Match Preview
- 4/29 広島戦
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上位進出へ向けた大一番。昨季一度も勝てなかった相手に成長を示す勝点3を狙う
前節、今季初の連勝を達成したセレッソ大阪。3連勝が懸かる今節は、さらなる上位進出を目指し、ホームにサンフレッチェ広島を迎える。昨季は公式戦4連敗を喫した天敵を叩き、今年は違う姿を見せたい。
連勝したとは言え、チームは一つ一つ課題を潰しながら力を高めている最中だ。アンカーとして連勝に貢献している原川力も現在のチームについて、「内容に波がある。まだまだ安定した戦いができているとは言えない」と話す。
奥埜博亮、香川真司と組む中盤が攻守の肝になっているが、「もっとクオリティーを上げたい」と香川も強調するなど、より高みを目指す姿勢はチーム全体に浸透している。特に今節は、果敢なプレスでアグレッシブな攻守を仕掛けてくる広島が相手。一つのミスが失点に直結する可能性もあるだけに、よりビルドアップは慎重に行う必要がある。ただし、「ボールを受けることを怖がれば(チームの)良さは出ない」(原川)。しっかりと全員が関わっていきつつ、状況に応じて相手のプレスを裏返してスペースを狙うシンプルな攻撃も心掛けたい。システム上、マッチアップがかみ合わないサイドの攻防も勝敗を分けるポイント。前節、決勝点を奪った毎熊晟矢、左サイドの為田大貴。両ウィングがサイドで起点を作り、広島の3バックを動かして攻略したい。
昨季の広島との対戦を振り返り、「プレーしていた感覚としては、負ける感じはしなかった」としながらも、「交代で入ってくる選手の力を感じた」と話したのは奥埜。セレッソは昨季の広島との公式戦4試合のうち3試合で逆転負けを喫している。特に途中出場の外国籍選手に苦しめられることも多かっただけに、「個の対戦で負けないことが大事」(進藤亮佑)であり、チームとしてどう試合終盤をマネジメントするかは重要になる。「広島は選手交代も含めて終盤に勢いが増してくる。相手の出方を見ながら(終盤の)守備は選択していきたい」と小菊昭雄監督は話すが、第6節の横浜F・マリノス戦のような5バックで締めることも選択の一つか。一方で、「僕らも途中から出た選手が強度を上げることが大事」(奥埜)になる。その期待が懸かるのが、「広島相手だと気合いは一段違う」と話す加藤陸次樹。「どの試合も勝ちたいけど、広島戦は特に勝ちたい。それも、自分が点を取って勝ちたい」。今季はチームとして先制するだけではなく、追加点を決めて突き放す展開にもっていければ理想だ。
今節からゴールデンウイークの連戦に突入するJ1リーグ。セレッソは、広島に続きガンバ大阪、鹿島アントラーズとの3連戦に挑む。「ここで3連勝できれば一気に上が見えてくる。その最初の試合は本当に大事」。キム ジンヒョンは、今節に挑む心境をそう話す。昨季、公式戦4連敗を喫した相手に勝つことで、トップ3に迫るとともに、一気に上昇気流に乗っていきたい。
試合前日コメント
小菊昭雄監督
Q:サイドの攻防、広島のプレスにどう対応するか、終盤の時間帯などいくつものポイントがある試合だと思うが、今節に向けて大事にしたい部分は?
「まず、広島相手に特別な思いも当然ありますが、ルヴァンカップのファイナルから時間も経っていますし、新しい選手も加わりました。その中でチームも色んなトライを重ねながら成長しています。特別な思いは置いておいて、今シーズン初めて対戦するわけですから、フレッシュな気持ちで、いま自分たちが積み上げているサッカーを準備して試合に臨みたいと思います。34分の1としてぶつけることを大事にしたいと、まずは思っています。その上で、広島のストロング、ウィークの整理はした中で、我々がどうゲームをコントロールするか。そのあたりも全員で共有しました。一つは、広島のプレスに対して我々がどう前進するか。コントロールするか。そこは大きなポイントになると思っています。守備のところも、4-3-3で取り組んでいる守備でどう誘導してボールを奪うのか。そのあたりの共有もしてきました」
Q:FC東京、柏と昨季のリーグ戦では勝てなかった相手に連勝。今節、広島に勝てばチームの成長を示す上で非常に大きいと思うが、今節の位置づけに関して
「4月の最終ゲームになります。4月はリーグ戦では素晴らしい結果を出せていますので、勝って4月を締めくくりたい。勝てばトップ5も見えてくる大事な一戦です。また、FC東京戦、柏戦は、違うカラー、違う顔で勝てたとも思っています。東京戦は、ゲームをコントロールしながら内容もいい時間帯が多い中での勝利。逆に柏戦は、暑さや連戦など色んな環境や条件もあった中で、苦しい時間帯もありながら全員が守備でゲームをコントロールして勝てた。違う顔で勝てたことは自信につながりました。明日はその両方が必要になります。この2試合の良かったところをミックスできるように。何よりアラートにやらないと相手のカウンターも速い。一瞬のスキを見逃さないチームであることは、我々は十分に感じています。そのあたりの集中力やチーム全体の一体感も、大きなポイントになると思っています」
Q:広島のカウンターの話も出たが、守備面で気を付けたいことは?
「いつも通り、奪われた後の切り替え、カウンタープレスも大事ですし、もちろん、ゲームの流れの中では、前からハイプレスをかけるところと、ボールを握られた中でブロックを落として守備でゲームをコントロールするところ。その使い分けも大事になってくると思います。それを18人全員で共有することが大事です」
Q:攻撃面で、明日重要になることは?
「まず一つ、いい守備からいい攻撃はポイントになります。広島の特長を考えたときに、我々が守備から出ていく切り替えの速さ、カウンターを発動させること。そこは大事になります。もう一つは、自分たちでしっかりとボールを握ってゲームをコントロールすること。守備と同様、攻撃でもその使い分けが大事になります。攻守で全員が同じイメージを共有することがポイントになると思います」
Q:ここまでの原川選手の評価と、明日の試合で期待することは?
「昨年の大きなケガから復帰して、コンディションも非常に良くなっています。いまは4-3-3のアンカーポジションで、彼の攻守に渡るパフォーマンスがゲーム内容、そして勝敗を左右する、貴重な選手だと思っています。彼のコンディションが上がっている状態は私自身も嬉しく思います。ただ、コンディションもパフォーマンスもまだまだ上げられると思っていますので、試合やトレーニングを重ねるごとに彼の存在感が増していくことを期待しています」
Q:加藤選手は広島戦に向けて特別な思いがあると思うが、今週の取り組みをどう御覧になりましたか?
「かなりパフォーマンスは高いです。本来のトップだけではなく、今週はウィングのポジションにもトライしてくれていますが、非常に攻守に高いパフォーマンスを示してくれました。気持ちも充実している雰囲気で、いい準備をしてくれました。明日もやってくれると期待しています」
Q:U-20W杯における日本の対戦国も決まったが、ここまでの北野選手の評価について
「私が颯太に期待していることは、昨年から何も変わっていません。センス、技術、クオリティー、素晴らしいモノをもっています。近い将来、セレッソだけではなく日本を代表する選手になると思っています。あとはしっかりと結果を出す。そこに常にこだわることが大事です。ここ数試合、ベンチ外やベンチに入っても試合に出られない時期も過ごしていますが、今週の彼はキャンプで見せたような高いパフォーマンス、キレキレの颯太でした。昨年、プロ契約をして、順風満帆に来た選手だと思っていますが、悔しさを糧に、自分自身に矢印を向けて取り組んでいることを感じました。そうした日常が結果につながると思っていますので、近いタイミングで必ずゴールを決めて、チームを勝利に導いてくれると信じています」
Q:今季のJ1リーグも混戦だが、第9節を終えた状況をどう見ていますか?
「私たちも紙一重の試合が続いていますが、他チームの試合を見ても、勝敗が逆になってもおかしくない試合が続いていると思います。昨年から拮抗した戦いは続いていますが、その中でも、ここからですね。10節以降、どれだけ安定して強いチームになっていけるかが大事です。昨年の私たちも、リーグ戦で10数試合を重ねた大阪ダービーあたりから安定したチームになりました。今、一つ一つの試合を戦いながらも、もちろん結果とともに、内容も求めていきたい。積み上げが大事だと思っていますので、ここからそれぞれのチームの差が少しずつ出てくるのかなと思っています」
原川力選手
Q:直近は公式戦3試合連続で先発中だが、自身の状態について
「徐々に良くなってきていると思います。試合をやった方がリズムも出てくるので、良くなっている感覚はあります」
Q:開幕当初とは動きが違うことを感じますか?
「動きもそうですし、頭の中の整理というか、試合をやればやるほど頭も整理されてクリアになっていくので、心身共にいい状態になってきたかなと思います」
Q:昨年の肩をケガする前の状態に戻りつつある、ということでしょうか?
「そうですね。そんな感覚です」
Q:リーグ戦の直近2試合は、課題も出つつ連勝という結果を残しました。チームの現状は、プレーしながらどう感じていますか?
「試合によって内容に波があるとは感じています。まだまだ安定した戦いができているとは言えませんが、セレッソは両方できるチーム。ボールをもってもできるし、もたれてもカウンターがある。時間帯でうまく使い分けができればいいと思います」
Q:先ほどは監督も、「FC東京戦はボールをもった状態で良さが出て、柏戦は守備で試合をコントロールする良さが出た」と話されていたが、攻守のバランスに関しては、中盤の3選手が軸となってコントロールする割合が大きい?
「そうですね。真ん中3人で、そういう話はよくしますね。柏戦に関しては先制点を取れたので、そこも踏まえてああいう展開になったと思います。これからも、試合の展開も考えた上で、中でいろいろ決めていければいいと思います」
Q:技術の高い選手が中盤に並べば、相手もそこを潰しにくると思います。特に広島はプレスも強烈ですが、どうゲームを作っていくか、どのようなイメージをしていますか?
「広島は人にどんどん来るチーム。中盤で、フリーでもてる時間はあまりないと思う。ただ、そこで受けることを怖がれば良さは出ないですし、多少、相手にマークに付かれても、どんどんボールを付けてもらいながら。もちろん、割り切りところも必要ですが。時間帯や試合の展開に応じてうまく使い分けることができればいいと思います」
Q:改めて、広島の特長も踏まえて試合のポイントは?
「後ろの3枚も強いですし、キレイに崩そうと思っても崩せないので、多少、強引でもミドルシュートを打ったり、キレイにやり過ぎないことも大事かなと思います」
Q:広島のシャドー、満田選手や森島選手のことはどう見ていますか?
「間で受けて、前を向ける選手。そこからのクオリティーもあるので、気持ち良くボールを触らせないようにしたいです」
Q:昨年の悔しさもあり、チームの士気は高いと思うが、原川選手はどのような思いで挑む?
「個人的にも、広島との対戦であまりいいイメージはありません。それを払拭するいいチャンスだと思うし、チームとしても、リベンジではないですが、その悔しさがプラスに働けばいいと思います」
Q:監督は現状の原川選手のパフォーマンスも評価しながら、「まだ上げられる」という言葉もあったが?
「僕もまだできると思います。セレッソにきて役割がアンカーっぽくなり、今までとはやることは多少変わっているので、プレーの幅を広げるためにも毎日学んで、試合をして、成長していけたらと思います。アンカーは守備の比重も大きくなりますが、守備だけの選手ではないので、攻撃でも違いを見せられるように。攻守で違いを見せられるようにやっていきたいです」
Q:「守備の比重が大きくなる」アンカーポジションだが、もう少し攻撃に絡みたい思いもありますか?
「もともと、前の選手だったので、そういう思いも多少はありますが、そこに固執しているわけではないですし、自分の与えられた役割の中でプレーしながら、自分の特長も忘れないように。そのバランスはうまく保ちながらやっていきたいです」
Q:香川選手とプレーすることで、自分自身への気付きや発見はありますか?
「見ていて思うのは、両足を同じレベルで使えること。一番感じるのはそこですね。長短のパスを両足で蹴れる。しかもパッと判断して蹴れるので、そこは僕もああいうプレーをできるようになりたいと思います」