクロスバーを直撃した。
後半、セレッソの勢いは加速する。その中心にいたのは、やはり清武だ。51分、丸橋祐介のフィードを収めて杉本健勇へパス。杉本が粘ってキープし、前方にいた清武へパスを送ると、受けた清武が冷静に相手DFをかわしてGKも届かないコースへシュート。見事な崩しと鮮やかな個人技が合わさり、セレッソが同点に追いついた。
その後も、55分に決定機。清武の意表を突いたグラウンダーでのCKから山口がシュートを放つ。GKに防がれた跳ね返りを山村が詰めるも、ここはゴールライン上でDFにクリアされた。一度、火が点いた攻撃は止まらない。「意識もプレーも受けに回り過ぎた」と、この時間帯について渡邉晋監督が試合後に悔やんだ仙台を尻目に、セレッソが逆転に成功。60分、DFラインの丸橋から丁寧にパスをつないで前線までボールを運ぶと、最後は杉本の落としを受けた山口の地を這うミドルシュートをGKが弾いたところを清武が詰め、ゴールネットを揺らした。「あの一瞬だけ、(柿谷)曜一朗がいつも狙っている姿がパッと思い浮かんだ」とは清武。まさに、歴戦のストライカーのような抜け目ない嗅覚を発揮し、隙を逃さず仕留めてみせた。
逆転後は、中盤に藤本康太を投入して守備を固めるとともに、後半アディショナルタイムには西本雅崇を投入して5バックにして逃げ切りに成功した尹晶煥監督。試合前日、「大阪ダービーに敗れた雰囲気を払拭するには、次の試合で勝つことだ」と話していたが、まさに自身の采配がズバリ的中し、チームを再び前向きにさせる勝利をもたらした。
そして、殊勲の2得点を決めた清武。「今日はメンバーが替わった中で、今まで出ていた選手の分まで、僕もタカ(福満)もドンちゃん(ヤン ドンヒョン)も走らないといけなかった」とこの試合に懸けていた意気込みを話すと、大阪ダービーについても言及。「正直、僕ら以上にサポーターにとっても切り替えることは難しかったと思うけど、今日、スタジアムに来て応援してくれたのはありがたかった」。チームの背中を押してくれた、12番目の選手たちに感謝の言葉を述べた。
大阪ダービーでの悔し過ぎる敗戦を払拭し、今後の連戦へ向けて弾みを付けるためにも、どうしても勝利が欲しかった一戦でセレッソが見事な底力を発揮し、逆転勝利を収めた。