早いもので、今シーズンも残すところあと2試合。清水エスパルスをホームに迎える今節は、セレッソ大阪にとって今季のホーム最終戦となる。
スペイン国籍のロティーナ監督、イバンコーチを迎えた今季。セレッソは、“ポジショナルプレー”を基盤とした新たなスタイルにチャレンジした。シーズン序盤こそ、その浸透に時間を要し、思うように勝点を積み重ねることはできなかったが、「一つひとつ練習から積み重ねていった結果、目指しているサッカーが形になり始めた」(水沼宏太)チームは、試合を重ねるごとにコンセプトがピッチで具現化され始め、結果も付いてきた。
「チームとして、より共通理解を持って崩すことを学んだ」(丸橋祐介)「立ち位置とか、ボールを受けるポジショニングとか、いろいろ勉強になることも多かった」(松田陸)。選手個々にとっても、成長の1年になったことは間違いない。
直近のリーグ戦3試合は、相手のプレスに思うようにボールを運べない時間帯もあるが、相手も研究して臨んでくることは当然であり、対策を上回る打開策を示し、さらなる進歩を遂げていくことがチームの発展には重要だ。今節対戦する清水も、前からのプレス、1トップのドウグラスを生かした攻撃には迫力があるだけに、セレッソとしてはボールの運び方が問われ、失い方には十分、気を付ける必要がある。
ホーム最終戦となる今節。ここまでチームを支えてくれたサポーターに対し、清武弘嗣キャプテンは深く感謝している。
「最初、結果が出ない中でもブーイングはなく『ここから、ここから』と常にポジティブな声をかけてもらった。選手たちも、それで心が救われた。今、こうやって結果を出せているのはサポーターのおかげ。僕たち自身、監督やコーチから学んだことを発揮できるようになったことも大きいけど、サポーターの皆さんが我慢しながら見守ってくれたことが、それ以上に大きかった。キャプテンとして、みんなを代表して『本当にありがとうございました』という言葉を伝えたいです」
新たなスタイルに取り組んだ今季。監督、コーチ、スタッフ、選手、そしてサポーター。セレッソに関わる全員の力で送った右肩上がりのシーズンだったと言えるだろう。その集大成として、有終の美を飾るべく、今節は勝利を掴みたい一戦だ。
そして、もう一つ。28日、背番号4藤本康太の2019シーズン限りでの現役引退が発表された。ルーキーイヤーに経験した“長居の悲劇”、そこから2度のJ2降格とJ1昇格も経て、17年には初戴冠を含む二冠達成に貢献して涙。近年のセレッソに起きた“天国と地獄”の両方を、身を持って体験してきた貴重な選手がユニフォームを脱ぐ。セレッソ一筋15年。ここまでクラブに大きく貢献してきた藤本と戦う最後のホームゲームを、勝利で飾りたい。
■ロティーナ監督
Q:前節について
「いくつかの教訓があった。サッカーは常に進化しているし、学ぶ必要がある。重要な学びの機会になった。来季のことを考えても、生かすべき貴重な試合になった。引き分けるチャンスもあったが、ヴィッセル神戸が全体的に我々を上回ったことは認める必要がある」
Q:ホーム最終戦となる今節について
「いくつかの理由で、とても重要な試合。一番の理由は、今シーズンずっと近くで応援してくれたサポーターと喜びを共有すること。4位になる可能性がある限り、そこも目指していきたい。相手も重要なモノを懸けた試合なので、難しい試合になるとは思うが、我々も力をしっかりと発揮していきたい」
■柿谷曜一朗選手
「今季の最初は(サッカーのスタイルに)戸惑っていたところもあったけど、監督と選手が同じ方向を向いて戦うことができた1年だったと思う。個人的には不甲斐さも残る。『1試合、2試合、良かった』ではなく、開幕から最後まで印象に残るシーズンにしたかったけど、自分にも足りないところがあって、苦しいシーズンになった。最後はいろんな思いがこもった試合になる。チームにとっても、自分にとっても、大事な試合。絶対に勝ちたいし、いい終わり方をしたい」
■丸橋祐介選手
Q:今季について
「シーズンを戦うにつれて、徐々に良くなった1年だった。最初はうまくいかないこともあったけど、今ではボールもうまく回せるようになってきたと思うし、このサッカーに対するおもしろみも出てきた。チームとして、より共通理解を持って崩すことを学んだ。個人としても、学びの多い1年だった」
Q:今節について
「ホーム最終戦でもあるし、引き分けや負けで終わりたくない。自分たちのサッカーをして、勝って締めくくりたい。相手には(元セレッソ大阪の楠神)順平くんもいる。前節はFKも蹴っていたので、そこは注意したい」