Match Preview
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≪今季3度目の川崎フロンターレとの対戦。リーグ戦では2戦2勝もチャレンジャー精神を持ち、果敢に挑む≫
直近の明治安田生命J1リーグ第23節・アビスパ福岡から中3日、舞台をJリーグYBCルヴァンカップに移し、セレッソ大阪は、川崎フロンターレとの準々決勝・第1戦に挑む。昨年のルヴァンカップ決勝。名古屋グランパスに0-2で敗れて準優勝に終わった悔しさは、クラブに関わる全員の胸に、今もなお鮮明に残っている。「昨年の忘れ物を取りにいく」(小菊昭雄監督)を合言葉に、セレッソはここまでグループステージ、プレーオフステージを勝ち抜いてきた。ここからは、いよいよAFCチャンピオンズリーグ出場クラブも登場。タイトルを懸けた争いは佳境に入っていく。迎えた準々決勝。相手は川崎フロンターレ。言わずと知れた、リーグ2連覇中の王者であり、タイトルへ向けた「大一番」(小菊監督)であることは間違いない。今季、リーグ戦で2戦2勝と“シーズンダブル”を達成しているが、だからこそ、1発勝負のカップ戦、より一層、気を引き締めて臨む必要がある。
7月は公式戦4勝2分と負けなしで終えた。直近のリーグ戦では、J1最少失点の福岡から2得点。7月の公式戦6試合すべてで複数得点も記録した。また、直近の公式戦7試合連続で途中出場の選手がゴールを奪うなど、試合の中でギアを上げることもできている。まさに誰が出ても安定した戦いができるようになってきた現在のチームだが、リーグ戦に挟まれた過密日程の中、今回のカップ戦ではどのようなメンバーがスタメンに名を連ねるかにも注目したい。福岡戦では途中出場から試合を決定付ける2点目を決めた上門知樹も、「出る試合、限られた時間で、守備でも攻撃でも、チームの助けになりたい。前からのプレス、背後への抜け出しを意識したい」と、試合に向けてイメージを高めている。
対戦相手の川崎は、新型コロナウイルス感染者がチーム内に続出するなど非常事態に見舞われている。それでも、直近のリーグ戦では、レアンドロ ダミアン、家長昭博、マルシーニョといったアタッカー陣、日本代表の脇坂泰斗、キャプテンの谷口彰悟や復帰したジェジエウら主力は健在だった。それだけに、セレッソとしても全く油断はできない。あくまでチャレンジャー精神を持ち、戦う姿勢を前面に出し、相手よりも多く走ることが勝利を掴むためには重要になる。敵地での第2戦へ向け有利な状況を作るためにも、ホームで迎える第1戦は、無失点が理想。その上で、しっかりと得点も奪いたい。また、この試合は、コロナ禍以降ホームゲームとしては初、ヨドコウ桜スタジアムとしても初となる声出し応援が実施される。ゴール裏から発せられる応援も力に変えて、準決勝進出へ近づく1勝を掴みたい。
≪試合前日コメント≫
■小菊昭雄監督Q:ルヴァンカップ準々決勝。ここまで来たら、どこが相手でも難敵だと思うが、相手が川崎フロンターレになったことについて
「王者・川崎と今シーズン3度目の対戦ができることは、グループステージから全員が力を合わせて一丸となって勝ち得た権利ですので、明日また、川崎と試合ができることを嬉しく思います。自分たちの力で勝ち取った明日の試合を、思い切り楽しんで欲しいと思います。リーグ戦で2試合戦いましたが、我々が川崎に向かっていく姿勢は変わりません。今までの2試合と同様、正面からぶつかっていきたいと思います」
Q:現在の真夏の5連戦は、7月の5連戦で積み上げた選手層も生かしたいと思うが、選手起用について
「間違いなく、この真夏の5連戦は、蓄積疲労やケガの予防、いろいろな面で、我々スタッフも考慮しながらメンバー選考しないといけません。その中で、先のことも考えながらやっていかないといけないとは思っているのですが、まずは明日の大一番に向けて、コンディションのいい選手をぶつけたい。明日が終わってから、次の神戸戦に向けて考えていきたいと思っています」
Q:川崎の状態は決して万全ではないが、そのあたりはどのように考えていますか?
「今シーズンは、コロナもそうですし、連戦でのケガ人など、シーズン立ち上げの時からチーム力、クラブ力が問われるシーズンになると、選手たちとも共有していました。まさしく明日のゲームも、我々にもケガ人がいる中で、相手にもコロナやコンディション不良の選手もいる中で、クラブ力が問われる試合になると思っています。まずは我々のサッカーができるように、矢印を自分たちに向けて、いい準備をすること。それに尽きると思って取り組んできました。明日の試合も、自��たちのサッカーをしっかりする、勝ちにこだわる、積み上げてきたサッカーをする。そういったところに100%の集中力を持って臨みたいと思っています」
Q:現在、公式戦7試合連続で途中出場の選手がゴールを決めていることについて
「正直、今聞いて、初めて知りました。すごく嬉しく思います。いつも選手たちにも言っているのですが、『18人、そしてチーム全員で準備して戦う、試合に向かっていく』と。その日常の努力の成果が、そのような結果になっていると思います。先発で出る選手、途中からバトンを受け取る選手、全員が100%でいい準備をしてくれていることに感謝しています」
Q:選手同士でモチベーションが上がっている、いい競争が起きている実感もありますか?
「それは日々、感じています。今日もかなりバチバチとやり合っていました。全員が日々向上する、成長するために、どのトレーニングも一生懸命やってくれています。強度の高いトレーニングを集中してできていることは、日々感じています」
Q:「強度の高いトレーニング」という意味では、先日、切り替えの激しい練習をしている動画をクラブ公式ツイッターで見たが、就任当初からされていたのでしょうか?
「おっしゃる通り、実は3ヶ月ほど前から、強度を意図的に上げることを選手たちにも伝えて、ワンランク、ツーランク強度を上げてトレーニングしています。その成果が、球際、走り負けない、セカンドボールのバトルなど、試合の中で随所に見られていると思います」
Q:強度を上げることを決めたきっかけは?
「まずはキャンプから、ケガをしない体作り、チーム戦術の浸透を大事に取り組んできました。当時は順位も中位で、今ひとつ波に乗り切れない。その中で、コーチ陣ともミーティングを重ねて。シーズンの途中で強度を上げることはリスクもあります。そのリスクも抑えながら、やはり個を伸ばしていくことが大事だと。そこをもっとやっていきたいと。その中で、個々がいい競争をして、グループがレベルアップしていく、チームがレベルアップしていく。そういったことを選手たちに伝えて、理解してもらった上で、練習の強度を上げました」
Q:アカデミーの活躍も目立っています。技術も向上していると思いますが。監督からご覧になって、アカデミーの変化をどう感じていますか?
「クラブが大事にしている、“止める・蹴る・運ぶ”。そこの��ベルアップは素晴らしいスピードで向上しているなと思います。ユースの選手も、頻繁に我々の練習に参加してくれているのですが、前回より今回、また成長した、逞しくなった、うまくなったなと。そういうことを常々、感じています。そうした選手たちが、全国大会で決勝まで進みました。颯太もいない、ネルソンもいない、木下もいない中で、全員の力で非常にいいグループで戦っていることを嬉しく思います。ぜひ優勝して帰ってきて欲しいと思います。トップとアカデミーで、常にいいコミュニケーションを取っていますので、これからもコミュニケーションを円滑にしながらクラブ力を高め、明るいセレッソの未来を作っていきたいと思っています」
Q:明日はゴール裏の声出し応援が可能な一戦です。改めて、サポーターへメッセージをお願いします
「声出し可能だった鹿島とのアウェイ戦でも、私は全身に鳥肌が立ちました。本当に大きなパワーをいただきました。アウェイで一緒に戦っていただいた光景は、私の中でも幸せな時間でした。明日はホームで、ヨドコウ桜スタジアムで、そういった声援を受けながら戦えることを幸せに感じます。明日は、その雰囲気の中で王者に勝って、試合後に喜びを分かち合えるように、我々も精一杯、頑張りたいと思います」
■上門知樹
Q:直近のリーグ戦でゴールを決めたことで、気持ちが軽くなった部分もありますか?
「そうですね、これまではアウェイでの得点でしたので、どうしてもホームで取りたい思いは強かったので、気持ちとしてもだいぶ楽にはなりました。ここから量産できればなと思いますけど、まず守備からしっかり入ることを意識しながらやっていきたいです」
Q:7月は2アシストも重ねました。これまでの取り組みもあったと思うが、フィットし始めた要因は、自身ではどう分析されていますか?
「メンバー外の時期もありましたが、そういう時期でも腐らず、やり続けるだけでした。ここでやらなければ終わりだと、自分でも思っていました。日々の積み重ねと言うか、コツコツやることをしっかりできたからこそだと思います。監督も練習から、全員のことを平等に見て下さっていますし、練習でもゴールを取り続けること、アピールを続けた結果かなと思っています。これからも、そういうところはシーズンの最後まで続けていきたいです」
Q:明日はルヴァンカップ準々決勝です。相手には、谷口選手、ジェジエウ選手とリーグ屈指のCBがいますが、どのように突破口を切り拓き、ゴールに向かっていきたい?
「まず、チームとして、ハイプレスは持っています。誰が出ても、ファーストラインからプレッシャーをかけて、奪ってショートカウンターだったり。僕の場合は、横浜FM戦でムツキのゴールをアシストした、あのイメージを持ちながら入りたいと思っています。あとは、背後の抜け出しも大事です。その動き出しを見てくれる選手はこのチームにはいっぱいいますし、ボールは出てくる。うまく抜け出せれば、よりチャンスになると思います」
Q:ルヴァンカップという大会自体への想いは?
「僕自身、カップ戦のタイトルを獲ったことはありませんが、今のチームは獲れるチャンスのあるチーム、獲る力はあるチームだと思っています。負けたら終わりの一発勝負。カップ戦に懸ける思いは自分自身も強く持っています。そこで結果を出せば、またリーグ戦にもつながっていく。出る試合、限られた時間で、守備でも攻撃でも、チームの助けになりたいと思います」
Q:以前、小菊監督が「(鈴木)徳真の活躍は、(他の)控え選手にとっても、光になっている」と話されていたが、上門選手からは、鈴木選手はどんな存在ですか?
「僕自身、サッカーでも、サッカー以外でもお手本にしています。サッカーに取り組む姿勢が素晴らしい人。ピッチ内外で手を抜かない。サッカーに対して、いい準備をして、試合が始まれば、いいプレーをする。同じタイミングでメンバー外になった時もそうでしたが、何一つ文句を言わず、自分のできることをやっているイメージでした。そういう選手が試合に出て、活躍するんだなと思いました。川崎戦でのセットプレーからの2アシストもそうですし、メンバー外からスタメンに定着していく姿を見て、僕自身も刺激になりました。僕らにもチャンスがあると、徳真くんが示してくれたと思います」
Q:昨シーズンはファジアーノ岡山のエースとして活躍されていた中で、J1への移籍1年目、序盤は試合に出られず苦労もされたと思うが、ここに来て這い上がってきた。どのような気持ちで取り組んでいましたか?
「岡山では、試合に出続けていましたが、ここに来て、メンバー外になり、試合に絡めない���々も続きました。最初はメンタル的にもきつい部分はありましたが、今考えると、そういうメンバー外になった時間が僕にとって必要だったと振り返ることができます。そこで腐らず、日々サッカーに真剣に取り組めたからこそ、結果も出始めていると思います。やり続けることの大事さを学んだというか、決して無駄な時間ではなかったと思っています」
Q:先ほど、「練習からゴールを取り続けること」を意識したという話もありましたが、他に何か、練習からやり続けたことはありますか?
「止めて・蹴る部分ですね。パスの基本なんですけど、そこを練習でもそうですし、練習が終わってからも、それこそ徳真くんと一緒にやったりとか。毎日、繰り返してやっています。そういうところが、前節の得点にもつながったと思います」
Q:“止めて・蹴る”スキルは、川崎はかなり秀でたモノがあると思うが、上門選手から見て、どうご覧になりますか?
「J1の中でもズバ抜けているというか、全員がうまい選手たちです。なかなか一人でボールを取ることは難しいと思いますが、チーム全員で向かっていけたらなと思います」