【Match Preview】令和初の大阪ダービー。新たな歴史を作る勝利を掴むべく、敵地で力の限りを尽くす
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「令和」に元号が変わった5月に入り、リーグ戦で連勝中のセレッソ大阪。公式戦でも直近の5試合で負けなしであり、生みの苦しみとなった3月、4月を経て、徐々に結果が出始めてきた。
前節は上位の横浜F・マリノス相手に完勝を収めるなど、内容に目を向けても上向きつつある中、直近のリーグ戦では3試合連続無失点と守備の固さは特筆すべき点。大分トリニータ、松本山雅FC、横浜FMと特長の異なる相手に対し、ほとんど決定機を与えていない。前節の試合後、「規律を保ち、いい戦いができている」と胸を張ったのはキャプテンの清武弘嗣だが、いまはピッチに立つ選手一人ひとりが自らの役割をきっちりと果たせている。
そういった堅守を誇る一方、少し前までは得点力に課題を残していたが、JリーグYBCルヴァンカップでの活躍が光った選手たちも柔軟に起用しつつ、システムも変えながらチーム力の底上げを図ると、前々節は2得点、前節は3得点。「ディフェンスの強固さは維持したまま、得点を取るためのプレーを改善することが必要」(ロティーナ監督)という課題をクリアしてみせた。
そうした成長のサイクルを歩み始めた中、前節、大きなアクシデントがチームを襲った。前半41分に負傷交代した都倉賢が右膝前十字靭帯損傷および右膝外側半月板損傷の全治8ヶ月と診断され、長期離脱を余儀なくされたのだ。得点こそここまで1点に留まるも、前線で体を張って収めるポストプレーは唯一無二であり、替えの利かない存在として君臨していた背番号9。ポジティブな声掛けでチームの雰囲気作りにも貢献していただけに、この離脱はあまりにも痛い。都倉自身の心中も察するに余りある。
もっとも、今節の大阪ダービーに向けた週始め、クラブハウスでチームメートに挨拶した都倉は、気丈に言葉を発していたという。「明るく振る舞っていて、僕らも勇気付けられた。だからこそ、“一緒に戦っている”姿を見せないといけない。ピッチに立つ選手は責任を持って戦わないといけない」と柿谷曜一朗は話し、「ショックを引きずっていたら、トックン(都倉)にも申し訳ない。僕たちは僕たちのやるべきことをやっていきたい」と水沼宏太。今週の練習では全選手が背番号9のユニフォームを着用。今節の大阪ダービーは、「トクの分も戦う」(ブルーノ メンデス)一戦となる。
この試合、セレッソとしては、まずは相手に得点を許さないことが何より重要。青黒のストライカー、ファン ウィジョにアデミウソン。昨季も苦杯を嘗めさせられた彼ら二人の強烈な個をしっかりと抑えること。その上で、試合のカギを握る先制点を貪欲に狙っていきたい。さらに、直近の大阪ダービーでは、試合後、ガンバの選手は何人も足をつってピッチに倒れ込んだ。“魂と魂のぶつかり合い”でもあるダービー。「サポーターの応援の熱さもあって、ダービーは自ずと球際も激しくなる。まずは戦うところで負けてはいけない」(高木俊幸)。メンタルの勝負でも、一歩も引いてはならない。
「チームとしていい方向に向かっていることは間違いない。継続していくことが大事。連勝すれば順位も上げていくことができる。このタイミングで、ダービーでガンバを倒せば、チームもまた盛り上がる」(水沼)。
上向きつつある状態をさらに加速させるための勝利、“敵地での大阪ダービー撃破”という最高の果実を手にすべく、桜の戦士たちが力の限りを尽くす。
■ロティーナ監督
Q:監督にとって初の大阪ダービーとなる今節に向けて
「ダービーはサポーターにとって特別な試合です。どの試合も同じ勝点3を懸けた試合ではありますが、そうは言っても、ダービーはやはり特別な一戦。自然とテンションが上がる試合になることは間違いありません」
Q:今節へ向けて、対策などは?
「各チームに特長があり、毎週、相手の分析はしていますが、今節、言えることは、11人で戦うということ。それ以上、ここでは言えません(笑)Jリーグは力が拮抗したリーグであり、ガンバ大阪も、素晴らしい選手を擁した、素晴らしいチームだと思っています」
Q:スペイン時代にもダービーは何度も経験されていると思います。印象に残る試合などはありますか?
「選手としても、たくさんのダービーを経験してきました。監督としても、そうです。エスパニョールを率いていたときはバルセロナと戦いましたし、デポルティーボを率いていたときは、セルタとのガリシアダービーを戦いました。スペインはサポーター同士のライバル関係がより強く、より過酷な状況が作られます。いい雰囲気で戦えた印象が残っているのは、ソシエダ時代のビルバオとのバスクダービーでした。サポーター同士の仲も悪くなく、いい雰囲気でした。いずれにしても、ダービーの重要性はよく分かっています。サポーターの皆さんの期待に応えられるよう、全力で戦います」
■ブルーノ メンデス
Q:大阪ダービーとなる今節に向けて
「ダービーはどの国でも特別な試合です。ブラジルでも経験がありますが、どちらも強い気持ちで試合に臨みます。セレッソにとって今節はアウェイでの戦いになりますが、勝ちたい気持ちをより強く持ち、勝利だけを目指します。自分自身、開幕からしばらくは試合に出ることができませんでしたが、練習からしっかりとやってきたことで、ここ2試合はリーグ戦でもチャンスをもらえて、得点にアシストと結果を残すことができています。チームに貢献できた部分で自信も得られました。次の試合でもチームに貢献することだけを考えてプレーしたいと思います」
Q:都倉賢選手の負傷離脱について
「チームにとって、彼は大事なピース。自分自身、一緒にプレーする機会も多く、ケガは辛いです。みんなが『トクの分も』という思いを持っていますし、彼のためにも一生懸命、戦います。勝って、いい報告をしたいと思います」
■藤田直之
Q:大阪ダービーとなる今節に向けて
「大阪ダービーの雰囲気は選手からも聞いていますし、今週は(森島寛晃)社長からも、ダービーの持つ重要性についてのお話がありました。自分自身、初めての大阪ダービーなので楽しみですし、何より勝ちたい。チームとしては、ここ最近、やれていることを続けていくことが大事で、それに加えて、試合もより激しくなると思うので、受けるのではなく、逆にこちらが激しく向かっていく気持ちで戦いたいです。ただ、ピッチの中では冷静にプレーすることも必要なので、熱く戦うところとの使い分けも、しっかりやっていきたいと思います」
Q:いまのガンバ大阪をどう見ていますか?
「最近は勝てていないみたいですが、それは参考になりません。ダービーに順位は関係ない、とはよく言われることですが、まさにそうです。彼らもこのダービーに勝つことで流れを引き戻したいと考えているはず。ウチも、いまはいい流れができつつあるので、ここでダービーに勝って、より勢いを増したいという思いがあります。このタイミングでガンバに勝ってリーグ戦3連勝を果たし、さらに上を目指していきたいです」