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長居で川崎優勝の瞬間を迎えるわけにはいかない。持てる力を出し尽くし、首位撃破を目指す
6日に行われた、台風の影響により延期となっていた第28節・名古屋グランパス戦。セレッソ大阪にとって現在のキンチョウスタジアムで行われる最後の一戦となったが、前半に訪れた決定機を生かせずにいると、後半に入り、53分に失点。最後までこの1点が重く、0-1で敗れ、第31節の鹿島アントラーズ戦を含め、今季初のリーグ連敗となった。
そういった状況の中、今節、ホームに迎える相手は川崎フロンターレ。昨季のリーグ王者である川崎は、ACLと並行しての戦いとなったシーズン序盤こそ突き抜け切れずにいたが、夏場以降、快調に勝利を重ねてサンフレッチェ広島を追い抜き、前節の結果、今節で優勝が決まるシチュエーションを作り上げた。
「完成しているチーム。攻撃というスタイルがある中で、守備もしっかりできる。得失点を見ても断トツなので、(自分たちより)上の相手であることは認めざるを得ない」。今の川崎についてそう語るのは、かつて川崎で主力としてもプレーした田中裕介。もっとも、「そんなことばかり言っても仕方がない。相手は(連覇が懸かる)プレッシャーもあると思う。僕らがしっかり守って先制点を取れば、勝機はある」と続け、川崎の優勝阻止へ、チーム一体の姿勢で戦う重要性を話した。
セレッソとして避けたいのは、早い時間帯での失点。昨季、リーグ優勝したことで、川崎は一つ殻を破ったとは言え、連覇が懸かった試合の重圧は多少なりともあるだろう。セレッソにとって早い時間帯での失点は、そういった相手の心理を解きほぐしてしまうことにもつながる。失点ゼロで進める時間帯をできるだけ伸ばし、ジリジリとした展開に持ち込みたい。もっとも、ただ引くだけでは相手の攻撃力を引き出す結果にもつながるだけに、前線からしっかりとボールの出どころにはプレッシャーをかけ、ディフェンスラインのプッシュアップも含めたチーム全体のコンパクトさは維持したい。
「川崎は個が強いし、攻撃で一人はがせる選手も多い。自分たちは守備でしんどい時間もあると思うけど、全員で攻撃して、全員で守備をする、そういった戦い方を貫きたい」。今節のセレッソがやるべき方向性について具体的に語ったのは山下達也。今季の開幕前、FUJI XEROX SUPER CUPでは内容も伴った形で川崎から勝利を挙げたセレッソだが、「あの時とはまた状況も違うし、自分たちが勝つためには何がベストなのか、ということを突き詰めて戦いたい」と、山口蛍も今節を見据える。
連覇を目前にした首位・川崎相手に綺麗なサッカーはいらない。ただ勝つために、一人ひとりがやるべきことを徹底できるかどうか。名古屋戦の85分に途中出場し、限られた時間の中でも戦う姿勢を出し続けた福満隆貴のプレーに、ヒントはある。「時間は短かったとは言え、ピッチに出たわけで、最後の笛が鳴るまで何が起こるか分からないのがサッカー。下を向いていても雰囲気は良くならない。後から出た自分はフレッシュでもあったし、最後まで諦めない姿勢を見せたかった」。
ホーム、ヤンマースタジアム長居で川崎に歓喜の瞬間を迎えさせるわけにはいかない。意思統一された試合運び。球際で戦う姿勢。現状で持てる力を出し尽くし、連敗を2で止めるとともに、首位を破るビッグゲームを演じたい。
■尹晶煥監督
Q:今節は川崎フロンターレが勝てば優勝が決まるという一戦となったが?
「川崎の状況に関係なく、ウチがどういう姿勢を見せるかが大事。選手たちも、目の前で優勝を見たくない気持ちはあると思う。こういう状況をどう乗り越えるか。一人ひとりが考えないといけない。サッカーは、個人、個人ではなく、チームで戦うスポーツ。そこを理解した上で、ここからの3試合に臨まないといけない。昨季は、チームも選手も価値が高まった。そこで慢心するのではなく、それをもっと高めるために、もっとやらないといけない。今季は厳しいシーズンになったが、チームの今後のためにも、今季、最後の3試合をどう戦うかは大事になる」
Q:やはり、今節、勝利するためには、チームとして戦うことが大切になりますか?
「そうですね。ボールは回されるかも知れないけど、一人ひとりがチームのために犠牲心を持って戦うことができれば、勝つチャンスは訪れます。サッカーはそういうスポーツだと思います」
■山口蛍
Q:今節は川崎フロンターレが勝てば優勝が決まるという一戦となったが?
「相手の状況は関係ないけど、やっぱり、自分たちのホームで優勝を決められるのは、いい気持ちはしないので、勝利を目指したい。やれることをしっかりやることが大事。厳しい時間帯も多い試合にはなるとは思うけど、みんなで耐えて、チャンスをモノにする、昨季のルヴァンカップ決勝のような感じで戦うしかないと思う。今のチーム、選手でベストの戦い方をすることが大事。自分たちのやりたいことをやって、勝てる相手ではない。相手は自分たちのサッカーを貫き通してここまで来たと思うけど、自分たちは、勝つためには何がベストなのか、ということを突き詰めて戦いたい」
■杉本健勇
「ここ2試合、低調な内容の試合をしてしまったけど、後ろは耐えてくれているので、前が点を取らないといけない。(点が取れていない原因は)いろいろあるとは思う。クロスが合う、合わない、互いのサポートの距離感、ちょっとしたズレだと思う。ただ、きっかけというか、いいゴールが決まれば、このチームは乗っていく。最近は勝利という結果はついて来ていないけど、ネガティブになり過ぎることは良くない。川崎フロンターレの戦い方は分かっているので、逆にやりやすいところもある。しっかりともう一度、ここでいい戦い方をして、自信を取り戻せるような試合をしたい。自分たちのホームで優勝されることは阻止したい。阻止したいというか、自分たちが勝ちたい気持ちが強い」