【Match Preview】2年前に見た景色を再び─。“ロティーナ・セレッソ”として挑む初めてのルヴァンカップ
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JリーグYBCルヴァンカップと言えば、2年前の記憶が鮮やかに蘇る。セレッソ大阪にとってクラブ初のタイトル獲得となった、歓喜に包まれた大会だ。その一方で、準々決勝からの出場となった昨年は、湘南ベルマーレを相手に2戦合計2対5で敗れ、連覇の夢は潰えた。直近の2年間で味わった感動と悔しさ。そういった記憶とともに、“ロティーナ・セレッソ”として初めて同大会に挑む今季はどのようなドラマが描かれるか。新たな戦いが始まる。
その初戦は、アウェイでの大分トリニータ戦。智将・片野坂知宏監督に率いられ、チームスタイルも成熟している大分は、しっかりとボールを握り、前線でのコンビネーションを駆使した攻撃を仕掛けてくる。東京ヴェルディを率いた17年、18年と対戦経験のあるロティーナ監督も、「明確なプレーアイディアを持っている監督が継続して指揮していることが強み」と大分の印象を語る。戦術面に長けた指揮官同士、どういった試合の進め方をしていくか、興味は尽きない。
開幕戦で鹿島アントラーズに勝利し、第2節で松本山雅FCに敗れた大分と同様、セレッソも、開幕戦はヴィッセル神戸に勝利したが、第2節は敵地で名古屋グランパスに敗れ、この試合が仕切り直しとなる。中2日でJ1リーグの第3節・サンフレッチェ広島戦が控えていることもあり、今回の大分戦では、これまでのリーグ戦で出場機会がない(少ない)選手たちがプレーするチャンスを得ることになりそうだ。
2年前の優勝に貢献し、かつて大分でもプレーした経験のある丹野研太は、「リーグ戦に出ていない選手もいいモノを持った選手が揃っている。2年前のルヴァンカップも、そういった選手たちが力を発揮して、1つずつ積み重ねていくことで、最後にああいう景色も見ることができた。今年も1試合1試合をしっかり戦っていきたい」と話す。
また、ルヴァンカップと言えば、将来性のある若手にとっても、大きなチャンスとなる大会。試合前日、「瀬古(歩夢)のプレーを見ることもできる機会」とロティーナ監督から直々に名前を挙げられた背番号15にとっては、トップチームに食い込んでいく大きなチャンス。
「出場できれば、チャンスをモノにしたいし、そこからまたリーグ戦にも関わっていくことが理想。監督は、後ろからボールを保持すること、自分たちでボールを握る時間を長くしよう、というテーマでやっているので、自分の良さを積極的に出して、チャレンジしていきたい」とこの試合に向けた意気込みを話した瀬古。17年の同大会でも2種登録としてプレーした経験があるだけに、浮足立つ姿は見られないが、言葉の中に明確な意志を込めた。
直近のリーグ戦での敗戦を払拭するため、チーム全体の底上げにつなげるため、タイトルという大きな頂きに向かって突き進む最初の一戦は、セレッソにとって大きな意味を持つ試合になる。
■ロティーナ監督
Q:JリーグYBCルヴァンカップに挑む意気込みについて
「我々は全ての公式戦を重要視しています。カップ戦は、リーグ戦でプレーしていない選手たちがプレーできる機会でもあります。ケガから戻ってきた選手たちにとっても、より長い時間、プレーする機会を得ることができるチャンス。選手たちはより集中しているでしょうし、彼らのプレーを公式戦で見ることができる、我々にとっては貴重な機会になります」
Q:明日の試合に出場する選手たちに期待することは?
「先発が11人しか選べないリーグ戦には出ていなくても、すべての選手たちが素晴らしいトレーニングを重ねています。それを試合で発揮して欲しいと思います。試合を通じて、個人のコンディションを確認することもできますし、コレクティブに、どうプレーできるかを見ることもできます。いろんな側面でフィードバックすることができる試合になります」
Q:東京ヴェルディ時代、大分トリニータとは何度も対戦されていると思いますが、大分の印象と、勝つためにポイントになる部分は?
「大分の強みは、(片野坂智宏監督が就任した16年から)3年間、同じアイディアでプレーしているということです。より明確なアイディアを持ちながら、少しずつ成長しています。年々、レベルの高い選手も加入しています。明確なプレーアイディアを持っている監督が継続して指揮していることが大分の強みだと思っています。彼らを快適にプレーさせないことが大事であり、我々がボールを持てば、彼らは(守備の)仕事をせざるを得なくなる。我々がボールを持つ時間を増やすことも大切です」
■藤田直之
「リーグ戦と同様、カップ戦も初戦が大事。いい形でグループステージをスタートできるように戦いたい。どういうメンバーで臨むか分からないけど、前節のリーグ戦に出なかったメンバーで戦うとしたら、勝つことが、リーグ戦に出ているメンバーへのプレッシャーにもなる。チームに勢いをもたらすこともできる。そういう意味でも、しっかり結果を出したい。一人ひとり、リーグ戦に向けたアピールの場でもあるけど、結果を出すことが、結果的に個々のアピールにつながることは、みんな分かっている」
■田中亜土夢
「チームとしては、何より勝つことで全体の雰囲気も高まる。リーグ戦につなげるためにも、個人としても、結果にこだわって戦いたい。練習でも、シュートを打つ意識を高めているので、それを試合で出したい。リーグ戦に出ていない選手が活躍して、リーグ戦に出ている選手を突き上げるようでないと、チームとしてもいい方向に行かない。(カップ戦に出る選手たちは)そういった役割はあると思う」